今でも「水素爆発する危険性があるから、今日予定していた作業を中止する」とか…布施祐仁さん3/5東京FM“原発作業員たちが働き続けるわけ”

東京FMタイムライン 2013年3月5日
5日(火)▼原発作業員たちが働き続けるわけ
(火) 岸 博幸 慶応義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授
東京電力は2月25日、福島第1原発事故の収束作業に当たっていた
50代の男性作業員が意識不明の重体となったと発表。
福島第一原発の作業員の「体調不良」や「死亡」のニュースは定期的に報じられますが、
放射能との関連性は報じられることがなく、東電もそれを否定します。
改善されない劣悪な労働環境、横行する違法派遣・請負、労災隠し。
危険手当さえ、ピンハネされる。それでもなぜ、彼らは働きつづけるのでしょうか?

布施祐仁さん(ジャーナリスト)


東京電力が福島第一原発で事故後に働いた作業員およそ2万人が浴びた放射線量について
一元的に管理する放射線影響協会に提出していない事が先週明らかになりました。
事故から間もなく2年を迎えようとしている今もずさんな被ばく管理が続いているようです。
そのような状況の下で働く作業員の人達は、いったい何を考えて、またどのような背景があるのでしょうか?
タイムライン、今夜特集でフォローするのは、「原発作業員たちが働き続けるわけ」

今夜スタジオには「ルポ イチエフ~福島第一原発レベル7の現場」の著者でジャーナリストの
布施祐仁さんにお越し頂きました。
よろしくお願いいたします。

危険な中で働いているのに
事故前よりも日当が安い


岸:
いや、来週でもう原発の事故から2年なんですよね。
だからすごい時間が経つのが早いなと思う反面、
多分福島第一原発ではかなり多くの方がずっと収束に向けて働いていらっしゃる訳ですよね。
で、布施さんは作業員といってもいろんな方がいろんな場所で働いていらっしゃると思うんですけれども、
主にどういった方々を取材されていたんですか?

布施:
そうですね、もう本当にさまざまですけれども、
あの、これまで大体2万5000人ぐらいの人が収束作業に参加してきたんですけれども、
大体東電の社員というのはそのうち15%ぐらいなんですね。
残りの8割以上はいわゆる下請けと言われる企業の方で、
その中でも大きく分けて二つに分かれるんですけれども、
いわゆるピラミッドの上の方に位置している日立や東芝と言ったプラントメーカー。
そういうところの社員の人もいますけれども、
さらにそう言ったピラミッド構造6次7次8次9次という、あの


岸:わぁ~っ!そんなに広がっているんですか、

布施:
広がっているんですよね。
そういうところになると、本当にひとり親方という形で、
いわゆる日雇いの職人さんとか労働者の方が多く働いていまして、
ま、まんべんなくいろんな方に話しを伺ってきました。

岸:
なるほど。
下請けで、よく自動車産業なんかも3次4次受けと言いますけれども、
8次9次まであるんですか?

布施:原発のある種特殊な構造だと思います。

岸:
この福島第一原発の中、放射線量が高いほど、そういう下請けの下の方が、
ピラミッドの下の方の方が多く入ってらっしゃるという理解でいいんでしょうか?

布施:
そうですね。
もちろん上の方の東電の社員や、日立や東芝といったプラントメーカーの人も
線量が高いところに入っていますけれども、
実際にそこで作業する人っていうのは大体3次以下というか、そういった方が多いですね。

岸:そういう下請けをやっていらっしゃる一番頑張っている方々はやっぱり地元の方が多いんですか?

布施:大体6割ぐらいは地元の方で、後は全国から集まって来ているという感じですね。

岸:
その残り4割の全国から来ている人っていうのは、
もともと原発関係の仕事をしていた人が多かったですか?

布施:
私が取材している感じだと必ずしもそうではなくて、
事故後初めて原子力の仕事をするという人も結構いましたね。

岸:
「事故後初めて原発の仕事をする」
それは、あえてそれを選んだ理由というのは何なんですか?
つまり、それは「収入がすごく良いから」なのかとか、
または」「景気が悪くて仕事がないし、これならあるかな」というそういう事なのか、
どっちなんですかね?

布施:
簡単に「こうだ」とは言えないんですけれども、
中には、福島が大変なことになっているというので、
「何とか力になりたい」という事で技術を持った職人さんとかが、
お金は関係なく来るという人が中には居ますけれども、
やはり、全国の原発が止まっている中で、仕事が無くなってしまって、
本当は来たくないんだけれども、ま、仕事だからしょうがないよなっていうことだったり、
そういう仕事がない事出来ているという方ももちろんいますね。

岸:
やっぱり今まで原発が全国で動いていて、
原発の全体のヒエラルキー(ドイツ語: Hierarchie、ヒエラルヒー、英語: hierarchy)というか
そういう生態系の中で仕事をされて当然生計を立てていた人も多い筈で、
そういう方もそれなりに集まっている可能性はあるんですね。

布施:そうですね。

岸:
ちなみに原発って私、
昔エネルギーの仕事をやっていたのにそういう現場があまり詳しくないんですけれども、
そういう8次9次まで下請けがありますよね、
そうなるとやっぱり、当然上から委託される訳ですか?

布施:はい。

岸:途中でやっぱりピンハネってかなり大きいんですか?

布施:
えっとですね、それはもう本当に。
間に6社7社8社通す訳ですから、かなりピンハネされていますね。

岸:
そういう一番下の現場の方で、原発のサイトの中で働かれている場合っていうのは、
やっぱりその収入は「危険な割には多くない」というふうになっちゃうんですかね?

布施:
そこが今一番の問題点だと思うんですけれども、
線量は事故前に比べて桁違いに高くなっていますし、
今でもですね、現場の人に話を聞くと、
水素爆発する危険性があるから、今日予定していた作業を中止する」とか
ですね、

岸:え、今でも爆発の可能性があるんですね。

布施:
あるんですよ。
そういう危険ななかで働いているにもかかわらず、
事故前よりも日当が安かったり、

岸:えぇぇっ!!

布施:
あるいはですね、東電は「危険手当」というものを事故後特別出しているという話なんですけれども、
その危険手当を一度も貰った事がないという人も実際にいるんです。

岸:うわっ!
その危険手当は何か…どっかにピンハネされちゃった?かもしれないんですね?

布施:
そうですね、はい。
あともうひとつピンハネの問題と最近一番問題になっているのはですね、
いわゆる国の税金が入っているという事で、
「東電は経営を合理化せよ」ということでコストダウンを東電が図っているんですね。
そのことで、東電が出す金額もどんどん下がっていまして、
そのしわ寄せがどこへ行っているか?と言うと、結局末端の、
実際現場で危険な作業をしている人たちの給料が安くなっていると。

岸:
あぁ、なるほど。
東電の経営合理化、料金を上げる時に議論される場合に、
よくメディアで一番言われるのが人件費であるとかですね、
総括原価方式云々というのがあるんですけれども、
一番大事な切っちゃいけないこういう事故収束の予算とかも切られているんですか?

布施:そうなんですよ。

岸:それありえないですね。

布施:
そう、ありえないですよ。
だから現場で作業している人達は「それはあり得ない」って、

岸:わぁ~

布施:
だからその、実際に現場で作業している人たちの賃金が安くなるという事は、
やっぱり「こんなお金じゃ働けないよ」という人たちも出るわけですよね。

岸:当然そうですよ

布施:
そうすると、「その金額でも働いても良いよ」という人が集まってくると。
つまり技術を持って、ずっと福島第一原発を熟知している職人の人達とかですね、
熟練の技術者というのが離れていく可能性があるんですよ。

岸:
ですよね、特にこれから他の原発の再稼働がもし進んだ場合には、
そっちの方が身入りがいいと思ったら、
実は一番大事な事故収束ほど技術がある人が集まらない可能性もあるわけですか。

布施:
そうですね、
そういう営利企業の論理でこの事故収束の作業が進んでいるというところに
大きな矛盾が出ているという事だと思いますね。


作業員の被ばく量

岸:
なるほど。
一方で最近この作業されている方々が浴びていた放射線量が
「ちゃんと提出されていなかった」という報道がありましたよね。
これはまさに現場を取材されていたお立場からはどう感じられましたか?

布施:
「あ、またか」という感じもしましたけれども、
実際私が取材して人の中にもですね、いまだにその、
原発で働くと放射線管理手帳というものを貰ってですね、
そこに自分がどれだけ被曝したか?っていうのが記入されるんですけれども、

岸:それは毎日記入するわけですか?

布施:
いやいや、毎日線量計を付けていて、それがまとまって記入されるという、
それを未だに受け取っていないとかですね、
もう、原発で働いて1年以上経っているのに会社から送られてこないとか。

岸:手帳を

布施:はい
だから「自分がどれだけ被曝したかが分からない」と。

岸:うわ~~~~~っ

布施:
しかも中央登録センターというところに
今回、東京電力の方がデータを出していなかったという事になるとですね、
どこに行けば自分の被曝下線量が分かるのか?という…

岸:ですよね、

布施:はい

岸:
それでもし将来的に何らか身体に問題が起きた場合にも、
そもそもそういう日雇いに近い雇用契約の形態だと、
じゃあ、「その時の労働が原因だったんだ」とかというのはですね、
証明しにくくなっちゃうかもしれないんですよね?

布施:
そうですね、
一応国の方で長期健康管理という事で、福島第一原発で作業した人についてはですね、
データベースを作ってそこに一元的に入れるという話なんですけれども、
ただ、そういったシステムを周知されていなければですね、
調べようがないということも十分あり得る。

岸:
というか、直感的にはそんな8次9次の一番下の下請けの人まで全部カバーできているとは、
なかなか思えませんよね。
つまりまだ、危険は凄まじい大きさが残っているんですね。

布施:そうですね。

岸:
はぁ~、なるほど。
そういう状況で実際に作業されている方というのは、
やっぱり健康には不安というのは感じていらっしゃいますか?

布施:
もちろん。
私が先日聞いた人もですね、チェルマンカウントという、ちょっと、あの…相当の内部被曝をされていて、
それは自分にとって致命的だと。
「いつ将来癌になったりするのか、非常に不安に思っている」というお話をされていましたけれども、
私が取材して意外だったのは、
多くの方が10年先20年先の健康不安よりもですね、
たとえば年間で浴びていい限度が決まっているんですね。
その数字になっちゃうとですね、もう働けなくなってしまう。
そうするとすぐ、先程日雇いの話しをしましたけれども
仕事が無くなってしまう事になっちゃうんですね。
そういうことで、自分の健康への不安よりも、
先ず仕事が無くなることへの不安というのを多く抱えていらっしゃる方が多いのは非常に印象的でしたね。


岸:
それってまさに、先程の中国の話と同じで、
環境汚染よりはやっぱ、取得とかそういう仕事になっちゃうというのと同じ感じがするけれども、

布施:あぁ、共通しているかもしれません。

岸:
いや、でもなんかそういう話を聞くと非常に悲しくなるのが…
もちろんこの原発の収束作業ってすごく大変だから、当然人手が沢山いりますよね。
でも、本来はそこまで危険性が高いと、
やっぱりそれは現地で頑張っていらっしゃる方は年間の一定量を超える前に、
当然別の仕事をしっかり出来るようにならないと、
本人のためにも良くないし、日本全体のためにも良くないですよね。
やっぱりそういう、なんて言うのかな、
6次とか7次とか9次とか下請けでやられている頑張ってらっしゃる方々っていうのは、
なかなか他の仕事というのは見つかりにくい、見付けにくいものですか?

布施:
ん・・・・、ずっとこう、原子力で仕事してこられた方はやはり、
いきなり何十年もやってこられてまた別の仕事というふうにも行かない場合も多いんじゃないでしょうか。

岸:
そうでしょうね、
国策で原発をやってきて、それで技術を勉強したことで、
ある程度一生大丈夫だろうという前提があったんですね。

布施:ええ、

岸:
そうすると、今後やっぱ日本全体として原発は、
今の安倍政権は再稼働の方針だけど、長期的にはやっぱり減っていかざるを得ませんから、
そうなるとどうしてもあぶれる人がいますよね。

布施:ええ、

岸:そういう人達は今後どうするべきなんですかね?

布施:
あのー、かつてですね、炭鉱、国策で石炭を進めてきた時に、
また国策で炭鉱、石炭を止めるっていう時に、
国会で立法してですね、そういう人たちの仕事、別の雇用というものとかですね、
あるいはその雇用に切り替わるまでの間も住居とかいろんな補償を作ったんですね。
やはり原発についてもそういった補償というかですね、
国の方でやる必要があるんじゃないかなと私は個人的に考えます。


岸:
そうか、あの石炭の時にまさにそういう事をやって、
あの時は北海道とかでもやっていましたけれども、どっちかというと
その地域の中で別の仕事という感じでしたっけ?

布施:そうですね、はい。

岸:ああ、そうなると原発の立地する地域って他にしかしあんまり産業が無いですよね。

布施:
たとえば、自然エネルギーの別の発電所をそこにつくるとかね、
そういう事があるんではないかと思います。

岸:
なるほど、うーーーーん、
やっぱり作業員の方が経って、そんな被ばくの不安もあるのに過酷なのに、
他でも出来ないという、難しい事情を抱えているんですね。

布施:ええ

岸:
そういう方々をいろいろ取材されていて、
なんて言うか、希望に燃えている方というのはいらっしゃいませんでしたよね?

布施:
いや、必ずしもそうではないですね。
やはり、この事故を収束させなければ、ま、大げさというか、大げさではないと思うんですけれども、
「日本の未来はない」というぐらいの気持ちで、
「自分が何とか事故を収束させたい」という思いをもっていてですね、
志を持って働いていらっしゃる方も沢山います。

岸:
そういう話を聞くと嬉しくなるし、頑張って頂きたいと思いますし、
まさにそういう現場がどうねっているのか?と、
もっともっといろんな形で世の中に出して言っていただければと思います。
今日はどうもありがとうございました。

布施:ありがとうございました。


ーーー





東京電力 作業員の被ばく量記録を未提出
NHK 2月28日 15時18分
tokyo11.jpg

東京電力が、
福島第一原子力発電所でおととし3月の事故から1年余りの間に働いた作業員およそ2万人分の被ばく量を、
全国の作業員のデータを管理している財団法人に提出していないことが分かり、
東京電力の管理体制が問われています。

原発で働く作業員の被ばく量は、年間50ミリシーベルトなどと限度が設けられていて、
作業員の放射線管理手帳に記録するとともに、電力会社がその記録を取りまとめたうえで
全国の作業員のデータを一元的に管理する財団法人「放射線影響協会」に毎年、提出しています。
ところが、東京電力は、福島第一原発でおととし3月の事故から去年3月までに働いた作業員
およそ2万1000人分の被ばく量を「放射線影響協会」に提出していないことが分かりました。
電力会社は、毎年5月ごろに前の年度のデータを放射線影響協会に提出することになっていて、
このデータは作業員の手帳とともに被ばく量を確認する際の重要な記録になります。
東京電力は
「事故後は一時、紙で管理していたためにデータを電子化するのに時間がかかった。
提出が遅れて申し訳ありません」と話していて、管理体制が問われています。
東京電力は、来月末までに未提出のデータを取りまとめ、放射線影響協会に提出することにしています。









「使い捨て労働で事故を収束できるのか」弁護士の中西基さん
たねまきJ 3/6(内容書き出し)
2012年
・報道されない原発労働の実態
・作業員の安全管理
・福島で実際に聞いた話
・ピンハネ率93%
・下請けは20次まで・元請けは10万円
・短期間の人夫出し 被ばく~使い捨て労働
・契約に関して把握していない東京電力
・被ばく線量の管理
・晩発障害の因果関係
・中から声が上がらない 偽装請負 足りなくなる労働力
・これでも再稼働へと向かう

「原発作業員が語る福島第一原発のその後」 水野さん、平野さん、上田さん
報道するラジオ10/5(内容書き出し)
2012年



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