【ペイフォワード環境情報教室】「原子力を止めるためにまだ働けるかもしれない」小出裕章先生3/6(文字起こし)

【ペイフォワード環境情報教室】小出裕章先生Vol.020

2013年3月6日


福島第一原発事故から二年、
核のゴミと原発安全審査についてご意見を頂きました。


sawada:
今度の3月11日で福島第一原発事故から2年を迎える事になります。
その間いろいろな動きがある中で、やっぱり原発の問題というところで、
一番言われているのが、「核のゴミ」というところでして、
こちらが無毒化できないという技術の問題というものがありますが、
こちらについてどう処分していくのか、処理していくのか、保管していくのか、
というところが本当に一番の課題なんですけれども、
最近出てきたニュースの方ではフィンランドの方で、中間貯蔵なのか、最終処分なのか、というかたちで、
人々の方向性が出たという話がありますけれども、
全世界、ま、日本が抱える問題もそうなんですけれども、
全世界にですね、原発の核のゴミ、これ、どう扱って行ったらいいか?またお話しいただけますか?


小出:
え・・・・、ま、一言で言ってしまえば、
「誰もどうしていいか分からない」というのが、
昔もそうだったし、現在もその状態が続いているのです。
人間が原子炉を動かしたのは、米国という国がマンハッタン計画という“原爆製造計画”を立てて、
その中で、
「長崎原爆の材料にするためのプルトニウムを生みだしたい」という動機で原子炉を始めて動かしました。
日本のみなさんは原子炉と言うと原子力発電、発電のための道具だと思われるかもしれませんが、
もともと原子炉というのは発電なんかに興味があったわけではなくて、
原爆材料を生み出すための道具だったのです。
どうしても原爆を作りたいという事でそれを動かしてしまいました。
そして動かしてしまえば、核分裂生成物という放射性物質が出来てしまうという事は、
物理学的に当たり前な事な訳で、その当時から、
「なんとかその生み出した放射性物質を消さなければ大変なことになる」という事が分かっていたのです。

すぐにそのための研究も始まりましたけれども、すでに70年経ってしまっています。
「いずれなんとかなるだろう」
「いずれ科学の進歩によって、良い手段が見つかるだろう」と思い続けながら来たのですけれども、
残念ながらいまだに、「生み出した放射性物質を消す」という力を人間は持っていないのです。

もう「そうなれば仕方がない。他に隔離をするしかない」という事で、
その隔離の手段もさまざまに考えられてきました。

「宇宙に捨ててしまおう」という案もありましたけれども、
捨てるためのロケットが失敗して落っこってきた時にはもう取り返しがつかないということで、
技術的にそれは出来ないという事になっています。

その他、
「深い海の底に埋めてしまえばいいのではないか」とか、
「南極にもって行って捨ててくればいいのではないか」とか、さまざまな案がありましたけれども、
どれも、「これなら大丈夫」と確信を持てるような案ではありませんでした。

そのため今現在としては、
「仕方がないのでどこか地底に埋めよう」という事になっている訳ですし、
日本でも「地底に埋める」という案が、唯一の案として法律で既に決まってしまっているという、
そういう状態になっています。

しかし日本というのは世界一の地震国で、「安定な地下」なんていう場所はありませんので、
「どこに埋めても大変なことになりそうだ」という事で、私もずっとそう主張してきましたし、
昨年の9月11日には、日本学術会議という学者の国会とも言うべき団体が、
「地下に埋め捨てにする事はやはり正しくない」という提言を出したりしているのです。

どこの国もやはり「どうしていいのかが分からない」という状態のままここまで来ているわけで、
最近になってフィンランド、あるいはスウェーデンという国々が
「何とか、やはり地底に埋めるしかない」という事で、
どこに埋めるか?という場所の選定作業などを続けてきて、
フィンランドはようやくその埋め捨てにする場所を確定したというのが最近の動きなのです。

しかし本当にそれを、
これからですね、埋めようとするわけでしょうけれども、
本当に出来るかどうか?という事を考えると、
私自身は「まだまだ難しいだろうな」というように思っています。



sawada:
そうですか。
自民党政権に代わりまして、基本的に原発の再稼働を進める形で動いてきているという話があるなかで、
再稼働の要件として、「安全であれば」と安全審査が行われると思いますが、
これもまた、日本の原発という立地自体がですね、もともと建ってた、
ま、玄海を除いてという形になりますけど、
活断層の上、もしくはすぐ近くに立地しているというのが歴然たる事実だと思うんですけれども、
それをもってもまだ「安全だ」と言い切る可能性が今後も出てくると思いますが、
これについては先生、どのような見解をお持ちでしょうか?


小出:
皆さんもう、ご承知だと思いますし、先程聞いていただいたように、
日本という国は世界一の地震国なんですね。
「この地球という星は、プレートというものが動いている」というのが最近の定説なんですけれども、
そのプレートがちょうどぶつかり合うという場所に、日本というこの国がありまして、
安定している場所というのは、残念ながらこの日本という国には「ない」のです。
そんな国に原子力発電所を50基を超えてつくってしまったという、
その事自身が大変異常な、世界からみれば大変異常な事なのですし、
いまだにそれを反省しないで、まだまだ原子力をやるというような事を考えている人がいるんですね、
日本には。
私から見ると本当にあきれた話だと思います。



sawada:
そうですね、
またいろんな各種委員会、政府のしてます懇談会、委員会からですね、
脱原発派と呼ばれる方々が、メンバーから外されてくるという流れがある中で、
311以降、市民の活動も増えておりますし、いろんな方が活動をはじめられています。
ですが、2年今度経過するにあたりですね、
「なかなか結果が出ない」
みなさんやっていく中でその憤りがあるかと思いますが、
長年反原発として活動されてきた小出先生から見て、
随分311以降、変化はあるかと思うんですけれども、どう見られていますか?



小出:
はい…ま、私自身はかれこれ40年原子力を止めさせたいと思って活動してきましたけれども、
私の力などは、国家の力、あるいは巨大産業の集まった力、
マスコミもみんなグルになった力の前からすれば、「全く無力」と言ってもいいほどのもので、
原子力を止める事が出来ないまま、福島の事故が起きてしまいました。
「自分の人生はいったい何だったのかな」と思わないではありませんし、
今現在苦難のどん底に突き落とされている方々が、「沢山いる」という事を思うと、
本当に「無念」の一言です。

で、事故が起こってしまってから、それなりに多くの人達が原子力の問題に気がついて、
私の話なども聞いて下さるようになったのですけれども、
私から見ると、私の事なんかもう聞いてくれなくても良いので、
とにかく「事故がなければ良かったな」と思い続けてきました。

私を読んで下さる集会に行って、沢山の人々がその会場に来て下さっていたわけですけれども、
私は全く嬉しいとは思わないで今日まできました。

え…しかし、つい最近ちょっと、私の中で思う事が変わってきた事があります。

というのは、事故から2年経って、
国の方はもう「福島の事故は忘れさせようとする」そういう戦術に出てきているわけで、
マスコミも含めて福島の事を報道しない。
いまだに沢山の人が苦難のどん底にいるという事についても報道しない。
「全て忘れ去らせてしまおう」という戦術で来ている訳ですが、

でも、「忘れない」「決して忘れない」という人たちが、
日本中にあちこちにやはり、残って下さっていて、
私の話しを聞きに来て下さったりするわけですから、最近は「ありがたいなぁ」と。

こういう人たちがまだいてくれるのであれば、私もその人たちと一緒になって、
「原子力を止めるためにまだ働けるかもしれない」と思うようになっています。


sawada:
そうですか、ありがとうございます。
たね蒔きジャーナルもそうでしたし、愛川欽也さんの番組もという中で、
なかなかですね、スポーンサーがある番組ですと
なかなか継続するのが難しいというようなところで長い闘いになってきていますけれども、
こちらのペイフォワード環境情報教室ではですね、スポーンサーも全くありませんし、
先生のボランティアでやっていただいていますので、
これからもずーーっと継続してですね、長い戦いを勝ち抜いていきたいと、
一緒に勝ち抜いていきたいと思っていますので、


小出:ありがとうございます。

sawada:
今後とも是非、小出先生には私たちの心の支えとしてご登場いただきたいと思っていますので、
是非ともよろしくお願いいたします。

小出:はい、こちらこそよろしくお願いします。




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