<前半>無視される内部被曝「黒い雨に遭った人と遭わなかった人」沢田昭二氏 3/11(内容書き出し)


http://iwj.co.jp/wj/open/archives/66238より沢田先生の部分


2013年3月11日 「市民と科学者による内部被曝問題研究会」
岩上安身さんのインタビュー
沢田昭二氏 名古屋大学名誉教授 内部被曝問題研究会理事長
無題30111111

東日本大震災2周年という事ですが、
すごい巨大な地震と巨大な津波で沢山の方がお亡くなりになって、
それゾれの方の御霊にお悔やみ申し上げますとともに、
遺族の方もすごく辛い生活を送られていると思います。
それから、それにからんで、東京電力福島第一原発が、大事故を起こしました。
今なお放射能汚染で、苦しまれている方が沢山いらっしゃいます。
身体は蝕まれてくるし、仕事を追われている、そして故郷を追われている、
今なお苦しんでいらっしゃる方々に本当にお見舞いを申し上げたいと思います。


今日の内部被曝研の役割と問題提起



沢田:
先程みなさんがおっしゃったように
福島第一原発の事故が最近どのように壊れているかという事の全体像はまだ解明されていない。
そして、依然として放射能による汚染が依然としてずっと続いているという状況の中で、
日本政府が福島の人達とか、あるいはもっと広い範囲の人達にやっているいろんな施策というのは、
すごく、人間の命を大事にするという視線が欠けているんですね。
その中でも例えば、今度の安倍内閣になってからも、
原子力規制委員会がいろんな施策を出そうとしています。
一つは原発の安全性に関する施策。
もうひとつは住民の避難の問題の施策。
そのお話は後から出ると思いますけど、
その両方もすごく人命軽視という事だけではなくて、
原発を推進するというそういう政策の立場からやっているというふうに思いますね。
で、そういう事になる一番の根源は、
日本だけじゃなくて国際的にも核兵器の政策。
あるいは原発を推進する政策。
それに従属した形で放射線の影響の問題を研究するという体制があるんですよね。
で、それを正していくという事は
福島原発事故で苦しんでいる人たちを救援する上でもすごく大事な、
被曝の影響を何とか避けなければいけないという事をやっていくためにも、
その問題を明確にしなければならない訳ですね。

で、内部被曝問題研究会というのは、そのものを科学的に明らかにすると同時に、
市民の皆さんと一緒になってその問題を政治にも生かしていくという事が
私たちの務めだとも思っているんですよね。
被曝からもう2年経っているんですけれども、
この間一生けん命いろんな努力もしてきましたが、
先程言った国際的な放射線の防護の体制が一番おかしいという一番の根源がですね、
実は広島・長崎の被爆者。
この被ばく者のいろんな放射線の影響を研究してきたのが、
もともとアメリカがABCCというのを1947年につくったんですけど、
1975年からは、日米共同運営になりました。
そして放射線影響研究所、約して放影研と言っているんですけど、

そこの研究がですね、原発が爆発した瞬間に、ピカッって光った瞬間に被爆者のところに到達した、
これは初期放射線というんですね、一応1分以内と言われているんですけど、
すごく透過力の強いガンマ線や中性子線。
この影響だけ考えていて、そして実は原子力雲でずっと上がって行って、
原子力雲から雨が降ってくる訳ですね。
いわゆる黒い雨と言われていますけれど、
それと、雨が途中で蒸発して、元の放射性微粒子に代わっている訳ですけど、
その影響を軽視する事をやってきている訳ですね。
ですからそういうのはまともな研究をしてきてない訳です。


そういう影響は主に内部被曝。
そういう放射性物質を身体の中に取り込んで、体の中から放射線を出して、
そして被ばくするのを内部被曝というんですけど、
そういう問題を軽視してきているんですね。

私たちの研究会というのは、
その科学的にまだ明らかにされていない、
そういう内部被曝の影響を明らかにするという事をこれまでも努力してきましたし、
まだまだ未解明のものが多いんですけれども、それをちゃんと明らかにするという事は
すごく、人類全体にとっても大事だし、
今度の福島原発事故の大部分の影響というのは、
そういう原爆被爆者の放射性降下物による被ばく影響と共通性があるわけです。
ところがその研究を先ほどの放影研っていうのは無視してきた。
という事でその問題をちゃんと明らかにする事が大事だと思っているんですよね。

それで今日はその問題を明らかにしたいと思うんですけれども、
実は昨年の12月8日に放影研が黒い雨の影響を、見解を発表しました。
それは放射線医療研究の中で、寿命調査集団という事で、被爆者を、
主に旧広島市内と、旧長崎市内に住んでいた被爆者を対象にしてそして研究をやっているんですね。

その人たちの中で、
黒い雨に遭った人、Yesの人と、
黒い雨に遭わなかった、Noの人と、これを比較する研究
をしました。

そして両方を比較してですね、固形癌という、一般的な癌ですけれど、
その癌による死亡率、それを比較しました。
そうするとですね、Yesの人もNoの人も違わない。という事が分かった。
「だから、黒い雨の影響はなかった」というふうに発表した
わけですね。

ところが私たちの研究によると、
黒い雨というのは原子雲から大粒の雨がずっと下まで落ちてきているわけですね。
で、遭わなかったという人達は、雨が途中で蒸発して放射性微粒子になるわけです。
その放射性微粒子を身体の中に取り込んで、そして被ばくをしている
訳ですね。
その放射性微粒子を身体の中に取り込む被曝の影響はすごく深刻だと思うんですけど、
そういう影響が「無い」として、そして両方を比較して「影響が無い」という事をやっているんですね。


岩上:つまりこれね、内部被曝の要素を差し引いて比較していたということ。

沢田:
全くそうですね。
で、その事をちょっと図を使いながら説明したいと思うんですけど、

放影研の「黒い雨」に遭ったYesとNoの固形がんと白血病の死亡率に差が無い。
という事で放射性降下物による被ばく影響は無視できる。と言っている訳ですね。
しかしこれは広がった原子雲の下の「黒い雨」に遭わなかったNoの被爆者が、
放射性微粒子による呼吸と飲食による内部被曝という事をやっているわけで、
これを無視しているという事が問題なんですね。
だからYesの人とNoの人は同じ被ばくをしている。っていうこと
なんですね。

岩上:なるほど。

沢田:で、これからお話するのがですね、初期放射線というのは主に外部被ばく、

岩上:
形式的に「どこにいたか?」というだけの話であって、
実際にはその時、何日間にわたって、ずっとこうして内部被ばくをしているという事で、
場所がどこであったか?というのは、その内部被ばくの有無をちゃんと観察しないと、
実は同じ事になってしまうという事ですね。

沢田:そういう事です。

岩上:初期放射線の影響だけを

沢田:考えてはいけないという事ですね。
私が研究したことからも、最近広島大学の放射線医学研究所も調べてるんですけど、
爆心地から1.2km、1200mの範囲が初期放射線による外部被ばくの影響なんですよね。
で、1.2kmを超えますと、放射性降下物による内部被曝の方が大きいという事が分かってきました。
これを無視している訳です。

岩上:
これは重要ですね、
放射性降下物の方が実は大きいと。
しかも、爆心地から1.2kmって言ったら、そんな広い範囲ではない。

沢田:すごい近いところですよね。

岩上:で、降下物はもっともっと広い範囲に、

沢田:もう10数キロぐらい

岩上:しかも、かつ長期にわたって影響を及ぼし続ける

無題30111116

沢田:
で、これは原爆が爆発したところですけれど、広島は地上600mです。
長崎は地上500mですね。
ここで火の球が出来るんですけれど、その火の球の真ん中に大量に放射性物質が残っている訳ですね。
で、この火の球が急速に上空にのぼっていきます。
そうすると、上空に上がっていくと急冷気がきます。
そうすると冷却していって、その冷却したものに周りの大気から水分が付着する訳ですね。
そして水滴が出来るわけです。
それで原子雲が出来るわけです。
だから原子雲の水滴の真ん中には放射性微粒子があるわけですね。

で、これが広島の原子雲ですけれど、

無題30111117

真ん中の部分はすごく上昇していて、地上から1万6000mの高さまで上がって行っています。
それから周辺の部分はですね、地上から、対流圏というところと成層圏の境目なんですね、
その境目のところに沿って四方に広がって行くんですね。

岩上:
きのこ雲というのは、その境目のところで上昇していたものが横に広がって行くと。
まさにキノコの傘のような形になるんですね。
対流圏と成層圏の境目で。

沢田:
圏界面と呼んでいるんですけど、
で、この真ん中のところは雨粒が大きいので雨になって落ちてくる訳です。
だから、これが「黒い雨」です。
ところが周辺部のところは雨粒が小さいので、落ちてくる途中で蒸発する訳です。
だから見えなくなっている訳ですね。
だけどこの見えなくなっているところには雨の水分が蒸発した放射性微粒子が充満している訳です。

この事は後で説明しますけれど、


無題30111118

広島の場合は風が吹いていて雨が降った地域はずーっと北西方向なんですね。
ところが広島は爆心地から2km以内が全焼全壊地域になっていますから、
ここ(赤い部分)ですごい火災が起こって、火事嵐が起こるわけです。
そうするとすごい、今度は火災の雨が降ってくる訳ですね。
で、最初の放射性の雨が降ったところに火災の雨が降ってきて、
最初の雨を全部流してしまう。
っていう事でその後測られた時にはこの辺では、あんまり放射性降下物が分からない訳です。

国側はですね、火災の雨が降って流されなかった、この西側(緑左下の部分)の方が最高だと、
己斐・高須地域っていうんですけど、
爆心地から3kmぐらいのところですね。
「ここが最高であって、他の放射性物質は無視できる」ということを未だに言い続けているんですよね。

で、これは黒い雨がどのように降ったか?

無題30111119

ここが爆心地ですよね。
爆心地から1km間隔で丸が書いてあるんですけど、だいたい2kmっていったらここですよね。
雨が降った方向が北西方向ですね。
これは宇田雨域と増田雨域というのがあって、
こっち(増田雨域)のほうが信頼性が高いなって言われているんですけれど、
雨が降ったのがですね、南東方向には雨が降ってない訳です。
それから東の方向も雨がそんなに強く降ってない訳ですね。
強く降ったのは北西方向です。
先程の放影研での黒い雨の影響が大きかったというのはこの辺(増田雨域チェック柄のあたり)な訳ですね。
それと黒い雨Noの人達はこっち側(東側)の人達、それを比べている訳ですね。

で、これは長崎です。

無題30111120

長崎は真ん中の原子雲がずーっと上がった、成層圏に上がったところはすごくはっきり分かれていますね。
横に広がった雲はすごく細くなっています。
この下(薄い雲の下)が放射性微粒子になっていて、
この下(きのこの傘の下黒点のところ)が放射性の雨が降ってきたという事ですよね

無題30111121

長崎は爆心地が下の方にずれていましたので、
雨の降った地域の後に降る火災の雨がそんなに強くなかったんですね。
だからこれは流されなかった。

岩上:
これ、先生のお話しの非常に重要なところは、
雨が降ったところ、
雨が降るという事は空中にあるものが落ちてくるだろうとみんな判断するんですけれども、
放射性降下物、放射性の微粒子が広がって行ったところ、
そして降り注いだところと雨が降ったところが必ずしもイコールで無いという事なんですね。
雨だけに気取られていてはいけないという、

沢田:
で、長崎の場合は先程の原子雲の形からもはっきりわかるんですけれど、
この西山地域に放射線の雨が強く降ったわけです。
で、当時の長崎市内というのはここしかなかったので、
Yesの人はここ(西山地区)に住んでいる人だけなんですね。
だから、ここに住んでいる人が700人余りがYesと答えたんですね。
そしてその他の方向はですね、原子雲が広がりましたけれど、
雨ではなくて放射線の微粒子が降っている訳です。

岩上:
雨という形ではなくて実は降り注いでいる。
でも、当の本人たちは気付かなかったりすると。

沢田:
で、有名な被ばく者の渡辺千恵子さんという方がいらっしゃるんですけど、
彼女はこの爆心地から南約3kmぐらいのところで被ばくをしているんですけど、
でも彼女は髪の毛が抜けるとか、いろんな放射線の症状があらわれているんですね。
雨は降っていない
訳です。
初期放射線も2kmぐらいでほとんどゼロになりますから到達してない。
そうすると彼女の影響は放射性微粒子を取り込んだ内部被曝の影響だってはっきりしているんですね。
でもそういうのをなかなか政府は認めようとしないというわけです。

これは長崎の雨が降った地域です。

無題30111122

ここは西山地区でものすごく降ってきている訳ですね。
で、原子雲がずーっと移動して東の方に雨が降った地域があって、
その他はパラパラしか降っていないんですね。

岩上:
はい、これは本当に重要なことで、今回の311の直後ですね、
福島だけが放射性物質が降り注いだ訳ではありませんから、
首都圏、東京の人達は、ま、我々もですよ、
我々もとにかく、雨がパラパラ降ってくるという事があの何日間の間にありました。
その時に「雨にだけ打たれない」「雨にだけは」という事を、
ぼくら、たとえば同じこの会社の仲間もですね、そんな事を言ってたんですね。
しかし、雨だけに気を付けてたって、目に見えない晴れている日でもプルームは落ちてきていて、
それを浴びている。
また、取り込んでいる。
食べてしまっている。
吸いこんでしまっている。
こういうことが実は起きていたんですね。
雨だけではなかったんだ」という事を我々は改めて考えたり気を付けないといけないんですね。



ーーつづくーー


<後半>
誤魔化そうとするルーツがここにある「爆心地から離れると下痢の発症率が上がる」
沢田昭二氏 3/11(内容書き出し)



「1年少しの福島で当時のチェルノブイリと同じか
それを上回るような頻度で甲状腺がんが見つかったというのは、
これは誰でも心配するという事になります」
松崎道幸氏3/11岩上安身氏インタビュー(内容書き出し)


日本の飲食物や生態環境の「放射能」規制基準が如何に出鱈目か
<原発内の規制基準との対比>生井兵治氏3/11内部被曝問題研究会会見(内容書き出し)




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