「エネ計画策定の委員比率・原発は必要か」小出裕章ジャーナル3/16ラジオフォーラム(内容書き出し)

ラジオフォーラム
■放送開始 2013年3月16日(土)~
■Web公開日 2013年3月22日(金)
■ゲスト 森達也さん(作家・映画監督)
■パーソナリティ 石井彰(放送作家)

小出裕章ジャーナル



石井:
今日小出さんにお聞きしたいのは、経済産業省から3月1日、
「エネルギー基本計画を検討する有識者会議」の新たな委員が発表されましたが、
いわゆる「原発をもう止めようじゃないか」というメンバーは二人しか入っていずにですね、
これは明らかに安倍自民党、公明党連立政権は、
「原発をもう一度動かそうじゃないか」
というような気配が感じられるという見方もあるんですがいかがでしょうか?


小出:気配どころか、「絶対にそうする」と彼らが宣言したんですね。

石井:
「エネルギー基本計画」というのの前にですね、
以前小出さんにお話を伺った時に、「日本は原発推進の法律があるんだよ」と。
「この法律を先ず何とかしなければいけない」というお話もありましたよね。

小出:私はそう思います。

石井:いつ頃決められたのか?という事をちょっと簡単に、

小出:確か、1955年?54年か55年だと思いますが、

石井:1950年代に、はい。

小出:
「原子力基本法」という法律を作りました。
それは「平和目的に限る」という事が書いてはあるのですけれども、
でも少なくても「原子力をこれからどんどん進める」という事が書かれていて、
原子力基本法のもとで、日本の原子力開発というものが行われてきました。

石井:
そうすると、実際に原子力発電を無くそうというふうに考える人達は、
まず、「この法律を何とかしなければいけない」という事になりますよね?

小出:
そうです。
その法律のもとで様々な組織が作られてきまして、
たとえば「原子力委員会」という委員会も一番初めにつくられました。
その原子力委員会のいまの委員長は、近藤駿介さんという東大の教授です。
その近藤さんがある時に、原子力に反対をする人たちと話をしている時に、
「私は原子力委員会の委員長だし、原子力基本法のもとに仕事をしている人間だ」と。
「そういう人間として原子力発電に反対をするという事は、
法律に反する行為をする事になるので、原子力発電に反対は出来ない」という発言をされました。
まさにその通りであって、
「原子力基本法」という法律がある限りは、
原子力を推進するために仕事をしなければいけなくなってしまっています。


原子力委員会自身が、「原子力開発利用長期計画」というものを作って、
エネルギー計画全体の中で原子力の役割のような事をこれまで決めてきたのです。
その時にはやはり「原子力をどんどんやる」という前提で作ってきたわけで、
エネルギー計画全体のものも、
やはりエネルギーをどんどん使うという方向で作ることになるだろうと思います。


石井:
実際に今回のメンバーをご覧になって、
小出さん自身はどういうふうにお考えになりましたか?

小出:
自民党色がますます強まってきたわけですし、
民主党で少しは抑制的なメンバーがいた訳ですけれども、
今後はもう、本当に原子力をどんどんどんどん推進していってしまうという、
その路線がひかれてしまったという事だと思います。


石井:
実際に「原発をもう卒業しようよ」と、
「原発を止めようよ」という方は二人しか残っていないというふうにも報道されていますが、
なかなか二人で13人残りの人を相手にいろいろと議論するというのは大変ですよね。

小出:
ま、もちろん議論は出来ると思います。
お二人の方はしっかりした方ですから、議論はして下さるだろうと思いますけど、
最後は数で決まってしまう訳ですし、
要するに経産省の方が、もうこの委員会をどうするかという方向性を決めちゃっているわけですから、
どんなに頑張って抵抗したところで、結論は決まってしまっています。

石井:あの、森さんからなにか…。

森:
30年ぐらい前ですよね、忌野清志郎さんが反原発ソングを作ってね、
発売禁止、放送禁止みたいな措置を受けたんですけれど、

小出:そうでしたね。

森:
そこの歌詞の中で、
「いらねぇ、いらねぇ、電力なんて余ってるってよ」そういうフレーズがあるんです。
で、この時代って、多分日本中の原発がまだ20何基、30基無かったんじゃないかと、


小出:そうですね、28基だったかな、30基だったかな?そのぐらいだったと思います。

森:
で、いま54基あるわけですよね。
で、いまほとんど稼働していません。
でも、じゃあ、電力足りてないか?って…、
今年の冬は記録的な寒さだったし、去年の夏は記録的な暑さだったけど、
何ら問題ないですよね。

小出:もちろんです。

森:
だから、「安全か?安全じゃないか?」を論じる前に、
本当に「必要なのか?必要じゃないのか?」
ぼくはもうこれは必要ないと思うんですよね。
この電力状況を考えたらね。

小出:
電力の供給が足りるとか足りないとかいう事であれば、原子力は全くいりません。
それは政府の統計データを見ても歴然としています。

森:
そこからやっぱりもう少し考えるべきで、
「安全か?安全じゃないか?」という論議はその後に、
「本当に必要なんだ」というコンセンサスが出来ればね、その論議にいってもいいと思うんですけど、
それ以前に「電気必要ないじゃん」っていうね、
そういった発想がもっと強く前に出てきてもいいんじゃないかなって気もするんですけどね、

小出:
はい、もちろん私はそう願いますけれども、
今日本の国家の方は「原子力を止めると停電してしまうぞ」という脅しをかけてきている訳ですね。
それで多くの人達は、「電気が使えなくなれば困るから」ということで、
その宣伝に屈服してしまっているという状況にあるわけですから、

森:そうですね、もうほとんど稼働していないのになにが停電なのか、ねぇ。

小出:そうですw、はい。

森:暖房冷房これだけ使っているけど何ら問題ありませんもんね。

小出:そうです。
夏だって、関西電力の大飯発電所の再稼働という事を結局はやりましたけれども、
大飯の原子力発電所なんか全く動かなくても電力供給に支障はなかったという事は、
もうデータが裏付けている訳ですから、
電力供給自体でいうなら、原子力は全く必要ありません。

石井:
あのー、僕らがすりこまれちゃっ他のは、もちろんメディアの責任もあると思うんですが、
小出さん自身はどういうふうに見ていらっしゃいますか?

小出:
それは、国家が原子力をやると決めた訳ですし、
その周りに電力会社をはじめとする巨大な企業がもうすでに群がってきているんですね。
そしてマスコミも全体がその体制に取り込まれてしまっていて、
「原子力は良いものだ」
「原子力を止めればエネルギーが足りなくなるぞ」という宣伝をずーっと流し続けてきた訳ですから、
多くの国民が騙されたとしても、私はあながち無理のない事だなと思います。

石井:ただし、騙された私たちにも責任がある。

小出:はい、当然そうだと思います。

石井:
いつも難しい事に本当に丁寧に小出さんは答えてくれて、
難しい質問ばっかりで申しわけないんですが、
また来週もよろしくお願いいたします。



続きを読むに「エネルギー基本計画を検討する有識者会議」に関する東京新聞記事







エネ計画策定の委員入れ替え 「脱原発」鮮明2人だけ

東京新聞 2013年3月2日 朝刊

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経済産業省は一日、エネルギー基本計画を検討する有識者会議の新たな委員15人を発表した。
民主党政権時代の会議(当初25人)で、「脱原発」が明確になっているメンバーは約三分の一だった。
この中から5人が外れ、2人しか残らなかった。
一方で、原子力研究者や原発立地自治体の首長ら原発政策に前向きな関係者が選ばれた。
安倍政権の「原発回帰」の姿勢がはっきりと表れた。

中長期的なエネルギー政策の指針となる基本計画の検討は、
経産相の諮問機関「総合資源エネルギー調査会」の総合部会で行う。
初会合は15日夜に開き、年内をめどに計画案をとりまとめる。
部会長は民主党政権の「2030年代に原発ゼロ目標」に批判的だった
三村明夫氏(新日鉄住金相談役)が就く。


今回から15人になった総合部会の委員の中で、
前政権時の会議で脱原発を鮮明にしたのは植田和弘氏辰巳菊子氏のみ。

新たに京大原子炉実験所の山名元(はじむ)教授のほか、
福井県の西川一誠知事志賀俊之・日産自動車最高執行責任者らが選ばれ、
大半が原発容認の姿勢を示している。


東京電力福島第一原発事故を受け、民主党政権時代にエネルギー政策を議論した「基本問題委員会」では、
飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長や大島堅一・立命館大教授らが脱原発派だった。

安倍晋三首相は、民主党政権の脱原発路線を「ゼロベースで見直す」と明言。
原発再稼働を進める考えを示しており、
総合部会では原発を重要電源と位置付ける方向で議論が進むとみられる。
民主党時代に国民的議論の場としていた討論会などは開かれない見通しだ。

脱原発を主張し、委員から外れた原子力資料情報室の伴英幸共同代表は
「原発推進という方向性が決まっている中で、
実現の見込みのない核燃料サイクルや使用済み核燃料の最終処分の問題が真剣に議論されない懸念がある」
と指摘している。

<エネルギー基本計画> 
電力やガスなど中長期的なエネルギーの需給状況を分析して政策の方向性を示す計画。
エネルギー政策基本法に基づき2003年10月に策定し、3年をめどに見直している。
原発の発電比率5割を目指す現行の計画は民主党政権時代の10年6月に策定したが、
福島第一原発事故を受けて見直しが迫られている。
地方自治体や事業者は計画に協力する責務がある。



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