ラジオフォーラム
■放送開始 2013年3月23日(土)~
■Web公開日 2013年3月29日(金)
■ゲスト 阪口徳雄さん(弁護士、政治資金オンブズマン共同代表)
■パーソナリティ 石丸次郎(ジャーナリスト)
小出裕章ジャーナル
2年前のあの日
石丸:
東日本大震災、そして東電の福島原発の事故から丸二年が経ちました。
あの地震の時は小出さんはどちらにいらっしゃいましたか?
小出:私の職場の放射線の管理区域の中で仕事をしておりました。
石丸:熊取町は大阪府の南の方にありますけれども、そこでも揺れは感じられましたか?
小出:全く感じませんでした。
石丸:
あぁ、そうですか。
私は大阪市内で仕事をしてたんですけど、結構揺れたんですね。
小出:そうですか、
石丸:
で、その後ニュースで大きな地震だと。
それから津波が押し寄せたって事は、すぐにお知りになりましたか?
小出:
えっと、今聞いていただいたように管理区域の中で結構重要な仕事をその日していまして、
朝からずっと管理区域の中に閉じこもっていました。
それで夕方になって職場の同僚たちの会議があったので、
管理区域から出てきて会議室に行きました。
その会議室にテレビがありまして、そのテレビでみんな釘づけになってニュースを見ていました。
それで私も初めて地震と津波があったという事を聞きまして、
え…、随分驚きました。
石丸:
あの津波、太平洋沿岸に、広い範囲に押し寄せた訳ですけれども、
福島はじめ、いくつも原発のある地域に津波が押し寄せましたね。
小出:そうです。
石丸:
あの津波を見て、そして地震の規模を知られてですね、
当然原発の事をご心配されたと思うんですけど、
どういう事をお感じになりましたか?
小出:
ちょうど私がテレビのニュースを見た時に、仙台空港に津波が押し寄せている映像だったのです。
仙台というのは、私が学生時代に過ごした町ですし、
少し離れた所に女川の原子力発電所というものが建てられてしまって、
私は女川の町でも原子直発電所に反対して活動していたことがありましたので、
大変不安に思いました。
その時に。
女川の原子力発電所を含め、東北地方の太平洋岸に原子力発電所が連立しているわけですから、
これは容易ならない事にすでになっているという事に気が付きました。
それからは自分で情報を集めるように勤めましたし、
マスコミからもヤイヤといろんな問い合わせがきて、
まさに戦争のような状態に陥ってしまいました。
1ミリシーベルト
石丸:
じゃ、そこから、
まさに今おっしゃった戦争のような状態が今日まで続いている訳ですけれども、
今日、先ずリスナーの方から質問が寄せられていますので、お答えいただければと思います。
福島の除染目標である1ミリシーベルト問題について。
国は除染事業で、年間追加被ばく線量を1ミリシーベルト以下にすると長期目標にしています。
この数値は安全なのか危険なのか?
福島県の佐藤知事は「新たな安全基準」を示すよう国に求めていますが、
小出さんはどうお考えですか?というご質問です。
小出:
はい。
年間1ミリシーベルトというのは
現在ある日本の法律で「一般の人々にそれ以上の被曝を与えてはいけない」と決められている数字です。
ただ、それが「安全なのか?」と問われてしまえば、「安全ではありません」。
放射線に被曝をするという事は、
「どんなに微量でも危険が伴う」という事が現在の学問の定説になっていまして、
「仮に1年間に1ミリシーベルトという被ばくであっても危険は伴う」というものです。
ただし、このような時代、このような国に住んでいる人間として、
「1年間に1ミリシーベルト程度の危険であれば我慢をすべきだ」として決められた数字です。
私は多分、1年間に1ミリシーベルトという被ばくをしてしまうと、
2500人に一人の方が癌で死ぬ運命を負わされると思っています。
国の方は「いやいや1万人に1人だ、2万人に1人だ」というような事を言っていますけれども、
いずれにしても危険は必ず伴ってしまうというものですし、
危険があるからこそ法律で人々の被曝の限度というものを決めてきたわけです。
私自身は「原子力というものは全く価値が無いし、害悪ばかり」だと思いますので、
「原子力から受ける被ばくというのは一切ゼロにすべきだ」と思ってきました。
ただし、残念ながら私にそんな権限がある訳じゃありませんし、
日本というこの国の法律で1年間に1ミリシーベルトというものを
国家の方から決めて、それを人々に対して規制してきたわけですね。
それなら「その規制値というものを守るのが国家の最低限の義務」だと思いますので、
日本に住む人は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝を、どなたもしてはいけないと思いますし、
国がしないようにきちっと対策を取るべきだと思います。
シーベルト・ベクレル
石丸:
はい、わかりました。
それでこのシーベルト、そしてベクレルという単位がですね、
この2年間メディアで非常に沢山使われてきましたけれども、
これもなかなか理解しにくいという声も大きい訳ですけれども、
シーベルト、ベクレルの違い。
それからシーベルトとは何か?というのをちょっと簡単にご説明いただけないでしょうか。
小出:
はい、
ベクレルというのはですねたとえば電球の明るさだと思って下さい。
10ワットの電球もあるだろうし、100ワットの電球もあるだろうし、
もっと多分、野球場の照明なんかはもっと大きい照明もあると思いますが、
そのもともとの強さです。電球なら電球の。
でも、たとえば同じ電球、100ワットという電球があっても、
ごく近くで見れば明るいでしょうけれども、
家の外に出てしまって見ればどんどん暗く、ま、見えなくなるわけですし、
遠くどんどん離れれば、ますます見えなくなっていく訳ですね。
その見えやすいというか、人のいる場所で感じる明るさというものがシーベルトに相当します。
ですから、放射能の単位がベクレルですけれども、
その放射能から遠ざかってしまえば、被曝をする量、
つまり明るさを感じる量というのは減っていってくれるという、それがシーベルトです。
石丸:
わかりました。
それでは来週もまたよろしくお願いします。
■放送開始 2013年3月23日(土)~
■Web公開日 2013年3月29日(金)
■ゲスト 阪口徳雄さん(弁護士、政治資金オンブズマン共同代表)
■パーソナリティ 石丸次郎(ジャーナリスト)
小出裕章ジャーナル
2年前のあの日
石丸:
東日本大震災、そして東電の福島原発の事故から丸二年が経ちました。
あの地震の時は小出さんはどちらにいらっしゃいましたか?
小出:私の職場の放射線の管理区域の中で仕事をしておりました。
石丸:熊取町は大阪府の南の方にありますけれども、そこでも揺れは感じられましたか?
小出:全く感じませんでした。
石丸:
あぁ、そうですか。
私は大阪市内で仕事をしてたんですけど、結構揺れたんですね。
小出:そうですか、
石丸:
で、その後ニュースで大きな地震だと。
それから津波が押し寄せたって事は、すぐにお知りになりましたか?
小出:
えっと、今聞いていただいたように管理区域の中で結構重要な仕事をその日していまして、
朝からずっと管理区域の中に閉じこもっていました。
それで夕方になって職場の同僚たちの会議があったので、
管理区域から出てきて会議室に行きました。
その会議室にテレビがありまして、そのテレビでみんな釘づけになってニュースを見ていました。
それで私も初めて地震と津波があったという事を聞きまして、
え…、随分驚きました。
石丸:
あの津波、太平洋沿岸に、広い範囲に押し寄せた訳ですけれども、
福島はじめ、いくつも原発のある地域に津波が押し寄せましたね。
小出:そうです。
石丸:
あの津波を見て、そして地震の規模を知られてですね、
当然原発の事をご心配されたと思うんですけど、
どういう事をお感じになりましたか?
小出:
ちょうど私がテレビのニュースを見た時に、仙台空港に津波が押し寄せている映像だったのです。
仙台というのは、私が学生時代に過ごした町ですし、
少し離れた所に女川の原子力発電所というものが建てられてしまって、
私は女川の町でも原子直発電所に反対して活動していたことがありましたので、
大変不安に思いました。
その時に。
女川の原子力発電所を含め、東北地方の太平洋岸に原子力発電所が連立しているわけですから、
これは容易ならない事にすでになっているという事に気が付きました。
それからは自分で情報を集めるように勤めましたし、
マスコミからもヤイヤといろんな問い合わせがきて、
まさに戦争のような状態に陥ってしまいました。
1ミリシーベルト
石丸:
じゃ、そこから、
まさに今おっしゃった戦争のような状態が今日まで続いている訳ですけれども、
今日、先ずリスナーの方から質問が寄せられていますので、お答えいただければと思います。
福島の除染目標である1ミリシーベルト問題について。
国は除染事業で、年間追加被ばく線量を1ミリシーベルト以下にすると長期目標にしています。
この数値は安全なのか危険なのか?
福島県の佐藤知事は「新たな安全基準」を示すよう国に求めていますが、
小出さんはどうお考えですか?というご質問です。
小出:
はい。
年間1ミリシーベルトというのは
現在ある日本の法律で「一般の人々にそれ以上の被曝を与えてはいけない」と決められている数字です。
ただ、それが「安全なのか?」と問われてしまえば、「安全ではありません」。
放射線に被曝をするという事は、
「どんなに微量でも危険が伴う」という事が現在の学問の定説になっていまして、
「仮に1年間に1ミリシーベルトという被ばくであっても危険は伴う」というものです。
ただし、このような時代、このような国に住んでいる人間として、
「1年間に1ミリシーベルト程度の危険であれば我慢をすべきだ」として決められた数字です。
私は多分、1年間に1ミリシーベルトという被ばくをしてしまうと、
2500人に一人の方が癌で死ぬ運命を負わされると思っています。
国の方は「いやいや1万人に1人だ、2万人に1人だ」というような事を言っていますけれども、
いずれにしても危険は必ず伴ってしまうというものですし、
危険があるからこそ法律で人々の被曝の限度というものを決めてきたわけです。
私自身は「原子力というものは全く価値が無いし、害悪ばかり」だと思いますので、
「原子力から受ける被ばくというのは一切ゼロにすべきだ」と思ってきました。
ただし、残念ながら私にそんな権限がある訳じゃありませんし、
日本というこの国の法律で1年間に1ミリシーベルトというものを
国家の方から決めて、それを人々に対して規制してきたわけですね。
それなら「その規制値というものを守るのが国家の最低限の義務」だと思いますので、
日本に住む人は1年間に1ミリシーベルト以上の被曝を、どなたもしてはいけないと思いますし、
国がしないようにきちっと対策を取るべきだと思います。
シーベルト・ベクレル
石丸:
はい、わかりました。
それでこのシーベルト、そしてベクレルという単位がですね、
この2年間メディアで非常に沢山使われてきましたけれども、
これもなかなか理解しにくいという声も大きい訳ですけれども、
シーベルト、ベクレルの違い。
それからシーベルトとは何か?というのをちょっと簡単にご説明いただけないでしょうか。
小出:
はい、
ベクレルというのはですねたとえば電球の明るさだと思って下さい。
10ワットの電球もあるだろうし、100ワットの電球もあるだろうし、
もっと多分、野球場の照明なんかはもっと大きい照明もあると思いますが、
そのもともとの強さです。電球なら電球の。
でも、たとえば同じ電球、100ワットという電球があっても、
ごく近くで見れば明るいでしょうけれども、
家の外に出てしまって見ればどんどん暗く、ま、見えなくなるわけですし、
遠くどんどん離れれば、ますます見えなくなっていく訳ですね。
その見えやすいというか、人のいる場所で感じる明るさというものがシーベルトに相当します。
ですから、放射能の単位がベクレルですけれども、
その放射能から遠ざかってしまえば、被曝をする量、
つまり明るさを感じる量というのは減っていってくれるという、それがシーベルトです。
石丸:
わかりました。
それでは来週もまたよろしくお願いします。
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