<後半>誤魔化そうとするルーツがここにある「爆心地から離れると下痢の発症率が上がる」沢田昭二氏 3/11(内容書き出し)

2013年3月11日 「市民と科学者による内部被曝問題研究会」
岩上安身さんのインタビュー
沢田昭二氏 名古屋大学名誉教授 内部被曝問題研究会理事長
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遠距離の放射線降下物の影響は全部内部被曝である


沢田:
そうですね。
3月15日に2号炉が一番多くの放射性物質を吐きだした訳ですね。

岩上:
3号機の爆発よりも2号機の方が遥かに多かった。
これ2号機は燃焼とか火災とかしか言わなかったですね。

沢田:
地下の方ですね。
地下の方が爆発したわけです。
そうすると、いろんな放射性物質を全部上に吐きだす訳ですよね。
そうするとね、最初は風が北風だったものだから、いわき市とか南の方に、
それは東京まで来ている訳です。
で、雨の降らないいわき市なんかでもすごい被ばくをして、
最初はヨウ素131なんかは大量に身体の中に取り込んで、
甲状腺なんかはやられているんですね。
これは後の話に繋がってくると思いますけど、
で、後風向きが変わって、飯館村とか福島市の方に流れて行っている訳ですね。

これは広島大学の原子力医科学研究所の大滝さん達のグループが調べたんですけど、
広島県民に比べてどの位余分に固形がんで死んだか?という事を調べている訳です。
で、余分に死んだわけですね。
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それを調べると、爆心地から近いところ、1km以内はすごく。
でもこれはですね、データがすごく悪いんですけれど、
彼らは1.2km、1200mから2kmのところまで調べて、
あんまり変化が無いわけです。
この点線(青い点線)で、全体を平均して。
ところがですね、初期放射線だけを考えているのが放影研ですね。
初期放射線はこういうふうに急速に下がって行って、
1.2kmのところに比べて2kmのところは10分の1以下になっている。
そうするとこの影響は初期放射線ではないというのを彼らは調べて、
88.3%以上は初期放射線以外の影響であるというのを明らかにしているんですね。


岩上:
8割は初期放射線の影響ではない。
つまり8割はそれ以外の内部被曝の影響の方が大きいという事ですね。
つまり、核爆発を起こした、その事後に気をつけなくてはいけないという事なんですね。

沢田:
だからこの1.2km以外は先程も調べたように、ずっと放射性降下物の影響を受けている。

で、これは被曝線量が分かります。

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被曝線量があると脱毛がどれくらい起こるか?という%があるんですけれども、
正規分布をしていると考えられていて、
この赤い線で。
これはABCCが1950年ごろに調べているんですよね。
爆心地からの距離とともに脱毛がどういうふうに変わってくるか?
初期放射線は2kmでほとんどゼロになるわけです。
ところが2kmを超えても、こういう脱毛が起こっていますよね(右の図)
ところがですね、日本政府もそれから放射線影響研究所も遠距離での脱毛、
2km以外で初期放射線の到達しない脱毛は、これは訳のわからないものである。

おそらく、精神的なショックで脱毛を起こしたんじゃないかという、


岩上:今日の原発事故に関しても、全部心理的な要因で説明しようとする、そういう、

沢田:誤魔化そうとする、そのルーツがここにあるんです。

岩上:あるわけですね。

沢田:
ところがこれは広島と長崎以外では、こういう現象は見つかっていない訳です。
日本は200以上の都市がいろんな空襲を受けたりしていますよね、
でも広島長崎以外で、こう系統的に爆心地からの距離とともに脱毛の発症が、
何百人、何千人と発症している訳ですから、そういうことを説明することはできませんよね。


岩上:
なるほど。
ストレスという事は、あの当時日本人は全て戦争末期、
ストレスのかからない人なんていなかった訳ですよね、
敗戦に向かう落胆や、あるいは何よりも毎日毎日空襲が来る恐怖。
現実に逃げ惑う、息子は出征して戦死している、家族は散り散りだ、飢えている。
もう途方もないストレスがかかっていた。
だけれどもこの円形脱毛症が怒るような特異な症状というのはやっぱりこの原爆の投下地、
その周辺に色濃く現れたっていう事ですよね。


沢田:
ストレスの脱毛っていうのは、円形脱毛っていうのは典型なんですけど、
被爆者の脱毛っていうのは体中全部。

岩上:なるほど。

沢田:全部抜けるわけですから、全然円形脱毛とは違うんです。

岩上:
円形脱毛とは違う。円形脱毛ではない。
ようするにそのまま丸坊主のようになってしまう

沢田:
放射線の影響であるということは明白なんですよね。
それを全然認めようとしないとなるわけですね。
で、こういう被ばく線量と脱毛の発症率の関係となりますと、
たとえば2kmのところだと脱毛の発症率は5%ですね。
そうすると5%、2kmのところという事で、
こちらで(左の図)で5%のところを調べると、
1.4グレイという、放射線の被曝線量が分かるわけです。
そういうやりかたをして、そして、被曝線量を調べてやりますと、全体の被曝線量が分かるわけですね。

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爆心地に近い1km以内のところは初期放射線がものすごい量で、
それだけで脱毛が100%ぐらい起こるわけですけど、
初期放射線の影響を調べてやりますと、この点線のようになるわけですね(小さい赤い点線)
それを全体の被ばく量から差っ引いてやると、こういうの(○―○ー)が残るわけです。
これが放射線降下物による被曝線量になるわけですね。
で、国側が先ほど言った、己斐・高須地域が一番最高であるというのをここにやると、
ほとんどゼロのところにくっついちゃって、この違いを無視しているという事で、
これが世界の国際放射線防護委員会とか、国連の科学委員会とか、IAEAが使っている。
で、この影響がなにか?という事で、内部被曝かどうか?というのを調べたんですね。

これは先程の広島大学の原医研の人達が調べたのが、このほぼ一定だというんですね。

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初期放射線というのがこの(緑)点線です。
全体の放射線量ですね。
放射性降下物の影響はほぼ一定な訳です。
1.5kmぐらいがちょっとピークになっているんですけど、
ということで、先程の固形がんの発症率とピタッと一致する訳ですね。

だから放射性降下物の影響がほとんどであると言う事を
考えなければいけないという事が明らかになってきている
訳ですね。

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それからこれは於保源作(おほげんさく)さんという広島のお医者さんが爆心地からの距離ごとに、
急性症状で髪の毛が抜けるという事は先程の脱毛ですね。
それがこの青い四角です。
それから、体中から出血して、紫斑という紫色の斑点が体中に出る、それがこの紫色の

岩上:紫斑は内出血なんですか?

沢田:
内出血ですね。
だから被曝によって内出血するっていうのがこの丸です。
そうすると、脱毛と紫斑はほとんど重なっていますね。
で、こういうふうに距離とともに変わって同じように行くという事を
「被曝の影響で無い」というのは難しいですよね。
とこ度が下痢の方はですね、
爆心地に近いこの三角印は発症率が、脱毛や紫斑などはほぼ100%に近いんですけど、
下痢は30%ぐらい。
そして爆心地から1.何キロぐらいか超えると、今度は下痢の発症率の方が上がるわけです。


岩上:ああ。

沢田:
この現象をどう説明するのか?ですけれど、
近距離の方は先ほどお話しましたように、
ピカッと光って原爆から直接やってくる初期放射線の外部の被曝ですね。
で、外部被ばくの場合下痢が起きるっていうのは、
腸の壁の細胞がやられないと下痢が起こらない
訳ですね。
外部被ばくの場合はそこまで放射線が到達しないといけないので、透過力の強い奴。
透過力の強い放射線というのは、体の中に入ってくると
細胞の中のいろんなところ、たんぱく質とかいろんなところの細胞の電子にエネルギーを与えて
それを壊す訳ですね。
透過力が強いというのは壊すのがまばらに壊していく訳。
だからいつまでたってもエネルギーを失わないから透過力が強いわけ。
という訳でこういう体の中に入ってきた外部被ばくの放射線で下痢が起こるというのは透過力の強いもの。
ところが、腸の壁の細胞がすごく薄いので、透過力の強い、まばらにダメージを与えるのは、
もうほとんどダメージを与えないで通過してしまう。
だからかなり高線量でないと下痢が発症しないんですね。
で、初期放射線はこの辺には到達していないので、


岩上:
よほどの高線量を浴びないと下痢は出ないと。
外部被ばくだけだったらという事ですね。

沢田:
だから、脱毛やなんかに比べてかなり近距離で起こすと、「もうその人は死ぬだろう」という、
そういう症状なんです。

岩上:怖い事ですね、はい。

沢田:遠距離の方は、今度は脱毛や紫斑に比べて発症率が高いんですね。

岩上:高いですね

沢田:
これは、放射性物質を身体の中に取り込んで、内部被曝をした。
で、内部被曝の場合は腸の壁まで放射性物質がやって来る、
そうすると、
今度は透過力が弱いというのはまばらじゃなくて今度は密度の高いダメージを与えるわけですね。
腸の壁のところに密度の高いダメージを与えるベータ線なんかが入ってくると
下痢が発症しやすくなるわけですね。
っていうことで、外部被ばくか内部被ばくかという違いで、この違いが説明が出来るわけですね。


岩上:なるほど。

沢田:
それを調べてやるとですね、脱毛と紫斑と下痢の3つの症状の、
これは初期放射線とほとんど重なっていますね。

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これは遮蔽効果があるものだから、遮蔽効果が無ければこの黒い線(縦の線)なんですけれど、
50%の遮蔽効果があると、このカーブになるんですけど、3つの症状がほとんど一致します。
それから差っ引いてやった残り、降下物の影響がここに重なるわけですね。(横のライン)

で、下痢というのはこれは確実に内部被曝です。
脱毛も紫斑も同じカーブでという事は、
遠距離の放射線降下物の影響は全部内部被曝である」ということを示した事になる
わけですね。


岩上:
311以降も下痢でね、苦しむ人、そういう症状を訴える人は本当に多かったですね。
福島でも多かったと思いますし、
私も福島の取材に行った後ですね、ずっと下痢が何ヶ月か続いたという事が現実にありました。

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沢田:
これは長崎なんですけど、おんなじような傾向なんですよね。
下痢がずーっと遠距離、10km超えても下痢が起こっている。
その下痢の発症が10%を超えている訳ですね。
で、これを先ほどのように調べてやりますと、

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初期放射線はこういうふうに急激に下がって2kmでほとんどゼロなんですね。
ところが降下物による被曝が、ま、違いますけど、
広島の場合に比べてですね1.5倍。
というのは長崎の原爆の方が、広島原爆より1.4倍でした。
だから放射性物質が大量に出来ているんですね。


ところが先程の西山地域っていうのは、外から測った線量っていうのはこういうふうになっちゃう。
だからこんなに大きな違いがあるわけね。
これを無視してはいけない。ということですね。
これで終わりかな。

岩上:
先生ね、この一番重要なポイントは、なぜ米軍、
当時は米軍が大きな影響力を及ぼしていましたから、
米軍はですね、一番最初にGHQのトーマス・ファーレル准将が、「初期放射線しか影響が無いんだ」と言いきってしまう。
研究が出る前に答えがあるんですね。
ABCCも放影研もその米軍の、言ってみれば既定路線といいますか、
それのつじつまを合わせるためにずーーっと研究してこういう物を発表し続けている。
「今日も」という状態にあるわけです。

沢田:そうですね。

岩上:
一体、何を恐れて彼らは初期放射線しか影響が無いというんでしょう?
何故内部被曝を徹底的に無視するんでしょうか?
あるいは内部被曝を、残留放射線の影響というものを無視するんでしょう?

沢田:
先程ファーレル准将が始めたのが内部被曝を隠蔽する始まりですね。
今核兵器を無くそうという声が、世界世論がすごく大きくなっている訳ですね。
で、この3月上旬にオスロで会議を開いて、
「原爆を使ったらすごく非人道的な事が起こる」
で、その非人道的な事は、被爆直後のこの世の地獄のような事もありますけど、
その後ずーーっと続く被ばく影響。
それからもうひとつはすごく広範な影響。
で、ファーレル准将が隠蔽する政策を始めたのは、
広島・長崎で原爆を使った時の、原爆の影響が何時までも残る。
いつまでも影響が残るという兵器を使ってはいけないというのは国際人道法であるんですね。
それから広い範囲に影響が残る。
広い範囲に影響を与えるような兵器を使ってはいけないというのも国際人道法であるわけです。
その両方を、
放射性降下物の影響を認めるとその両方を認めることになるから、
それを認めないで隠してきて、「核兵器は使える兵器だ」と言おうとしていたんですね。



岩上:
要するに核兵器というのは、あくまで限定的な範囲で、
そしてその一瞬破壊的な影響力を持つ通常の爆弾の延長上にあるようなものなんだ。
だからこれから戦争をね、正義の戦争を遂行する時に、
相手方の軍隊を壊滅させるには有効なのであって、
その後ですね、広範囲に、そして長期にわたって、
もう戦争が終結した後もずっと影響を与えるような、一般の市民にも影響を与えるような
そういう非人道的な兵器ではないと、
そういうプロパガンダが今から60年も70年も前から成され、
今もそのプロパガンダは続いていると。
そしてその核兵器からスピンアウトした民生品である原発に関しても、
ここで起こる事故がどういう影響をもたらすという事についても、
「ないないない」それについても言いはり続けていると、

沢田:
ますます今、核兵器を無くそう、核兵器を禁止するために禁止条約をつくらなければいけない。
その交渉を始めて欲しいというのがあって、
その交渉をする時に核兵器を持っている国々は「核抑止論」という考え。
「核兵器を持つ事によって安全保障が出来る」という、そういうごまかしをやっている訳ですね。

だけど、いま140いくつある国々は、「原爆の問題は人道的な問題として考えなければいけない」。
「安全保障の問題とも結びつけてはいけない」という事が今国連の中でも明らかになりつつあるんですよね。
そういう意味では「核兵器を無くす」という事にも内部被曝の問題を明らかにする事が繋がってくる。

それから今、被爆者が原爆症の認定訴訟をやっているんですけど、
厚生労働省が「検討会」というのを作ってやっているんですけど、
先程の放射線影響研究所の「黒い雨の影響はなかった」という結果を、その検討会にもちこんで来て、
そして被爆者の被ばく影響をなかなか認めない。
そういう基準にそのまま認めようという、今動きがあるんです。


岩上:続いているんですね。

沢田:
だから、被爆者の影響とか、福島の被曝の影響をちゃんと守るという事が
核兵器を無くすという事とすごく密接に結びついてきているのが現状なんですね。
そういうことをちゃんと明らかにして市民の皆さんにも伝えていきたいなと思っています。

岩上:
はい、わかりました。
アメリカがアメリカの戦略目的のために作った核兵器と、
そしてその後それがどのように人々に影響を与えるかという事を、
これを隠蔽したりねつ造したり、ゆがめられたりして伝えられてきた。
そして、そういう研究機関としてつくられたABCCを日本側が引き取ってですね、
アメリカの戦略のその意図に沿った研究を未だに続けている。
という事は、日本はアメリカの占領下になおあるんだという事を言わざるを得ませんね。


沢田:それが原発事故による影響と密接に絡んでいる。

岩上:
そういうことですね。
我々のこの311の事故。
その事故の影響、後日与えられたこの影響のですね、評価について、
その評価、ゆがめられたものになってしまう淵源(えんげん)というのは、
この広島・長崎の原爆投下。そしてその後の政治的なゆがみというものが
大きく統治しているという事になると思います。
先生ありがとうございました。



ーーー

<前半>
無視される内部被曝「黒い雨に遭った人と遭わなかった人」
沢田昭二氏 3/11(内容書き出し)




http://iwj.co.jp/wj/open/archives/66238より沢田先生の部分を内容書き出しました。




於保源作医師
街のヒロシマ医師
被爆10年前後で被爆者のがん死亡率が高いことを突き止めたのは、
内科医の於保源作(おほ・げんさく)さんでした。
戦後、疎開先から広島に戻り、全焼を免れた自宅で内科医院を再開。
街にあふれる被爆者の診察を始めました。
その過程で被爆者に白血病や胃がんなどで亡くなる患者が多いのに気付き、
1951~1955年に広島市が受け付けた死亡診断書11,400枚をチェック。
被爆者のがん死が全国の平均を上回っていることを統計的に突き止め、1956年に医学専門誌に発表しました。
於保さんと同じ志を持つ内科や外科の医師たちは早くから研究会を開き、
情報を交換、被爆者の治療対策を進める原動力になりました。


<前半>
無視される内部被曝「黒い雨に遭った人と遭わなかった人」
沢田昭二氏 3/11(内容書き出し)


<後半>
誤魔化そうとするルーツがここにある「爆心地から離れると下痢の発症率が上がる」
沢田昭二氏 3/11(内容書き出し)


「1年少しの福島で当時のチェルノブイリと同じか
それを上回るような頻度で甲状腺がんが見つかったというのは、
これは誰でも心配するという事になります」
松崎道幸氏3/11岩上安身氏インタビュー(内容書き出し)


日本の飲食物や生態環境の「放射能」規制基準が如何に出鱈目か
<原発内の規制基準との対比>生井兵治氏3/11内部被曝問題研究会会見(内容書き出し)




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