「『シビアアクシデントは許さない』という記述を入れるべき」小倉志郎氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)

2013年4月2日
「原子力規制を監視する市民の会」
アドバイザリーグループ 5人の元原発技術者が「新安全基準骨子案」の問題点を暴く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/72000

■出席者 「原子力規制を監視する市民の会」アドバイザリーグループメンバー
 小倉志郎氏(元東芝原発技術者)
 後藤政志氏(元東芝原発設計技術者、元ストレステスト意見聴取会委員)
 滝谷紘一氏(元原子力技術者、元原子力安全委員会事務局技術参与)
 田中三彦氏(元日立原発設計技術者、元国会事故調査委員会委員)
 藤原節男氏(元三菱重工原発設計技術者、元原子力安全基盤機構検査員)


司会 菅波:

続いて、元東芝の原発技術者の小倉志郎さんからコメントを頂きたいと思います。

小倉志郎氏(元東芝原発技術者):
2013040516.jpg

私の資料は1ページだけです。
ここにあります文章は、規制庁に出した私のパブリックコメントの文章そのまんまです。
そういうふうに見て下さい。
非常にシンプルな文章ですので、
読んでいただければよく分かると思いますが、一応ご説明いたしますと、
いくつかコメントを出したんですけど、これが一番大事だろうという事で、私はこれをここで選びました。

設計審査指針とそれからシビアアクシデントの対応の審査指針というのがありますが、
私のはシビアアクシデント対策。
これについての審査指針の骨子ですね、
これについて読みまして、「おかしいな」と思ったんですね。
で、こういうことなんです。
要するにシビアアクシデント対策というのは、
「シビアアクシデントが起きた場合にこうしなさいよ」と、
「こうなっているか」と、こういうことなんですね。



で、そこにですね、シビアアクシデントというのはどういうものか?という定義が書いてあります。
骨子の中に。
それはですね、この私の文書の理由というところに、ちょっと冒頭に書いてありますが、
こういうふうに書いてあります。

設計基準事象を大幅に超える事象であって、
安全設計の評価上、想定された手段では適切な炉心の冷却、
または反応などの制御が出来ない状態であり、
その結果炉心の著しい損傷に至る事象。

これをシビアアクシデントというんですね。
で、私が言いたいのは、
要するに「炉心が著しい損傷を受ける」というのはどういうことか?というと、
スクリーンの方をちょっと見てください。

2013040517.jpg

これは福島の今事故を起こしています80万クラスのシステムを表しているシートです。
ですから、2号3号4号5号ですね。
これに共通するシートです。
1号は50万キロワットということで、ワンランク出力が下なものですから、
ちょっと違うところがあります。

RCI系というのがなくて、
今、田中さんなんかが注目しています、アイストレーションコンデンサーですね。
これが5,6階にあります。
基本的には同じですが、
ま、そういうことでここに原子炉があります。

次の図をちょっと出して下さい。

2013040518.jpg

これが今のピンク色だった原子炉の断面図ですけれども、炉心というのはここにあります。
この四角であります。ま、上から見ると丸、円筒形の炉心があって、
ここに燃料集合体が沢山集まっている。

次の図をお願いします。

2013040519.jpg

炉心の中にはこの4mの、約4mの長さの燃料集合体が何百本と入っている。
この1本1本が燃料棒。
炉心っていうのが著しい損傷を受けるというのがどういうことか?っていうと、
この1本1本の燃料が、これはジルコニウムの合金の細いパイプの中に
ペレットという二酸化ウランの焼き固めた燃料が詰め込まれているわけですね。

それが著しい損傷を受けるというのはどういう事だ?っていうと、
基本的にはですね。このジルコニウム合金の被覆管。
これが破れるという事なんですね、高温で。

そうすると、要するに燃料の中で、
ウランが分裂してできた放射能の非常に高い核分裂生成物、これが外に出てくる。
つまり、炉心の中に閉じ込められて、
炉心の棒の中に閉じ込められていた非常に放射能の高い物質が、
原子炉の中全体に広がってくる。

そうすると、原子炉に繋がっている配管を通して、
先ほどのBW1のシステム、いろんなところが、要するに原子炉建屋の中に配管が延びています。
そういうところへ放射性物質がどんどんどんどん広がってくると。

特に事故時に原子炉の中に水を入れ、その水を取り出して冷却してまた戻すというようなシステムは放射能だらけになっちゃうわけです。

そしてまた非常に大きな地震があって、そういうところの配管が破れたりすれば、
原子炉建屋の中が、全体に、放射能が高くなっちゃう
原子炉建屋と言いますのは普段は大気よりも少し負圧にしています。

ですから、外からは空気が入ってきますけれども、中からは出ていかない。
でも完全密閉じゃなくて、いろんな隙間があっても放射能が外に出ないというのは
差圧コントロールしているから原子炉建屋から出ていかない。

しかし、事故時にですね、空調設備なんかが止まってしまえば、
原子炉建屋の中から外に出てくる。

ですから、シビアアクシデントが起きたら必ず住民は被害を受けます。

ですから、
そういうシビアアクシデントがあることを前提に議論するというのは私は間違っていると思うんですね。

で、私が現役、つまり2002年。
今から11年前に定年退職する前は、こういうことは許されていませんでした。
フローシートにですね、もう一度フローシートを出していただけますか?

私が現役の時にやっていた仕事はこの原子炉の周りにあります、
いろいろな安全装置のポンプをやっていました。
工学的な安全施設ですね。
これのポンプをやっていました。

工学的安全施設というのはどういう目的を持っているか?というと、
先ほどの被覆管が、
どんな事があっても被覆管が健全性を保てるように冷却できる事。
これが目的だった訳ですよ。

ですから、シビアアクシデントは許されていなかった。
それが私が定年退職してからですね、いつの間にか許されるような状態になった。

これは2006年に新しい耐震設計審査指針が出来た時に、
そこに残余のリスクという形で紛れ込んできました。
これが、2006年の9月20日に保安院が各電力会社の社長さん宛に、
残余のリスク、つまりシビアアクシデント。
「実質的にシビアアクシデントが出た時の評価をしなさい」という形で指示が出ています。

これは私は知らなかったですね、
2006年というと定年退職して4年後ですから、

つまり私が思うに、
2006年の段階で、実は日本の安全規制というのは、実はもう無くなっていたんですね。
シビアアクシデントを許すという段階で、もう規制していないという事と同じ事になるんですよ。
そういうことを2006年にやる。

多少ね、設計の震度、こういうものは上がりましたけれど、
翌年の2007年に中越沖地震が起きてですね、
その設計基準地震度すら、簡単に超えられちゃった
んです。

ま、そういう状況ですね。

時間がきましたのでこれで一応終わります。

とにかくですね、シビアアクシデント対策なんて書かないで、
設計審査指針の中に「シビアアクシデントは許さない」と、
そういう記述を入れるべきなんですね。
そうしないとですね、もう基準の体を成しません。

以上です。





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