(3完)「市民の発信力を強化するんです」堀潤さん4/5報道するラジオ(内容書き出し)

音声はこちら↓
http://youtu.be/DzYP6Stu6o8?t=34m29s

情報の提供と事故の教訓

水野:
堀さんは3.11以前から福島にもいろいろな取材をしてらしたっていうふうに聞いていますけど、
今聞いた「アメリカでも事故隠しがあった」
そしてずいぶん後になってから病気の問題などが出てきている。
こういう話を聞くと、「福島のこれから」を考える時に、
いろいろと示唆するものがあるかと思うんですけど、どう感じられますか?

堀潤:
二つあるんですけど、
一つはアメリカの状況も日本の状況も見ていて、一番改善しなきゃいけないのは
本人が自分の意思で決断できる状況をちゃんと作らなければいけない」っていう事だと思うんですね。

水野:たとえば、避難をするかどうか?という事、

堀潤:
避難をするかどうか?とか、
自分がここから遠くへ逃げるのか、それとも留まるのか?とか、
その人がいろんな判断をする時にちゃんとその判断材料になる情報を提供できるかどうか?
これは国もメディアも挙げて一斉にきちんと強化していかなければいけないと思うんです。

福島の問題で今でもやっぱり不安を抱えているお母さんとかに話を聞くとね、
「ああ、知っていればこういう選択があったのに」というふうにおっしゃる。
でも「知らなかったから選択が出来なかった」
これが一番つらい。

これはやっぱり何としてでも、もし次になにか災害があったり事故があったりした時には、
ちゃーんと現場の人達が自分の意思で、自分の行動を決定付ける事が出来る空間をつくること。
これはもう最優先でやった方がいい。

だから僕はメディアはどんどん自分たちの報道を検証して
新しいものを作って行くという思いで向き合った方がいいと思いますね。

二つ目は事故を風化させない。、
これはどういう意味か?って言うと、
「事故を忘れないで」って言いますよね。
なにを忘れちゃいけないかっていうと、
事故が起きたことで明らかになった課題と、その課題を検証した結果、分かった解決策。
こういうものをきちんと社会のシステムやインフラにまで組み込んでしまう。
そこまでやらないといけない。

ある意味、事故で辛かった、苦しかった、しんどかったという思いを忘れるか忘れないか?っていうのは
その被害にあった、直面した本人の決断なんですね。
その本人の思いなんですよ。
だから外から「忘れないで、事故を」と、無責任には言えない。

でも自信を持って「忘れてはいけない」というのは、
事故の教訓。それをみんなで考えて解決策、
そういうものをたとえ全世界の人が忘れたとしても、
システムの中に組み込んで、機能させるというところまでしっかりやろうと
そういうことを進めていくという事が、まぁ、我々メディアに関わる人間のね、
こう…、役割なんじゃないかなと思うんですね。

けっこうね、その事故を忘れないという言葉を便利に使う人もいるんですけれども、
毎日毎日事故の事を考えたり、ストレスを感じたりする事に、それを求めるのは酷ですよね。


水野:ん…、本当の解決策がね、ちゃんと見つかればと思いますけれど、

堀潤:
そういう感情的な話ではなくて、
システムとして事故の教訓をどう生かすのか?という事を訴え続けなきゃいけないと思うんです。



「パブリックアクセス」

水野:
本当に堀さん、沢山みなさんからメールを頂戴しました。
「番組の合間にコマーシャルが流れるって、初体験ちゃいますか?」


堀潤:
そうですねw
そうそう、これちょっと新鮮です。「CMです」とか言ってみたい。

水野:
「そして堀さんが目指すパブリックアクセスについてもっと多くの人達に知って欲しいんですけど」
「パブリックアクセス」ってどういう事ですか?

堀潤:「パブリックアクセス」って水野さん、聞いた事あります?

水野:すみません、知りません。

堀潤:
実を言うと、これは僕も震災以降いろいろと調べていくことで知った言葉なんですけれども、
国民であれば誰でも電波を使える権利」のことなんですよ。
つまり電波を使って放送が出来る、国民であればだれでも。ということで、
実はこれちゃんとアメリカや、ヨーロッパの各国、イギリスであったりとか。
あとアジアで言うと、韓国、台湾などでは法律で保障されている権利で、
その受け皿となるのは大体公共放送なんですよ。
つまり市民がこういうニュースを作りたいと思って、映像を撮りますよね。
映像を公共放送にもっていきますよね。
そしたらそれを流すんですよ。
そのまま。

水野:ん~~、

堀潤:
あとは、そんな市民の手助けをするために、
たとえば、イギリスのBBCは専門のチームがいて、機材を貸し出したりディレクターを派遣して、
「じゃあいっしょに、市民と一緒につくりましょう」と言って研修もかねてね、やったりする。
やっぱりその、なんて言ったらいいのかな、
放送というのが一方通行で、「メディア側がつくって出すものだ」ではなくて、
市民側がきちんと参画して、自分たちの思いをマスメディアの中にのせていくっていうことが、
権利として保障されているんですね。


水野:へぇ~~

堀潤:
それって日本には、かねてより言われているんだけどなかなか実現してこなかった。
これはぜひ、いま実現したらね、

水野:堀さんは具体的に何をするんですか?

堀潤:市民の発信力を強化するんですよ。

水野:どうやって?

堀潤:毎日放送で流してもらう。

水野:
私たちの報道するラジオは、
リスナーの方のご意見を本当にできるだけ沢山ご紹介するというやり方はやっているんですが、
堀さんのやり方はどんな

堀潤:たとえば番組の構成段階からやってもらうんですよ。

水野:は、は、

堀潤:市民に。

水野:はい。

堀潤:
ラジオ局、テレビ局の人はこういう視点で番組を作るかもしれないけど、
私たち市民はそこに関心事がない。
もっと違うテーマにして欲しい。
「あ、じゃあ、一緒に台本作りましょう」みたいなね、形で参画していくと、
もっと双方向のやり取りができる。
今日も、沢山メッセージを頂いたんだけど、

水野:
私たちはね、「構成作家がリスナーの方です」って言ってるんですよ。
本当に何が聞きたいか?
今なに知りたいか。というご意見を下さるんですね。
それを私たちが一緒にやって行きましょうという形は、まァ、一生懸命やってはいますが、
でも、堀さんが目指されるものは、もっともっと具体的にね、取材をして、
堀さんは、ハッキリ言って今までだったらNHKのお金で取材できたじゃないですか。
でもこれからはそうじゃないですよね。
取材にお金も要りますよね。
そのあたりはどうやっていきはりますか?


堀潤:
それはね、インターネットなどで、
たとえばね、僕はこういう取材をしたいんですが、
その取材をきちんと見たい人はぜひ告知でいいので資金を提供してくれませんか?
いわゆるクラウドファンディングみたいなね。

水野:
クラウドファンディング。
ファンドっていったらお金を出して積み立てるっていうことですね。

堀潤:
そうですね。
たとえばね、海外とかアメリカでも進んでいるんですけど、
たとえばもの凄くカッコイイデザインのマグカップを作りたいんです。新しい素材なんです。
でもこれを開発するためには150万円必要なんです。
それに賛同した人が、じゃあ私1万円、私3千円、私20万円とかいって、
インターネット上でどんどん寄付していくとお金が集まってそれによって製品が出来ました。
ぼくはこの製品を基に会社を起こしました。
みたいな、こういう仕組みっていうのが海外では出来上がりつつある。


水野:それを情報でやって行こうという事ですか?

堀潤:
今、メディア側ってお金がないじゃないですか。
調査報道やるのって大変ですよ。
取材費かかるし、

水野:時間とお金と、ほんとかかるんですよね。

堀潤:
テレビ局も出版も新聞も調査報道部門というのがどんどん弱っていっている。
でもその部分ってものすごく大事だから、
本当に市民が求めているものをちゃんと取材してくれるのであれば、
私たちはお金を投じようという企業が少しはあるんじゃないかなって思うんですね。


水野:
あー、平野さん、
たちは今、調査報道、真実に迫っていくためのお金をどうするか?っていう事が、
メディアは大変な時に来ていますものね。

平野:
そうですね、日本でも市民記者という概念でいろいろな試みがあるんですが、
なかなかうまくいかないんですよね。
何故かというと、事実の認定というのを誰がするのか?と、

水野:そうか。

平野:情報は集まるけれども、それが事実なのかどうか?っていう、
これが既存のメディアが吟味してやるというのがやっぱり研ぎ澄ましていかないとダメなんですよね。
だからネットの情報は玉石混沌と言いますけれども、
本当のその中の事実というものを突き止めるという意味では、今我々もですね活用しながら、
ネットのニーズを活用しながら、事実を突き詰めていくという役割が
非常に大きくなっているような気がしますね。

水野:
新しい試みをなさるジャーナリスト、元NHKアナウンサー堀潤さん。
ありがとうございました。
リスナーのみなさんからも応援のメッセージを頂戴しました。ありがとうございました。






(1)「クビを覚悟しないと言えないメディアの在り方とはなんだろう?」
    堀潤さん4/5報道するラジオ(内容書き出し)



(2)「半世紀以上前の隠された原子力事故」堀潤さん4/5報道するラジオ(内容書き出し)

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