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04.10
Wed
2013年4月2日
「原子力規制を監視する市民の会」
アドバイザリーグループ 5人の元原発技術者が「新安全基準骨子案」の問題点を暴く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/72000

■出席者 「原子力規制を監視する市民の会」アドバイザリーグループメンバー
 小倉志郎氏(元東芝原発技術者)
 後藤政志氏(元東芝原発設計技術者、元ストレステスト意見聴取会委員)
 滝谷紘一氏(元原子力技術者、元原子力安全委員会事務局技術参与)
 田中三彦氏(元日立原発設計技術者、元国会事故調査委員会委員)
 藤原節男氏(元三菱重工原発設計技術者、元原子力安全基盤機構検査員)


司会 菅波:
続きまして元東芝の原発の設計技術者で
ストレステストの意見聴取会の委員もつとめられました後藤政志さんにコメントをお願いします。


後藤政志氏(元東芝原発設計技術者、元ストレステスト意見聴取会委員)
2013040533.jpg

私の方からは大きく分けて3点位あるんですけれども、
時間の関係で後で資料を見ていただくことになるかと思います。
まず一つは、タイトルにありますように
私はベントを前提とした格納容器、これが間違っていると。

2013040534.jpg

私自身は格納容器の設計をしておりましたので、本来格納容器というものはですね、
放射性物質を中に閉じ込める機能を持っている訳ですね、
これがきちんと機能すれば、希ガスとか、さっき希ガスの話がありましたが、
希ガスのようなものが出てしまうんですけれども、
一応今回のような大量の放射性物質は出ないはずなんですね。
しかも動的な、つまり動力を使わないでですね、
隔離弁と言ってバルブを閉めてしまえば、その容器の中に放射能を閉じ込めるんですね。

ところがそれをベントしてしまうということは外に出してしまう訳ですから、
じゃあ、「出すからフィルターを付けてこすんだ」と言っているんですね。
ですけど、放射性物質の放出はですね、フィルターの性能に依存しますし、故障したらどうするんですか?
容量が足りなかったら抜けちゃいます。

そうするとですね、
こういう新しいものを付けて格納容器の機能を持たせるというのはおかしいんですよ。

格納容器機能というのは、配管とかが切れた時に大きな容器の中に閉じ込めるためにつくったんでしょ。
それが機能しなくなるということは、もう破たんしているんですよ。
だから格納容器の設計を変えるべきだというのが私の主張です。
つまり少なすぎる、小さすぎるんですね。

2013040535.jpg

あと、同時に圧力抑制プールというのがあってですね、
それが、蒸気が圧力抑制プールの中に入って冷えることになっているんですが、
この二つが非常に大きな問題を含んでおります。

これが格納容器の型式になる、左からMARKⅠ、MARKⅡ。

2013040536.jpg

これがですね、容量をちょっと計算してみますと、こんな形になるんですね。
たとえば熱出力あたりの空間部分の容積とか、
熱出力あたりの圧力抑制部分の水量とか、4から、だいたい4ですね。
ABWRも4以上と書いてある。
こういう数字を考えてみますと、そもそもMARKⅠ型はですね、
今回BWR4のMARKⅠなんですけれども、
これが最初に破たんしたんですね。
つまり炉心溶融したらその後一気にダメになって結果として機能しなくなった。

じゃあ、他のヤツは改良されているか?って言うと、
改良型だってたいして変わらない。
MARKⅡだって変わらないんですよ。
ABWRなんて3.41ですよ。ここの容量がですね。
これは何なんだろうか?という事になる訳ですね。

そうしますと、つまり格納容器の大きさが小さすぎる。それ自体が問題になるというのが私の意見です。

それをベントを持ってやるというのは、
そもそも、もともと持っている性能をちゃんとキープできないものを
小手先の事で逃げようとしている事になります。


なお、加圧水型もフィルターベントがいります。
これは容量が大きいですから時間がちょっとかかりますけれども、
同じように機能喪失するものとされています。


2013040537.jpg

それから次のお話をいたしますと、
スロッシングと言いましてここに圧力プールの水面があるんですけれども、
こいつが地震でこのように動揺しますと、
そうすると水面が、これは断面なんですけど、
水面が蒸気を水の中に引くダウンカマという、このカタンが露出してしまう。
そうすると圧力がバンバン上がってしまう。こういう事が起こり得ます。

福島で起こったかどうかははっきりしませんけれども、
こういうことを基本的に耐震設計上入れていなかったら物は壊れなくたって機能しないんですよ。
という事を申し上げたんですね。

これがその絵です。

2013040538.jpg

そういうことを考えますと、スロッシングというこの問題が非常に重要だという事が一つです。
それとなお付け加えさせていただきますと、
圧力容器そのものの水面の動揺も原子炉の出力振動というものに関係します。
これもコメントしておりますが、「どういうふうにするのか?」という事で私は聞いております。

また、耐震設計につきましてはですね、
今の話は地震と炉が冷却材喪失事故が同時に起こる事を考えるべきだという事をここに示しております。

最後の問題は航空機の衝突があるか。

2013040539.jpg

これは事故、あるいはテロにおいて、当然考えなければいけない。
万一格納容器に当たったという場合、大変なことになりますからね。
これは話に出ているんですけれども、これを確率的に逃げることはやめて欲しいですね。
「確率的に事故が起こる可能性は小さい」という事でもって
「良い」というルールにしようとしているんですね。
確率をベースにするのは非常におかしいです。
ちゃんと評価をするべきです。
それが主張です。

最後に一つだけ。
この規制の信頼性はですね、原子力規制の信頼性ですね。

2013040540.jpg

より信頼性を高めると称して重要な設備の設置に猶予期間を設けています。
これは最悪です。


福島事故から、
「発生する可能性が小さくても大規模な事故につながる可能性がある」というのは確実に存在する訳です。
そしたらその事を確実に抑えない限りは再発するんですね。
起こり得る。

つまり、安全系の設備に対して猶予期間を設けて運転してしまう。
OKしてしまうということは、
故障した航空機をそのまま飛ばしているというのとまったく同じです。


そうしますと、こういうものをもしそのまま認めるとしますと、
原子力規制の信頼性の根幹を失います。
私はこれだけは絶対に許しちゃいけないと思っています。
以上です。


「重大事故の敷地境界線量評価をせよ」
滝谷紘一氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)


「『シビアアクシデントは許さない』という記述を入れるべき」
小倉志郎氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)


「新“告示501号”を使っていない原発は古くて駄目だというのをまず認識すべき」
田中三彦氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)


「3号機燃料プールの核爆発が新安全基準には全然反映されていない」
藤原節男氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)


「安全系設備に猶予期間を設けて運転するのは 故障した航空機をそのまま飛ばしているのと全く同じ」
後藤政志氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)


<5年猶予問題>原子力規制を監視する市民の会4/2坂上武氏&デモクラTV4/5


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