報道するラジオ 「小出裕章さんに聞く汚染水漏れ」 4/12(文字起こし)

報道するラジオ 「小出裕章さんに聞く汚染水漏れ」

2013年4月12日 

水野:
今日最初のテーマは、汚染水問題について
京都大学原子炉実験所助教小出裕章さんに私が先ほど伺いました。


水野:
福島第一原発の汚染水の漏えいがずっと続いております。
きのう明らかになりました新しい情報なんですが、
漏れの見つかった貯水槽から別の、漏れの確認されていない貯水槽に汚染水を移そうとしたんですが、
「移し始めて僅か3分後に汚染水が漏れた」ということです。
で、今度は、「配管の接続している部分から」というんですね。
ですからこれまでやってきた貯水槽も構造的にダメだし、
配管もダメだという話になってきました。

で、今回漏れた汚染水は、「放射性セシウムを除去した汚染水だ」と言うんですが、
セシウム以外にいろんな放射性物質が入っているという事になりますよね、


小出:そうですね。

水野:「中にはストロンチウムというものが多く入っている」と言う事なんですが、

小出:多分そうだと思います。

水野:
この放射性ストロンチウムなどの放射性物質の濃度がですね、
1立方センチメートル、1cm四方ですよね。

小出:そうです。1ccですね。

水野:
1ccあたり、29万ベクレルというんですが、
これは…、リスナーの方からも質問がきています。
これってどれぐらいの危なさなんでしょうか?
配管の水漏れの場所には近づけるものなんでしょうか?


小出:
ほとんど近づけないと思います。
私は京都大学原子炉実験所で放射性廃液の処理を担当している人間です。
原子炉実験所で様々な放射性廃液が出てくるのですが、
それを処理して何とか放射能だけを捕まえて、
水をきれいにして環境に放出するというような事をやっているのですが、
その時に環境に放出される濃度は1ccあたり、セシウム137であれば0.09です。


水野:0.09ベクレル

小出:
ベクレルです。
それ以下でなければ環境に出せないというものですし、
ストロンチウムの場合には、1ccあたり0.03です。


水野:ストロンチウムの場合0.03。

小出:
はい。
それが29万ベクレルというような値になっているのですから、
もう、私からみれば途方も無い濃度ですし、
こんな廃液に近付くことすらためらってしまうというほどのものです。


水野:
これ、たとえばですよ。
この廃液に皮膚が…、ま、触ってしまったというか、
手でその液に触ってしまった場合、どうなりますか?


小出:
直ちに洗い落せばいい訳ですけれども、
気がつかないままずーっと汚染を付けてしまっていれば、
きっと、ベータ線で火傷をすると思います。

水野:そこに長くは居られないような水なんですか?

小出:はい、現場に近づくことすらが困難だと思います。

水野:
はぁー、それぐらいの汚染水。
ま、昨日は22リットルというふうに伝わっているんですけれども、

小出:それは配管の継ぎ目から漏れた量ですね。

水野:
そうですね。
で、これまで漏れたとされる汚染水を合わせると、120トンとも言われているんですね。
もしも仮にですね、この1立方センチメートル当たり29万ベクレルの計算で120トンとなりますと、
35兆ベクレルというふうに、荒っぽい計算ですが、なります。

小出:はい、そうですね。

水野:この値、35兆ベクレルというのはどういうものだと考えたらよろしいでしょうか?

小出:
たとえば広島の原爆というのが、
1945年8月6日に爆発して、放射性物質をまき散らしたのですけれども、
私が一番重要だと思っているのがセシウム137ですが、
そのセシウム137の量は89兆ベクレルと考えられています。
ですから広島原爆がばら撒いたセシウムの量の3分の1ぐらい、
2分の1か3分の1ぐらいをすでに地下に漏らしてしまったという事になります。


水野:えぇ~~っ、
広島原爆の半分にはいかないかもしれませんけれど、半分近い放射性物質ですね。

小出:
そうですね、
あ、ただ私はセシウム137の量を89兆ベクレルだと言ったのですが、
多分この29万ベクレルのほとんどは私はトリチウムではないかと思うのですが、
トリチウムというのはセシウムに比べればはるかに、はるかにと言ったらおかしいかな、
生物毒性が低いですので、単純には比べられませんけれども、
でも、本当に恐ろしい量がすでに漏れてしまっているという事です。

水野:このトリチウムというのはどういう性質でどれ位の危険性があるんでしょう?

小出:
トリチウムというのは水素なのです。
自然界にある水素というのは放射性を帯びていません。
普通の水素のほかの重水素という、ごく変わった水素もあるのですが、
それも放射能を持っていないのですが、
このトリチウムというのは3重水素という別名が付いている位に、3倍重たい変わった水素なのです。
これが放射能を持っているという、そういう物質です。
放射線のエネルギー自身は高くないので、
放射線の危険性という意味では大きくないのですけれども、
でも水素ですので、環境に出てしまうと必ず水になってしまいますし、
もう回収する事が出来ないという、そういうものなのです。



水野:水になってしまうから回収が出来ない。

小出:
そうです。
ですからこの汚染水というものも、セシウムを捕まえたり、
あるいは今度新しいアルプスという除去装置を使ってですね、
様々な放射性物質を捕まえようとしているのですが、
要するに、やろうとしている事は
水の中から放射性物質を捕まえて水を綺麗にするという作業をやろうとしているのです。
しかしトリチウムというのは水素で水そのものになってしまっていますので、
どんなに放射性物質を水から除去したとしても、トリチウムだけは絶対に取れないのです

水野:ぁ~~
そんなトリチウムが大量に地下に流れ込んでいると…、

小出:そうです。

水野:
ただ、東電はですね、「汚染水は海には流れ出ていない」と言っているんですが。
これはそうなんでしょうか?

小出:
まぁ、私は「随分とぼけた事を言う人たちだな」と思います。
要するに地下に漏れてしまえば、地下水というのはあっちへ流れたりこっちへ流れたりしているわけで、
海の方から流れてくるものもあるでしょうし、海の方へ流れていっているものもあるはずで、
「海へ行っていない」なんていうことは決して実証できないと思います。



遮水壁

水野:
リスナーの方が、
「事故当初から小出先生は地下水汚染を心配されておりましたけれども、
今、貯水槽の汚染水の話にばかりなっていますが、本当にそれだけなんでしょうか?
私は原子炉建屋内の汚染水漏れの方を心配しているのですが、どうでしょう?」
とおっしゃっています。いかがでしょうか?

小出:
私もそう思っています。
今回の漏れというのは、新しく作った貯水槽の方から漏れているのですけれども、
その前に汚染水は原子炉建屋の地下とか、タービン建屋の地下、トレンチとかピットとかいうところに
もう、いっぱい溜っているのです。
それら全てがコンクリートの構造物ですので、割れないコンクリートなんかは無い訳ですから、
「必ず漏れている」と、私は事故当初から警告をしてきましたし、
それをなんとか海へ出ないように、
「地下に遮水壁をつくらなければいけない」と言ってきたのですけれども、
残念ながらそれはまだ出来ていないという状態で、
「海へ向かって汚染水が流れていってしまっている」と私は思います。


水野:
この地下の遮水壁も、小出先生はずっと前からおっしゃっていたんですが、
「今からでも間に合いますか?」と聞いていらっしゃいます。

小出:
要するにもう間に合わないのですね。
この間事故が起きてもう2年経ってしまっている訳で、
2年の間は何の防壁も無いまま原子炉建屋の地下、タービン建屋の地下から汚染水が環境に漏れていたし、
その一部はもう多分海へ出てしまっていると思います。



水野:ただ東電は「漏れていない」と言うので、そこのところが進まないですね。

小出:
そうですね、
「漏れていない」というなら、きちっとした証拠を提出すべきだと私は思います。


タンカー

水野:
また、ラジオを聞いていらっしゃる多くのみなさんがお便りをくださっているのは「タンカーについて」です。
もう、2011年の3月のうちからですね、
小出先生は「大きなタンカーを持って来て処理すればいい、それしかないんじゃないか」と、
汚染水の事を心配してらしたんですが、
「この“タンカー案”は今からでも間に合いますか?」と、皆さんが聞いていらっしゃいます。


小出:
間に合うか間に合わないかという意味で言えば、
すでに2年間、間に合わないで環境に放射性物質が漏れてしまっている訳ですから、
この2年の分はもう取り返しがつきません。
しかしこれからもまた次々と汚染水が溢れてくる訳ですから、
東京電力は次々とタンクを作る。
でも、それでは間に合わないからと言って、
今回漏れたような水槽をつくるというような事でやろうとしてきたのですけれども、
それでは結局しのげなくなりますので私はタンカーは一刻も早くやるべきだと思います。


水野:はぁ~…、政治家にいろいろ言ったんですがね。

小出:そうでしたね、

水野:本当に全く進まない。

※たねまきジャーナル2時間スペシャル。小出氏と3人の政治家の生討論No1(内容書き出し)


何年経っても出続ける

水野:汚染水というのは、いつまで出続けるんですか?

小出:ずーっと出続けます。

水野:ずーっとって、…、何年ですか?

小出:もう何年経ってもです。

水野:えぇッ!

小出:
溶けてしまった炉心という部分が、いまだに「どこにあるか」すらが分からないのです。
人間が現場に行くことができませんし、それを調べるための測定器の配置すらがありませんので、
とにかく「どこかに溶けたものが落ちている」ということなのです。
仕方がないので「ひたすら水をかけてこれ以上溶けないようにする」という事が、
出来る唯一の事で、2年間ずっとやってきている訳です。
ただ「水をかけてしまえなあふれてくる」というのは当たり前なことであるので、
これまでも沢山あふれてきているし、
これからもあふれてくるという事なのです。


水野:
ハァ~、東電は1日当たり400トンずつ汚染水が増える。
それはタンクをどんどん作って、「6月の初旬までには地上のタンクに今の貯水槽の物を移す」と。
「だから大丈夫なんだ」という話をしているんですが、
6月以降の事は分かって無いですよね、何にも。


小出:
タンクを次々と東京電力はつくってはきているのですけれども、
福島第一原子力発電所の敷地にももちろん限りはありますし、
無限にタンクが増設できる訳ではありませんので、
いつか破たんすると私は思います。


廃炉

水野:つまり、廃炉は40年と一応言っていますね?

小出:はい。そんなことできませんけれども、

水野:少なくても40年は汚染水が出続けるんですね?

小出:そうです

水野:小出先生は本当のところ、廃炉は何年位と今思っていらっしゃるんですか?

小出:
わかりません。
人類が遭遇した初めての経験な訳で、
これをどうやって「廃炉」というですか…、
どういう状態にすれば一応安心できるのか?ということも、私にはよく分からないです。
70年、あるいは100年という単位がかかってしまうかもしれないとおもいます。


水野:
そうした中で、原子力規制委員会はですね、
今はこの貯水槽が構造的に欠陥があると言われていますけれども、
事前にOKを出したんですよね?原子力規制委員会が。

小出:そうですね。

水野:これ、どうなっているんですか!

小出:いや、規制委員会が無能なんでしょう。


新安全基準

水野:ハァ~
で、また「その原子力規制委員会がやっている事はなにか」と言いますと、
原発の新しい規制の基準案をまとめたんですね。
この内容をどうご覧になっていますか?

小出:
え…、
問題は、今私たちの目の前で福島原子力発電所の事故が進行中なんだという事です。
その事故の原因すらがいまだに分からない。

もちろん津波は原因の一つだったし、地震というのも大きな原因の一つだったと私は思っていますし、
国会の事故調査委員会もそう主張しているわけですけれども、
その調査すらが東京電力の妨害によってなされなかったのです。
ですから原因自身がまだ分かってもいないという、
そうなれば対策だって決めようがない訳で、
「どんな事をしたら基準が出来るのか?」私にはそれがまずわかりません。


水野:
内容はいろいろとありますが、たとえばですね、
「時間的な猶予を与える」という項目があるんですね。
たとえば非常時のバックアップシステムである第二制御室。
これは中央制御室の変わりにいざという時になるものなんだそうですが、
「これはすぐに出来なくてもいい、5年間猶予しましょう」という事だそうです。

小出:そうですね。

水野:これって、そんなにすぐにいらないものなんですか?

小出:
事故というのは予測できませんので、
ひょっとしたら第二制御室が必要で無い事故かもしれないのですね、次に起きるのは。
ですから、
「何がどうやって必要か」という事は事故に関しては予測が出来ないという者だと私は思っています。
でも事故というのは、私たちが望むと望まざるとに関わらず起きる訳ですし、
原子力発電所が事故を起こしてしまえば、今現在起きているような大変悲惨な事になってしまうわけで、
私はもう原子力から足を洗うべきだと思います。
対策をもし、取るというのであれば、
「自分たちが思っている対策が出来るまでは、やはり動かさせない」
という位の事は言うべきだと思います
けれども、
残念ながら原子力規制委員会というのはそこまでの力を持っていないという事だと思います。


水野:はい、どうもありがとうございました。


原子力規制委員会は怠慢だ!

水野:いかがでしたでしょうか?平野さん。

平野:
改めて、この汚染水の放射線量の凄まじい単位というものを感じるんですけれども、
やっぱり、原子力規制委員会の怠慢ですよね、改めて思う。
先生がおっしゃっていますけれども、これ、東電はもう当事者能力が私は無いと思うんですよ。
だったらもう国が率先して、他の電力の技術者も集めてですね、
チームを組んでやらなきゃダメなんですけれども、
これ、もう任せっきりですよね。
これはもう、ほんとうに怠慢ですよね。


それと、海の汚染というのが、もう、間違いなく進行しているというのが、
東京の海洋大学の魚の最終調査でも、基準の数千倍、数万倍の単位が出ている
んですよね。
だから東電の言う事はもう全く信頼できませんよね。

水野:
小出先生が大学でなさっている、
「セシウム、あるいはストロンチウムがどれだけだったら捨ててもいいか」のような汚染水の値。
たとえばストロンチウムの0.03ベクレル以下でないといけないというのが、
いま結局計算してみたら、流れているのが1000万倍になりますね


平野:そうですね、広島原爆の3分の1なんていうのもビックリしますね。

水野:
それだけの量の放射性物質に換算できるという、
凄まじい数字が出てまいりました。
小出先生のお話をお届けしました。


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汚染水漏れ

漏れないプールはあるのか?入れれば漏れる汚染水&読売新聞エライ!7100億ベクレル→35兆ベクレル
読売新聞の汚染濃度に関する記事。
漏れたプールから異動した場所のプールも漏れた。
移動のための配管からも漏れた。(番組中で話している)記事。(2013年4月11日)


新たに別の池も!収束後最悪の漏れ「漏れて当たり前の構造に見える汚染水の池」
汚染水漏れ最初の報道。

福島第一原発汚染水漏れを読み解く4/6デモクラTV(文字起こし)



5年猶予

「安全系設備に猶予期間を設けて運転するのは 故障した航空機をそのまま飛ばしているのと全く同じ」
後藤政志氏4/2原子力規制を監視する市民の会「新安全基準骨子案」の問題点を暴く(文字起こし)



<5年猶予問題>原子力規制を監視する市民の会4/2坂上武氏&デモクラTV4/5






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感謝

きーこちゃん。
いつもわかりやすくまとめてくださってありがとう!
とっても助かります。<(_ _)>