「経済界はせめてしっかり金勘定ぐらいしなさいよと私は言いたくなります」小出裕章ジャーナル4/20ラジオフォーラム(内容書き出し)

ラジオフォーラム
放送日:2013年4月20日(土)~26日(金)
※放送日、放送時間は放送局によって異なります。くわしくはこちらをご覧ください。
Web公開日:2013年4月23日(火)
ゲスト:李政美(イ・ヂョンミ)さん(歌手)
パーソナリティ:石井彰(放送作家)


小出裕章ジャーナル


石井:今日のゲストは歌手の李政美さんです。

李:大ファンで、今日はこうやってお電話で話せるなんて光栄です。

小出;こちらこそ光栄です。ありがとうございます。

石井:
小出さんね、基本的な質問をいくつか聞かせて下さい。
先ずですね、電力会社が沢山ありますけれども、
こんなに、私からみればリスクが多い原子力発電所を、なぜこんなに沢山つくってきたんでしょうか?

小出:
それには沢山の思惑があると思います。
“国家”という側からみれば、原子力の技術というのは核の技術と全く同じものですので、
「平和利用」と言いながら原子力を進める事で核兵器を開発する能力を身につける事が出来る。
という理由はあったと思います。

“電力会社”からみれば、
「電気事業法」という法律で、電力会社が守られていたが為に、
原子力発電をつくればつくるだけ利潤が膨れ上がるという、そういう法律的なシステムがありました。
そのため電力会社としては「とにかくお金を儲けたい」と思う訳ですから、
「なにがなんでも原子力」という事になってしまいました。


石井:
コストの問題ということも、いつの間にか私たちは刷り込まれてしまっていて、
火力発電は、石油ショック以降ですね、「石油が無くなるぞ」と。
「次はもうプルトニウムの原子力発電」と。
もうこれしかないというように私たちはいつの間にか思わされてきてるんですが、
どうも「石油は無くならない」。
その一方で「実はウランがそんなに沢山はない」というふうに小出さんはおっしゃっていますが。

小出;
そうです。
私自身も1960年代に中学、高校時代というのを過ごしていたのですが、
その時に「化石燃料は無くなってしまうからいずれ原子力しかない」と言われましたし、
もし原子力が発電に利用できるようになれば、
「発電単価は値段が付けられない位安い」と宣伝を聞かされました。
そして私はその宣伝を信じて原子力の場に来てしまったわけですが、
事実をきちっと知ってみると、原子力発電の燃料であるウランは
石油に比べても数分の1しかありませんでしたし、
石炭に比べると数10分の1しかないという大変貧弱な資源でした。
ですから初めから考えていた事が間違えていた訳ですし、
電気代が安いというのも真っ赤な嘘で、
日本なんかは原子力をさんざんやってきてしまったが為に、
世界一高い電気代の国にすでになってしまいました。


石井:
原子力発電の方が安いという事が一つと、
それからもうすでに3分の1以上原子力発電による電力を使っているから、
「原子力を止めたら真っ暗になるぞ」というふうに、
みんないつの間にか思い込まされてきちゃっていますよね。

小出:
そうですね。
日本の国がそのように言ったわけですし、
電力会社や大企業も全てそれに乗っかって、
「原子力は安全だし安いし、止めたら停電しちゃうぞ」と言って、
マスコミも含めて脅しをかけてきていたのです。
そのため多くの人たちが
「原子力をやめたら自分たちの生活が大変になってしまう」と思ってしまったわけですが、
実際には原子力なんてやめても停電なんかには決してなりません。
現在日本には水力発電所と火力発電所が膨大にありますので、
それらがちゃんと動くように管理が出来ているのであれば、
真夏のピーク電力の時ですら原子力発電がなくても停電にはなりません。
それはもう私が言っているのではなくて、政府の統計データがそれを指しているので、
みなさん何の心配もないという事をまずは知って欲しいです。


石井:
そうですね。
その上でもう一つですね、その経済性の問題だけでなくて安全の問題についてお聞きしたいんですが、
「原子力発電所は何重もの安全装置を持っているから安全だ」と。
「決して事故は起こしません」という形で私たちは説明を受けてきました。
しかしそれが今回の福島の事故でですね、「ウソだった」というふうにやっと私たちが分かったというか、
大変不幸な事態だなと僕は思っているんですが、


小出;
はい、ま、何重もの安全装置を付けているから「安全だ」というのが、
いま石井さんがお話し下さったように、政府、あるいは電力会社からの宣伝だったんですね。
でも逆に言えば、
何重もの安全装置をつけなければ動かす事が出来ないほど危険な機械だった」のです。
そして機械というのは時に壊れるというのは当たり前のことであって、
誰も原子力発電所が壊れて欲しいなんて願う筈はないのですけれども、
でもやはり機械ですから時には壊れてしまうという事が
今回の福島第一原子力発電所の事故で、本当に残念ながら示されてしまいました。


石井:
ということは、小出さんにこんなお話をするのも変ですが、
原子力発電ほど割に合わない電力のシステムって無いですよね。


小出:
そうです。
まともに動いている時ですら、「発電単価は原子力が一番高い」ということは、
電力会社の有価証券報告書のデータを使って計算してみれば、もう分かってしまっていたのです。
おまけに事故が起きてこんな被害が出て、それを電気料金に上乗せしようとすれば、
もう一体いくらになるのか分からなくなるほど高くなってしまいます。
さらにその上、仮に事故が起きなくても、
生み出した核分裂生成物、それを10万年あるいは100万年お守をしなければいけないと言っている訳で、
その費用などを考えたら到底割に合いません。
本来であれば経済界というのは金勘定をする人たちな訳ですから、
「せめてしっかり金勘定ぐらいしなさいよ」と私は言いたくなります。


石井:
あのー、良くも悪くも資本主義の原則を徹底していただければ、
原子力発電所などというものを造ってもいけないし、
稼働させてもいけないっていうことに普通になりますね。


小出;要するに経済人が普通にそう判断する筈のものなのです。

石井:
今後も基礎的なところを一つ一つ
私たちがいつの間にか勘違いしているところをですね、
小出さんとお話しながら改めて行けたらなと言うふうに願っています。

小出:ありがとうございます、とても嬉しいです。


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