「今のままでいいのかい?」裁判所でさえ由々しき事態だと認定した4/26松崎道幸先生【ペイフォワード環境情報教室】(内容書き出し)

【ペイフォワード環境情報教室】
松崎道幸先生 2013年4月26日



Sawada:
本日は松崎道幸先生に来ていただいています。
4月24日になりますが、郡山の集団疎開裁判というのが行われまして、
こちらの方の判決が出たという事で、原告団の方で記者会見を行っておりました。
その中で松崎先生も当初原告承認の意見書というふうな形で出されたりしておりまして、
この中に深くかかわっていたということもありますので、
是非ご解説いただければと思っているんですけれども、
大きい意味では前半の低線量における健康被害の部分は大枠認められたんですが、
集団疎開するまでには、それ単体では意味がないんではないだろうかという事の、
ちょっとぼかされたような結果だったように感じたんですけれども、
その中で低線量の部分が認められてきたというのはすごく大きな事だと思うんですけれども、
その部分の解説を頂けますか?


松崎:
結局、ちょうど国が
「毎年20ミリシーベルトまでの被ばくの場所だったら住んでもいいよ」という立場を否定した判決が、
判決文というか認定がていはんなんですね。
それは、余計に毎年1ミリシーベルト以上被曝するとか、
それから郡山市とか福島市でいろんな公的機関が測定するとやっぱり年間数ミリとか
シーベルトを余計に被ばくする状況があるというふうにまず認定してて、
そして、判決文の後、チェルノブイリでは郡山市並みの汚染の状態でも、
事故後に先天性疾患とか白内障とかですね、
心臓病、糖尿病、それからがんが増えたという調査結果があると。
それから、福島県が3万8000人の甲状腺を調べたら、
甲状腺がんが3人と疑いの子どもさんが7人見つかって、
これはチェルノブイリの事故の数年後に
チェルノブイリで同じ形の調査をした時に見つかった比率と同じ位だという事を認定してですね、
これは僕が意見書を書いた部分なんですけれども、
そういうふうな事が裁判所が認定した事と。
で、そういう事を受けて「由々しき事態である」という事を裁判所が認定したんですね。

それで、このまま福島の中通り地域にいるとすると余計な放射線被ばくをして、
チェルノブイリで起きたような様々な健康障害が福島でも同じように起きる恐れが
そういう蓋然性が強いという事で由々しき事態であるという事を判決文に書いてある
んですね。

※【蓋然性】がいぜんせい
 ある事柄が起こる確実性や、ある事柄が真実として認められる確実性の度合い。
 確からしさ。これを数量化したものが確率。

由々しき事態が起きているから疎開をするべきなんだけど、
本件がちょうど、学校教育を県外というか、放射線汚染のないところで出来るように
そういう権利を保障するべきだという内容なので、
それはいいけれども、じゃあ、
一日8時間県外で授業を受けて16時間はまた県内に戻ってきたなら意味がないじゃないかと、
「由々しき事態の場所に戻ってくるのは意味がないから、訴えは認められない」みたいな感じの判決文、
原告の請求を却下するという内容になったんですね。

ですから、もし、政府の言うとおりの判決文を書くとするんなら、
「放射線の汚染状態は20ミリシーベルトには達する見込みはなさそうだから今のままで大丈夫だよ」
というふうに,そういう理由を付けて却下するんじゃないかと思ってたんですけれども、
そうじゃなくて、私たちが言ったような
「本当にもう避難しなくちゃいけないような状態、汚染状態ではないのか」ということを
きちんと認定してくれた。

だから私自身は、とりあえずは敗訴だけれども、この判決文を活かして
より徹底的なというか、子どもたちをはじめとして
放射線被ばくを知らせる事が出来るような対策を県とか国にしっかり要求していく、
一つの基盤が出来たんじゃないかと思っています。



Sawada:
そうですか。
そういった意味ではこういう判決というのは
まさに次のアクションへの礎になるというところが多分多く考えられると思うんですけれども、
昨年政府の方で出ていました「被災者子ども支援法」というのもありましたけれども、
私どもの方でなかなかわかりにくいんですけれども、
こうしたものによる被害を受けたということを、
受けた証明を出さないと救済してもらえない法律があるのと、
逆に言うとそういう受けていないという事を証明しないといけないというような、
証明を素人に求められるという、どちらに求められるか?と。
東電、もしくは政府の側が
「そうじゃないという事を証明する」というのは難しいですけれども、彼らはやるべきだという事ですけど、
逆に素人がそういうことを証明するというのはすごく大変な話でありますよね。

で、そんな中で今回のでいきますと、
政府と司法とで、ま、日本に三権分立があるのかというのがよく出ますけれども、
司法の判断としては低線量被ばく1ミリを超えるという現行の法律に照らすとなれば、
「これは由々しき事態であり健康被害があるんだ」というところまで踏み込んで認めたというのは、
やっぱりそうとう画期的なんでしょうかね?


松崎:
そうですね。
結局、病気が起きちゃってから「こんな病気が起きて具合が悪くなりました」
という事で申告をして救済してもらうという事では遅すぎるし、
今回の判決はチェルノブイリの例などから考えると
放っておくと将来いろいろと深刻な病気が起こる可能性が充分にあるという事態だと認定して、
なにもまだ表に健康障害が見えてないけれども、
今から対策を取る必要があるんじゃないかということ
なので、
予防的な認定をしたというのは非常に意味があると思いますね。


Sawada:
そうですね。
あの日本人がですね、良く言われるところで「怒りを表現する仕方を最近忘れてしまった」と。
たとえばデモに行く人も初めは行くけれどもだんだんにかなくなってしまうと。
もちろん怒ってはいるんだけれどもなかなか表現する方法がないという中で
一つこういった形で一つ一つの事態に対して訴えていくと、
「提訴するというのも一つの手じゃないか」という方もたまにいらっしゃいますけれども、
そういった意味で今回勇気ある、
これは中学生でいらっしゃいましたっけ、原告の方。
ですので、そういった形で勇気ある活動、行動がですね、
こういった形で一つの成果になってきているという、アクションの始まりになっていますよね。
これについては先生はいかがですか?


松崎:
とっても貴重で大事な事で、
結構こういう裁判とかをやるというのは、もういろんなしがらみもある中でやるという事だから
精神的にきつい、とてもきつい事だと思って、
本当に途中で降りたいと思って悩んだ事も多かったんじゃないかと思うんですけれども、
ここまで頑張っていただいて、こういう判決を引き出してくれたのは、
すごく、あの…大人にとっても意味のある事だったなというふうに思います。


Sawada:
そうですよね、そういった意味で、そういった事を決意した福島の方がたとえばいらっしゃった場合に、
そういうことをサポートする、たとえば松崎先生のような
医者という立場の方からの意見書を出していただけるですとか、
弁護士の方も含めですね、
そういった方というのはやっぱりいらっしゃるものなんでしょうかね?


松崎:
そうですね、あの…、
繋がっていないけれどもきっといろんなところでそれなりにやっている方がいらっしゃる筈だし、
たとえば今回、甲状腺の検診が福島でああいうデータが出たので、
他のところで本当に福島よりも多いのか少ないのかっていうのを確かめるために、
数百人の全国から甲状腺の子どもの検診を受けていただく子どもさんを募ってですね、
生活クラブ生協が検診をしたんですね。
それで調査をして、その結果が大体まとまってきたんで、
来週郡山に行って、どういうふうにデータを見るか?とか、
そもそも福島の子どもたちの状態をどう見るか?という話をする予定なんですけれども、
やっぱり全国にいろいろと子どもさんの事を心配して立ちあがって行動をしている方が、
医師ですとか科学者以外でも一般の方々が沢山出てきていらっしゃるので、
とっても、その、普通の方が頑張って、
そうするとにわかには行動を移さない方のことを少しずつ動かして、
なにか決定的な時にそのアクションとか行動が出来る、
そういう原動力をつくっているんじゃないかという気がするんですね。
ですから、ぼくたち、私が出来るのはそういう医学的に解説してということぐらいしかできませんけれども、
子どもさんに接しているとか、それから不安を抱えている親御さんとか、
いろんな方と繋がって
この問題をもっといい方向で解決できるようにしていかなければいけないなというふうに思います。


Sawada:
そうですか。そんな中今回の裁判の結果としましては
「集団疎開させる義務はない」というところである意味敗北であったんですが、
それ以外に大きい意味でエリアとしてですね、
松崎先生が以前から提唱されています中通りの汚染状況について、
大変厳しい見方をされていたというのもありますし、
判決の中でもそのような事が出てきているという事を受けて、
先生としては正直、どうですかねホント
移住したいと希望している方は出来る方はみなさんされているかもしれませんし、
今残っていらっしゃる方はしたくてもなかなかできないという方が多いところでありますけれども、
先生からなにか、そこについてお医者さんとして何かアドバイスがございますか?


松崎:
とにかく、一つは裁判所でさえ由々しき事態だと認定したので、
「どう由々しいのか?」という事をしっかりと
福島に住んでいらっしゃる方とか、政策を決める方々に知っていただいて、
その上で「今このままでいいのかい?」という問いかけ
ですよね、それをして。
それから、それが必要と。
ですからそのうえで、やっぱりいろいろな情報を知ると、これは本当に、
移住とか疎開をしたいなという、そういう方々が沢山出てきた時に
ちゃんとそれをサポートできるような、資金だとか援助だとかを行政がやらなくてもいいのか?
というところまでやっぱり話を進める必要があると。

で、あと、…、
もうひとつは、あの、
低線量被ばくの事をやっぱりもっとしっかりと
「大変なことなんだ」という事を理論的にというか科学的に検討するような
医学者とか科学者のしっかりとした集まりというのも必要と思いますし、
ちょうどこれから夏休みなどに向けて保養ですとか、
一時的に福島から離れたところで何日間か何週間かもつような取り組みが
少しずつまた広がってきているので、
そういう取り組みも経済的にサポートしてもらうとか、
多くの人がその取り組みに参加して協力していくということも必要です、

もっと最近感じたのは福島だけじゃなくて、
首都圏でやっぱり検診をしたら甲状腺に異常があって、
小さなしこりがあってすごく心配だったよ、なさっている親御さんが沢山いらっしゃるようなので、
そういう方々のサポートというものも必要になってくるだろうと。

ですから、いろいろな課題はありますけれども、
医学的に見て科学的に見て大変な状態が今引き起こされているんだから、
みんなで何とかしようじゃないかという、そういう輪をつくってですね、
やっぱりあんまりその問題に関与してこなかったいろんな医学会ですとか科学会ですとかの協力というか、
どの子どもものっていく必要があるんじゃないかなと思っています。



Sawada:
そうですね、先生がおっしゃった通り先ず知ることから初めないと、
なかなか先ず情報が今、なくなってきているところがございますのでね。
ま、インターネットメディア中心に、真実と思われることは出るというのはもちろんありますけれども、
今後ともこのペイフォワードでは、先生を中心に良心のある専門家から正しい解説を頂いて、
知ることから始めていきたいと思っておりますので、
今後ともぜひよろしくお願いいたします。


松崎:はい、よろしくお願いします。


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