報道するラジオ
2013年5月 3日【金】
憲法記念日~改憲でどうなる?本当のところを知りたい。
弁護士で日弁連憲法委員会副委員長、伊藤塾塾長の伊藤真さん
12:28~Youtube→http://youtu.be/65T-1-PHC-A?t=12m28s
水野:
今までのところ、「憲法と法律の違いはなにか」という非常にわかりやすいお話をして下さいました。
弁護士で日弁連憲法委員会副委員長、そして伊藤塾の塾長でいらっしゃいます伊藤真さんです。
リスナーから早速質問がきているんですが、
「自民党の改憲の草案というのは疑問点ばかりなんですよ。詳しく教えて下さい」
というふうにくださいました。
「安倍さんは『改憲を』とおっしゃいますが、具体的にじゃあ何を変えたいと思ってらっしゃるのか?」
自民党はもう草案を出しているんですね。
伊藤:そうなんです。
水野:
これを具体的にホンマのところを教えていただきたいと思います。
まず、最初からいきましょう!
この前文というもの、ここからいきなり変わるんでしょうか?
前文/国民のためから国のための憲法へ
伊藤:
そうなんです。
前文、「まえぶん」と書くんですけどね、
一条という条文の前に「憲法を何のためにつくるのか」というような、
憲法制定の目的などを書いたものが前文なんです。
今の私たちの憲法は「自由と平和を守るため」にこの憲法を確定しました。
というような事を、そこから始まるんですね。
ところが今回の自民党の改定草案は、何から始まるかな?というと、
「日本国は」というところから始まりまして、
「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であって」という、
まぁ、「この日本という国は天皇をいただく国家なんだ」という国家の紹介から始まります。
水野:
はぁ・・・、そこから始まるんですか!?
「天皇をいただく国家」っていうのは?
伊藤:
そういう表現になるんですね。
そして「いろいろな戦争を経て今発展しています」というような事を言った上で、
3段落目にですね、やっと日本国民が出てくるんですが、
水野:やっと国民が出てきます。
伊藤:
はい。
それで、「日本国民は国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」
水野:自ら守り!!
伊藤:ここが、「国防の義務」のようなものに繋がる部分なんですね。
水野:「自ら守り」というのは言いようによったら、そうですね、
伊藤:
そしてさらにですね、
「基本的人権を尊重するとともに」と、
日本国民が人権を尊重するんだという事を言っているんですよ。
水野:えっ!?
さっき、憲法というのは権力側を縛るとおっしゃいませんでした?
伊藤:
そうそう。そうなんですよ。
ですから、私たち国民が国に「人権を守りなさいよ」というべきものなんですね。
人権を尊重するのは国の側の義務であり、責任であるはずなんですよ。
水野:今まではそうなんですね。今の憲法はそうなんですね。
伊藤:
それを、今度は逆に「国民が人権を尊重しろ!」と、こう言うんですね。
そしてさらに、「家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と。
水野:家族が助け合うという事まで書いてあるんですか!?
伊藤:
そうなんです。
ま、家族が助け合うのはね、これは道徳や倫理で当然だと思うんですけれども、
それを憲法の中で「助けあえ」となるんですね。
そして次の段落は、これもまたすごいんですが、
「我々は」っていうところから始まって、
「活力ある経済活動を通じて国を成長させる」って、こうなるんですね。
水野:は……
伊藤:
ですから、「私たちは国を成長させなくちゃいけないぞ」と。
国民ひとりひとりの幸せよりも、国の成長が表に出てくるんですね。
水野:はぁ~・・・・・
伊藤:
そして最後の段落は
「日本国民は良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、国交にこの憲法を制定する」
水野:国家を末永く
伊藤:継承するため
水野:子孫に継承するんですか?
伊藤:
そうなんです。
ですから、国を子孫に継承していくためにこの憲法を制定するんですよ。
国を続けるために憲法を制定するんですよ。
水野:国のためにっていう感じですね。
伊藤:
もうね、徹頭徹尾国のために憲法をつくり、
国のために「私たちが国を成長させて」という、そういう前文ですね。
水野:「国民」という文字が大分なんか減っているような感じがしますが。
伊藤:
そうなんです。ですから、
今の私たちの憲法は国民のための憲法、
国民の権利や自由や平和を守るための憲法というのは一貫しているんですが、
それが今度の自民党の改憲案は国のための憲法
国を成長させ、国を発展させるための憲法という、
そういう性質に、全く変わっちゃいましたね。
1条/天皇は「元首」
水野:
1条が天皇についての文章ですよね。
これも・・・
伊藤:
1条がですね、こんなふうに変わります。
「天皇は日本国の元首であり」と入るんですね。
水野:えぇっ!でも「日本国の象徴」っていうのは学校でイヤというほど教わったんですけど。
伊藤:
そうですね、「象徴」というのは、それも残っているんですけど、
その象徴のほかに「元首」という、
「元首」というのはヘッド・オブ・ステート、国の頭っていうかな、
その国で一番偉い人、国の代表というイメージが「元首」なんですけどね、
それが天皇ですということ。
水野:それは明治憲法の時じゃないんですか?
伊藤:
そうですね、明治憲法の時は「天皇は元首であり君主であり主権者であり」っていうかな、
要するに「天皇が一番偉いんですよ」というのが明治憲法でしたけれども、
あたかもそれに近付く様な言い方をしてるんですね。
ただ、外国から見ると、「天皇が日本の国を代表する」というふうに
実際には見られて、そう扱われることはあるんですけどね、
でも私たちの憲法では自ら「天皇が元首だよ」という事はあえて言わなかったんですね。
それは「元首」と言ってしまうと、なにか天皇が非常に高い所にいて、
「国民が主人公だ」というのとちょっと遠くなっちゃうところがありますんで。
あえてそういう言い方はしていなかったんですけれども、
それを明確に「元首」という事を言います。
つづくーー
2013年5月 3日【金】
憲法記念日~改憲でどうなる?本当のところを知りたい。
弁護士で日弁連憲法委員会副委員長、伊藤塾塾長の伊藤真さん
12:28~Youtube→http://youtu.be/65T-1-PHC-A?t=12m28s
水野:
今までのところ、「憲法と法律の違いはなにか」という非常にわかりやすいお話をして下さいました。
弁護士で日弁連憲法委員会副委員長、そして伊藤塾の塾長でいらっしゃいます伊藤真さんです。
リスナーから早速質問がきているんですが、
「自民党の改憲の草案というのは疑問点ばかりなんですよ。詳しく教えて下さい」
というふうにくださいました。
「安倍さんは『改憲を』とおっしゃいますが、具体的にじゃあ何を変えたいと思ってらっしゃるのか?」
自民党はもう草案を出しているんですね。
伊藤:そうなんです。
水野:
これを具体的にホンマのところを教えていただきたいと思います。
まず、最初からいきましょう!
この前文というもの、ここからいきなり変わるんでしょうか?
前文/国民のためから国のための憲法へ
伊藤:
そうなんです。
前文、「まえぶん」と書くんですけどね、
一条という条文の前に「憲法を何のためにつくるのか」というような、
憲法制定の目的などを書いたものが前文なんです。
今の私たちの憲法は「自由と平和を守るため」にこの憲法を確定しました。
というような事を、そこから始まるんですね。
ところが今回の自民党の改定草案は、何から始まるかな?というと、
「日本国は」というところから始まりまして、
「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であって」という、
まぁ、「この日本という国は天皇をいただく国家なんだ」という国家の紹介から始まります。
水野:
はぁ・・・、そこから始まるんですか!?
「天皇をいただく国家」っていうのは?
伊藤:
そういう表現になるんですね。
そして「いろいろな戦争を経て今発展しています」というような事を言った上で、
3段落目にですね、やっと日本国民が出てくるんですが、
水野:やっと国民が出てきます。
伊藤:
はい。
それで、「日本国民は国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」
水野:自ら守り!!
伊藤:ここが、「国防の義務」のようなものに繋がる部分なんですね。
水野:「自ら守り」というのは言いようによったら、そうですね、
伊藤:
そしてさらにですね、
「基本的人権を尊重するとともに」と、
日本国民が人権を尊重するんだという事を言っているんですよ。
水野:えっ!?
さっき、憲法というのは権力側を縛るとおっしゃいませんでした?
伊藤:
そうそう。そうなんですよ。
ですから、私たち国民が国に「人権を守りなさいよ」というべきものなんですね。
人権を尊重するのは国の側の義務であり、責任であるはずなんですよ。
水野:今まではそうなんですね。今の憲法はそうなんですね。
伊藤:
それを、今度は逆に「国民が人権を尊重しろ!」と、こう言うんですね。
そしてさらに、「家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」と。
水野:家族が助け合うという事まで書いてあるんですか!?
伊藤:
そうなんです。
ま、家族が助け合うのはね、これは道徳や倫理で当然だと思うんですけれども、
それを憲法の中で「助けあえ」となるんですね。
そして次の段落は、これもまたすごいんですが、
「我々は」っていうところから始まって、
「活力ある経済活動を通じて国を成長させる」って、こうなるんですね。
水野:は……
伊藤:
ですから、「私たちは国を成長させなくちゃいけないぞ」と。
国民ひとりひとりの幸せよりも、国の成長が表に出てくるんですね。
水野:はぁ~・・・・・
伊藤:
そして最後の段落は
「日本国民は良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、国交にこの憲法を制定する」
水野:国家を末永く
伊藤:継承するため
水野:子孫に継承するんですか?
伊藤:
そうなんです。
ですから、国を子孫に継承していくためにこの憲法を制定するんですよ。
国を続けるために憲法を制定するんですよ。
水野:国のためにっていう感じですね。
伊藤:
もうね、徹頭徹尾国のために憲法をつくり、
国のために「私たちが国を成長させて」という、そういう前文ですね。
水野:「国民」という文字が大分なんか減っているような感じがしますが。
伊藤:
そうなんです。ですから、
今の私たちの憲法は国民のための憲法、
国民の権利や自由や平和を守るための憲法というのは一貫しているんですが、
それが今度の自民党の改憲案は国のための憲法
国を成長させ、国を発展させるための憲法という、
そういう性質に、全く変わっちゃいましたね。
1条/天皇は「元首」
水野:
1条が天皇についての文章ですよね。
これも・・・
伊藤:
1条がですね、こんなふうに変わります。
「天皇は日本国の元首であり」と入るんですね。
水野:えぇっ!でも「日本国の象徴」っていうのは学校でイヤというほど教わったんですけど。
伊藤:
そうですね、「象徴」というのは、それも残っているんですけど、
その象徴のほかに「元首」という、
「元首」というのはヘッド・オブ・ステート、国の頭っていうかな、
その国で一番偉い人、国の代表というイメージが「元首」なんですけどね、
それが天皇ですということ。
水野:それは明治憲法の時じゃないんですか?
伊藤:
そうですね、明治憲法の時は「天皇は元首であり君主であり主権者であり」っていうかな、
要するに「天皇が一番偉いんですよ」というのが明治憲法でしたけれども、
あたかもそれに近付く様な言い方をしてるんですね。
ただ、外国から見ると、「天皇が日本の国を代表する」というふうに
実際には見られて、そう扱われることはあるんですけどね、
でも私たちの憲法では自ら「天皇が元首だよ」という事はあえて言わなかったんですね。
それは「元首」と言ってしまうと、なにか天皇が非常に高い所にいて、
「国民が主人公だ」というのとちょっと遠くなっちゃうところがありますんで。
あえてそういう言い方はしていなかったんですけれども、
それを明確に「元首」という事を言います。
つづくーー
「改憲でどうなる?本当のところを知りたい」文字起こし↓
1ー憲法と法律の違いはなに? 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
2ー前文/憲法制定の目的~1条/天皇 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
3ー九条/集団的自衛権/徴兵制 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
4ー13条/個人の尊重・公益及び公の秩序98条/緊急事態
5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
5完―96条/憲法改正の手続きの条文 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
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- 3ー九条/集団的自衛権/徴兵制 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- 2ー前文/憲法制定の目的~1条/天皇 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- 1ー憲法と法律の違いはなに? 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- <憲法改悪>「この自民党日本国憲法改正草案は、 基本的人権を明確に破壊するものです」福島瑞穂氏(社会民主党党首)5/3“5・3憲法集会2013”(内容書き出し)
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