報道するラジオ
2013年5月 3日【金】
憲法記念日~改憲でどうなる?本当のところを知りたい。
弁護士で日弁連憲法委員会副委員長、伊藤塾塾長の伊藤真さん
27:56~Youtube→http://youtu.be/65T-1-PHC-A?t=27m56s
13条/「個人」が「人」になると…
水野:9条はもっともっと深いんですけど、今日はいろんなお話を聞きたいんで、
13条というのも注目されているそうで。
伊藤:
13条はですね、
今の私たちの憲法13条は「すべて国民は個人として尊重される」と書いてあるんですね。
水野:個人。
伊藤:
「個人の尊重」
この意味はみんな一人ひとり同じように大切だよね。
でも、みんな違っていいんだよ。という、
「人は皆同じ、人は皆違う」というそんなイメージなんですけれどね。
「個人として」というのは、
かけがえのない一人一人、みんなそれぞれ違っていいし、二人として同じ人はいない。
「そういう個人として大切にしましょう」というのが今の13条なんですが、
それを今度は「人」として尊重される。
「個人」ではなく抽象的な「人」
水野:「個人」が「人」に代わって、何が変わるんですか?
伊藤:
これね、「人」っていうのはAさん、Bさん、Cさん、要するに名前で特定した一人一人、
水野晶子さん、伊藤真ですとかね、平野幸夫さんですとか、
一人ひとりみんな違うじゃないですか。
そういう個性を持ったかけがえのない一人ひとりとして尊重するんじゃなくて、
おおよそ「人」となりますから、
「伊藤真が兵隊で死んじゃったら今度は平野幸夫が変わりに行けばいいね」というふうに、
もうなんて言うのかな、モノと同じような、一人一人に着目されないようなことになっちゃうんですね。
公益及び公の秩序
水野:
それと自民党の草案には、
「公益及び公の秩序に反しない限り」この「人」として尊重されるとありますが、
伊藤:そういうことになります。
水野:「公の秩序に反しない限り」ってどういうことでしょう?
伊藤:
これ、「公益および公の秩序」というのは、
国益だとか、現在の社会秩序だとか、そういうものに一切反したらいけません。
ということになっちゃうんですね。
ですから、この「公益及び公の秩序を誰が決めるの?」って言うと、その時の政治家たちなんですよ。
水野:たとえばTPPは国益であって、
伊藤:そうです、そうそう、
水野:って言ったらそれで決まっちゃうんですか?
伊藤:
それに反対する事を言ったりしちゃいけませんよというのが21条とかね、その方に出てきちゃってて、
たとえば「原発推進です」という事を国が決めたとしたなら、
「原発推進」という、その国益に反したり、
「それが日本の秩序なんだ」ということを決められちゃうと、
それに反対をするような集会をしたりデモ行進をしたりだとか、
そういうものはもう簡単に規制されちゃうようになる。
水野:あぁ・・・
伊藤:
それからもっと言えば、たとえば夜中の12時以降はクラブでダンスはダメですよとかね、
朝までカラオケなんて、そんな風俗を乱すようなことは許しませんよ。っていう事を
国が法律で決めちゃったら、もう、一切文句は言えない。
「そもそもあなたの権利は公益や公の秩序の下でしか認められていないんだから」と
こう言われちゃうんですよ。
水野:はぁ・・・
たとえば、福島第一原発事故の時のSPEEDIに関してね、
「情報を何で出さなかったんだ」っていいますけど、
あれも「公の秩序だ」って言われたら…、
伊藤:
そうです。
「混乱させちゃうといけないから」とかね、
「人々がパニックになって秩序を乱しちゃう、乱れちゃうといけないから出しませんでした」
ということを大ぴらに、今度はできるようになっちゃう。
水野:憲法で。
伊藤:そうです。
水野:そうか…、普通の国民はそれを求める事が出来にくくなっていくんだ。
伊藤:
そうですね。
「国民としてもっと知らせてほしい」とかいうこともそうですし、
自分たちがいろんな情報を発信したりだとか、
ブログだとかツイッターだとか、フェイスブックだとか、
いろんなもので情報を発信したいという人も沢山いると思うんですね。
でもそれが「秩序を乱すようなことはダメですよ、一切だめですよ」ということにも、なりかねない。
水野:なりかねないですね。
伊藤:
非常になんか、息苦しいというか、重苦しい、
なんかそんな社会になっちゃうなと私は思うんですけどね。
98条/新しく付け足す「緊急事態」
水野:
あの、つぎつぎ、
私なんか知らない事ばっかりなんでね、もう、口をあけてビックリしている状況なんですけど、
98条というのも新しくつくるという話が自民党では出ているそうで、
伊藤:98条は、まるまる1章「緊急事態」という章を1個付け足すんですね。
水野:第9章「緊急事態」
伊藤:はい
水野:
内閣総理大臣は我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱、
地震等による大規模な自然災害、その他の法律で定める緊急事態に於いて、
特に必要と認める時に法律の定めるところにより閣議にかけて、
「緊急事態の宣言」を発する事が出来る。
伊藤:はい。
水野:「外部からの武力攻撃、内乱」なんて言うのもあるんですか!
伊藤:ま、いろいろ書いてありますけどね。
水野:あるいは「社会秩序の混乱」でも緊急事態を宣言できるっていう意味ですね。
伊藤:
そうです。
しかも、「その他法律で定める緊急事態」ですから、
水野:あ、本当や!
伊藤:法律でなんでも「緊急事態」と、
水野:えぇっ!
伊藤:
決められちゃうんですよ。
で、この「緊急事態」というのは何者なのかというのを知っておかないといけないんですけどね、
これは次の99条というところの1項で、
「緊急事態の宣言が発せられるときは、
法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる」
水野:どういう意味ですか?
伊藤:難しいんですけどね、法律をつくるのは、普通は国会じゃないですか。
水野:そりゃそうですよね。
伊藤:
国会が法律をつくりますよね。
ところが、これによって内閣が法律と同じような政令、
つまり、内閣が法律をつくれる
水野:えーーっ!
伊藤:国会じゃなくて、内閣が作れるんです。
水野:そんなんじゃ反対する人いませんやん。
伊藤:
内閣がね、もう何でも自由に作れますよ。
どんな法律でも自由に作って良いですよ。
そういうのがこの99条1項。
それから、
水野:緊急事態になったら、内閣が
伊藤:内閣が立法権を持っちゃうんです。
水野:そしたら、いくら野党が「あかん」って言ったって、
伊藤:そうです。緊急事態なんだから
水野:どんどん作れるんですね。
伊藤:
緊急事態なんだから財政上の支出もできる。
緊急事態だからお金も使える。
水野:お金も使えるんだ!内閣が決めたら使えるんだ。
伊藤:
それから、さらにその(99条)3項で、
内閣がいろいろと国民に指示しますから、国民はそれに従わなくちゃいけなくなる。
水野:そんな義務まで付いてるんですか!?
伊藤:
付いてます。
それで、いろんな人権が様々制限されます。
水野:制限してもいいんですか、国が。
伊藤:
たとえば、「緊急事態だからツイッター2週間禁止」
「インターネット2週間禁止」
「デマが飛びかうとかえってまずいからインターネットは2週間禁止です」
なんていう事が自由にできてしまう。
水野:えぇぇ~、でも、そんな緊急事態が宣言できるって言うたら、よほどの事でしかできませんでしょ?
伊藤:
そうなるんですけれども、
本当はよっぽどの事とじゃなければいけない筈なんだけれども、
この憲法のもとでは、法律で定めたなら何でもいいですよという事になっちゃうんですよね。
なっちゃってるんですよ。
そもそもね、この「緊急事態」っていうのは、たいがいの国にあるんです。
こういう条文というのは。
それがただ、たいがいの国というのはほとんどそうなんですが、
戦争を前提にしてるんですよ。
戦争の時に緊急事態だから、
「ちょっと制限しますよ」と「立法権は内閣が持ちますよ」「大統領が持ちますよ」と、
そういうものなんですね。
言葉を換えれば、戦争する国は緊急事態があります。
日本の憲法に無いのは、「戦争をしない」という憲法だから、
今の憲法には「緊急事態」が無いんです。
前の明治憲法には、戦争する条文も軍隊も明治憲法にはありました。
だから緊急事態もちゃんとありました。
だからこの緊急事態は戦争する国かどうかで緊急事態があるかどうか
水野:そうか!
伊藤:
ですから、3.11のね、あの災害のときの緊急事態の対応が必要だというのとは、
それはちょっと違うんですよね。
水野:違う意味ですよね。
伊藤:
災害対策の緊急事態は法律でほぼ万全に対応出来ます。
ですからあえて憲法に入れる必要はないんですね。
憲法の緊急事態は、ほとんどの全ての国は戦争を想定した緊急事態。
それを日本も入れましょう。
なぜならば、さっき9条で言ったように、
「普通に戦争が出来る普通の国にしますから」ということなんですよね。
水野:ん・・・
伊藤:
先ほどね、自衛隊と軍隊の違いってあんまりはっきり言えなかったんですけれども、
「軍隊」っていうのは、もう海外に出て普通に戦争が出来るんですね。
で、人を殺すこともできちゃうのが普通の軍隊。
今の自衛隊はそれをできません。
で、海外に出て言って普通に戦争をし、集団的自衛権とか、多国籍軍に参加して、
という事をやると、当然敵の国からは「日本は敵だ」という事で、
攻撃の、標的の的になる訳ですよね。
場合によってはテロの標的になるかもしれません。
この前のボストンじゃないですけれども、
「何が起こるか分からないよ」っていう国になっちゃうんですよ、日本が。
ですから、お友達を守ろうというのは、ま、いいんだけれども、
でもお友達を守る結果、自分の家族が逆に殺されちゃうような事になる時にはね、
いくらお友達でも「ちょっと勘弁して」
「あなたを助けたいんだけれども、でもあなたを助けるとうちの家族が殺されちゃうんだ」
「だからごめんね」っていうのが普通だと思うんですよ。
そんなときにね、
「お前の家族よりも俺の方を助けろよ」
なんていうふうに言ってくる友達はね、本当の友達じゃないと私なんかは思うんですよね。
水野:
これ、緊急事態の宣言というところね、
私今手元に、この自民党の草案というのを手にしましたけど、
そしたら「内乱などによる社会秩序の混乱」っていうこともあるから、
何が社会秩序を混乱させているか?って言うのを決めるのは誰なんですか?
伊藤:それはもう政府ですよ。国です。
水野:政府が社会秩序の混乱だと思ったら混乱なんですね。
伊藤:
そういうことです。
それで、「緊急事態だ」って言って「国防軍」を出動させるとか、
緊急事態だからいろんな人権を制限しますよと、
水野:
た、たとえばですよ。
反原発・脱原発でデモをしてらっしゃる方々。
首相官邸前が続いていますよね。
その時に自動車の通行の制限って一部あると思うんですよ。
たとえばそれを「混乱」とみなすという事はあり得るんですか?
伊藤:
その制限を、たとえば「脱原発のデモ行進は四列にして下さいね」とたとえば国から言われた。
それがちょっと人数が多くなってワッと車道にまで出ちゃったりとかね。
ちょっと乱れた形になったりすると、
「これは社会秩序の混乱だ」というふうに言われかねない事はありますよね。
水野:ああ!そういう可能性、恐れが出ている
伊藤:
それがもっとワーッと大きくなって、何十万という人が集まっちゃって、
もう収集がつかなくなりそうだということになると、
それこそ国防軍の発動とか緊急事態の宣言だとかになりかねない。
水野:またこの緊急事態の宣言は、なんか国会の承認も事後でもいいんですね。
伊藤:そういう事になります。事後承認。
水野:事後承認でもいいんですか?
伊藤:
そうなんですよ。
こんな、事後承認なんていう国はないと思いますね。
基本的には国会の承認なり、とにかく極めて例外的な話ですから、
厳しく厳しく憲法で縛らなければいけないのに、
ちょっとこの自民党の緊急事態はザルのような感じですね。
水野:
「緊急事態の宣言がはせられた場合は、なん人も、国や公の機関の指示に従わなければならない」
って書いてありますよ。
伊藤:そうです。
水野:これは、国民を縛る側の文言になるわけですか?
伊藤:
そういうことになります。
だから、こうしなさい、ああしなさいと言われたら従わなければならない。
それと、さっき言ったようにインターネットやなんだかも、出版もそう、ラジオもちょっと一時停止、
ラジオの中身は事前に国がチェックします。
検閲みたいなものもできるという事です。
水野:ただ、こうした具体的なところの話は全然表には出てきてないですよね。
伊藤:
ま、自民党の人達に言わせれば、
「これは去年の四月に発表してますから」っていうことでしょうね。
「誰でもインターネットで見れるんですよ」
ーーつづく
2013年5月 3日【金】
憲法記念日~改憲でどうなる?本当のところを知りたい。
弁護士で日弁連憲法委員会副委員長、伊藤塾塾長の伊藤真さん
27:56~Youtube→http://youtu.be/65T-1-PHC-A?t=27m56s
13条/「個人」が「人」になると…
水野:9条はもっともっと深いんですけど、今日はいろんなお話を聞きたいんで、
13条というのも注目されているそうで。
伊藤:
13条はですね、
今の私たちの憲法13条は「すべて国民は個人として尊重される」と書いてあるんですね。
水野:個人。
伊藤:
「個人の尊重」
この意味はみんな一人ひとり同じように大切だよね。
でも、みんな違っていいんだよ。という、
「人は皆同じ、人は皆違う」というそんなイメージなんですけれどね。
「個人として」というのは、
かけがえのない一人一人、みんなそれぞれ違っていいし、二人として同じ人はいない。
「そういう個人として大切にしましょう」というのが今の13条なんですが、
それを今度は「人」として尊重される。
「個人」ではなく抽象的な「人」
水野:「個人」が「人」に代わって、何が変わるんですか?
伊藤:
これね、「人」っていうのはAさん、Bさん、Cさん、要するに名前で特定した一人一人、
水野晶子さん、伊藤真ですとかね、平野幸夫さんですとか、
一人ひとりみんな違うじゃないですか。
そういう個性を持ったかけがえのない一人ひとりとして尊重するんじゃなくて、
おおよそ「人」となりますから、
「伊藤真が兵隊で死んじゃったら今度は平野幸夫が変わりに行けばいいね」というふうに、
もうなんて言うのかな、モノと同じような、一人一人に着目されないようなことになっちゃうんですね。
公益及び公の秩序
水野:
それと自民党の草案には、
「公益及び公の秩序に反しない限り」この「人」として尊重されるとありますが、
伊藤:そういうことになります。
水野:「公の秩序に反しない限り」ってどういうことでしょう?
伊藤:
これ、「公益および公の秩序」というのは、
国益だとか、現在の社会秩序だとか、そういうものに一切反したらいけません。
ということになっちゃうんですね。
ですから、この「公益及び公の秩序を誰が決めるの?」って言うと、その時の政治家たちなんですよ。
水野:たとえばTPPは国益であって、
伊藤:そうです、そうそう、
水野:って言ったらそれで決まっちゃうんですか?
伊藤:
それに反対する事を言ったりしちゃいけませんよというのが21条とかね、その方に出てきちゃってて、
たとえば「原発推進です」という事を国が決めたとしたなら、
「原発推進」という、その国益に反したり、
「それが日本の秩序なんだ」ということを決められちゃうと、
それに反対をするような集会をしたりデモ行進をしたりだとか、
そういうものはもう簡単に規制されちゃうようになる。
水野:あぁ・・・
伊藤:
それからもっと言えば、たとえば夜中の12時以降はクラブでダンスはダメですよとかね、
朝までカラオケなんて、そんな風俗を乱すようなことは許しませんよ。っていう事を
国が法律で決めちゃったら、もう、一切文句は言えない。
「そもそもあなたの権利は公益や公の秩序の下でしか認められていないんだから」と
こう言われちゃうんですよ。
水野:はぁ・・・
たとえば、福島第一原発事故の時のSPEEDIに関してね、
「情報を何で出さなかったんだ」っていいますけど、
あれも「公の秩序だ」って言われたら…、
伊藤:
そうです。
「混乱させちゃうといけないから」とかね、
「人々がパニックになって秩序を乱しちゃう、乱れちゃうといけないから出しませんでした」
ということを大ぴらに、今度はできるようになっちゃう。
水野:憲法で。
伊藤:そうです。
水野:そうか…、普通の国民はそれを求める事が出来にくくなっていくんだ。
伊藤:
そうですね。
「国民としてもっと知らせてほしい」とかいうこともそうですし、
自分たちがいろんな情報を発信したりだとか、
ブログだとかツイッターだとか、フェイスブックだとか、
いろんなもので情報を発信したいという人も沢山いると思うんですね。
でもそれが「秩序を乱すようなことはダメですよ、一切だめですよ」ということにも、なりかねない。
水野:なりかねないですね。
伊藤:
非常になんか、息苦しいというか、重苦しい、
なんかそんな社会になっちゃうなと私は思うんですけどね。
98条/新しく付け足す「緊急事態」
水野:
あの、つぎつぎ、
私なんか知らない事ばっかりなんでね、もう、口をあけてビックリしている状況なんですけど、
98条というのも新しくつくるという話が自民党では出ているそうで、
伊藤:98条は、まるまる1章「緊急事態」という章を1個付け足すんですね。
水野:第9章「緊急事態」
伊藤:はい
水野:
内閣総理大臣は我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱、
地震等による大規模な自然災害、その他の法律で定める緊急事態に於いて、
特に必要と認める時に法律の定めるところにより閣議にかけて、
「緊急事態の宣言」を発する事が出来る。
伊藤:はい。
水野:「外部からの武力攻撃、内乱」なんて言うのもあるんですか!
伊藤:ま、いろいろ書いてありますけどね。
水野:あるいは「社会秩序の混乱」でも緊急事態を宣言できるっていう意味ですね。
伊藤:
そうです。
しかも、「その他法律で定める緊急事態」ですから、
水野:あ、本当や!
伊藤:法律でなんでも「緊急事態」と、
水野:えぇっ!
伊藤:
決められちゃうんですよ。
で、この「緊急事態」というのは何者なのかというのを知っておかないといけないんですけどね、
これは次の99条というところの1項で、
「緊急事態の宣言が発せられるときは、
法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる」
水野:どういう意味ですか?
伊藤:難しいんですけどね、法律をつくるのは、普通は国会じゃないですか。
水野:そりゃそうですよね。
伊藤:
国会が法律をつくりますよね。
ところが、これによって内閣が法律と同じような政令、
つまり、内閣が法律をつくれる
水野:えーーっ!
伊藤:国会じゃなくて、内閣が作れるんです。
水野:そんなんじゃ反対する人いませんやん。
伊藤:
内閣がね、もう何でも自由に作れますよ。
どんな法律でも自由に作って良いですよ。
そういうのがこの99条1項。
それから、
水野:緊急事態になったら、内閣が
伊藤:内閣が立法権を持っちゃうんです。
水野:そしたら、いくら野党が「あかん」って言ったって、
伊藤:そうです。緊急事態なんだから
水野:どんどん作れるんですね。
伊藤:
緊急事態なんだから財政上の支出もできる。
緊急事態だからお金も使える。
水野:お金も使えるんだ!内閣が決めたら使えるんだ。
伊藤:
それから、さらにその(99条)3項で、
内閣がいろいろと国民に指示しますから、国民はそれに従わなくちゃいけなくなる。
水野:そんな義務まで付いてるんですか!?
伊藤:
付いてます。
それで、いろんな人権が様々制限されます。
水野:制限してもいいんですか、国が。
伊藤:
たとえば、「緊急事態だからツイッター2週間禁止」
「インターネット2週間禁止」
「デマが飛びかうとかえってまずいからインターネットは2週間禁止です」
なんていう事が自由にできてしまう。
水野:えぇぇ~、でも、そんな緊急事態が宣言できるって言うたら、よほどの事でしかできませんでしょ?
伊藤:
そうなるんですけれども、
本当はよっぽどの事とじゃなければいけない筈なんだけれども、
この憲法のもとでは、法律で定めたなら何でもいいですよという事になっちゃうんですよね。
なっちゃってるんですよ。
そもそもね、この「緊急事態」っていうのは、たいがいの国にあるんです。
こういう条文というのは。
それがただ、たいがいの国というのはほとんどそうなんですが、
戦争を前提にしてるんですよ。
戦争の時に緊急事態だから、
「ちょっと制限しますよ」と「立法権は内閣が持ちますよ」「大統領が持ちますよ」と、
そういうものなんですね。
言葉を換えれば、戦争する国は緊急事態があります。
日本の憲法に無いのは、「戦争をしない」という憲法だから、
今の憲法には「緊急事態」が無いんです。
前の明治憲法には、戦争する条文も軍隊も明治憲法にはありました。
だから緊急事態もちゃんとありました。
だからこの緊急事態は戦争する国かどうかで緊急事態があるかどうか
水野:そうか!
伊藤:
ですから、3.11のね、あの災害のときの緊急事態の対応が必要だというのとは、
それはちょっと違うんですよね。
水野:違う意味ですよね。
伊藤:
災害対策の緊急事態は法律でほぼ万全に対応出来ます。
ですからあえて憲法に入れる必要はないんですね。
憲法の緊急事態は、ほとんどの全ての国は戦争を想定した緊急事態。
それを日本も入れましょう。
なぜならば、さっき9条で言ったように、
「普通に戦争が出来る普通の国にしますから」ということなんですよね。
水野:ん・・・
伊藤:
先ほどね、自衛隊と軍隊の違いってあんまりはっきり言えなかったんですけれども、
「軍隊」っていうのは、もう海外に出て普通に戦争が出来るんですね。
で、人を殺すこともできちゃうのが普通の軍隊。
今の自衛隊はそれをできません。
で、海外に出て言って普通に戦争をし、集団的自衛権とか、多国籍軍に参加して、
という事をやると、当然敵の国からは「日本は敵だ」という事で、
攻撃の、標的の的になる訳ですよね。
場合によってはテロの標的になるかもしれません。
この前のボストンじゃないですけれども、
「何が起こるか分からないよ」っていう国になっちゃうんですよ、日本が。
ですから、お友達を守ろうというのは、ま、いいんだけれども、
でもお友達を守る結果、自分の家族が逆に殺されちゃうような事になる時にはね、
いくらお友達でも「ちょっと勘弁して」
「あなたを助けたいんだけれども、でもあなたを助けるとうちの家族が殺されちゃうんだ」
「だからごめんね」っていうのが普通だと思うんですよ。
そんなときにね、
「お前の家族よりも俺の方を助けろよ」
なんていうふうに言ってくる友達はね、本当の友達じゃないと私なんかは思うんですよね。
水野:
これ、緊急事態の宣言というところね、
私今手元に、この自民党の草案というのを手にしましたけど、
そしたら「内乱などによる社会秩序の混乱」っていうこともあるから、
何が社会秩序を混乱させているか?って言うのを決めるのは誰なんですか?
伊藤:それはもう政府ですよ。国です。
水野:政府が社会秩序の混乱だと思ったら混乱なんですね。
伊藤:
そういうことです。
それで、「緊急事態だ」って言って「国防軍」を出動させるとか、
緊急事態だからいろんな人権を制限しますよと、
水野:
た、たとえばですよ。
反原発・脱原発でデモをしてらっしゃる方々。
首相官邸前が続いていますよね。
その時に自動車の通行の制限って一部あると思うんですよ。
たとえばそれを「混乱」とみなすという事はあり得るんですか?
伊藤:
その制限を、たとえば「脱原発のデモ行進は四列にして下さいね」とたとえば国から言われた。
それがちょっと人数が多くなってワッと車道にまで出ちゃったりとかね。
ちょっと乱れた形になったりすると、
「これは社会秩序の混乱だ」というふうに言われかねない事はありますよね。
水野:ああ!そういう可能性、恐れが出ている
伊藤:
それがもっとワーッと大きくなって、何十万という人が集まっちゃって、
もう収集がつかなくなりそうだということになると、
それこそ国防軍の発動とか緊急事態の宣言だとかになりかねない。
水野:またこの緊急事態の宣言は、なんか国会の承認も事後でもいいんですね。
伊藤:そういう事になります。事後承認。
水野:事後承認でもいいんですか?
伊藤:
そうなんですよ。
こんな、事後承認なんていう国はないと思いますね。
基本的には国会の承認なり、とにかく極めて例外的な話ですから、
厳しく厳しく憲法で縛らなければいけないのに、
ちょっとこの自民党の緊急事態はザルのような感じですね。
水野:
「緊急事態の宣言がはせられた場合は、なん人も、国や公の機関の指示に従わなければならない」
って書いてありますよ。
伊藤:そうです。
水野:これは、国民を縛る側の文言になるわけですか?
伊藤:
そういうことになります。
だから、こうしなさい、ああしなさいと言われたら従わなければならない。
それと、さっき言ったようにインターネットやなんだかも、出版もそう、ラジオもちょっと一時停止、
ラジオの中身は事前に国がチェックします。
検閲みたいなものもできるという事です。
水野:ただ、こうした具体的なところの話は全然表には出てきてないですよね。
伊藤:
ま、自民党の人達に言わせれば、
「これは去年の四月に発表してますから」っていうことでしょうね。
「誰でもインターネットで見れるんですよ」
ーーつづく
「改憲でどうなる?本当のところを知りたい」文字起こし↓
1ー憲法と法律の違いはなに? 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
2ー前文/憲法制定の目的~1条/天皇 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
3ー九条/集団的自衛権/徴兵制 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
4ー13条/個人の尊重・公益及び公の秩序98条/緊急事態
5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
5完―96条/憲法改正の手続きの条文 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
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- 5完―96条/憲法改正の手続きの条文 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- 4ー13条/個人の尊重・公益及び公の秩序98条/緊急事態 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- 3ー九条/集団的自衛権/徴兵制 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- 2ー前文/憲法制定の目的~1条/天皇 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
- 1ー憲法と法律の違いはなに? 5/3報道するラジオ 伊藤真弁護士(文字起こし)
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コメント
きーこ様、書き起こしありがとう。
読んで、びっくり・ビックリ・吃驚!
国民を大事に思っていてくれていない・・・・(涙)
国民に対する
哀憐の情はないのかしら?
信頼感はないのかしら?
自民党さん。
国民を、縛れば縛るほど、国が衰えていくのは、旧ソ連や北朝鮮を見れば、判ることなのに・・・・。
いったい、何をしたいのか?自民党さん。
訳わかんなくて、目が、ぐるぐるしちゃいます。
読んで、びっくり・ビックリ・吃驚!
国民を大事に思っていてくれていない・・・・(涙)
国民に対する
哀憐の情はないのかしら?
信頼感はないのかしら?
自民党さん。
国民を、縛れば縛るほど、国が衰えていくのは、旧ソ連や北朝鮮を見れば、判ることなのに・・・・。
いったい、何をしたいのか?自民党さん。
訳わかんなくて、目が、ぐるぐるしちゃいます。
ナウ | 2013.05.06 23:46 | 編集
非常に危険な憲法創案!
自民党政権による ファシズム政権の誕生になる
国民主権から国家主権へ 非常に恐ろしい国になる 世界人権宣言をも陵辱する
自民党政権による ファシズム政権の誕生になる
国民主権から国家主権へ 非常に恐ろしい国になる 世界人権宣言をも陵辱する
リベラリスト | 2013.05.07 18:05 | 編集