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06.02
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ラジオフォーラム

第21回放送 憲法について考える
    放送日:6月1日(土)~7日(金)
    ゲスト:石坂啓さん(漫画家)
    パーソナリティ:湯浅誠(社会活動家)

小出裕章ジャーナル




湯浅:
基礎知識編という事で、
今日は「放射能のゴミって何ですか?」っていう事でちょっとお伺いしたいんですけれども、
放射能のゴミと一口で言ってもそれはいろんな種類のものがあって、
それがどこから出るのか?というのもそれぞれの部署というか箇所みたいなのがあって、
報道なんかでも「高レベルだ」「低レベルだ」といろいろ言われているんですけど、
それがどんなものがあって、どんな問題があるのかというのを改めて教えていただきたいと思うんですけど、
まず、いわゆるその「放射性廃棄物」というのはどんなものなのですか?


小出:
いま湯浅さんがおっしゃって下さったように、多種多様なゴミが出てきます。
で、一番問題なのは、私たちが電気が欲しいとして原子力発電所を動かしてしまう訳ですが、
そうするとウランを核分裂させる。
そうなると核分裂生成物という放射性物質が大量に出てきてしまいます。
もともとウランが持っていた放射能の10億倍にも放射能が膨れ上がってしまう。

湯浅:10億倍!

小出:
はい。ということになります。
それは基本的には使用済み燃料というものの中に残ってくるのですが、
原子力発電所も機械ですので、様々な形であちこちから漏れてくる訳で、
それが全て放射能のゴミとして日常的にも出てくる訳ですし、
最後には今聞いていただいた使用済みの核燃料というものが、
本当にどうしたらいいか分からない放射能のゴミとして残ってしまうというものです。

湯浅:固体もあれば液体もあるという事なんだと思いますけど。

小出:そうです。

湯浅:
ある意味では、今回の汚染水っていう奴も、放射能のゴミという事になると思うんですけれども、
今日のゲストの石坂さんが、ちょっとそれについてぜひ小出さんに伺いたいっていうことがあって、

石坂:
私はですね、やっぱり福島で汚染水を、もう海に流すのもやむなしで、
漁連の関係の方達にもですね、了解を得ることにするという事の内容だったんですけれども、
もうこれはやはり、致し方ないというか、他に選択がなかった状況なんでしょうか?

小出:
えーー、難しいご質問です。
私は事故が起きた直後から、原子炉建屋の周辺に深い遮水壁を張り巡らせて、
溶けてしまった原子炉と地下水などが接触しないようにしなければいけないと発言をし続けてきたのですが、
東京電力も国もその手段を一切取らないまま、
汚れてしまっている原子炉建屋と地下水が、
もう、渾然一体となってしまっている状態になっているのです。

ですからどんどん汚染水が膨れ上がってしまって、
おそらく今の状態でいけば、本当に近い将来に、汚染水を海へ流す以外には無くなると私は思います。
こうなってしまうと、多分それしか手の打ちようがないと思うのですが、
それでも、できる事であれば今からでも遮水壁というものをつくって、汚染水を減らすべきだと思います。


湯浅:
小出さん、私も覚えているんですが、
原発事故のあった年に、かなり早い時期でしたよね、4月とか、

小出:はい、5月から私はこの発言をしています。

湯浅:
はい、おっしゃっていましたね。
あれはちょっとその、地価のイメージというのが私らみたいな素人にはいまいちイメージできないんですけど、
その、遮水壁というのはかなり分厚いコンクリートの板を、
ダーン、ダーンと、囲むように入れるべきだっていうお話だったんですよね?


小出:
そうです。
原子炉建屋の周囲を囲むように、地下に10m、20mぐらいのコンクリートの壁を張り巡らせて、
周辺の地下水と遮断するという事を私は提案しました。

石坂:
でも、それがあるだけでもイメージ的、絵的なイメージなんですけれども、
ずいぶん違う気がしますよね。

小出:
はい。
多分、当時それをやっていれば今のように困った事態には陥らないで済んだと思います。

石坂:
私たちはいろいろと不安を口にしたりですね、不満を言ったりすることができるんですけれども、
もう、実際にそこで生活されている漁連の方たちなんて、もう、本当にもう、
何でしょうか、抵抗の仕様が無いというか、悔しい思いをされていると思うんですけど、

小出:
はい。
当然そうだろうと思います。
漁を自粛しなければいけないという形に追い込まれてすでに2年経ってしまっているわけで、
漁民の方から漁を奪ってしまうという事は、
要するにもう、人間として生きていられないというそういう状態になってしまっている筈ですので、
大変なことだと思いますし、
陸の方で言えば農民の人達は土地そのものを奪われて、追い出されてしまっているという状況なわけですから、
もっともっとみなさんこの現実というのを知ってほしいと思います。

湯浅:
それで小出さんはさっき「遮水壁は今からでも」とおっしゃったけど、
いまはもう混ざっちゃっている状態で、それでもまぁ入れることは、
要するにこれ以上新たに入れた水が漏れださないという事で意味があるだろうと、

小出:
そうですね。
いまはもう毎日400トンぐらいずつ増えてきているのですけれども、
それを少しでも減らして、持ちこたえられる期間を先に延ばす。
そしてその間に何がしかの打つ手を探すという位の事はできるだろうと思います。

湯浅:
あの、最後にもう1個聞いてもいいですかね?
最終処分が出来ないまま、日本も核燃料サイクルが挫折していますけど、
そういう中で「トイレのないマンション」と言われ、
トイレのないマンションを輸出しようとしたら「冗談じゃない」って、
普通は、ま、そういう話になりますよね?

小出:そうですね。

湯浅:
だから住宅だとそうなるんだけど、原発なら受け入れましょうという、
ま、やって下さいとなりかねる国が現実にあるというのは、
その国の政府としてみると、
日本はそれでもどうしても、トイレのないマンションなんだけどやりたいっていうのは、
どこかでやっぱり核武装したいという気持ちがあるからだっていう話がありますよね。


小出:はい、私はそう思います。

湯浅:
他の、日本からの原発輸出を受け入れると言っている国も「あわよくば」という、そういう、
いわば色気があるから「トイレのないマンションだけど受け入れましょう」ってなるんでしょうかね?

小出:日本もそうだった訳ですし、世界はどの国もそうだと思います。

石坂:
あの、本当に、日本の人達にもう一回、
手塚治虫の「火の鳥」を読んでいただきたいなと思いました。

小出:はい、私もそう思います。

湯浅:ありがとうございました。

小出:ありがとうございました。


ーーー

<やっと遮水壁>
でも、この遮水壁は小出先生がおっしゃっているのとちょっと違う?






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