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06.23
Sun
ラジオフォーラム
第24回放送 従軍慰安婦問題を考える
    放送日:6月15日(土)~22日(金)
    ゲスト:趙博(チョウバク)さん(歌手)
    パーソナリティ:西谷文和(ジャーナリスト)

小出裕章ジャーナル


西谷:
小出さん、今日は「プルサーマル計画とMOX燃料」
この特集をしたいと思うんですが、
関西電力が高浜原発3号機で導入されているプルサーマル向けの、いわゆるMOX燃料。
プルトニウム、ウラン混合産物ですね。
これをフランスから海上輸送していてですね、6月下旬に日本に到着すると発表しているんですよ。


小出:そうですね。

西谷:
もしかするとこの放送がオンエアされている時にはもう、日本に着いているかもしれない訳ですが、
ここで、リスナーから質問がきています。
48歳女性からの質問ですが、
「現在日本に運ばれているMOX燃料や、プルサーマル計画についてもう一度詳しく教えて下さい」
ということなんですが、先生どうでしょうか?これ。


小出:
プルサーマルという名前ですけれども、
「プル」というのはプルトニウムの事です。
「サーマル」というのはいわゆる熱という日本語の

西谷:サーマルは熱ですね。

小出:はい。
つまり、「プルトニウムを現在使っている普通の原子力発電所で燃やしてしまおう」という計画の事です。

西谷:
普通の原子炉は「ウラン」を燃やすという事で設計されているけれど、
その普通の原子炉で、プルトニウムを混ぜたもの、つまりMOX燃料を燃やすと

小出:もちろん危険は増加します。

西谷:
ただでさえ危険な原子炉に、さらに危険度をUPさせて、無理やりプルサーマルをするというのは
やはり、プルトニウムを燃やさないと都合が悪いという事でしょうか?

小出:そうです。
プルトニウムというのは原爆の材料に使った物質なのです。
それをこの日本という国では「原子炉で燃やす」という事をずーっと言ってきました。
ただし、その原子炉と言っても普通の原子力発電所でプルトニウムを燃やすというのは
今聞いていただいたように危険な事なのであって、
日本というこの国が言ってきたのは、高速増殖炉という、

西谷:もんじゅですね。

小出:そうです。
日本ではもんじゅという、実験炉という小ちゃなものをつくろうとして、
未だに動いてもいないのですけれども、
そういう形の原子炉で燃やすための燃料だとして、イギリスとフランスに頼んで、
日本の原子力発電所で生まれたプルトニウムを分離して取り出してもらってきたのです。
しかしもんじゅはもちろん動いていませんし、
他の高速増殖炉も一台もありませんので、
「分離してしまったプルトニウムを燃やす手段が日本にはない」のです。

それなのにプルトニウムは原爆の材料な訳ですから、
日本というこの国が使い道の無いプルトニウムを取り出してしまって懐に入れてしまったという
状態になっているのです。


西谷:
という事は国際社会に「これはあなたのところで核兵器をつくるつもりなのか」と疑われないためにも、
燃やさざるを得ないという事ですか?

小出:そうです。
リスナーのみなさんはこの日本という国が、
いわゆる世界のほかの国々からどのようにみられているか?という事を、
どうお考えになっているのかな?と私は思いますけれども、
世界の国々は、日本というこの国がそんなに立派な国だとは思っていないのですね。
何十年か前までアジアの国々に侵略をして、沢山の人々に苦難を味あわせた国だった訳だし、
今現在も「平和利用だ」と言いながら、
原爆材料になるプルトニウムを着々と懐に入れてきて、


西谷:40トンぐらいあるとか。

小出:はい、現在45トンあって、

西谷:45トンもある

小出:はい。
それで長崎の原爆をつくろうとすれば4000発も出来てしまうと言うほどのプルトニウム

西谷:4000発ですか

小出:はい。すでに懐に入れてしまっているんです。

西谷:
だから自民党の石破さんがね、
「プルトニウムを持っているだけで潜在的な抑止力になる」とおっしゃってましたね。

小出:そうです、はい。

西谷:いみじくも。

小出:
石破さんもそうですし、自民党というその政党が日本の原子力をずっと進めてきたわけですけれども、
一番初めから、平和利用と標榜しながら「実はプルトニウムを持ちたかった」というのが
彼らの狙いだったのです。

そんな事を、でも、世界の国々が許してくれる訳はないわけで、
「日本の国は使い道のないプルトニウムは持たない」という国際公約をさせられたのです。

西谷:そういうことは無理矢理でもプルサーマルをやっておかなきゃいけないという…。

小出:そうです。
もうどうにもならなくなって、危険なことは承知だし、
やればやるだけ経済的に損をするということも分かっているのですが、
もうどうしようもなくなって燃やすしかない。
危険を承知で普通の原子力発電所で燃やしてしまおうという所に追い込まれてしまったのです。

西谷:
このMOX燃料を、本来なら日本で作れると僕は思っていたんですけれども、
フランス、イギリスへ頼んでいるという事は、日本の技術では作れないという事ですか?


小出:もちろんそうです。
もともと、使用済みの燃料というのが原子力発電所から出てくるのですけれども、
その使用済みの燃料の中からプルトニウムを取り出すという作業を私たちは再処理と呼んでいます。
その仕事というのは原爆材料になるプルトニウムを取り出すために、
「どうしてもやらざるを得なかった」から開発された技術です。
核保有国はどうしてもみな再処理という事をやったのですが、
再処理工場の周辺では、猛烈な環境汚染をどこの国でも起こしています。
大変危険な技術で、日本という国でも六ケ所村でやろうといましているのですけれども、
日本というこの国の手では負えないという事で、なかなか動く事が出来ないのが現在なのです。


西谷:
もうひとつ、使用済み核燃料棒が、非常に処理がね、ガラス固化体にしてとかという事なんですけど、
普通の原子炉から出てくる使用済み核燃料棒と、
プルサーマルから出てくる使用済み核燃料棒はやっぱり違うんですか?

小出:ちがいます。

西谷:やっぱり、厄介ですか?

小出:
一度プルサーマルという事をやってプルトニウムの燃料を燃やしてしまいますと
私たちが超ウラン元素と呼んでいる特別に寿命の長い放射性物質

西谷:超ウラン元素

小出:
超ウラン元素というのですが、ウランを超えるというような。
ウランというのは自然界にある一番重たい元素なんですけれども、


西谷:プルトニウムは超ウランですよね?

小出:
そうです。
プルトニウムも超ウランですし、プルトニウムよりももっと重たいキューリウムとか、
そういうような原子核が沢山その使用済み燃料の中に溜まってきてしまうのです。
それの取り扱いは大変厄介ですし、寿命が長いので、
再処理をするにしても、ガラス固化にするにしても、
今までやってきたような時間の長さでは到底できないで、
何十年も、まずは原子力発電所の中で冷やしておかなければならない。

西谷:またこれ、子々孫々までツケを後回しにするという事ですね。

小出:
そうです。
日本にある、あるというか今作ろうとしている六カ所の工場では、
プルサーマルの燃料を再処理する事すらができませんので、
「どうしていいのか全く分からないもの」をまた生み出してしまうという事になります。


西谷:
先生、すみません、聞いていたらもう頭が痛くなってきて、どうしたら良いのか分からないという。
その、「どうしたらいいのか分からない」っていう事が分かりました。
お時間になりました。
この問題はこれからも追及していきたいと思います。
小出先生どうもありがとうございました。

小出:ありがとうございました。






プルサーマル燃料 高浜原発へ
NHK 6月18日 5時20分

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使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜた燃料を一般の原発で燃やす「プルサーマル」で、
関西電力が高浜原子力発電所で使用する予定の燃料が、今月27日にも福井県に到着する見通し
になりました。

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プルサーマル」は関西電力高浜原発や九州電力玄海原発など国内4つの原発で実施されてきましたが、
おととしの原発事故の影響で、国の核燃料サイクル政策が不透明になり、
輸送の警備態勢も十分確保できないなどとして、
使用するMOX燃料と呼ばれる燃料の海外からの輸送は中断されていました。

2013062313.jpg 

関西電力では、震災から2年がたって受け入れ態勢が整ったことなどから、
ことし4月、フランスから日本に向けてMOX燃料を積んだ専用の輸送船2隻を出港させ、
関係者によりますと、今月27日にも高浜原発に到着する見通しだということです。

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海外で製造されたMOX燃料が日本に到着するのは、原発事故のあと、初めてです。

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関西電力の八木誠社長は、高浜原発3号機と4号機の運転再開について、
来月の原発の新たな規制基準の施行後に「MOX燃料を考慮した申請をしたい」と述べており、
国の原子力規制委員会がどう審査するのか注目されます。







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