信州大学理学部物理学科大学院生の質問「物理を勉強しているが放射能はよくない事、この矛盾をどうすればいい?」小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)

小出裕章講演会 松本市 2013/6/09(日) 3/3

会場:長野県松本文化会館 中ホール (キッセイ文化ホール)
平成25(2013)年6月09日(日)
主催:小出裕章講演会実行委員会

制作:長野インターネット放送局[NIBC]

Youtube↓
http://youtu.be/sVbs43g7vkY?t=12m59s


質疑応答2
佐藤なおさん。
JCF日本チェルノブイリ連帯基金で行っている、食品をはじめとする放射能の測定をされている
Teamめとばという、信州大学の大学院生。

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私たちTeamめとばは信州大学理学部物理学科を中心に
子どもたちの内部被ばくを守ろうと活動しています。
その内容として、市民の依頼測定に答えたり、
松本市の学校給食のスクリーニング検査を行ったり
子どもたちに放射能への関心を高めていただこうと思って、出前講座などを行っています。

質問なんですが、
やっぱり測定室をやっていますと、事故から2年経ちまして、
どうしても市民の方の事故への関心が薄れていっています。
これは依頼測定の検体数から見ても明らかで、どんどん数が減っていっています。

そんななかで、市民の方が放射能に関して正しい知識を持ち続けて関心を持ち続けていくためには、
個人としても私たち市民のチームや一人一人としてはどのような活動ができるのか。
もちろん先生の講演もそういった活動でとても効果があると思うんですが、
私たち一人一人はどういう事が出来るのかという事を少しお話しいただけたらと思います。


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小出:
私は今日この場に呼んでいただいたように、原子力の場で生きてきた人間ですから、
みなさんとはちょっと特殊な立場にいるので、
私が出来ることをみなさんの一人お一人が出来ることは違うと思いますし、
私は京都大学原子炉実験所という所に沢山の放射線測定器があるし、
それを自由に使って放射能を測定できるという立場にいますので、
私自身はそういう活動を続けてきたわけですし、
Teamめとばの方々も放射線測定器を使って測定して下さっている。
本当にありがたいと思います。

でも私と同じようにみなさんがやるというのはもちろんできない訳ですし、
それぞれのみなさんが自分のできるという事を、一つ一つ考えてやっていただくしかないと思います。
もう、本当にやってきて下さっているという事、
何度でもお礼を言いたいくらい貴重な事だと思いますし、これからも伝えていただきたいと思います。

で、先ほどから聞いていただいているように、
「日本の国は汚染の事を忘れさせようとしている」そういう作戦に出てきている訳ですから、
少しでもそれを忘れさせないというためには、やはり測定を続けるしかないと思いますし、
それをやれる人はやはり限られているので、
Teamめとばの人達はそれなりに
これを継続的に汚染の検査をしてみなさんに知らせていくというような活動は
絶対に必要だと思いますので、やって頂きたいと思います。



佐藤:
ありがとうございます。
ちょっと技術的な質問になってしまうと思うんですが、
測定室をやっていて、給食の食材の選定をやっていると、
いま、どのような食材が危ないのか?というのは僕らも気になりますし、
市民の方もやっぱり気になると思うんですが、
稲だって、先程の放射能セシウム移行の話などもありますが、
2年経って移行プロセスがどのようになっているのか?という話と、
いま気を付けるべき食材だったり、場所だったりというような、
そういう話をお聞かせ願いたいと思います。

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小出:
えー、一概に言うのはとっても難しいと思います。
もちろん汚染そのものが福島の現地からずっと継続的に、高いところもあるし、低いところもあるので、
それぞれの場所で採れるものが高いものもあるし低いものもあるし、
それぞれの地域であっても、水田層の一つ一つでまた汚染具合が違っていたりするのです。
ですから、簡単には言えないし、
出来てくる物でもその土地がどういう土壌で出来ているか?という事で、
作物が吸収するセシウムの量がまた変わってきてしまったりするのです。
ですから、「あそこが必ず危険だ」とか、「ここは大丈夫だ」という事を言うことも難しい。
ひとつひとつを丹念に調べ続けるしかないんだろうと私は思いますが、

例えば一般的に言うなら、
こういうことを言うと迷惑を及ぼす方もいるかもしれないので、不安ですけれども、
たとえばきのこなんていうものは猛烈に放射能備蓄します。
ですからそれは、福島の汚染地帯でなくて、
私は関西に住んでいるけれども、関西のキノコだって、セシウムを測れば明確に測れる。
そういうようなものですので、
あとは野生動物の肉とかですね、山菜であるとか、
そういうものに汚染が高いという事は本当ですし、皆さん注意していただきたいし、
測定するにあたってもそういうものに注意を傾けるというのはそれなりに必要だと思います。

でもそれも一概にはなかなか言えないので、
やはり測り続けるしかないと思います。
すみません、きちっとお答えできないで申し訳ないけれども、そうだとおもいます。



佐藤:
すみません、最後なんですけれども、
これは本当に学生としての個人的な質問になってしまうんですが、
やっぱり原子力発電所は科学技術の英知として登場して、開発されて、
世の中にデビューしたと思っているのですが、
今後もそういった科学技術の進化によって生まれてくる恩恵を受けられるような技術には、
それに付随するような悪影響もあると思うんですが、
これから多分、自分たち理系の学生も科学技術の進歩・貢献というか、
にどうしても付き合っていくと思うんですが、
そういった時に、こういう…原子力発電所のような、不利益をこうむらないためには、
どのような目線で科学技術と付き合っていけばいいのか?
すごいざっくりとした質問になってしまうんですが、
やっぱりどうしても、
勉強していることは物理を勉強しているんですが、
活動としては「放射能はよくない」ことだというような、
なんていうんですか、自分の中でどうしても矛盾するような所が出てきてしまって、
この先どのように付き合っていけばいいのかというような事を。
先生としてはどのように自分の中で折り合いをつけられたのかというような事を、
ちょっと。

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小出:
えー、とっても難しいご質問です。
科学に携わろうとして今でも携わっている訳だし、私もそうです。
科学というのは、どうしてそんな事が始まったかと言えば、
「分からないものを知りたいという欲求から始まった」んだと思います。
で・・・、やるんですね。

やってみると、自分が分からなくて知りたいと思った事を知ることができる時があるんですが、
それを知ってしまうと、余計分からないものが多く目の前に現れてくる。
それが科学なんですね。

だから、やってみればやってみるだけますます分からないものが増えていくという、
もともとそういうものなのです。
でも、分からないものを知りたいと思う欲求自身は抑えることはできないと私は思いますし、
(佐藤さんも)たぶんそうだろう、でしょ?
わたしもそうです。
ですから科学をやるという事は多分これからもずっと続いていくと思うんですが、

ただ科学というものをやると、今ちょっとおっしゃって下さったように
本当に困るようなことも沢山そこから、また発生してしまう。

たとえば戦争なんていうときは、
昔の戦はナイフを持ってお互いを刺殺し合うという、そういう戦だった訳ですね。
それは猛烈な心の痛みを伴うわけですよね。
でも、今の戦争なんて違いますよね。
飛行機で行って爆弾バラバラバラと落としてくる。
原爆を落としてだーっと殺してしまう。
いまもっと言ってしまえば、
今米国のどこかでテレビ見ながら、無人戦闘機が飛んで行って、
地球の裏側で人を殺すという事が出来る。

みんなそれは科学が、それを支えてきているわけで、
科学が見つけたものをどうやって実際の現場で使うのかという事を、
しっかりと科学者自身がみながら、
「自分がしなければいけない抵抗はその時にちゃんとやる」という事だと思います。

それはとっても難しい事なんですけれども、
でも科学に携わるという人間であれば、
せめてそれをやることぐらいは責任だと私ま思います。





小出裕章講演会 松本市 2013/6/09(日) 質疑応答部分の文字起こし

動画はここにあります↓
「国の"放射能を忘れさせる作戦"で被害者同士の間で溝が出来てしまうというふうに仕向けられてしまっている」小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)

信州大学理学部物理学科大学院生の質問
「物理を勉強しているが放射能はよくない事、この矛盾をどうすればいい?」
小出裕章氏6/9松本市講演会・質疑応答部分(内容書き出し)


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No title

お疲れ様です!!

核物理やっている人達って、「放射能を無効化する方法」とかは研究しないんでしょうかねー

あー、金にならないからやらないか!!