2「原発廃炉でその立地自治体は?『町の人がホームレスになったとか、そんなことは全くありません』」広瀬隆氏7/13ドイツの廃炉事情・ラジオフォーラム(内容書き出し)

ラジオフォーラム
第27回放送
・ラジオ放送日 2013年7月13日(土)〜19日(金)
・ゲスト    広瀬隆さん(作家、反原発活動家)
・パーソナリティ  今西憲之(ジャーナリスト)
・テーマ 脱原発・ドイツの廃炉事情レポート






今西:
本当に原発というのはひとたび事故を起こすと、
人々の故郷を奪い、大地を奪い、
福島第一原発の周辺というのはなんかもう日本の国土でないような、
行くたびに私は気がしてならんのですけれども、
本当に原発というのは「実はつくらなかった方が良かったんじゃないかな」と行くたびに思っています。

ここでですね、廃炉と地元経済という点についてお話をお伺いしたいのですが、
よく日本は原発を廃炉にしてしまう、原発が無くなる、原発関連産業が消えていく、と、
「地元経済に与える影響が大きいから原発はやり続けなければあきまへん」
みたいな論調が報じられるのですけれども、
広瀬さんがお尋ねされたドイツの現状というのはいかがだったんでしょうか?


広瀬:
これはそれぞれの町、いわゆる原発の立地自治体によって違うと思いますが、
少なくとも私たちが見てきたグライフスバルトとそれから南部のこれは西ドイツのオブリッヒハイムという、
この二カ所ではそういうことは現実に起こっていません。

町の人がホームレスになったとかね、そんなことは全くありません。

ですから、人数でいうと原子炉そのものの会社で働いていた人は
大体3分の1ぐらいにやはり減ります。
だけどそれは大した人数じゃないですよ。
何百人単位の話をしている訳ですから。

心配しているのは、町全体が本当に落ち込むかどうか?
その事が問題だったんです。
つまり、たとえば福井県だったら原発が14基ありますから、
14基全部なくなると、要するに旅館の経営者であるとか、観光の人、タクシーの運転手さんとか
そういう達に影響が出るわけ。

その事は本当に、都会人である我々がね、
原発を押し付けてきた都会人である我々が、きちっと経済的に支えてあげないといけないと思っているので、
それを見てきたかったんですね。


今西:
そういう中で、ドイツの原発の廃炉作業というのは、
どういうような会社というか、企業が当たっているんでしょうか?


広瀬:
グライフスバルトの場合は、さっき言ったようにドイツの国家が命令したので、
運転していた会社がそのまま国営企業に、ドイツ国営企業に名前を変えて、
エネルギーベルトノルトという、日本語で言うと北部エネルギー会社ですね、
北部エネルギー会社という社名になって、それで今廃炉を20年近くずーっとやってきたわけです。


今西:もともとは民間企業だったんですけれども、それが国営に変わったと。

広瀬:
えーっと、民間といっても東ドイツだったから、どういう事かな?
ちょっとそこはね、日本でいう民間ではないと思いますよ。
社会主義国でしたから。
いずれにせよ、そういう人たちが母体になって、その運転をしていた人達が母体になって、
それで、ただ、原子炉を動かすのと廃炉にするのは全く違う作業で、
ようするに家で言えばのこぎりで家をばらすような作業をしていく訳ですから、
新しい機械工業みたいなものを生み出していく訳ですね。

今西:なるほど。

広瀬:
そういう技術も磨いて、
そうしてどうやったら汚染物を除染しながら取り除居ていくか?
というような技術を磨きながらやってきている訳です。


今西:
その廃炉に当たって、広瀬さんが実際に取材して来られてきたドイツで、
グライフスバルト原発とかそのあたりで、どれくらいの金額のお金が投じられているんでしょうか?

広瀬:
これは、その会社の人の言葉と、それから他の雑誌などで紹介されている数値がちょっと違うんですが、
今言ったエネルギーベルトノルトという会社自体ではですね、20~26億ユーロぐらいと言っていました。

今西:大体3000億円ぐらいですかね、日本円でいいますと。

広瀬:
為替レートが今いろいろと変動しているんでね、
私はもう単純に1ユーロ100円と、今までの感覚で申し上げますと、
大体2000億円ね、ま、そんなもんですよ。
だけれども、期間で言うと、さっき言ったベルリンの壁崩壊から考えると、
大体20年かけて2000億円という事は、
単純計算すると年100億円がその会社に落ちている訳です。


今西:すごい大きなお金ですね。

広瀬:
おおきいでしょ?
それとですね、ちょうど私が取材に行った時に
ホテルに置いてあった雑誌にちょうどその会社が紹介されていて、
それを読むとですね、「40億ユーロが落ちている」って書いてあるんです。

今西:2倍ですね。

広瀬:
それは何故か?というとグライフスバルトは
東ドイツ側にある原発を全部そこで廃炉を一括してやるという、
いわゆる廃炉センターですね。
それとなんと、ロシアの原子力潜水艦まで解体までやると。
そんなことまで引き受けている。
だからそういう事もトータルでおそらくそういう金額になっていると思うんですが、

そういう事で、金額的に言うととてつもない。
毎年ね、200億円も落ちるような仕事を20年間やってきて、
もちろんまだ終わってない訳です。
さっき言ったように原子炉圧力容器は、我々はそのわきを歩かされてぞっとしたんですけど、
それは50年かかる。
つまり、今後まだ30年ぐらいかかると。
そんな状態ですね。

今西:
なるほど。
さっきですね、実際作業されておられる方は、
原発を運転していた時は約2000人ぐらいだったけれど、
廃炉の場合は大体3分の1という事は700人前後ぐらいと考えればよろしいんですかね?

広瀬:ええ。

今西:
一方でロシアの原子力潜水艦なんかの解体をしているという事は、
これはまた新しい技術を生かしたビジネスを展開しているという事になるんでしょうか?

広瀬:
そうでしょうね、だからこういう言葉は使いたくないんですが、
ヨーロッパの、ヨーロッパというより全世界を考えますと、
これから一気に100基ぐらい廃炉の時代に入っているんです。


今西:全世界で100基、はい。

広瀬:
もう目の前でね。
ようするに1960年代から始まったのが原子力発電ですから、
ま、そういう時代に入っていますから、一気に100基ぐらい廃炉しなきゃいけない。
という事でヨーロッパではしきりと「廃炉ビジネス」という、こういう言葉が使われるようになっています。
それは確かにグライフスバルトの金額をみると、「そうだな」という事が言えます。

ただね、ひとつ面白いのは、
オブリッヒハイムという南部の西ドイツ側の廃炉のところに行った時はですね、
面白い話を聞いたんです。

ようするにあなた達はやっぱり地元の事を、
「自治体の地元のオブリッヒハイム市のことを考えて仕事をなさっているんでしょ?」って聞いたら
「いや違う」っていうんですよ。


今西:違うんですか?

広瀬:
日本の電力会社ってすぐいそういう関係にあるじゃないですか。
つまり、町の人とね、関西電力は美浜と、大飯と、高浜と、
そういう町とね、お金のやり取りがすごい頻繁でしょ。

今西:そうですね、表向きにも一応「地元と共に」と言ってますよね。

広瀬:
それで地元は逆にお金が切れると「町が死にます」と言いだすでしょ。
そういう変な関係になる。
ところがドイツへ行ってね、私が本当にもうびっくりしたのは、
ドイツ人はそういう感覚は持っていないんですよ。

今西:と言いますと?

広瀬:
原子力発電所をそもそもつくって、地元にどんな利益があるか?っていうと、
事業税しか入らないんです。

今西:税金として、はい。

広瀬:
だからいわゆる日本でやっている
「電源三法交付金」のようなばら撒きのお金っていうのは全然ないんですよ、ドイツは。

今西:
特別な制度みたいなものはないわけですね?
原発が仮に出来たとしても。

広瀬:
そう。
会社が、電力会社が儲かればその分税金が入りますけれど、
だから、原発が止まったから極端に悪くなるっていう事は無いンですよ、逆に言うとね。
今までそんなに依存してないから。

今西:
なるほど。
そうすると日本は税金をジャブジャブ投入し過ぎたから、
原発が無くなったらもう待ちも立ち行かなくなるという事ですね。

広瀬:
そういう構造です。
それが分かったんですね、今度それが、ビックリしたのは。

で、電力会社自身がね、こういう事を言うんですよ。
「だって皆さん地元の事を考えて、自治体雇用のことも考えなきゃいけないんじゃないですか」って、
「電力会社としては」って、そう言ったらね、
「そんな!我々は電気をつくる会社であって、地元の雇用は自治体の責任だ。関係ない」って。
そんなはっきりした事を言ってくれたんで、我々たまげて飛び上がりました。


今西:
けど、それをもし、東京電力や関西電力がですね、
原発立地自治体に行って同じ事を言ったらですね、これ議会で大問題になるんでしょうね。

広瀬:なるでしょうね。

今西:おそらく大臣も発言しないとならないような話になるんでしょうね。

広瀬:だけど、それは、でも、当り前の事なんですよ。

今西:そうですね。

広瀬:一般企業の感覚を電力会社もドイツでは持っているという事なんですよ。

今西:なるほどなるほど。

広瀬:日本が異常なんです。

今西:日本のこの原子力ムラのシステム自身がおかしいと…。

広瀬:
おかしいんです、
だから廃炉に対していろんなケチを付けて足を引っ張る作業をいま一生懸命やっているわけで、
ドイツの場合は「もう政策は決まりました」
もうそこへ行かなきゃならないとなったら、そこに居る住民もそれから電力会社も、
そこへ向かっていく訳ですよ。


今西:なるほどね。そこが日本と大きな違いというところですね。

広瀬:そうです。


つづくーー






第27回ラジオフォーラム 広瀬隆氏出演 文字起こし

1「ドイツの電力会社が東京電力に『我々は協力します』って言ったのに東電が断ったんです」
広瀬隆氏7/13ドイツの廃炉事情・ラジオフォーラム(内容書き出し)


2「原発廃炉でその立地自治体は?
『町の人がホームレスになったとか、そんなことは全くありません』」
広瀬隆氏7/13ドイツの廃炉事情・ラジオフォーラム(内容書き出し)


3「地下1000m核廃棄物の地獄~
いま我々はその先を見ておかないと、これから大変なことになります」
広瀬隆氏7/13ドイツの廃炉事情・ラジオフォーラム(内容書き出し)


<メルトダウンした燃料>「回収できません。絵に描いた餅です」
「そりゃ重いですよ、ウランですからね」「ウランの塊は100トンあります」
~小出裕章ジャーナル・広瀬隆氏7/13ラジオフォーラム(文字起こし)





「"日米原子力協定"2018年にその内容を変更するか、破棄するか」山本太郎さん/
「これはもう、人類は滅亡に向かっていると確信しました」広瀬隆さん7/5国会正門前(文字起こし)


姜尚中が見た”脱原発”ドイツの今「廃炉・エネルギーシフト」
報道ステーション3/16(動画・内容書き出し)

グライフスバルト原発の廃炉作業








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