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08.08
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福島第1原発汚染水対策に国費検討 概算要求で経産省
東京新聞朝刊2013年8月8日
 
廃炉に向けた作業が続く東京電力福島第1原発で喫緊の課題となっている汚染水対策をめぐり、
経済産業省が原子炉建屋への地下水流入を防ぐため国費の投入を検討していることが7日、明らかになった。
建屋周辺の土を凍らせる「凍土遮水壁」の関連費用を2014年度予算の概算要求に盛り込む方向だ。

政府はこれまで廃炉に向けた研究開発費を支援してきたが、汚染水対策で予算計上すれば初めてとなる。
安倍晋三首相は7日午後の政府の原子力災害対策本部で、
早急な汚染水対策を実施するよう茂木敏充経済産業相に指示する。
菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で「国としても一歩前に出て支援する必要がある」と述べた。

第1原発では汚染水の新たな海洋流出が明らかになり、
東電は護岸の土壌を薬剤で固めるなど流出を防ぐ工事を急いでいる。
工事の影響で地下水位が上昇するなど対策が行き詰まりつつあり、
汚染水そのものを減らす対策が求められている。

凍土遮水壁は、1~4号機の周囲約1・4キロを囲むように一定間隔で地中に管を設置し、
冷却材を循環させて地盤を凍らせる対策。建屋に流れ込む地下水の量を抑制できるとされる。
大手ゼネコン鹿島が提案した。工事費は300億~400億円と見積もられている。

5月末に政府の汚染水処理対策委員会で有力な対策として採用が決まり、
茂木経産相が東電に設置を指示していた。





遮水壁 両刃の剣 建屋から逆流の恐れ
東京新聞朝刊 2013年8月8日 07時00分

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東京電力福島第一原発の汚染水対策で、
政府が国費投入を検討している原子炉建屋周辺での遮水壁建設は、実は大きなリスクを抱えている。
建屋地下にたまる高濃度汚染水と周辺の地下水との水位バランスが崩れ、
汚染水が建屋外へ漏れ出しやすくなる。
建設構想は原発事故直後にすでに浮上しながら、実現していなかった。 (清水祐樹)

東電によると、建屋周囲の地下水位は海抜約四メートルで、
建屋地下の高濃度汚染水を一メートル下の海抜三メートルに管理している。
高低差を保てば、建屋外側の地下水圧が内側より高くなる。
水は圧力が高い所から低い所へ流れるので、汚染水は外に出ないという理屈になる。

だが、事故により損傷した建屋外壁のあちこちから
一日約400トンの地下水が流れ込み、汚染水を増やしている。
東電は敷地内にタンクを増設して保管しているが、自転車操業になっている。

建屋周辺に遮水壁が完成すれば、
確かに地下水の流入量は減り、汚染水の増加には歯止めをかけることはできる。
しかし、遮水壁により周辺の地下水位が低下し、建屋内の汚染水位の方が高くなれば、
今度は内外の水圧差が逆転し損傷場所から汚染水が逆流しかねない。
汚染水を減らす切り札のはずの遮水壁が両刃(もろは)の剣となる形だ。

六日の国会議員による会合でも東電は
「建屋の陸側から地下水が来なくなると、建屋の汚染水が外に出てしまう」とし、
今でも漏出リスクがあることを明かした。
建屋内の水位を徐々に下げることなどを対策に挙げたが、それで防げるかどうかは明言しなかった。

そもそも、国と東電は事故からわずか2カ月後の2011年5月から遮水壁の建設を検討しながら、
同年10月に見送りを決めていた。
漏出リスクや費用、現場での作業の難しさが主な理由だった。
国費投入が決まれば、費用については問題がなくなる。
しかし、他の問題の解決策は具体化していない。

(東京新聞)
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