<甲状腺がん>衝撃の体験談「甲状腺右葉を切除しました」 日野川静枝教授 8/10(文字起こし)

拓殖大学商学部教授
日野川静枝さん 「私は甲状腺摘出手術を受けて4ヶ月です」
2013年8月10日

放射線被ばくを学習する会(仮)

今年3月甲状腺がんの疾患を受けて、
甲状腺が二つあるんですが、その片方を切除された。
それで今日はご専門の話しではなくて、手術の御体験を話していただく。
病気というのは最高のプライバシーだが、日野川さんは今甲状腺の問題を多くの人に考えてほしいから、
自分の体験で確実にわかる事だけは伝えたいと、職場の同僚の方にもお話をなさっているという事です。
それでは、お願いします。

01:59~
2013081321.jpg

日野川静枝さん
それではお話します。
主にですね、甲状腺がんの手術を受けてというこの1枚(紙)を読みながら、
そしてこの中の3番には、スライドと自分が作りましたレジメがありますので、
これをはしょってスライドを見ながらご説明をして、15分で終わろうかと思っています。
よろしくお願いいたします。

本当はこんな声じゃなくてもっと通る声、大きな声で、教室で授業をしていましたが、
通る声なんですが、
今はまだ、こんな声で、引っかかってしまっています。
じゃあ始めます。


一番初めからいきます。
個人的体験から言える事という事で、ここはやっぱり、
甲状腺がんになったらこういう過程を通って病気を治していくという、その実状ですね。
それをお話したいと思っています。

ただ私にとってはこの回復にすごく時間がかかっているというのが、ま、実感ですね。

ですからもしも、福島の子どもたちが私のような、実際に甲状腺がんになったら、
この子たちはその後の長い人生に、やはりその生涯を追いながら
いつまたどこに原因があるんだろうという恐れを抱きながら過ごすことになるんだと思うと、
もう、いても立ってもいられませんけど、それが現実ですね。

そして、個人的な意見から、言わなければならない事と私が思っているのは、
危険性を確率論的に扱う非合理性」なんです

たとえばですね、無限大に近い分母の大きさよりも分子の率ですね。
それは存在する“個”なんですよ。
ですから、全ての命なんですね。


「唯一無二の存在」という事を考えたら、
その危険性を確率論的に扱う、そこに私は怒りを感じますね。



二番目
人間ドックからの発見という事で、
これは毎年私が娘と二人でですね、人間ドックにかかるんですが、
娘が私の物忘れが激しい・・、でも私は65になりますので、年相応の記憶力だと思っているんですが、
あまりにも「脳ドックをやれ、やれ」というので、
頭部MRI検査をオプションで加えました。
やった先は山王メディカルセンターです。

で、ここで初めてですね、頸動脈の超音波検査をうけました。
そしてその結果としては頚部の甲状腺右葉(うよう )に7×8mmの腫瘤が描出されたということで、
「精密検査をして下さい」という結果票がきました。
それが昨年末です。

そしてさっそく今年の初仕事として、私は都立の駒込病院で、超音波の、まず精密検査を受けました。
そこでは右葉に10×7×7mmほどの結節性病変が認められる。
境界は比較的明瞭な部分と不明瞭な部分がみられ、内部エコーは不均一である。
不整な形状を呈しており、内部には豊富な血流信号が認められることから、
「悪性の可能性が否定できない」と言われました。

で、また日を改めて同じ病院で細胞診ですね、これを受けました。
それで、その結果としては、
乳頭がんが疑われる上段だが、中段は小型で細胞診も少ないため確診には至らない。
「疑いありとする」という、このサスピシャス(=suspicious)という、そういう判定が下りました。

でもその時主治医は、うちの都立駒込病院は癌の特定病院になっている程で、
病理の部門もとてもレベルが高いので、そこでサスピシャスと出たら、
「もうほぼ間違いなく癌ですから、手術をします」と言われました。
で、私も納得しました。

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手術後ですけれども、
手術の経過のところは3でスライドをお見せします。
手術後の病理組織診断報告ですが、摘出した甲状腺、右葉亜全摘検体、
そこに肉眼的に30×28×19mm大となる、

これは実は、診断書の中の一文なんですが、
その診断書にはきちんと、「これを利用する時には診断した医師に許可をもらえ」と一文書いてあります。
それですから、私はなるべく中身を変えずに、引用の格好をとりました。
ですから、ほぼ、私の言葉というよりは診断書のその言葉をなぞったような形になっていると思っています。

検体以外に3×6×6mm大の大の淡褐色調の境界不明瞭な結節を認め石灰化を伴う。被膜はない。
組織学的には乳頭がんと認める。


これは取りだしました、甲状腺右葉の摘出したものを輪切りにして、
そして見ていくんですね、組織検査をして。
その結果が、初めてここで“乳頭がん”という癌の告知になります。

で、私はその検体の中身ですね、
「放射性物質がもし、入っているんではないか」それを見て欲しいと言いました。
ところが病院は「そのための準備は全くうちにはない」と、「ですからできません」と言われたので、
私の甲状腺がんが、いかなる原因で発症したものかは分かっておりません。


以上です。
では早速スライドにいきたいと思います。
スライドの、ま、はしょるんですけど
手元にこの甲状腺右葉摘出手術の記録を見ながら見ていただけると助かります。


入院中
スライド8:58~

これが都立駒込病院の外から見た写真です。
これが3月25日に、全く自覚症状がありませんでしたから、
もう、元気に一人でからからと荷物を持って病院に行きました。
それで26日が、翌日ですね、手術の当日です。
これは手術着を着せられています。

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で、これは摘出した甲状腺右葉です。

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大きさは先ほど申しましたように、30×28×19mm大ということで、
娘のレポートによりますと、京都に、焼き栗がありますね、あの大きさぐらいだったと
私も名前が呼ばれて麻酔が覚めて見ましたけれども、
本当に手のひらにちょこっと、こういうふうにあるぐらい、
それ位のものでした。

で、病室に戻ってきてですね、
で、その次の姿はもうこういう姿なんです。

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これは、酸素マスクをし、それで点滴もし、血中酸素の飽和度の(センサー)ね、それもはめてるし、
そして、心臓のモニターも付けられている。
それで動けません。
そのために、おしっこも尿道にに入れられています。
こういう状態ですね。

どういう看護婦さんのチェックがあったかという内容も書いたり、
点滴の液がどういう液だったかという事も、ちょっと書いてあるようですので、
ご参考にして下さい。

午前中にやったんですが、その日の夕方ですね、
歩行訓練というか、訓練というより歩行挑戦ですね。

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歩行ができるようになれば、尿道、カテーテルは外す。
そうすれば自分でおトイレに行けるようになりますから、出来るかどうか歩いたんですけど、
私は術後すごい吐き気がありまして、
それでちょっと、じゃあ今晩はもう動けないだろうから、
尿道とカテーテルはまだつけておきましょうかと言う事で、手術の晩はそうしました。

それでですね、これはもう尿道カテーテルはとれています。
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身体の真ん中にチューブが垂れて、赤く血液が見えますけれども、
これは今、外科的な傷は綺麗になっているんですが、ここにちょっとポチッとあるのは、
切った後、溜まる、出る血液を出すためにチューブが入れられている、術後すぐにはね。
だからそのチューブがこうして何時までも身体の外に、流し出すために付けられていました。


で、傷跡は、こんなものでした。
術後の傷跡です。

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ですから、左肩のところに血液を表に出すためにチューブが入っています。

これですね。

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こういう形です。

これはですね、もう本当にすべてのチューブから解放されて
後は、傷の中身ですね。
切り取った後が、チューブも抜いちゃっている訳ですから、それがしっかり止血されるように、
きつくきつく巻かれているのどの状態ですね。
31
こういう状態で過ごします。
ですがもうチューブがありませんから、
全く自覚症状が無く手術を受けたために、自分とすれば取られてしまったというだけで、
すごく気持ちも高揚してたんでしょうか、もう気が晴れてそれで自分はパソコンで、
ま、パソコンも使える病室でしたから、大部屋でしたけれども、ま、いろいろやっていた。
そうやって昼間は時間を過ごして、それで夜になるとまたパジャマに着替えて寝る。
ま、こういう状態で退院まで行く訳ですが、
退院まで11日です。入院は11日ですね。

入院中の様子をご覧いただけたと思うんですが、それで4番目に行きます。

退院後

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退院後の現状と術後の経過観察ですが、
今お分かりのように、声がかすれてあんまり通らないで、
これは私が教職にあるために、ちょっと「しんどいなぁ」という状態です。

それと嚥下ですね。
飲みこみが、大丈夫なんですけれども、すごく自分としては、
いつものようにですね、人としゃべりながら飲み込むなんて言う事は出来ないんです。
だから食事の時は家族に「話しかけないで、話しかけないで」と言って、
もう下をむいて食べることに集中する、そういう状態でおります。

今の状態は外科的な表面的な傷は治ったんですが、
中にですね、この引き攣れ感があるんですね。
引き攣れ感は時として痛みを伴うんです。
だから、何かに集中して仕事をやろうとしても、ふっと首を動かした時に、もう痛みが走るもんですから、

ちょっとね、それがやっぱり日常的には気力を阻害しているんじゃないかと。
怠ける口実にもなっちゃったりしています。

それで、術後1年以内は毎月採血と診察をして、
チラージンという、ま、半分に甲状腺がなっちゃったので、
甲状腺ホルモンのチラージンを外から服用するんですね。
それは毎朝食後1回なんですが、その量を調整するために毎月採血に行きます。
採血をして、値を見ながら「1カ月間はこの量にしましょう」ということで、
チラージンの量を調節しています。


で、3か月ごとに癌の再発を調べるために、CTと超音波の検査を交互にするという事で、
それは5年間ぐらい続くと言われています。


ただ私はCTは「もう被ばくを避けるために止めて欲しい」と言いました。
ですから、「全て3カ月ごとにこの超音波検査だけにして下さい」と言ったら先生は何とおっしゃったか。
「それは癌の再発のリスクを高めますよ」とおっしゃいました。
「でもそれでもいいんです、私はもう被ばくはしたくありません」って話しました。


で、最後になります。
“安全安心”のカテゴリーからは何も生まれないと思います。
むしろ、安全であるための危険をしっかりと認識して、
現状をできるだけ正確に知ることが重要であると思っています。
そのためには無料での検診の制度化がなされる事を私は強く望んでいます。
私のは偶然の発見でしたけど、
おそらく311以後ですね、関東以北の人々には、沢山の被ばく者が出ている訳なんで、
その人たちを中心に。
あるいは食物の汚染から考えれば、日本全国くまなくと言った方がいいのかもしれないんですけれど、
希望者には無料で定期健診をしますよ」という制度をですね、
是非、各自治体に実現してもらいたいと思っています。
まさに不安解消はこうした現状認識からこそ生まれると思っています。


で、危険を確率論的に扱う時に私が怒りを覚える、そのことはですね、
誰のための誰が払う犠牲なのか」って、それが問題なんです。
自分が選んで、自分がその犠牲も含めて利益も含めてですね、両方受けるならいいですよ。
そうじゃないんですよね。
益を受ける人は害は受けないんですよ、それが仕組みですよね。


だから私にとっては「誰のための誰が払う犠牲なのか」
その事はものすごく大きな問題です。

再度、全ての命が唯一無二の存在である事を原点として、
個の生存権、人権を考え続けていきたいと思っています。

ありがとうございました。   



ーー質疑応答へ続く

<甲状腺がん>日野川静枝教授質疑応答8/10(文字起こし)




日野川静枝
拓殖大学商学部教授。
科学史、技術史、埋もれた原発開発史、
サイクロトロン研究などの歴史を発掘することで、核科学の現在を鋭く照射するのが本業。
ことし(2013年)3月、甲状腺がんの診断を受けて右葉の切除手術を受ける。








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