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プロジェクト112 知られざる米軍化学兵器開発(前半)

プロジェクト112 知られざる米軍化学兵器開発 投稿者 tvpickup
2013年8月13日(火)

この夏一つの裁判の判決を心待ちにしているアメリカ軍の元兵士がいます。
退役して50年になるこの元兵士の身心はいくつもの病に冒されています。

うつ病、視野狭窄、そして呼吸器の障害
健康を損なった原因は軍隊時代に経験したある特殊な任務が原因だと言います。
その補償を求めて国を訴えているのです。


「国を信じて尽くしたのに、私たちをぼろ布のように使い捨てにするなんて許せません。
今私にできる事は海辺を歩いてリハビリをすることぐらいです」

彼らが問題としている特殊な任務とは、陸軍に入隊した直後に医療のためだと言われ、参加した実験です。

1960年代、アメリカ軍は総力を挙げて毒ガスなどの化学兵器の開発に取り組んでいました。
彼らはそのための身体実験に使われたのです。


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ソビエトとの冷戦時代。
自国の兵士たちに犠牲をしいてまでも行われていた化学兵器の開発とはいかがなものなのか。
これまでほとんど知られなかった全貌が明らかになってきました。

化学兵器開発の計画を示したアメリカ政府の極秘文書。
計画はコードネーム、プロジェクト11にと呼ばれ陸軍、海軍、空軍、海兵隊と、
軍の総力を挙げた巨大なものでした。

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そしてその拠点は、アメリカ国内だけでなく沖縄にも置かれていました。

60年代、沖縄はベトナム戦争にのめり込んで行くアメリカの後方基地でもありました。
基地の弾薬庫に運ばれた毒ガスは1万3000トン。
アジア最大の化学兵器の備蓄基地と化していたのです。

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その存在は本土復帰直前の沖縄を揺り動かしました。

身近に保存されていた大量の毒ガス。
撤去はされたものの、今なお沖縄の人々に深い傷跡を残しています。

冷戦下、ひそかに進行していたアメリカ軍の化学兵器開発。
それはいかなるもので、今私たちに何を問いかけるのか?
2万ページに及ぶ資料と当事者たちの証言をもとに見つめていきます。



プロジェクト112
~知られざる米軍化学兵器開発~


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アメリカ西海岸のサンフランシスコ。
この町で今、冷戦時代のアメリカの知られざる事態を明るみにしようという裁判が行われています。
この日は公判に向けて弁護士たちの打ちあわせが行われていました。
原告はアメリカ軍の元兵士たち。いずれも1960年代、
軍の化学兵器開発のための人体実験に参加した人々です。
半世紀近くを経て、自らの身体の異常がその人体実験によるものだと声をあげ始めたのです。


弁護士:
誰もこんな事実を知らなかったんです。
人体実験に自国の兵士を使うなんて、本当に驚くべきことを軍はやったんです。

元兵士たちが国に要求しているのは主に二つ。
自分たちが受けた実験の詳細な情報を開示すること。
そして今抱えている病気に対する治療の補償です。

国を相手に声をあげ始めた元兵士たちは、一体いかなる経験をしたのか。
ノースカロライナ州に住む原告の一人を訪ねました。
フランクリン・ロシェルさん、65歳。
高校卒業後2年間陸軍に在籍していました。
問題の特殊な任務についていた時は20歳の時でした。

フランクリン・ロシェル:
エッジウッドの任務は2カ月間で、特に厳しくはなく、週休3日という事でした。
その時の私にはとても魅力的に感じました。

当時陸軍に入団したばかりのロシェルさんはある日兵舎でボランティア募集のフィルムを見せられました。
フィルムには任務の説明はほとんどなく、
休暇にでも出かけるような楽しげな宣伝文句がちりばめられていました。

しかし基地で待っていたのは予想だにしない任務でした。


フランクリン・ロシェル:
実験室でこの猿と同じような吸入器を付けられました。
そして、バルブが開けられるとガスの様なものが出てきて、それを胸の奥まで入るように深く吸わされたのです。

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そして、ベッドに寝かされている時、突然人の声が聞こえ出し、腕の中で虫が動き始めたのです。
私は必死にカミソリで切って取りだそうとしました。


この直後からロシェルさんは幻覚や精神の不安に悩まされ続けています。
自分がどんな物質を投与されたのか?
不安の中で陸軍に問い合わせをしたこともありました。
しかし返ってきたのは意味m不明な記号が記された書類だけでした。

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うつ病、慢性皮膚炎、視覚や呼吸器の障害、いずれの病状も年々悪化しています。
人体実験との因果関係を明らかにするためには、裁判に踏み切るしかなかったのです。

兵士たちが経験した実験とは一体何だったのか?
彼らが集められた陸軍のエッジウッド基地。化学・生物センター。
1960年代、ここはある特殊なための研究施設でした。
それは毒ガスなどの化学兵器の研究開発です。
当時の様子を記録したフィルムが残されていました。10:41
ここでは基礎的な研究から毒ガスの生産、そして戦場で使用するための兵器の開発がおこなわれていました。
そうした開発のプロセスで欠くことができないのが毒物の効果の確認です。
兵士たちは自らの身体でそれを実験させられていたのです。

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化学兵器開発のための人体実験とはいかなるものか?
今回裁判を起こした原告の中にその詳細を知る元兵士がいます。
ティム・ジョゼフズさん、63歳。
脳の神経細胞の異常で手足が震えるパーキンソン病を患っています。
妻のミシェルさんの手助けが無いと日常生活もままなりません。
ジョゼフズさんがパーキンソン病と診断されたのは15年前。
やはり疑ったのは18歳の時に参加した人体実験の影響でした。

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エッジウッドで自分は何をされたのか?
情報公開法を使って、自分の記録を手に入れ、探り続けています。

ティム・ジョゼフズ:
実権はグループごとに何種類も行われていました。
白衣を着た人間が注射器を持ってやってきました。
彼らも軍に所属する医師だった事が分かりました。


当時エッジウッドには巨大な病院棟のような研究棟が設けられていました。
兵士たちはいくつかのグループに分けられ、接種する毒物によって心身の状態を細かく観察されていました。
ジョゼフズさんが受けたのと同様の実験の記録映像です。

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隔離された部屋で4人の兵士が72時間の実験を受けます。

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安全な化学物質を皮下に注射します。

この実験は4人の兵士に濃度の違う化学物質を与え、その効果を比較しています。
物質の名称は明らかにしていませんが、幻覚作用を起こすものです。

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化学物質の影響は4~6時間後に現れました。

敵から毒ガス攻撃を受けたという設定でガスマスクを素早くつけるテストです。

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一番濃度の高い注射をされた兵士は朦朧とした状態が続いています。

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9時間後精神状態が不安定になりました。

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彼は36時間も眠らずにいました。

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一晩中出口を探していました。
パニックになるので継続的に監視をします。


ジョゼフズさんの場合には実験後の状況はさらに深刻だったと言います。


ティム・ジョゼフズ:
得体のしれない化学物質を体内に入れられ、数日間意識を失いました。
起きた時ひどいふるえで、手足にしびれと刺すような痛みがありました。
とても気持ちが悪く、不快な気分でした。


ジョゼフズさんは、情報公開法で手に入れた自分のカルテを調べて驚きました。
そこにあったのは毒ガスとして使われるサリンなどの解毒剤の名前でした。
無色無臭で中枢神経を破壊し、極めて高い致死性を持つサリン。
それはアメリカが力を入れて開発実験を繰り返してきた化学兵器でした。
敵に気付かれずに建物の中にも入り込むため、局地戦に有効だと考えられていたのです。


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建物内のヤギは1分以内に症状があらわれ、4分以内で死にました。

ジョゼフズさんは自分にもこのサリンが投与されたのではないかと疑っているのです。


ティム・ジョゼフズ:
許せない事ですが、ヤギを使って試した薬物を私たちにも投与したんです。
20頭のヤギで実験した結果、半分が死んだ。
そんな薬を6人の兵士に投与したと記されていました。


そしてその実験は半ば強制に近いものでした。

ジョゼフズさんの実験記録
ジョゼフズさんが1968年2月に3日間にわたり受けた実験の観察記録です。

2月20日 08:35  スタート 化学物質を投与。なんの薬剤かは分かっていません。
      10:30  異常に神経質になり、不安な様子を見せる。
      11:35  化学物質2回目投与
      13;30  手足のしびれが起こり、「すごく気分が悪い」「早く終わってほしい」と訴える。
      14:14  落ち着きがない。「もういやだ」「実験はやりたくない」と訴える
      15:00  同上
2月21日 08:45  顔の半分がけいれんする。「とても不安で悲惨な気分だ」と言う。


記録によると、ジョゼフズさんは3日間の実験中に3度中止を願い出ています。
しかしそれは聞き入れられませんでした。


ティム・ジョゼフズ:
実験に抗議をしたら、「お前、いやならベトナム行きだ
「もしくは刑務所行きだ」と言われました。
とても怖くて、言う事を聞くしかありませんでした。

毎食後妻のミシェルさんはジョゼフズさんの体調に合わせて10種類近い薬を用意します。
薬代は毎月2000ドルを超えます。(1ドル100円として、20万円を超える)
大学病院の診断によると、病気の原因は若い時に摂取した大量の化学物質だとされています。

60年代に行われたアメリカ軍の化学兵器開発。
それに関わった兵士の数は10万人とも言われています。
なぜ、かくも大がかりな計画が実行されたのでしょうか?
私たちはその全容を伺い知ることができる文書を入手しました。

スタンフォード大学のフーバー研究所。
ここには8000万ページを超える安全保障に関した機密文書が保管されています。

プロジェクト112
そう名付けられた計画はアメリカの軍事戦略の新たな柱となるものでした。
核兵器に匹敵する大量破壊兵器として開発すべき物。
それを化学兵器だとしたのです。


計画の立案者はロバート・マクナマラ(Robert S.mcNamara)でした。
ケネディ大統領により国防長官に抜擢されたマクナマラは、アメリカ軍の立て直しを任されました。

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当時、冷戦下の核軍拡にたいして、国際世論の厳しさが増す一方で、
アジアでは熱い戦いが続いていました。
停戦状態の朝鮮戦争とベトナム戦争への介入。
局地戦が予想されるアジアの戦場では、核よりも化学兵器が有効だと考えたのです。

マクナマラは、陸軍、海軍、空軍、および海兵隊の4軍が協力して開発に当たる事を指示。
そして、当時の日本の防衛費に匹敵する巨額の予算を投入しました。(当時 約1418億円)
マクナラマの指示のもと、世界の10を超える拠点で一斉に開発が始まったのです。

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国家を挙げて動き出したプロジェクト112。
それは核軍拡の陰で起きていたもうひとつの軍拡競争だったと指摘する人がいます。

ジャック・アルダーソンさん、
1964年から3年間プロジェクト112の会場実験を指揮していました。
アルダーソンさんは今、自分の行ってきた実験とは何だったのか?改めて見つめ直しています。

強引に進めた化学兵器の開発。
その実態はソ連の影におびえるアメリカの暴走だったと、アルダーソンさんは指摘します。

ジャック・アルダーソン:
アメリカはソ連に対抗するために化学兵器は不可欠だと考えていました。
ケネディ政権はソ連がすでに大量の化学兵器を所有していると思い込み、
同じだけの兵器を持たなければ対等な外交はできないと考えていたのです。

1962年、CIAが衝撃的な報告を行いました。
「ソビエトが毒ガスを空中散布する機械を開発。
アメリカの艦船が毒ガスで攻撃される恐れがある」というのです。


アルダーソンさんの手元に、
ソビエトに対抗するために行われたプロジェクト112の実験の映像が残されていました。
艦船がソビエト軍からサリンの攻撃を受けたと想定しての実験です。

空軍が上空からガスを噴霧。
中の水兵たちにどんな影響があるのかを調査します。
実験は急ピッチで進められました。


ジャック・アルダーソン:
やっと実験が終了し、水兵が引き上げかけた時です。
上官がまた「海へ出ろ」と言ってきました。
水兵たちは休むことなく実験を繰り返しました。

本物の毒ガスを使った実験では、水兵たちに健康被害が出ることも少なくなかったと言います。


ジャック・アルダーソン:
フィルターが機能せず、船内に漏れてきたこともありました。
その時に受けていたワクチンが未承認のものだと後で知りました。
ネズミだよ、実験用の。

過密なスケジュールの中で行われた一連の実験。
健康被害が現れた水兵の数は6000人を超えると言います。

ジャック・アルダーソン:
罪悪感があります。
ですから、生きているメンバーのためにも、その家族のためにも、
今何ができるのか、考えていかなければならないのです。


50年以上前に行われていた軍の人体実験。
健康に障害が出た元兵士たちに対して、いま、国はどう向き合おうとしているのでしょうか?

3年前、退役軍人会の働きかけで、会場の人権の関係者については、医療補助の申請窓口が設けられました。
しかしその申請も来年まで。
その他の大多数の兵士については手つかずのままです。

パーキンソン病を患う元兵士、ジョゼフズさん。
大学病院で「病気の原因はかつての人体実験の影響とみられる」という診断をうけて、
これまで軍に対して何度も医療補償を求めてきました。
しかしその門は固く閉ざされたままです。


ジョゼフズ:
体調が安定する日などありません。
一刻も早く事実を認めてほしいのです。
こんなことをした軍に医療の補償をしてもらいたいのです。


ーーつづく↓
<毒ガス貯蔵・沖縄>
プロジェクト112 ~知られざる米軍化学兵器開発~後半(内容書き出し)







米軍と化学兵器

<アメリカ兵士人体実験>
プロジェクト112 ~知られざる米軍化学兵器開発~前半(動画・内容書き出し)


<毒ガス貯蔵・沖縄>
プロジェクト112 ~知られざる米軍化学兵器開発~後半(内容書き出し)


<沖縄の海が危ない>毒ガス化学兵器沖縄海洋投棄
「海に捨た鉄製の容器は50年経つと壊れ、ガスや化学兵器は今、毒が流れだそうとしている」


<シリアの化学兵器?>
アメリカ軍が沖縄から引き揚げた化学兵器と自国の兵士に行った人体実験



他 米兵関係


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コメント
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