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前半・「そして今彼らは、この事故をなかった事にしようとしています」小出裕章氏9.1さようなら原発講演会(文字起こし)

9.1さようなら原発講演会
2013年9月1日 日比谷公会堂



00:48~
小出裕章氏:
みなさんこんにちは
みなさんが今日
福島のことを忘れないでこの場所に集まって下さっているという事は大変ありがたいことだと思います。
今日私は、福島を忘れないという事を一つお伝えしたいというか、
みなさんと共有したいと思いますし、
福島の事、それは全てに繋がっているという話をさせていただきたいと思っています。



これはみなさんご存じのとおりの福島原発の写真です。
原子炉が1号機2号機3号機4号機と並んでいましたが、
1号機2号機3号機は運転中に事故に遭遇しまして、全て炉心という部分が溶け落ちてしまいました。
いまその炉心がどこにあるのかもわからない。どうしたらいいのかもわからないという中で、
10次におよぶ下請け孫請けという労働者たちが、今この瞬間も作業に当たっているという状態です。

4号機の方は当日運転はしていませんでした。
それでもこのように爆発して建物が吹き飛んでしまいましたし、
未だに使用済み燃料プールという中に大量の放射性物質を抱えたまま、
何時プールが落ちてしまうかもわからない困難な状況の中にあります。
2011年の暮れに当時首相だった野田さんが、事故の収束宣言なんていうものを出したのですけれども、
残念ながら事故は全く収束していないのです。
今現在も危機は続いています。


運転中だった1号機から3号機、それは溶けた炉心がどこにあるかもわからない。
ただ、ひたすら水を入れ続けて冷やすしかないということを2年半にわたって、今日までやってきました。
しかし、水を入れてしまえば汚染水なんてあふれるのは当たり前なのであって、
マスコミは最近になって「汚染水が大変だ」って言い始めたわけですが、
私としては「なにをいまさら」と思いました。

2011年3月11日から、ずーーっと汚染水は流れ出ていたのです。

これからもそうですし、ずっとこれまでも何とか汚染を食いとどめようとして戦いが続いてきて、
労働者が被ばくをしていってしまうという状態が続いています。
これからも何十年もその作業を続けなければいけない、困難なものです。

そしてすでに大量の放射性物質がまき散らされてしまって、
今日も福島から来て下さっている方がいらっしゃると思いますけれども、
何10万人もの人々が故郷を追われてしまったのです。
生活もコミニティーも生活も全部が破壊されて流浪化してしまうという、
こんなことは戦争が起きても起きないという位の事が今現在も続いている。
そしてこれがまだ何十年も続かざるを得ないという状態になってしまっています。

そして、先ほど見ていただいた4号機ですけれども、
建屋が爆発しまして、
炉心の中にあった使用済み燃料も使用済み燃料プールというところに入れられていたのですが、
そのプールは宙づりのような状態になって、今存在しています。

そして、そのプールの底には、
広島原爆に換算すれば多分1万4000発というぐらいに相当する膨大な放射性物質が、
まだ、宙づりのプールの中に眠っているという状態です。
なんとかそれを、一刻も早く何とかしなければいけないのですが、
いかんせん、なにかをしようと思えば労働者が被ばくをするしかない。
そういう状態の中で、今でも苦闘が続いています。

では今まで一体どれだけの放射性物質が環境に漏れてきたかというと、
今から私が皆さんに見ていただこうと思うのはIAEAが行っている、
国際的な原子力推進団体、原子力マフィアの一つの組織であるIAEAという組織があるんですが、
その組織に日本国政府が報告書を出しました。
その報告書の中に大気中に放出したセシウム137という放射性物質の量が書き込まれています。
どの程度だったかという事をお見せします。
まず左の下に黄色い四角を書きました。
これは広島原爆が大気中にまき散らしたセシウム137の量です。
数字も書き込んでありますが(8.9×10の13乗
多分皆さんピンとこないと思いますので、数字は無視していただいて結構です。
ただしこの黄色い四角の大きさだと思って下さい。
では、福島の第一原子力発電所から、どれだけのセシウムが噴き出してきたかというと、
1号機だけで広島原爆の6発分から7発分(5.9×10の14乗)噴き出させました。
なんと言っても悪いのは2号機なんです。(1.4×10の16乗
こんなに噴き出した。
そして3号機もやはり噴出させて、(7.1×10の14乗
当日運転中だった1号機から3号機を合わせると、
広島原爆の168発分をすでに大気中にばら撒いたと、日本国政府が言っているのです。


2013090115.jpg

しかし私はこの数字は必ず過小評価だと思っています。
何故かと言えばこの事故を引き起こした直接の責任は東京電力という会社にありますが、
その東京電力に「お前のところの原子力発電所は安全だ」
「安全性を確認した」といってお墨付きを与えたのは日本国政府なのであって重大な責任があるし、
私は「責任」という言葉は甘いと思います。
「犯罪」と呼ぶべきことをやったのです。


犯罪者が自分の罪を軽く申告する道理はないのです、出来る限り、
あ・・・ごめんなさい。
「重く申告するど道理はない」ですね。
「できる限り軽く見せたい」と言ってはじき出した数字がこの168発。
多分これの2倍か3倍だと私は思います。

つまり、広島原爆がまき散らした放射性物質の
400倍とか500倍がすでにまき散らしてしまったという事故だったのです。
大変な事故なのです、これは。

そのためにどんな汚染が生じたかという事を日本国政府が地図に示しました。
福島原子力発電所はこの位置にあります。
西側は土地ですし、東側は海です。
そして日本というこの国は北半球温帯というところにありますので、
基本的には偏西風という西風が吹いているのです。

福島原子力発電所から大気中に放出された放射性物質は、
ほとんどが西風に乗って太平洋に流れたのです。
日本というこの国にとってはありがたいことだと思います。
しかし、風ですから、北風の日もあった、南風の日もあった、
という事で、日本の国土もこんなふうに汚れたのですね。
今日はこの汚染を詳しく皆さんに聞いていただく時間はありませんが、
福島第一原子力発電所の北西の方に赤と緑の帯がずーっと延びているのを分かって頂けると思います。
ここが猛烈な汚染地帯です。
民主党が政権をとっていた時代に、
一番初めは
福島第一原子力発電所から3kmの範囲の人たちに、万一のことを考えて避難しろという指示を出しました。
しばらくしたら10kmの人達に対して万が一のことを考えて避難しろと支持を出しました。
その次にまた、半径20kmの人に対して、万が一のことを考えて避難しろという指示を出しました。
そしてバスを差し向けて、住民を避難所に連れていった。
それっきりもう住民は帰れなくなってしまったわけです。
しかし、猛烈な汚染を受けたのは、20kmでもとどまらない、30kmでもとどまらない
なんと、40km、50kmという離れたところまでが猛烈な汚染を受けてしまいました。

この40km、50km離れたところには、福島県の飯舘村という村があります。
原子力発電所からは何の恩恵も受けないで、「自分たちの村は自分たちでつくる」と言って
長い年月苦闘を続けて日本一美しい山村と自他ともに認める程の村を作り上げました。
しかしその村が何の警告も受けないまま猛烈な汚染地帯に巻き込まれて、
住民たちはその汚染地帯の中で被ばくをしてしまって、
数カ月経ってから「お前のところが汚れている」と教えられて、今は全損離村です。

こんなことが起きていい事なんでしょうか?

この赤、黄、緑のところは面積にすると約1000キロ平方メートルあります。
琵琶湖が1.5個入ってしまうという、それほどの広大な土地がすでに無くなってしまったのです。

かつての戦争で日本は負けました。
負けたけれども「国破れて山河あり」だった。
国家なんていうものが負けたって、大地があれば人々は生きられる。
この範囲はもう人々が生きることすらが出来ないという事にされてしまったのです。
戦争が起きたって、こんなひどいことは起きないという事が、今もうすでに発生してしまっています。

2013090116.jpg

そして福島県を中心にして青く塗ったところが
東北地方、関東地方にずっと広がっているのが分かって頂けると思います。
そしてその青の周りにくすんだ緑があります。
福島県で言えば会津の方がそうですし、群馬県の西部、宮城県の南部も北部も
岩手県の一部もあります。
茨城県の南部、千葉県の北部、東京の一部にもありますけれども、
こういう色のところは現在の法律に照らしあわせるのならば、
「放射線の管理区域」にしなければなりません。


普通のみなさんは入れないんです。
私のようなごく特殊な人間だけが立ち入ってもいいと許されるのが放射線管理区域です。
が、その場所に私は立ち入った途端に水すらが飲めなくなる
というのが放射線管理区域です。

それがこんな広さですでに生じてしまった。ということになりました。

こういう状態を見て、日本の国は一体何をしたでしょうか?
これまで日本は法治国家だと自分のことを呼んできました。
国民がなにか悪いことをすれば、国家がちゃんと処罰すると
「しょっ引いていって処罰するから、日本の国の中には悪いやつはいないから安心しろ」と言ってきました。

それなら、法律をつくった国家が法律を守るのは最低限の義務だと私は思います。
そして国家が被ばくとか放射能について決めた法律だってたくさんあります。
例えば一般の人々。
今日この会場にいらっしゃるほとんどの方々は
1年間に1ミリシーベルト以上の被ばくはしてはいけないし、させてもいけないという法律があったのです。

そして今、放射線管理区域のことを聞いていただきましたけれども、
放射線管理区域からなにか物を持ちだす時には、
1平方メートル当たり4万ベクレルを超えているような汚染物は、
どんな物でも持ち出してはいけない
という法律で決まってたのです。
しかしさっき見ていただいた地図で、
青いところは1平方メートル当たり6万ベクレルを超えてすでに汚れている。
くすんだ緑のところも3万ベクレルを超えて汚れているんです。


それも放射線管理区域の中で汚れた私の実験道具では無い、
私の実験着でもない、
「大地そのものが全部汚れてしまった」と言っているのです。

それを見て日本の国は何をしたか?

私は先程犯罪者だと呼んだわけですけれども、
その犯罪者の日本の国は自分が決めた法律を一切反故にしてしまい、
「1ミリシーベルトなんていう基準はもう守れない、20ミリシーベルトの被ばくまでは我慢しろ」という。
「放射線管理区域の基準は超えているけれども、そこにみんな住め」ということにしてしまいました。
今逃げている人に対しても、「帰還しろ」というようなことを言っているわけです。
あるいは「勝手に逃げるなら国はなんにも知らない」というような事を言っています。

犯罪なんじゃないですか?これは。

ここまできてなぜ罪を裁けないかと、わたしは思いますし、
絶対にこの事故を起こした責任のある人たちを処罰していかなければならないと思います。



先ほどもおっしゃっていたけれども、東京には原発はないんですね。
これは東京電力のパンフレットから取ってきた図ですけれども、
東京電力は東京湾に沢山の火力発電所をつくりました。

2013090117.jpg

当り前ですね。東京湾周辺で沢山の電力を使う訳ですから、電気をそこでつくるのが一番効率がいい。
送電のロスもなにもいらないわけですから、東京湾につくったわけです。
そしてみなさんも東京電力の電気を使っていた方々だと思いますが、
東京電力は、では原子力発電所をどこに作ったかと言えば、
福島第一第二、そして柏崎刈羽という、
これは、東京電力とは何の関係もない地域なんです。

この関東地方のこの部分が東京電力が給電の責任を負っている範囲ですけれども、
それとは全然関係のないところに原子力発電所を建てたんですね。

「万が一でも事故が起きたら大変だ」という事でこんなところに建てた。
そして事故が起きてしまえば、
こういうところの人達が苦難のどん底に突き落とされるという事になってしまっているわけです。

そして今彼らは、この事故をなかった事にしようとしています。

日本ではこれまで58基の原子力発電所がつくられてきました。
その全ては自民党政権が「安全性を確認した」と言って建てたのです。
福島第一原子力発電所もそうです。
安全性を確認して建てたのです。


その原子力発電所が事故を起こしているのに、いま自民党政権、安倍さんですけれども、
安全性を確認して、いま止まっている原発を再稼働させる」と言っているんですね。
真に正気の沙汰ではないと私は思いますし、
安倍さんはさらには「新しい原発をつくる」そして
「海外に原発を輸出する」というようなことまで言っているわけです。


そしてそれをやるためには、
福島の原発の事故を忘れさせる」という事が彼らにとって必要になっているのだと思います。
マスコミもそれにどうも乗っているようですし、
福島のニュースはどんどん少なくなってきて、
被災者の方々がどれだけ苦しんでいるのかという事についても、
報道はほとんどなされなくなってきているとおもいます。


そうであれば私たちに必要なことは「福島を忘れない」という事だと思いますし、
私もそうしたいと思いますし、
今日この会場にいらっしゃって下さっている方は
その思いでここに集まって来て下さっていると思いますし、
これからも福島を忘れないという事で、是非ともお願いしたいと思います。


つづくーー


続きはこちら↓
後半・
「原子力というのは核です。 核兵器そのものなのです。力の論理で平和が築ける筈はないのです」
小出裕章氏9.1さようなら原発講演会(文字起こし)







「9.1さようなら原発講演会」の文字起こし

動画はこちらにあります↓
「みなさん、これは民主主義と言えますか?」内橋克人氏9.1さようなら原発講演会(文字起こし)

「人間の命としても明日の保障はないですね」澤地久枝さん9.1さようなら原発講演会(文字起こし)

「このまま、このまま、死ねないよね」落合恵子さん9.1さようなら原発講演会(文字起こし)

「これは最初から出来レースなんです。こんな犯罪を許せますか!」
佐藤和良氏(いわき市議会議員)9.1さようなら原発講演会(文字起こし)


小出裕章氏講演↓
前半・「そして今彼らは、この事故をなかった事にしようとしています」
小出裕章氏9.1さようなら原発講演会(動画・文字起こし)


後半・
「原子力というのは核です。 核兵器そのものなのです。力の論理で平和が築ける筈はないのです」
小出裕章氏9.1さようなら原発講演会(文字起こし)






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