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トリチウムによる染色体異常~ヒト培養リンパ球での実験結果~

東京電力の多核種除去装置アルプスが万が一役に立ったとしても、
そのまま全部残ってしまうのがトリチウム。

トリチウムは海へ流してもいいのか?
トリチウムは危険じゃないのか?
下記の新聞記事では
産業医科大アイソトープ研究センターの馬田敏幸副センター長(放射線生物学)は
「水素の同位体のトリチウムは全身に分散し、ストロンチウムのように骨に蓄積し残ることはない。
飲み込んだとしても、汗や尿で排出され、10日ごとにその半分が体外に出る」
環境科学技術研究所の久松俊一環境影響研究部長は
「各国でもこれまで大きな健康被害があったという報告はない」
という事で健康に影響はないと結論付けられている。
が・・本当だろうか?
このところ私はトリチウムが気になって仕方がない。


“切り札”ALPS今月下旬に再開 残留トリチウム、健康への影響少
2013.9.22 20:03 [放射能漏れ]

東京電力福島第1原発の汚染水問題で、
“切り札”となる多核種除去装置(ALPS=アルプス)が今月下旬に試験運転を再開する。
たまり続ける汚染水の抜本策としてALPSで処理した水の海洋放出が計画されているが、
放射性物質のトリチウムだけが取り除けず、地元漁業関係者が放出反対を表明している。
実はトリチウムは国内外で日常的に海へ流されており、
専門家は「健康への影響は少なく、必要以上に恐れることはない」と指摘する。(原子力取材班)

 ■1トンで2千万円

汚染水処理に期待されていたALPSは6月の試験運転中に漏水が確認され、
腐食も認められたことから運転を停止。
東電は「再発防止の確認ができた」として運転を再開する。

汚染水は1日約400トン増加し、ALPSで処理した水は海に流さざるをえないが、
地元漁協は「完全に放射性物質を除去できず、流すことは許されない」として一歩も譲らない。

トリチウムの除去は技術的には可能だ。
廃炉中の日本原子力研究開発機構の新型転換炉原型炉「ふげん」(福井県)には
1日30キロのトリチウム水を処理する小型装置があるが、
装置の費用は7億円で、1トンの処理に2千万円が必要だった。

濃度はふげんのトリチウム水の10万分の1だが、
福島第1原発に当てはめ単純計算すると、約10兆円をかけて装置を設置し、
8兆円を超える処理費用がかかることになる。

 ■汗や尿で排出

こうした現状について、富山大の松山政夫・水素同位体科学研究センター長(トリチウム科学)は
「莫大(ばくだい)な費用だけでなく、膨大な時間も必要になる処理は非現実的。
今の時点では、トリチウムの除去はできない」と話す。

トリチウムは三重水素で自然界にも存在し、
放射性セシウムやストロンチウムに比べて、人体への影響は少ない。
産業医科大アイソトープ研究センター馬田敏幸副センター長(放射線生物学)は
水素の同位体のトリチウムは全身に分散し、ストロンチウムのように骨に蓄積し残ることはない。
飲み込んだとしても、汗や尿で排出され、10日ごとにその半分が体外に出る
」と説明する。

 ■「健康被害なし」

国内ではこれまで、トリチウムを海に放出してきた。
各原発では、原子炉施設保安規定で「放出管理基準値」を独自に規定。
年間の放出量による一般公衆への影響が年間0・001ミリシーベルト未満に抑えるようにしている。

青森県六ケ所村の核燃料再処理工場では平成20年、再処理試験で出た1300テラベクレル
(テラは1兆、管理基準は1万8千テラベクレル)のトリチウムを海に放出。
希釈のため、沖合3キロまで放水口を離すなど工夫をこらした。

これに対し、福島第1原発のトリチウムの総量は、
再処理工場の半分以下である500テラベクレルと推計されている。

六ケ所村の管理基準を準用すれば、10日間で放出できる計算だ。

海外でもフランスのラ・アーグ再処理工場では年間9950テラベクレル、
英国のセラフィールド再処理工場では1390テラベクレルといった海などへの放出実績がある。

環境科学技術研究所久松俊一環境影響研究部長は
各国でもこれまで大きな健康被害があったという報告はない」と話している。

 ■トリチウム 三重水素と表記される。
あらゆる場所に存在し、雨水には1リットル当たりおよそ1ベクレルの濃度で含まれる。
放射線を放つ能力が半分になる半減期は12年
発する放射線はベータ線で、人の皮膚を貫通するエネルギーはない。
国の放出基準値は1リットル当たり6万ベクレル


ーー追記ーー

ここから先の一部分に関して、朝日新聞より
2013101316



この部分の内容は繋がりがありますので、
元記事のリンク↓
トリチウムは低濃度でも染色体異常起こす!!


ーー追記ここまでーー

ーー

この記事の研究結果がどこかにないか探してみることにした。
放射線医学総合研究所資料集を調べてみると、
トリチウムに関しての研究は昭和48年から始まっている。
上記新聞記事の中井斌氏の研究部分を見つけたので、
その部分を書き出してみた。


昭和48年
トリチウムによる染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、中井斌)

トリチウムの内部被ばくに基づく遺伝的障害、特に人体細胞での染色体異常について、
その線量効果を知ることを目的とする。
本年度はその基礎として、
正常人の末梢血培養法及び第一分裂中期の染色体標本の作成方法を確立するとともに、
リンパ球の細胞分裂周期を知る一指標として、培養後の分裂指数を調べた。
その結果、リンパ球はPHA(2%)処理後40時間より第一分裂に入り、
その頻度は48時間で最高であった。
今後は正常人の末梢血をトリチウム水で培養前(Go)
及び培養後の異なった時期(G1期及びS期)に処理して、
染色体異常に対するトリチウム水の線量効果およびその細胞分裂周期との関係を研究するとともに、
γ線の外部照射による効果との比較検討を行う予定である。

昭和49年
トリチウムによる染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、中井斌)

トリチウムの内部被ばくによる遺伝的効果、特に低レベルの効果を定量的に明らかにする目的で、
ヒトの培養リンパ球にとり込まれたトリチウムの効果を染色体異常を指標として分離し、
トリチウム水(THO)およびトリチウムーチミジン(3H-TdR)によって誘発される
染色体異常の型とその濃度効果を比較検討した。

培養された末梢血リンパ球と種々の濃度(10マイナス6乗μCi/10の8乗μCi/ml)で48時間処理して、
その第一分裂中期の染色体について染色体異常を解析した。

濃度のトリチウム水はトリチウムーチミジンと同様に染色体異常を誘発し、細胞分裂を阻害する。
トリチウムによって誘発される染色体異常は主として染色分体系の切断で、
その他に染色体切断、染色分体組替え、染色体組換えなどが観察された。

染色体異常の出現頻度は低濃度(10マイナス2乗μCi/ml以下)では
対照区も有意な差は認められなかったが、
高濃度では次のような濃度効果曲線を示した。

トリチウムーチミジンの場合、10マイナス2乗mCi/ml以上の濃度でY=1.03Dの0.63乗であった。
Y=細胞切断数
D=濃度、μCi/ml

トリチウム水の場合には二相性が認められ、それぞれの濃度効果曲線は
Y=0.10Dの0.14乗(10のマイナス2乗μCi/ml~5μCi/ml)、
Y=0.03Dの0.80乗(5μCi/ml以上)であった。
後者の曲線はトリチウムーチミジンの場合と同様に、one hit曲線で
トリチウムによる染色体DNAの切断を示している。
しかし、トリチウム水の染色体異常誘発効果はトリチウムーチミジンに比較して100倍程度低い。

トリチウム水の場合に得られた二相性の濃度効果曲線の機構としては次のような説明が可能である。
第一の高濃度域での効果曲線はトリチウムーチミジンの効果と同一の勾配であることなどから、
染色体DNAに取り込まれたトリチウムによる障害と考えられる。

第二の低濃度域での効果曲線については2通りの説明が考えられる
1)トリチウム水の場合、核内あるいは細胞質内に存在したフリーのトリチウムによっても障害を受ける可能性
2)細胞の修復能力がこの濃度域では障害とバランスされる。

これらの可能性を明らかにするため、今後、他種のトリチウム化合物を用いた同様の研究とともに
γ線などの微量外部照射の効果を比較検討する予定である。

[研究発表]
堀、中井:「トリチウム水によるヒト培養リンパ球における染色体異常」
日本放射線影響学会(第17回大会)徳島市(1974.10)





昭和50年
32ページ
低線量放射線による染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、森谷純子、中井斌)

トリチウムの内部被ばくによる遺伝効果、特に低レベルの効果を定量的に明らかにする目的で
ヒトの培養リンパ球に対する種々のトリチウム標識物質の効果を染色体異常を指標として分析し、
誘発される染色体異常の型とその濃度効果を比較検討した。
前年度までの研究により、トリチウム水が主として染色分体型の異常を誘発し、
その濃度効果関係が二相性
(低濃度領域でY=0.09Dの0.12乗、高濃度域でY=0.02Dの0.95乗;
Y=細胞当たりの染色分体切断数、D=トリチウム濃度、μCi/ml)
を示すことを明らかにした。

今年度は高分子生合性のトリチウムー標識前駆物質
(トリチウムーチミジン、トリチウムーウリジン、トリチウムーロイシン)
の効果について比較検討した(第4表)

2013100115.jpg

トリチウム(³H)によって誘発される染色体異常はいずれの場合にも主として染色体分体型の切断であるが、
トリチウム水³Hーチミジンの場合に比較して有意に高い頻度で観察された。

この事は全3種の³Hー標識物質の場合にはG₀-G₂期を含めた全細胞周期を通して、
染色体DNAが損傷を受けたことを示している。
³Hーチミジンを用いた低濃度域での定量的分析によって、
³Hーチミジンの場合にもトリチウム水の場合と同様に
細胞0.1個の染色分体切断を誘発する³H濃度のところで折れ曲がる二相性の濃度効果関係
(低濃度でY=0.13Dの0.12乗、高濃度域でY=1.17Dの0.70乗)
を示すことが明らかになった(第8図)。
2013100116.jpg
濃度効果関係の二相性は染色体異常がDNA標的サイズあたりの損傷(DNA鎖切断)の数の蓄積と、
細胞自体の有する修復機能とのバランスの結果として生じることを示すものと考える。
この現象がトリチウムの内部被ばく(とくに連続照射)に特有のものであるかどうかを確かめるために、
今後ベータ線などの微量外部照射(急および緩照射)の効果と比較検討する予定である。

[研究発表]
堀、中井:日本放射線影響学会第18回大会 東京(1975.10)






昭和51年 
17ページ
低レベル放射線の人体に対する危険度の推定に関する研究
概況(18ページ)
また、前年までの人の末梢血を用いたトリチウムの内部照射の研究から、
その線量効果は線量域で折れ曲がる二相性を有することが明らかにされた。
本年はγ線の外部照射による比較研究を行い、その線量効果は二相性を示さないことがほぼ明らかとなった。
この結果は二相性の線量効果がトリチウム特有のものであることが示唆されるが、
一方緩照射に基づく修復の関与の可能性も残っており、今後の解明が望まれる。

25ページ
低線量放射線による染色体異常の線量効果の研究
遺伝研究部(堀雅明、森谷順子、中井斌)

トリチウムの内部被ばくによる遺伝的危険度を明らかにする目的で、
ヒトの培養リンパ球に誘発される染色体異常についての定量的研究を行っている。
前年度までの研究成果によって、トリチウム水は主として染色分体型の異常を誘発し、
その濃度効果が二相性を有することを明らかにした。
特に低濃度の領域において、誘発効果が約1/10ヒットに相当するゆるい勾配を示すことは、
一般的に低レベルの放射線の遺伝的危険度と遺伝効果の機構を考察する上で重要な問題を提起する。
今年度はこの現象がトリチウムの内部照射(急及び緩照射)の効果について研究を行った(第7図)
2013100114.jpg
(1)急照射:G₁期の照射では染色体系の異常が誘発され
その頻度はY=1.38D+5.81D²にしたがって増加し、染色分体型の異常は対照区と変わらない。
S期の照射(S期75%、G₂期25%)では染色分体型の異常は増加しない。

(2)緩照射:全細胞周期を通じての48時間連続照射では、
染色体系、染色分体型の双方の異常が誘発され、
染色分体型の異常は25R以上で線量にしたがって増加する。

以上の結果は、γ線の外部照射の急及び緩照射のいずれによっても、
15R以上の線量範囲においては
トリチウムの内部照射にみられた染色分体接続頻度の二相性は認められなかった。
このことはトリチウムの実験で示された二相性が、
トリチウム特有の遺伝損傷に基づく現象であることを一面示唆するが、
なおS期緩照射の修復に基づく可能性も残されており、この両者の可能性について今後十分の検討を加えたい。

[研究発表]
堀、中井:日本放射線影響学会第19回大会 広島(1976.10)


ーー



昭和52年、53年は
「トリチウム(低線量放射線)による染色体異常の線量効果の研究」は見つけられなかったので、
昭和50年までの書き出しです。
新聞記事になっているのは昭和49年の部分。

東京電力福島げ第一原子力発電所からは相変わらず高濃度のトリチウムが計測され続けている。

福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果
福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)
2013100120.jpg

台風の大雨で流された後、少し数値が減ったが、すぐに戻り、今は高い水中を維持したままです。





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放医研74年見解記事の続き

初めまして。あのネットに上がった放医研74年見解の続きを書き起こしました。『ひん度は普通(四~五%)と変わりなく、それ以上5?キュリーまでは染色体異常のひん度はゆるやかに上昇。5マイクロキュリー以上では急上昇になり10マイクロキュウリでは18%、百マイクロキュリーでは95%の細胞に染色体異常がみつかった。5キュリーを越えると染色体異常のカーブが急上昇することについて堀研究員は「一般に細胞は
放射線によって受けた損害を修復する力があるが、5マイクロキュリー以上ではこの修復能力を超えるのではないか、というのが一つの見方だ」と話している。こんどの研究結果について中井遺伝研究部長は「トリチウムの濃度はあくまで体内に入った時の濃度で、原子力施設の排水中のトリチウム・・・(すみません、ここは記事がきれいて)・・・でる心配は全くないが原子力開発にともない今後汚染は増え続けるだろう。それを見込んで今のうちから
環境基準などを厳しくする必要はある。そうした注意を喚起する意味で
中井氏の実験は評価できる。』

これは朝日新聞でも関西版の夕刊に載った記事で、東京版の縮刷にはありませんでした。徳島の友人に徳島にある縮刷版を見てもらった次第です。あなたのお仕事にはいつも感服しております。今後も頑張ってください。報ステの関電副社長のも見ましたよ!最高! 加藤就一
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