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10.12
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堤未果 JAM THE WORLD 『官僚が判断する秘密会!「特定秘密保護法案」』2013.10.09

日本弁護士連合会の秘密保全法対策本部 事務局長で、弁護士の清水勉さん



堤:
今日安倍総理は訪問先のブルネイで「特定秘密保護法案」について、
「国民の『知る権利』、報道の自由は極めて重要だ。
秘密保護法案についても、そうしたものが尊重されることは大切だ」と述べ、
「知る権利を法案に明記する必要がある」との認識を示しました。

とはいえ、国民の知る権利をはじめ、
基本的人権、報道の自由を侵害しかねないと問題視する声が多い、この「特定秘密保護法案」。

そこで今夜はこの法案についてこの方と考えます。
日本弁護士連合会の秘密保全法対策本部 事務局長で、弁護士の清水勉さんです。
清水さんこんばんは、よろしくお願いします。

清水:こんばんは、よろしくお願いします。

堤:
清水さん、この特定秘密保護法案、初めて聞くリスナーの方もいるかもしれないので、
あらためてどんな法案なのかポイントを教えていただけますか?

清水:
国の行政機関が自分で集めた情報、あるいは管理している情報について、
特に重要と思われる情報については秘密指定をして、
それを特定の人だけに管理をさせて、提供先についても限定をする。
という仕組みをまずつくって、
それに違反して漏えいした場合、
あるいはそれにアクセスしようとした人たち処罰する
。と、そういう仕組みですね。


堤:
これいま、「行政が秘密と特定した物」というふうにおっしゃいましたけれども、
行政というのは具体的には?

清水:
法律には「行政機関の長」という書き方をしているんですが、
他の言葉でいうと、「各省庁の大臣」ということになります。
さらに具体的に、言っちゃってもいいですかね?

堤:どうぞ。

清水:
さらに具体的に言うと、ま、大臣はそんなに専門性の知識を持っていませんから、
官僚が判断する」という事になります。


堤:という事は、行政の長と書いてあるけれども、実質的には官僚が判断する。

清水:
はい。
官僚がほとんど、ことごとく指定すると考えていいと思います。

堤:
あの、「扱いについて厳重に規制をかける秘密の定義」
ま、どれを秘密にするかということを官僚が決めると?
いうことですか?

清水:
はい。
別表の1号から4号というのがあって、
そこで「この4項目に該当する中から特定秘密を指定します」という、
そういう指定の仕方にはなっているんですけれども、

堤:4つの項目?

清水:
今回のこの法案の最後に第1号から第4号まで、
防衛、外交、それから3番目は主にスパイ活動ですけれども、それから4番目がテロ活動の防止。
この4項目ですけれども、
その中にさらに具体的に4項目ないし10項目書かれていますけれども、
これもかなり抽象的に書かれているので、
どういう情報について具体的に指定するかというのは、かなり専門性も要すると同時に、
「なにが特別な秘密になるのか?」というのは、
なかなか国会議員には判断しにくいところがあると思いますので、
ま、官僚が判断することになるでしょう。
ましてや国民にはなかなか判断しにくいという事になると思いますね。

堤:
あの、なにが秘密かという事を国会議員が判断しにくいという状況で、
この法案を通すための採決は国会議員が票を投じるわけですよね。


清水:
そうですね、はい。
だからまずは自分で首を絞めるようなところがあるんですけれども、

堤:国会議員が。

清水:
はい。
この法律が面白いところは、
官僚が秘密指定をして、それを国会議員の方が国会でそれについて議論したいと言った時に、
官僚がいくつもハードルを設定しておいて、
「この条件を満たしてくれれば見せてあげようかな」という・・・。
「見せてあげる」じゃなくて「あげようかな」っていう法律なんですよ。


堤:
ちょっと待って下さい。
そうすると、この特定秘密に関して国会審議するという行為そのものが、もう規制される可能性が高い?

清水:
前提として「秘密会」にする必要は多分あると思うんですよ。
「秘密会」を開いて提案を出されたら、
「こんなもん意味無いじゃないか」って国会議員がひっくり返すことというのは、
それは出てくれば可能かと思いますよ。
ただ、出すか出さないかというところについて、いくつものハードルが条文に書かれていて、
「それをクリアするかどうかというのは行政機関の長が判断する」となっているので、
実際は先ほど言ったように、官僚が判断するので、
官僚が「クリアしてない」と判断すれば、「秘密会」でやっても出てこないという事になるんですよ。


堤:国会議員ですら手が出せなくなる。

清水:
はい。
で、仮に「秘密会」から出てきても、面白いのは、
「秘密会」に入っていない議員に、同じ党の議員に、
「この問題について是非一緒に議論して考えてほしい」とか、
政策秘書に「調べてほしい」というふうに考えるじゃないですか。
それが秘密漏えいに当たる可能性もあるんですよ。

堤:
そうするとこの、「秘密会」に入っている議員は、
どうやってそれに対する調査をするんでしょうか?


清水:だから、自分でその場で考えるだけでしょ。

堤:・・・・・

清水:
もう少し広くするかもしれないけれども、
これもまた行政機関の方で、「外に言ってはダメよ」という条件を付けられたら、
国会議員は手が出ない訳ですよね。
でもどうしても自分には専門性が欠けるから、
同僚の国会議員とか、非常に優秀な政策秘書に「調べてほしい」とか、
場合によったら外部の専門の研究者とか、そういう人にも相談したいというものが、
ことごとく秘密漏えいになる可能性があるわけですよ。

堤:
そうすると、国会議員の国政活動の中には「調査」というのがありますよね。
「調査室」を使ったり。
っていう事が一切できなくなる。…事は、国会議員の先生はご存じなんでしょうか?

清水:
一切できなくなるという事はないけれども、
秘密指定されているという情報になると、それは非常にやりにくくなりますよね。

堤:
やりにくくなる。
そのことを国会議員の方達というのは、今認識は?


清水:
まだあんまり自覚されていないんじゃないでしょうかね。
公明党と自民党にはヒアリングに行った時に説明をしましたけれども、
皆さん驚いていたぐらいですから、
あのー、おそらくこの条文が急に見せられたものだから、
まだ国会議員の中でも
そういった法律になっていることの認識はほとんどされていない
んじゃないでしょうかね。

堤:
これは、清水さんが所属している日弁連も、今これの反対声明を出していますけれども、
日弁連はいつごろ反対をあげたんですか?

清水:
もう、2年以上前からですかね。
そもそも、尖閣諸島の問題が起こった時にも、あれが●が逮捕された時に、
間違いなくこれは起訴猶予になると思っていたんですよ。
起訴猶予になるというのは「起訴されないからいい」というふうに思われがちですけれども、
起訴猶予というのは「本当は起訴できるんだけども起訴しません」という意味ですから、
犯罪が成立していることが前提となるんですよ。
でも、あんな情報は秘密じゃないというのが全ての我々の考え方だったので
それは嫌疑なしで不起訴にしなければいけないという考え方で、そういった意見表明もしていまして、
それ以降この秘密保護法に関係するものについては、
ことごとく問題提起をして、批判をして、反対をしてきたというそういう経過です。

堤:
なるほど。
いま尖閣諸島とおっしゃったんですけども、
尖閣諸島のことがあった時、彼らの時系列で考えた時に、
日本名そもそもスパイ防止法がないと。
スパイ天国になっているのだから、この特定秘密法案は必要である、重要であるという
賛成派の声についてはいかがですか?

清水:あのー、話にならないですね。

堤:話にならない。

清水:
はい、
そんな特別なこういった法律が必要なんじゃなくて、
もっと基本的なところで、公文書の管理の在り方をどうするか?
秘密情報のランクをきちんとつけて、それについての管理や利用の仕方をルール通りにできるかどうか?
それと今は情報はほとんどデジタル情報になっているので、
デジタル情報のシステムをどう管理するかという事が重要であって、
この法律のように、基本的に紙ベースで情報があることを前提としているような法律
というのは、
かなり時代錯誤だと思いますけどね。

堤:
なるほど。
清水さん今ですね、リスナーからこんなメールがきています。

国民に広く知らせることなく、政府や官僚で勝手に決められることが多いのに、
なぜ今この時期に、特定秘密保護法案を国会に提出するのか?というのが一番の疑問です。
原発事故の状況など、よほど隠したいことが多いのではないか?という不安しか感じません。

なぜ今なのか?という事なんですけれども、
これについてはいかがですか?


清水:
えっと、「今なのか」というよりも、
ずーっと、何時だそうかという事は考えていて、
それは2001年の9.11、あの時のあの10月に日本では自衛隊法を改正して、
この特定秘密のようなものを作り上げている訳ですね。
12月にPATRIOT Actが出来る訳じゃないですか。

堤:愛国者法

清水:
そう、愛国者法が出来る訳じゃないですか。
そういう流れの中で、片方で情報が世界中でインターネットでフラット化していますよね。
で、様々なところで情報漏えいの問題が出てきたりとか、
世界中の人間が対応できるような環境になってきていて、
官僚が情報を独占して上から支配するということがかなり難しい世界環境になってきていて、
日本もそういう環境になっているわけですね。
そういう時に政治的には情報を握っているものが強いのであって、
フラット化するというのは如何に自分たちがだらしない仕事をしているかっていうのがばれてしまう訳で
民主党政権の時に情報公開を進める、情報法の改正も進めると言った流れというのが、
結構国民的な支持を受けちゃったわけじゃないですか。
それをに対して官僚の側がどうすればいいのか?っていうのが、
情報公開の裁判で防御するのではなくて、逆に打って出るというのがこの仕組みですよ。



堤:なるほど。その反動だったと。

清水:その反動というのが非常に強いと思います。

堤:
はい。
という事で特定秘密保護法案の危険な部分、それから当事者はだれなのか?
出来た経緯という事をいま説明していただきました。
それでは後半はこの特定秘密を扱える人をどうやって政府は決めるのか?
というところから入りたいと思います。
清水さん引き続きよろしくお願いいたします。

清水:よろしくお願いします。



つづくーー



後半はこちら↓
後半・ハニ―トラップが項目に入ってない。本当に真面目に情報の漏えいを防ごうとしているのかな?
10/9堤未果 JAM THE WORLD官僚が判断する秘密会!「特定秘密保護法案」(文字起こし)




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