2013年10月25日
「原発再稼働をめぐる攻防・泉田裕彦・小出裕章・古賀茂明」
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章さん
新潟県知事・泉田裕彦さん、
元経済産業省の官僚・古賀茂明さん。
27:31~ http://youtu.be/OUwMpTIIDU0?t=27m31s
水野:
今日の報道するラジオは「原発再稼働をめぐる攻防」と題してお送りしております。
ここからは京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生にも伺います。
小出さん、こんばんは、よろしくお願いいたします。
今日は新潟県の泉田裕彦知事にも議論に参加していただいているんですけど、
先ほどの話で泉田知事が東電に対して、フィルターつきベントについていろいろと疑問を呈したところ、
東電は設計を変えるんじゃなくて、ベントを追加しましょうと言ってきたんですね。
それも地下に追加するという話だそうです。
これで安全性は保たれるんでしょうか?どうなんでしょうか?
小出:保たれる道理がありません。
水野:はい。
小出:
もともとこれまで原子力発電所というものは、
「原子炉が溶けるなんていう事は絶対にない」と言ってきたのです。
それで安全審査という事をやったんですけれど、
仮に溶けたとしても、格納容器という放射能を閉じ込める容器は絶対に壊れない。
「だから周辺住民は被ばくをする事はありません」というのが前提だったのです。
しかしもし、原子炉の炉心が溶けてしまうようになれば、
格納容器が壊れてしまうという事は技術的にあたりまえなことなのであって、
福島の原子力発電所でも実際に格納容器が壊れてしまって、
膨大な放射性物質が噴き出してきてしまった訳です。
技術的に言えばそういうふうなことはもちろん起こり得るわけで、
「炉心が溶けても格納容器だけは壊れません」という事はやはり言えないということになって、
ある時点から「では、格納容器をなんとか壊さないようにベントというものを取り付けましょう」
ということになってきたのです。
ですから、もともとは「絶対に壊れない」と言っていた訳ですけれども、
それが「壊れるかもしれないからベントを付けよう」とかいうことになったわけですが、
ベントというのは
「もともと放射能を閉じ込めるための格納容器の中から、放射能を外に放出する」
ということが前提になっているというわけであって、
そんな事をすれば周辺の人達が被ばくをしてしまうということは避けることができなくなってしまうのです。
ですからもともとベントという事はやってはいけない事なのですし、
そんな装置が必要になるようなものは造ってはいけないと思うべきだと私は思います。
水野:
はい、なるほど。
新潟県知事の泉田さん、今の小出先生のお話を聞かれていかがでしたでしょうか?
お聞きになりたいことも含めてどうでしょう?
泉田:
原子炉というのはまさにそういうものなんですけど、
特にヨーロッパは、「メルトダウンが起きた時にどうするか」という事を想定して設計しているんですよね。
溶け落ちたものを受け止める施設というものを最新の原発に付けているんです。
で、アメリカは?って言うとですね、ソフト的に溶けないように対応するための部隊というか、
制度・仕組みを持っている。
日本は第二の安全機能を付けようとしているとしか見えないので、
やっぱり「事故が起きないようにいろいろ基準を作りました、だから安全です」というのは、
これは虚構だというふうに思います。
水野:
うーん、…あの、小出さん、
今のどうでしょうか、やはり・・・メルトダウンありき。
それでもやはり出来る限りのことをするという為のこのフィルター付きベントというんでしょうか、
あのー、東電の社長は
「フィルターベントで出ていく放射性物質の量を1000分の1に出来る」って言っているんですね。
で、「100テラベクレルに抑えられる」というふうに、知事との会談で言っているんですが、
これって、どういう意味と捉えたらいいんですか?
小出:
皆さんそんな事を信じることができるのでしょうか?
これまで東京電力という電力会社は
「絶対に放射能は外に出ませんし、周辺の住民が避難訓練をする必要もありません」と言ってきたのですね。
それがスリーマイル島の事故、チェルノブイリの事故を受けて、
「周辺8kmの人だけ避難訓練をしておけば十分だ」というような事を言っていたのですけれども、
福島の事故では50kmも離れたようなところの飯舘村という村が猛烈な汚染を受けてしまっている訳です。
東京電力がどんな事を言ったとしても、
それが守れなかったということがすでに事実として示されてしまっている訳ですから、
「フィルターベントだって本当にちゃんと動くんだろうか?」と、私はそれこそ不安です。
水野:泉田さん、せっかくの機会ですから小出さんにご質問なさったらいかがでしょうか?
泉田:
質問、・・何を言ったらいいですか・・・、
じゃあ一番ね、せっかくの機会なので聞かせていただきたいのは、
2号機がですね、最も放射能をばら撒いた設備なんですけれども、
なぜそうなったか?というと、格納容器がまさに壊れてしまったという状況で、
この放射能を最大ばら撒いたと、
水野:あ、福一ですね。福島第一原発の2号機ですね、はい。
泉田:
で、今回の基準、新しい基準というのは、
この格納容器を壊さないというのに適切な規制になっているんでしょうか?
小出:
もちろんなっていないと思います。
もともと泉田さんご自身がずーっと言われていることですけれども、
「福島第一原子力発電所の事故の原因がしっかり分からないうちは安全対策の取りようが無い」
ということだと私も思います。
いま泉田さんがおっしゃって下さったように、
福島第一原子力発電所の場合には2号機が最大の汚染源だと国も東京電力も言っている訳ですけど、
では、いったい2号機の格納容器のどこが壊れたのか?
ということすらいまだに分からないのです。
あれこれ推測はありますけれども、その推測を確かめに行くことすらできない。
原子力発電所というのは、原因を確かめるためのこともとても難しいという、
そういう装置なんだということな訳です。
おそらく原因を確定するためにはたぶん10年とかそんな時間が必要になると思います。
水野:ははぁ…10年ですか。
小出:はい
水野:はい、小出裕章さんどうもありがとうございました。
小出:ありがとうございました。
水野:
京都大学原子炉実験所助教小出裕章さんに聞きました。
泉田知事、小出さんは「10年程も原因が分かるまでには時間がかかるだろう」
というふにおっしゃいましたですね。
いかがでしたか?
泉田:
うーん、「10年で分かるのかな?」という感想ではありますけれどね。
あの、ただ可能性としては、今回の事故でいろんな事を想定しなくてはいけないという事はわかりますよね。
たとえば、さっきの2号機の話で言うとですね、ひょっとすると、
この、ベントが上手く出来なかったんです。
ベントが上手く出来なかった原因の一つが、
「空気圧でバルブを開けるところが動かなかったんじゃないか」という説もあって、
そうするとCクラスの配管は大丈夫か?っていう話も出てくる訳なんですよね。
だから、チェックするところが可能性としてあげられるところはかなり出てくるんじゃないかと思いますよね。
つづくーー
※お願い
この部分は小出裕章先生の出演部分のみを文字起こししています。
ここだけを読むと、泉田知事の本心が分かり辛いと思います。
番組の最初から読んでいただくのが一番いいのですが、
続きの部分4「非常に今回、泉田さんに対する個人攻撃がひどいんです」古賀茂明
泉田裕彦・小出裕章・古賀茂明10/25報道するラジオ(文字起こし)
も是非合わせてお読みください。真実を知るために・・・
私は一般市民として、泉田知事を応援していますლ (。◕ˇε ˇ◕。ლ)
いろいろなマイナスの情報には惑わされないで本当を見つけていきたいと思っています。
報道するラジオ 2013年10月25日
「原発再稼働をめぐる攻防・泉田裕彦・小出裕章・古賀茂明」文字起こしブログ
1「止まっていても生きている原発ですのでなにが起きるか分からない」泉田裕彦
小出裕章・古賀茂明」10/25報道するラジオ(文字起こし)
2「経産省が銀行と約束しているんですね、裏で」古賀茂明
泉田裕彦・小出裕章・古賀茂明10/25報道するラジオ(文字起こし)
3「もともと泉田さんご自身がずっと言われていることですけれども
『福島第一原子力発電所の事故の原因が分からないうちは安全対策の取りようが無い』」
小出裕章・泉田裕彦・古賀茂明」10/25報道するラジオ(文字起こし)
4「非常に今回、泉田さんに対する個人攻撃がひどいんです」古賀茂明
泉田裕彦・小出裕章・古賀茂明10/25報道するラジオ(文字起こし)
報道するラジオ 2013年10月25日
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