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11.05
Tue



報道するラジオ
「汚染水だけではないメディアが伝えない福島第一原発」

2013年11月1日




水野:
今日は原発問題です。特に福島第一原発で、今、何がどうなっているの?
これって、もちろん報道している訳ですけれども、詳しいところ、
ほんまにみなさん、何がどうなっているかご存知ですか?

平野:
日々汚染水の問題が報じられている訳ですけれども、
実際は汚染水だけじゃなくて、様々な取り組みの矛盾というものがあるわけで、
全体像を我々はつかんでいないような印象がありますよね。

水野:
汚染水もものすごい量の話が、何100トンなんていうのがどんどん出てくると、
なんだか私の神経が、ちょっとこう麻痺してくるというか、訳が分からなくなってくるんですよね。
本当に平野さんがおっしゃるように全体像が今どういうことになっているのか?
ちゃんとつかみたいと思います。
そこで今日は3.11の福島の第一原発の事故の後、ずーーーっと東京電力の記者会見に出席し続けて、
質問し続けて、取材をし続けて来られた、そんな方々にお話を伺わせていただきます。
まずこのスタジオにお越しいただきましたのはジャーナリストの木野龍逸さんです。
こんばんは。
木野さんは今もパソコンを目の前に置いて、

木野:形だけですけど(笑)

水野:
そうですか。
なんかこう、新しいジャーナリストの形かな、なんて。
木野さんはジャーナリストとして今東電の会見に出ていらっしゃる訳ですけど、
3.11以前はどんなお仕事をなさっていたんですか?

木野:普通の雑誌のライターをしてまして、

水野:どんな関係が多かったんですか?

木野:
僕は車関係が多くて、
次世代車って言われているハイブリッとの車とか電気自動車などを中心に取材していました。

水野:そうなんですか。それが3.11以後変わられたというのは、

木野:原発になってしまいました。

水野:それはどういう経緯からでしょう?

木野:
皆さん興味を持っている方は同じだと思うんですけれども、
インターネットとかテレビで東京電力の会見を見ていると、何を言っているんだかわからなくてですね、

水野:訳分からなかったです、あの頃ね。

木野:
そうなんです。
で、ほとんど24時間張り付きで見ていたんですけど、
これだったらもしかしたら自分で行った方が早くないかと。
考えてみれば僕もライターで、立場的には中に入れるんじゃないかなというのがあったので、
行ったらすんなり入れて、質問できるので、というので始めて。
続けているのはその時たまたま古い友達の弁護士の日隅一雄っていうのがいたんですけど、
彼が「木野ちゃん続けてこなきゃダメだよ」
「いいよ」ってなんとなく言っちゃったんですね。

水野:
弁護士の日隅一雄さんは私たちのMBSラジオにも生前出演して下さったんですよ。
大変、癌の末期の時期でいるときだったんですね。
で、癌でものすごくこう、体はしんどくて、座っているのも辛いんだという時期もですね、
東電の会見に毎日出ていらっしゃいましたよね。

「検証!福島原発事故記者会見」 日隅一雄さん2/22たねまきJ(内容書き出し)

木野:出てましたね。

水野:
本当に命を削る形で東京電力に質問し続けて、そして最後にご本をきっちりとあらわして、
そして、この世を逝かれたと、
そんな、すごい弁護士であり、ジャーナリストでいらした日隅さん、

木野:
僕にとっては古い友達なので、ま、ただの友達なんですけれども、
ただ確かに「続けてこなきゃダメだよ」っていうふうに3月の時点で言われたのは正しかったな、
とは今では思っています。

水野:
日隅さんの口から木野さんのお名前を私もあの時に伺っていたんですね。
そういう友人関係もあり、
そして日隅さんのその言葉で、ずっと東電をウオッチし続けていらっしゃる
木野龍逸さんに今日はお話を伺わせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
そして、もうおひと組でございます。
平野さんは実際にお話しされるのはこれが初めてですかね?

平野:
そうですね。
年末特番で同じ時間帯では無かったのでちょっと入れ違いになりまして存じ上げてないんですけれども。

水野:
あのね、初めて聞きはったらビックリしますわ。
夫婦漫才師のおしどりマコさんとケンさんです、東京スタジオにいらっしゃいます。
おしどりのお二人こんばんは。

マコ:こんばんはおしどりです
ケン:よろしくお願いします。

水野:目の前にいるようにクリアですね。東京ですけれども。

マコ:
そうです、今日東京電力の記者会見が終わってから、こちらに伺ったんですけど、
今日木野さん、東京にいなかったじゃないですか(笑)

木野:いないいない。今日は大阪ですもん。

水野:木野さんもおしどりのケンさんマコさんも、東電の記者会見の会場でよく一緒になられるという事

木野:会場でしか見たことがない

水野:あ、そうか(笑)

ー略ー

水野:3.1以前はどんなふうやったんですか?お二人は。

マコ:普通に舞台に出たりたまにテレビに呼んでもらったりしていましたよ。

水野:特に原発というものに何か興味があったわけじゃないんですよね?

マコ:
興味があったわけじゃないんですけど、でも漫才のネタをつくる時に
「それはネタに扱ってはダメ」みたいなことがいろいろあるなとは思っていました。
その一つが原発だったので、
本当を言うと、
「それはテレビでしゃべっちゃダメだよ」、「舞台でネタにしちゃダメだよ」って言われていた時に、
もっと突き詰めて考えていればよかったなっていう反省はあります。
単独ではね、いろんな危険なこともしましたけどね。

ケン:やりたいことやらしていただいてね。

水野:
なるほど。漫才もネタにするのはかなり難しいと何となく感じていたと。
その3.11以前の空気というのは何となく私もわかりますけれど、
それが3.11以降どうして漫才師のお二人が東電の会見に出るようになったのか?

ー略ー



http://youtu.be/ePqYLEdY2kc?t=11m54s


いままで事故処理にかかっている費用

水野:
今日のテーマ「汚染水だけではないメディアが伝えない福島第一原発」と題してお送りいたします。
まず、今福島第一原発でなにが起こっているのか?
どうしても汚染水の話が今一番注目されているかと思うんですが、
それだけなのかどうなのか?教えていただきたいんですけど、まず木野さんから
「皆さんご存じないかもしれないけれどここのところはぜひ知っておいてください」
というところはどういうことでしょう?

木野:
一つは、あそこの事故処理にいくらかかっているのか?さっぱりわからなくて
なんでもっとそこを突っ込んで行かないのか、その辺がまず一つですね。

水野:
お金がどれだけかかっているのか?
よく、除染の費用のお話が出てきますね、あるいは廃炉にいくらいるっていうような、
これから先に何兆円なんて言う話は出ますが、
すでに事故処理にいまナンボかかっているか?という数字。
確かに私も記憶にない。

木野:
ざっくりした大枠の外側の数字は出てくるんですけど、
でも数字って積み上げのはずじゃないですか。
ここの作業の積み上げなんですけど、

水野:3.11の時からずーーーっと、積み上がっていますよね。

木野:積み上がっている、その積み上げの中身がさっぱり分からないんですよ。

水野:そういう話は記者会見では出るんですか?

木野:「いくらかかっているんだ?」というと「私企業なので出さない」とかですね、

水野:私企業

平野:私企業

木野:私企業なんです

水野:しきぎょうって私っていう?

木野:わたくし。

平野:公益企業でもありますよね。

木野:私企業の私契約なので出さないというんです

水野:し契約ってなんですか?

木野:わたくしの契約

水野:「うちらのプライベートな問題ですわ」という事ですか?

木野:そうです。

水野:業者さんとうちはプライベートで契約しているんだから

木野:そうです、「相手がありますから」って言うんですけど。

水野:「相手がありますから」それはどういう意味なんですか?

木野:相手の方も出してもらっては困るというふうに言っているっていう意味なんでしょうけれども、

水野:意味にとれますよね。それはなんでなんですか?

木野:要するに「私契約だから」という・・・、

水野:私契約って・・・

木野:意味分かんないんですけどね。論理的にはさっぱり、

平野:税金を投入されていますからね。だからもう、公表する義務があるんですよね。

水野:そうですよね。

木野:そうとは全く思っていないですね、彼等は。

平野:だからそこがもう大きな勘違いですよね。

木野:本当はその辺を国会含めて、メディアもそうですけど、もっと詰めていいんじゃないかと思うんですけど

水野:
これ、「相手がありますから」というのはね、たとえば穿ってみたらですよ、
契約した親会社が子会社なり、あるいは下請け孫請けとかね、何次もあると言いますから
3次4次位じゃない、もう10次とか20次っていう話も聞いたことがありますけど、
そういうところに「どれだけ労働者にちゃんと賃金が払われているのか」という事にも繋がっていきますから、
っていう意味ももしかしてあるんですか

木野:
そうですね。
結局末端の作業員の方が受け取っている金額というのは、話を聞けばちょこちょこ出てきますけれども、
じゃあ、元請けにいくら払っているのか?とかですね、
それが末端に行くまでにどの位減っているか?
その減り方が異常なものであれば、それは直さなければいけないし、

水野:もちろんです。


作業員の人数と経験

木野:
あんまり少なければ、作業員の数も減っちゃいますので、
あんな危ないところ、誰も行きたくないですよね。
実際にいま減ってきているので、

水野:
作業員の数っていうのは、よく1日3000人っていう話を聞きますが、
どうなんですか?これは実態は。

木野:
中身が全然わからないんです。
実際に3000人入っているかどうかも分からないんです。

水野:わからないんですか!

木野:わからないですね。

水野:何の作業に何人、どこの部署に何人、って言う話は記者会見で出るんですか?

木野:出るんですけれど、教えてくれないです。

水野:あ、それも教えてくれないんですか?

木野:出さないです。

水野:なんでそれは教えたらあかんのですか?

木野:なんでですかね?なんか都合が悪いとしか思えないんですけど。

水野:となると、本当に3000人の人が確保できているのかどうか?

木野:わからないです。

水野:そこはわからない。

木野:分からないです。

水野:はぁ~~・・・

平野:
これはもう、被ばく線量がどんどん積み重なってきて、作業員の方がずっと長く作業できないという、
現場の悲惨さというものを知られたくないという意図もあるんじゃないですか?

木野:そうですね、

マコ:
木野さん、実はね、すみません。
木野さんがずっと会見で質問されていて、「1日に何人入っているか?」の件ですね。
今日の会見で出ました。


水野:あっ!今日の会見で

マコ:木野さんがいない時にわざわざ出しました。

木野:フッ

水野:一日に何人の作業員の数、どんな話でした?

マコ:
APDという、個人線量計を作業員の方が付けて中に入られるんですね。
その個人線量計の貸し出し数というのが、今年の4月から9月まで毎日どれ位貸し出しているか。
つまり、一日にどれ位福島第一原発の敷地内に入っているか?という数字が出ました。
大体、やっぱり3000人前後ですね。
2940人とか、2980人とか、
で土日は作業が減りますので、土日にグッと減って、
あと8月の1週間1000人前後の1週間があるんですけれども、
「この期間はお盆です」と言ってました。
そういう回答が出ました。

水野:ほぉーーー
木野:んーーーー

水野:これは、作業員に方達をちゃんと確保できていると思っていいんですか?

木野:
わからないですね。
あの、人数はそういう形で出るんですけれども、作業の中身が分からないので、
経験とかね、
どの位の経験がある人がどれくらい入っているとか、
あと、被ばく線量の上限までどれだけ近い人がどれだけいてとかですね、
そういう細かいことが全く分からないので、

水野:
これから何十年にもわたってですね、大変多くの人数の方の作業が必要でしょ?
それについての見通しなどについてはどうなんですか?

木野:
出ていないとおもうんですよね。
さすがについ最近は廣瀬社長が「作業員の確保が難しい」というような事を時々言うんですけれども、
それは国会等で国会とか、ウチウチの話では出るんですけれど、
表立ってはですね、昨日の決算発表の会見でもハッキリは言わないですし、

水野:ほぉ!

木野:
どういう訳か。
記者相手には「厳しい」とは言わないんですよね。

水野:言わないんですか。

木野:
「現状は大丈夫」みたいな。
副社長もこの間、つい2~3日前ですけれど、「現状は一通り確保が出来ています」

水野:平野さんそのあたりはどうなんですか?

平野:
でも副社長は9月頃「野戦病院のような状態」で、
なんかもうコントロールもそれこそできないみたいなニュアンスで、
かなり危機感を持って言っていましたよね。

木野:
多分現場ではすごく危機感があると思うんですね。
実際に人手が足りないというのは彼等は、現場はものすごく分かっている筈なので、
ただ、東京で会見している人は、それはあんまり見たことがないんじゃないかなって、

水野:あっ、その危機感が全然関係ないような雰囲気の方のお話しぶりですか?

木野:だし、「そういうふうに言え」と言われているのももちろんあるでしょうけど。

水野:「大丈夫です」と。


黒字決算

平野:とりあえず、なんか今度の中間決算で黒字の数字が出ましたよね

水野:ビックリしました。え?東電黒字なんですか??

平野:それで本当に驚いたんですけどね。

木野:そうなんです。

水野:こんだけのことがあって?

木野:
ただね、あの黒字はちょっと、
新聞各紙ざっと見たんですけど、「なんでこういう書き方になるかな」という感じなんですけど、
あれは要するに上半期にやらなければならない火力とかのメンテナンスを、修繕費とかを
かなりの金額を後ろに回しているんですね。
だから会見では廣瀬社長は、「それは後ろに回しているんで下半期は厳しくなる」というのは言ってて、
だから、必ずしもあの黒字というのは意味がないというのを会見では言っているんですけど、
記事ではそうではないですよね。

平野:
とりあえずは発表したとおりに数字は出ますからね。
書かざるを得ないんでしょうけれども、
ただ、今木野さんがおっしゃった、12月に社債の返還がせまって、
3000億円という、利払いをしなくちゃダメですよね。

水野:利払いだけで3000億円?

平野:
だから全体では4兆円ぐらいの数字を発行している訳ですから、
それが迫って、それを払うと、もう銀行からお金を借りないと払えないと、いうことで、
かなりそういう意味では下半期は切羽詰まっていますよね。

水野:
つまり、赤字が何期も続いたら銀行からお金が借りられないから、
今期は何としてでも黒字にしたいという思いがあったんじゃないですか

木野:でも、事故の直後に無担保で2兆でしたっけ。

平野:
だから、今は東電は国が破たんを避けているということに高をくくっているという印象ですよね、
一言で言うと。

木野:
だから福島第一の5・6号機の廃炉の問題があって、
廃炉にすると資産価値がゼロになっちゃうので、その分また全体の会計を

平野:処理を変えましたよね。

木野:
それこそ変えたじゃないですか。
多分あの変えたのに合わせて東電は年内に5・6号機の処理を決めるという話をしているんで、
その辺が全部絡んでいるんでしょうね。
償還だの何だのというのが

水野:
廃炉にしたら資産価値がゼロになって、帳簿上でエライことになるわけですね。
で、それがそうはならんように、という、ある種のテクニックですよね。
テクニックが、ま、施された。



ーーつづく






報道するラジオ 2013年11月1日
「汚染水だけではないメディアが伝えない福島第一原発」文字起こしブログ


<メディアが伝えない福島第一原発その1>
「事故処理費用実績・作業員・黒字決算」11/1木野龍逸・おしどり 報道するラジオ(文字起こし)


<メディアが伝えない福島第一原発その2>
「人員計画・地下水の汚染・建屋内のがれき撤去」11/1おしどり・木野龍逸 報道するラジオ(文字起こし)


<メディアが伝えない福島第一原発その3>
「東電の記者会見・4号機燃料取り出し・他」11/1木野龍逸・おしどり 報道するラジオ(文字起こし)







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