<アンケート実施の背景と目的>「低認知被災地」栃木県北地域における子育て世帯の不安12/15宇都宮大学清水准教授(内容書き出し)


震災後の栃木県北地域における乳幼児保護者アンケート報告


http://youtu.be/k6hBownRSqU?t=39m18s


2013年12月15日
震災後の栃木県北地域における乳幼児保護者アンケート集計結果報告


県北アンケート報告
清水奈名子准教授(国際学部)

スライド数が多いものですから、こちらが重要と思ったものを中心にお話したいと思います。




今日いらっしゃっている方の多くはご存知かと思いますが、
アンケートを実施する背景、目的をお話したいと思います。
当初この福島乳幼児妊産婦支援プロジェクトを始めました時は、
名前にありますように福島から栃木に避難した乳幼児妊産婦の方を支援したいと思って
2011年4月に立ちあげました。
その報告会を2012年の4月にやはり大学でしたんですね。
その際に那須塩原から、県北からいらした保護者の方が、
「実は栃木の県北も福島と変わらない位ホットスポットが残り、放射線で苦しんでいる保護者が多い。
是非栃木県内の問題もプロジェクトで扱っていただきたい」という切実な声を伺いました。
できちんと調べてみましたら、この地図にありますように、
緑ですとか、うすい青色の方が線量が高い地域です。

2013121711.jpg

この宇都宮県央に比べまして、栃木県北は福島県と隣接しておりますが、
放射線のプルームが飛んできて、国も汚染状況を重点地域として、
ここにあります8市町を指定しております。

佐野市、鹿沼市、日光市、大田原市、矢板市、那須塩原市、塩谷町、那須町



で、3年目を迎えてどうなったのか?と言いますと、
空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルトを超えるホットスポットが残る現状。
すなわち年間被曝線量が1ミリシーベルト以上となる、
環境省がそういった基準を設けている場所よりも高い数値があるホットスポットが残っているのが現状です。

なぜ3年目に入ってまだ線量が高いのか?といいますと、
環境省が除染の措置の担当をします。
その環境省の予算が栃木にも付いたんですけれども、
除染措置のメニューがあるんですね、いくつか。
メニューの中に最も除染の効果が高いと言われている表土除去。
表面の土を剥いで除去するというメニューが、
福島では適用されているんですけど、栃木では適用されなかったためにですね、
最も効果的な方法で除染が進まず、
各市町が個別になんとか別の予算を取ってきて、表土除去を細々とやっているというのが実態です。

したがって、効果的な除染が国の予算で出来ていないので、
いまだに高線量の地域が残っていて、
宇都宮の10倍から100倍ぐらいの線量のところが、
全域ではありません。
全域ではないのでその辺注意が必要なんですが、ホットスポットがところどころある。
ご自宅の中でもかなり高いという声を聞いています。

2013121712.jpg

問題は、放射線の汚染は不均一なんですね。
そのために対策が遅れる可能性がある。
これは12月11日の東京新聞の記事から取ってきたんですけれども、
東京新聞が、那須塩原の関谷という、最も塩原の中でも線量の高いところにモニタリングポストといって、
いまそこの空間線量がどれくらいかを表示する機械を行政が置いてくださています。
しかし問題は、そのモニタリングポストの傍は非常に丁寧に除染がしてあるので、
ポストの数値よりも、ポストからちょっと離れて除染のされていない部分との数値にすごく落差があるんですね。
でも資料に残るのはモニタリングポストの数値なので、
一見線量が下がったように見えてしまうんですが、
その周りの木が伐採されて、コンクリートも直されて下げられていると。

下げることは大事なんですけれども、
もともとモニタリングポストというのは何か事故があった時に飛んでくるのを監視するためですから、
その機能自体は問題はない。
観測するための機能は問題はないんですが、この線量がこの地区を代表していると誤解されてしまうと、
県北は線量が低下したと誤解されて対策が進まない恐れがあるという話を、
この住民の方がされています。




【栃木】
「線量低下」 誤解の懸念 那須塩原モニタリングポスト数値 周辺と落差

東京新聞 2013年12月11日

2013121713.jpg

「この近辺で、こんなに低い数字はどこにもないですよ」

那須塩原市関谷地区にある市役所出張所「ハロープラザ」。
地元の自治会組織「関谷・下田野地区 未来を考える会」の高田昇平会長(64)が、
敷地内に設置された空間放射線量を測るモニタリングポストの前で、こうつぶやいたのが印象的だった。

東日本大震災の発生から千日が経過したが、同地区には今も多くのホットスポットが残っている。
これまで取材した住民の話では、地域の放射線量はこの数値よりも高く、以前から違和感を抱いていた。
そこで、今月初旬、高田さんらと一緒に現場へ向かった。

ハロープラザのモニタリングポストは、敷地内の南側にあった。
敷地の外側には、あちこちに木の切り株があり、その奥にスギ林が広がっている。
同会事務局長の平山徹さん(36)が
「以前は敷地のすぐそばまで林が迫っていた。線量を下げるために伐採されたんです」と教えてくれた。
敷地の地面も、線量低減を狙い、アスファルトの上から新しいアスファルトで覆っていた。

これらは市の除染による措置。
市除染センターによると、ハロープラザには多数の人が出入りするため、昨年2月にアスファルトを上塗り。
同3月にモニタリングポストが設置された後、同12月にスギを伐採した。

記者が訪れた時、モニタリングポストの表示は毎時0.129マイクロシーベルト(地上1メートル)と、
国の基準値0.23マイクロシーベルトを下回っていた。

電光掲示板で赤く光る数字を見つめながら、ここへ来る途中に立ち寄った公民館での計測値を思い出した。

ハロープラザから小さな林を隔て、約100メートル東にある元町公民館。
平山さんが、玄関前を地上1メートルの高さで線量を測ると、
国基準の約2倍に当たる0.45マイクロシーベルトを計測。
玄関脇の雨どい脇では、高さ50センチで0.74マイクロシーベルト。
雨どい直下の地表面では、10.3マイクロシーベルトもあった。
この地区はだいたい一緒。これが現実なんですよ」。平山さんの言葉が耳に重く響いた。

高田さんは「モニタリングポストの数値を基に『関谷地区は線量が低くなった』と思われ、
住民の関心がなくなることが心配だ」と語る。
県原子力災害対策室は
「あくまでも、原発で再び事故などがあったときの線量の上がり下がりを見るためのもの。
周辺地域一帯を代表する数値ではない」と説明している。

実態を反映しているとはいえないモニタリングポストの数値で、
高田さんが心配するような誤解を招く側面はありそうだ。

ただ、そこから導かれる確かな事実も一つある。
それは、除染をすれば、確実に線量は下がるということだ。

同地区は、小学校の敷地内や通学路でさえ、ホットスポットが残っている。
これまでの取材で、観光地のため、放射能への不安を口にしにくい雰囲気があるとも聞いた。
住民の関心を低下させるのではなく、
「あの数値を目指そうよ」と、地域社会がまとまるための数値になることを願いたい。(石井紀代美)

<モニタリングポスト> 
主に東京電力福島第一原発事故後、空間放射線量を監視するため国や県が設置。
県内は宇都宮、那須塩原、日光3市に2カ所ずつ、
それ以外の市町に1カ所ずつ、計29カ所に置かれている。
宇都宮市の1カ所のみチェルノブイリ原発事故後に設けられた。

数値は常時、原子力規制委員会のホームページで確認でき、新聞やテレビでも使用されてきた。




栃木県の放射能汚染問題の認知度は
全国的にも低い「低認知被災地」


このような状況なんですが、最近は学問の世界でも、このような汚染された栃木県の認知度を考えますと、
全国的にも低い「低認知被災地」というので議論するようになっています。
福島の外にも、たとえば茨城ですとか、
東京でもいくつかありますし群馬ですとか、ホットスポットがあるわけですが、
そこが放射能汚染の問題で苦しんでいるという事が十分知られていない。
支援がなかなか届かないというのが明らかになっています。

福島県全域では一応実施されている健康調査、
これもさまざまな問題があります。
エコーの写真を本人が見せていただけなくて、情報開示請求をしないと見せてもらえないとか、
検査すればいいという事ではもちろんないんですけれども、
一応は子ども全員を対象に行われている健康調査や、
表土除去を含めた除染というのが、福島県では国の予算でされているのに、
その「低認知被災地」栃木を含めた地域では「されない」という状態が今まで続いてきました。

じゃあ、誰も何もしなかったか?というと、そこで立ちあがってまず対応してきたのが、
住民、市民のみなさんだったという点が非常に重要です。

今日も来て下さった様々な団体の方が、
市民による自発的な活動でまず勉強会を開いて、放射線の被害はどういうものか?
放射線の計測、「じゃあ測りましょう」といって、子どもたちの背の高さで細かく測って、
それを記録してホームページ等で公開していく。
または食品とか飲料。
内部被ばくを心配される方がいらっしゃいますので、
そういうものを計測できる市民のセンターをつくって、
今日来て下さったアジア学院を始めとして、誰でも持ち込んで測れる場所をつくる。
後、除染も実際に引き受けて実施されている団体さんもあります。
また防護等の関連情報の案内等々、
放射能問題をなかなか議論できないところで、議論できる場を市民のみなさんが自ら確保してらした。
自発的に確保してきたというのが特徴だと思います。


県北地域における子育て世帯の不安

こうした中でもやはり県北地域における子育て世帯の不安が続いているという話を、
私も何度か伺ってお聞きしました。

どうしても話題にしづらいために表面化はしてこないと。
ちょっとでもそういう話を「放射線大丈夫かしら?」っていうと、
「あなたは風評を煽るんですか」と非難されてしまったり、
または他の人も不安だけどその不安を押し殺して生きている、
周囲の人々の不安を課着てててしまうことへの遠慮とか戸惑いがあって、なかなか話せないんです、
という話を聞いたんですね。
でも多分不安に思っている人は多いんではないかというお話を受けて、
無記名のアンケートだったらお気持ちを書きやすいのではないかという事で、
昨年度(2012年8月実施)は予備調査として一つの幼稚園、
那須塩原の幼稚園でご協力いただいて、245世帯の回答を頂きました。(回収率53%)

で、無記名のアンケートを開けてみますと、
こちらの予想に反して、94%もの方が「震災後の子育てに関して心配な事がある」

「実は心配なんだ」と。
「普段のお母さん同士の話ではほとんど話さないけれど実は不安なんだ」という事を回答して下さいました。


国政レベルにおける対応「原発事故子ども被災者支援法」

このような状況で低認知被災地の方々に対応する政策が今まで全くなかったか?というと
そうではありません。
後半に議論をちょっと繋げる意味で被災者支援法のお話もしておきたいと思うんですが、
国政レベルでも対応はされていました。
たとえば今公的支援が薄い自主避難者の方々の先ほどの阪本先生の報告ですとか、

栃木とか茨城などの低認知被災地の方々を救うための、支援するための法律が、
去年(2012年)6月に議員立法で全会一致で可決成立しています。
この法律がきちんと動きだせば、栃木の問題、自主避難者の問題もかなり対応ができるという中身です。

その意義は4つありまして、
1.放射線が人の健康に及ぼす危険が科学的に十分解明されていないことを
真正面から認めているという事なんですね。
残念ながら「ここまでだったら絶対安全です」という絶対安全という数値は今のところありません。
十分解明されていない。
で、これだけの地域が今低線量被ばくを受けていますので、その後どうなるのか?十分解明されていない。

2.特に放射線の影響を受けやすい子どもさん(胎児を含む)と妊婦に特別の配慮をしながら、
健康被害を未然に防ぐ。
まだ起きていないけれど、将来も起きないように未然に防ぐという事を重視して、

3.自主避難者の方も含めて支援対象とする事で、
どこのご出身の方でも「被ばくを避ける権利」を認めると。
栃木県北からも避難されている方は実はいらっしゃいます。
そういう方も支援対象に、今はなっていませんが、
たまたま自分の家がホットスポットで子ども部屋が一番高いんだと。
だから避難するという方が、栃木県内にいた時も居る時にも対応ができる。

4.福島県以外の汚染地域をも対象として除染、生活、健康調査や医療の提供を可能にするという、
画期的な法案でした。
それが成立して「これで随分状況がよくなるんじゃないか」と、多くの方が期待します。


支援法基本方針に被災者の声の反映を求める動き

ただこの法律は「具体的な中身は基本方針で決める」と書いてありました。
そこでその「基本方針の中に被災者の声を反映して下さい」という働きかけが沢山なされました。

多くの自治体・市民団体が支援法の基本方針作成に際しては、
1.追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以上の地域を支援対象地域とする事
これは原発事故前と同じ基準で放射能のリスクを管理してほしいと。
事故が起きたから20倍に引き上げるという事ではなくて、
いま国はそういう政策をとっている訳ですが、原発事故前と同じ状況にしていただく。

2.自主避難者への支援を拡充する事

3.被災者の声を反映するための公聴会を開く事などを要求してきました。

私たちのプロジェクトも昨年度実施しまして、
避難者アンケート、また、県北の保護者アンケートの結果とその結果に基づいた要望書を
今年の3月と4月に復興庁の幹部ですとか、担当政務官の方に提出しました。


被災者の声を反映しない基本方針の閣議決定

ところがご存じの方が多いと思いますが、今年(2013年)の8月まで、
去年の6月に出来ましたのに、1年以上基本方針を作成されないまま放置されてきてしまいます。
国会は国民の代表なんですよ。
作った方ちるはすぐ実施するという行政の役割が放棄されてきたんですね。
で、痺れを切らした被災者の方が「1円訴訟」として有名になりましたが、
8月に「基本方針を放置するのは行政の怠慢である」ということで、
お金が問題じゃないという事を示すためにひとりに対して1円訴訟をするという、
象徴的な数字を出しまして、基本方針を動かしていない政府に対して訴訟を起こしていらっしゃいます。

その後急きょですね、復興庁はバタバタと8月30日に「基本方針案」をホームページで公表して、
たった2週間だけパブリックコメントを募集しますよ。
何か意見がある人はホームページを見てメールで送って下さいという、
かなり、被災者にきちんと対応しようというよりは、
手続き的にさっさと済ませようという印象を与えるやり方で対応したわけです。

当然批判が集まりましたので、復興庁は慌てて2回説明会を実施。
パブリックコメントの実施期間を10日だけでしたけれども延ばしましたが、
多くの被災者が求めていた被災者の声を聞く公聴会は開催されないまま、
10月に基本方針は閣議決定されてしまいました。

その内容は、先程のアンケートでも要望が強かった、
自主避難者への支援拡充とか、避難していらっしゃる方の借り上げ住宅の新規提供や借り換え、
受け入れ自治体ごとの支援格差の是正、福島近隣地域における効果的な除染や健康調査の実施など
被災者の訴えの多くは反映されないという事になったんですけれども、
法律に書いてある事と、それを実施する基本方針が全くそぐわない形で今進んでしまっています。


支援法と栃木県

じゃあ、まとめると栃木県はどうなったか?といいますと、
支援対象の地域とする事を求める地域住民自治体の要望にもかかわらず、
住民の方の要望書やパブリックコメントも出されていますし、
自治体も、たとえば福田県知事から復興大臣宛てに緊急要望で
「栃木も支援対象にして欲しい」というのを9月に出されています。(9月12日)
那須塩原市からも意見書が出ました。(9月13日)
栃木県議会からも支援対象に栃木県がなる方向で意見書を出した(9月17日)にもかかわらず、
声は反映されずに、他の近隣汚染地域と同様に、
栃木県は支援法の「支援対象地域」からは外れ、
同法に根拠規定のない「準支援対象地域」とされてしまったので、
今後栃木の県北の被災地域がどういう支援を受けられるか、
内容や時期が不明確になってしまったということです。



2013年度アンケート実施の目的

このような状況を受けて、無力感に包まれて何もしないで待っていても動きませんので、
今年度もアンケートを実施して、この状況を伝え続けるしかないという事で
アンケートを実施することにいたしました。

目的は三つあります。

1.昨年度の予備調査の結果明らかになった保護者の不安について、
  その原因や内容をより詳しく調査したいということと、

2.震災直後の行動を記録したい。震災後皆さんがどのように行動されていて、
  その時の行動が今の不安にもつながっているという声がありますので、
  その直後の行動を記録すると共に、震災後3年目に入った現在の時点の行動との変化を記録しておくこと。

3.保護者が必要としている支援を明らかにし、政府や自治体にその結果を伝えていきたい。
  アンケートを分析しまして、最終的には自治体や復興庁等に届けたいと思っております。

一番言いたいのは、
原発震災の被害は今も継続しており、深刻な支援ニーズが存在することを訴え続ける事が一番の目的です。

55:37


ーーつづくーー








2013年12月15日
原発事故による栃木県内への避難者・栃木県北の乳幼児保護者アンケート報告
文字起こしブログ

原発事故による栃木県内への避難者アンケート報告 12/15宇都宮大学(動画・内容書き出し)

<アンケート実施の背景と目的>
「低認知被災地」栃木県北地域における子育て世帯の不安12/15宇都宮大学清水准教授
(内容書き出し)


栃木県那須塩原市&那須町乳幼児保護者アンケート結果報告
「震災・原発事故後の生活の変化と原発事故当時と現在の行動」12/25宇都宮大学清水准教授(内容書き出し)


<みんな一緒>
「放射能が怖い」と当り前なことが言えない.孤独感でいっぱいでした。
12/15宇都宮(音声・文字起こし)


<差別と分断>
原発事故放射能に対する対策というのは全て差別で成り立っています。
12/15森田省一さん(音声・文字起こし)






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