津波「原因でない」 福島第一 1号機 非常用電源喪失
東京新聞 こちら特報部 2014年3月5日

福島原発事故でメルトダウンの原因となった非常用電源の全喪失。
東京電力は津波が原因と主張しているが、「福島第一原発1号機(の電源喪失)は津波ではあり得ない」
という論文が発表され、波紋を広げている。
原子力規制委員会は公式見解を示していないが、
推進派の「津波対策さえすれば、再稼働できる」という論理を根底から揺さぶっている。(出田阿生)
伊東弁護士が論文
「1号機の非常用電源は、津波到達前に何らかの原因で喪失した。
津波で回復不能のダメージを受けたことは否定しないが、喪失の直接原因ではあり得ないという確信を得た。
原因究明をなおざりにしたまま、再稼働に向けた動きが進められているのはおかしい」
元国会事故調査委員会の委員だった科学ジャーナリストの田中三彦氏らと、
協力調査員として事故原因を調査、分析した伊東良徳弁護士はそう語る。
月刊「科学」の3月号(電子版)に
「再論 福島第一原発1号機の全交流電源喪失は津波によるものではない」という論文を掲載した。
伊東弁護士らは2012年7月発表の国会事故調報告書でも
「1号機の非常用電源のうち、一つの喪失原因は津波ではない」とした。
伊藤弁護士は福島第一原発から1.5キロ沖合に設置された波高計のデータや
東電が撮影した津波が原発を襲う写真の分析を進め、今回、論文をまとめた。
それによると、東電が「津波によって1号機の非常用電源が全て失われた」とする時刻より、
津波が1号機に到達したと推測できる時刻が2分以上遅いことが分かった。
津波で浸水する前に、地震動など何らかの理由で、非常用電源が壊れていたことになる。
規制委触れず 揺れる再稼働の根拠
東電は1号機の全電源喪失の時刻について11年3月11日の「15時36分」としている。
ところが、波高計で実測した津波のデータと、一連の津波写真を伊東弁護士が照らし合わせると、
「15時38分以降」となった。
しかも、国会事故調が集めた証言にもそれを補強する材料があった。
「15時39分に1号機の前にある石油タンクが流された」とする、事故当時の東電関係者の目撃証言だ。
石油タンクは1号機よりも低い敷地に設置されていたため、
この時間帯にはまだ1号機には津波が到達していなかったと推測できる。
東電の言い分には数々の矛盾点がある。
例えば津波が高さ5.5メートルの防潮堤を乗り越えている写真があるが、
東電の主張する時間の波高計のデータをみると、平均4.5メートル程度しかない。
さらに最初に原発に押し寄せた津波の到達時間についても矛盾が露呈した。
東電の主張通り計算すると、普通の津波なら2分程度かかるところを1分足らずで到達してしまう。
東電は、昨年12月に提出した政府への第1回進捗(しんちょく)報告で、
原発敷地内への津波の到達時間を発表したが、伊東弁護士は
「これでは広大な敷地のどこに到達したのか分からない。
1号機への到達時刻を記した上で、その根拠を示さなければ『津波で全電源喪失』した証拠にはなり得ない」
と指摘する。
この論文に対し、東電広報部は「自社の調査では、原因は津波によると結論づけている」としている。
伊東弁護士は「電源喪失の原因が津波でなければ、地震の揺れなのか、機器に問題があったのか。
そこの究明抜きに電源喪失の対策は取れず、再稼働の基準も設けられない。
原子力規制委員会は東電の主張をうのみにせず、独自調査をやるべきだ」と話している。
東京新聞 「ためしよみ」はこちらから↓d(◕‿-。) ネ❤

東京新聞 こちら特報部 2014年3月5日

福島原発事故でメルトダウンの原因となった非常用電源の全喪失。
東京電力は津波が原因と主張しているが、「福島第一原発1号機(の電源喪失)は津波ではあり得ない」
という論文が発表され、波紋を広げている。
原子力規制委員会は公式見解を示していないが、
推進派の「津波対策さえすれば、再稼働できる」という論理を根底から揺さぶっている。(出田阿生)
伊東弁護士が論文
「1号機の非常用電源は、津波到達前に何らかの原因で喪失した。
津波で回復不能のダメージを受けたことは否定しないが、喪失の直接原因ではあり得ないという確信を得た。
原因究明をなおざりにしたまま、再稼働に向けた動きが進められているのはおかしい」
元国会事故調査委員会の委員だった科学ジャーナリストの田中三彦氏らと、
協力調査員として事故原因を調査、分析した伊東良徳弁護士はそう語る。
月刊「科学」の3月号(電子版)に
「再論 福島第一原発1号機の全交流電源喪失は津波によるものではない」という論文を掲載した。
伊東弁護士らは2012年7月発表の国会事故調報告書でも
「1号機の非常用電源のうち、一つの喪失原因は津波ではない」とした。
伊藤弁護士は福島第一原発から1.5キロ沖合に設置された波高計のデータや
東電が撮影した津波が原発を襲う写真の分析を進め、今回、論文をまとめた。
それによると、東電が「津波によって1号機の非常用電源が全て失われた」とする時刻より、
津波が1号機に到達したと推測できる時刻が2分以上遅いことが分かった。
津波で浸水する前に、地震動など何らかの理由で、非常用電源が壊れていたことになる。
規制委触れず 揺れる再稼働の根拠
東電は1号機の全電源喪失の時刻について11年3月11日の「15時36分」としている。
ところが、波高計で実測した津波のデータと、一連の津波写真を伊東弁護士が照らし合わせると、
「15時38分以降」となった。
しかも、国会事故調が集めた証言にもそれを補強する材料があった。
「15時39分に1号機の前にある石油タンクが流された」とする、事故当時の東電関係者の目撃証言だ。
石油タンクは1号機よりも低い敷地に設置されていたため、
この時間帯にはまだ1号機には津波が到達していなかったと推測できる。
東電の言い分には数々の矛盾点がある。
例えば津波が高さ5.5メートルの防潮堤を乗り越えている写真があるが、
東電の主張する時間の波高計のデータをみると、平均4.5メートル程度しかない。
さらに最初に原発に押し寄せた津波の到達時間についても矛盾が露呈した。
東電の主張通り計算すると、普通の津波なら2分程度かかるところを1分足らずで到達してしまう。
東電は、昨年12月に提出した政府への第1回進捗(しんちょく)報告で、
原発敷地内への津波の到達時間を発表したが、伊東弁護士は
「これでは広大な敷地のどこに到達したのか分からない。
1号機への到達時刻を記した上で、その根拠を示さなければ『津波で全電源喪失』した証拠にはなり得ない」
と指摘する。
この論文に対し、東電広報部は「自社の調査では、原因は津波によると結論づけている」としている。
伊東弁護士は「電源喪失の原因が津波でなければ、地震の揺れなのか、機器に問題があったのか。
そこの究明抜きに電源喪失の対策は取れず、再稼働の基準も設けられない。
原子力規制委員会は東電の主張をうのみにせず、独自調査をやるべきだ」と話している。
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