牛山元美医師(さがみ生協病院)
2014年3月18日
文字起こし部分のYoutube→http://youtu.be/k1Pv7KyuK9c?t=48m21s

私たちは5日間実習を朝から晩まで缶詰になってやったのが、このベラルーシ医学アカデミーというものです。
そこでいろいろ教わって、こんなふうに汚染されているとか、いろいろな事を聞いてきました。

一番汚染されたところでまず最初に子どもの甲状腺がんが始まっている

ただ事故が起きたのが86年で、やっぱりその90年位。
でも、1989年位から少し増え始めてドーンと増えている。
これを見てみるとやっぱり4年位のブランクがあるのかな?潜伏期間があるのかな?
最初はそう思って。
実は今、今の時代に4歳とか5歳の子どもたちにも実は甲状腺がんは事故前よりも増えています。
でもそれは向こう、ま、世の中に言わせると、
「よく検査をするようになったからだ」と。
「エコーで検査をするようになったから増えただけだ」
つまり、「スクリーニング効果だ」って言ってるんですけど、
いろいろお話ししてしまうと、
実はベラルーシとかでは、まだエコーの機械がそんなに、日本ほど普及していないって、今だって。
ほとんどまず触診でやるんですよ。
触診でやって異常があった子はエコーのある病院に送るんです。
だから日本とちょっと訳が違う
日本よりはもしかしたら、いまだに子どもの甲状腺がんが事故前よりもやっぱり多いのかもしれない。
ヨウ素はすっかり無くなったけれど、そういう時代に生まれた子どもに、
「何故かわからないけど多い」と向こうの先生たちも何度も言っていました。
「分からない、何故か判らない」
いろんな図があります。

とにかく事故があった時にゼロ歳から大体4歳ぐらいの子どもたちが、歳をとりながら、成長しながら、
その子たちはずーっといつの年代でも一番甲状腺がんを発症している。

ただよく見ると、年をとっている人達は今ごろになって増えてきているのがあります。
若い子たちは早く発症したけれども、大人達は遅れて発症してきているんじゃないかともいわれています。
いろんな意見があって。

これはベラルーシの全体の甲状腺がんの発生率です。
下に死亡率があります。
確かに原発事故後すごく増えました。
で、死亡率はあまり変わってないです。
実際この死亡率をずーっとたどって戻っていくと、
昔は、甲状腺がんというのは分かった時には死んでた。
逆に、甲状腺が腫れて死んだら甲状腺がんだ、それまでは分からなかった。
そういう事だと。
事故があってからいろいろ調べて、知らない様ながんが見つかってきたという、こういう様な事です。
で、ここに日本の甲状腺がんの発生率を重ねると、実は日本もわりと似たような形で増えてきています。

これはいろんな欧米諸国もだいたいこんな感じでした。
世の中全体、世界中で増えてきています。
何ででしょうね、良く分かりませんが考える事はあるなと思います。

これは甲状腺がんなんですけど、
この人は81歳の女性ですけど、
もう破裂しそうだったんですけど、
これは十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)という漢方薬を使ったら落ち着いて、
「このあと数カ月も生きていました」という話でやっています。
甲状腺がんって放っておくとこんなふうになっちゃうんですよ。
これでもし亡くなればこのせいで死んで、「この人は甲状腺がんで亡くなった」となっていたんです。
でも今はそうなる前に手術したりしています。
そしてエコーで見ています。

甲状腺の癌といっても、実はもう20何種類もあるんです。
乳頭癌というのは、日本でとても多いです。
あとは濾胞癌、低分化癌、
低分化癌というのは、乳頭癌、濾胞癌が、これは高分化癌と呼ばれるものがあるんですけれど、
それがあるところで急に低分化癌に変わって悪化した、急激に悪化した時にそういうふうに言います。
未分化癌というのは最初から全然違うもので、悪魔の癌と言ってあっという間に死んでしまいます。
髄様癌というのはわりと遺伝的なものがあって、おばあちゃんが癌だったら子どももといって、
遺伝する癌だから放射線の影響は少ないと言われています。
世界のいろいろな国で甲状腺癌はもともとあるんですけれど、
乳頭癌なのか濾胞癌なのか、そのタイプがちょっと国によって違ったんです。

日本はとにかく最初から9割以上は乳頭癌。
ドイツは濾胞癌というのが3割近くあって、その中間ぐらいがアメリカだったんです。
この違いは何なのか?という事はヨウ素です。
ヨウ素が過剰な場所に住んでいて、ヨウ素が過剰な食事をしている日本は乳頭癌が元々多かった。
そしてヨウ素が不足している土地であり、ヨウ素が不足している食事をしている人達、
ドイツとかは濾胞癌が多かった。
ヨウ素が不足していると濾胞癌が増えると言われていた。

じゃあ、これはベラルーシで撮ってきた写真ですけれども、
向こうの塩には今ヨウ素が添加してあります。
ヨウ素が添加していない方が美味しいんです。
でも、保育園とか小さな子どもにはヨウ素を添加した食品を使えと国が決めています。
ヨウ素不足を改善するために、少しでも甲状腺の病気を減らすためにです。
それを見せてもらって、ちょっと味見しましたけど味の違いは分からなかったです。

実はベラルーシの甲状腺癌は本当だったら濾胞癌が多かったのに、
子どもたちに起きた甲状腺癌はほとんどが乳頭癌だったんです。
これで向こうは「おかしい」と思ったんです。
今までの濾胞癌ならまだわかる。
濾胞癌はもっと多い筈だ、でも9割以上が乳頭癌だったので「おかしい」「おかしい」ということで、
「放射線によるものだね」という話になったみたいです。
特徴としては肺転移が非常に早い時期に見られています、子どもの甲状腺がんベラルーシの。

これはブレストという州で研修している先生たちの写真で、
この間3月2日に郡山にもこの先生たちが来て下さって、お話を聞いてきました。
こうやって体育館をまわって調べてるんですけど、
もう事故から今28年になりますけども、この体育館をまわったのは18年位、2004年位に止めたと。
何故かというと、事故当時にゼロ歳だった子がもっと成長して、
今は会社に勤めているから今は企業を回っている。
つまり一番危険な子どもたちをずっと追ってスクリーニングをしています。
今の子どもたちを全部やっているわけじゃなくて、
あの時生まれていた。
あの時幼児だった子たちをずーっと追いかけて今検診してまわっている。
今は企業を回っています。
とにかく検診して分かったのは、あの当時、事故当時ゼロ歳から5歳だった人達が一番危険だ

その甲状腺の専門医のむこうの先生が言うには、
ベラルーシにそもそもスクリーニングを導入したのは日本です。
長瀧先生だったり山下先生だったり。
だから日本にきて、福島事故後日本にきて何度も質問しました。
「なぜスクリーニングをしないのか?」
日本の患者さんに聞いても自分から気になって受診した人ばかりで、
なぜもっと積極的なスクリーニングをしないのか?という話でした。
皆さんのお手元にチョトもう少し詳しく書き直したものをお配りしているんですけれども、
実はベラルーシではチェルノブイリ事故の時は国内でエコー装置は2台しかなかった。
たった2台。
私は実はチェルノブイリ事故の時にソ連のハバロフスクというところに実はいました。
ちょっと旅行で。
医学部をちょうど卒業した年で、卒業旅行でちっちゃな船に乗って、安い船に乗って。
ハバロフスクというところで病院を見学させてもらったら、日立のアロカ製エコーの機械が2~3台あって、
それをすごく自慢げに見せてもらったのを覚えているんですよ。
私は大学病院ではもうエコーの機械は当たり前で、
さらにカラードップラーといってすでにカラーでどんどんリアルに見えるよという機械をそのころ見ていたので、
何でこのアロカの普通の白黒しか映らないエコーの機械をこんな自慢げに見せるんだろう?
と私はその時に思っていたんですけど、
後で分かったのはその当時ベラルーシでは国内ではたった2台しか使えない。
それがさっきの報道ステーションのコメントでもありましたけれども、
1990年ごろから、それこそ笹川財団とか、アメリカのロックフェラーとか
いろんな人たちがどんどんエコーの機械とか良い車を送ってあげて、健診車を送ってあげたので、
一気にエコーで検査する事が出来るようになった。
向こうの先生に「甲状腺の癌の治療で何が必要ですか?」って言ったら、
針で刺す穿刺細胞診っていうんですけど、そういうのをちゃんとやることだって言われたんです。
「え?普通じゃないの?やって当り前じゃないの」って思ったらむこうはそうじゃなくて、
触って固いから甲状腺癌だって言って手術していたという例もあったそうです。
日本と違って、エコーとかいろんな機械がない。
しかも薬もない。
検査しても試薬もない。
いろいろな検査する試薬すらないという事で、全然日本とは医学のレベルがとても違うんですけれども、
そんな状態の中で向こうはやっていました。
じゃあ、1990年じゃなくて、もっと早い時間に、
「早い時期にエコーの機械が沢山入ってきていたら、もっと早く甲状腺の癌が見つかったと思いますか?」
って聞いたら、
「当然そう思う」と、やっぱりベラルーシの先生達はおっしゃっていました。
つづくーー
【放射線被ばくを学習する会】「臨床医が見たチェルノブイリ、福島の現状」
2014年3月18日 牛山元美医師 文字起こしブログ
1.「やっぱりこれは大気中核実験どころじゃない被ばくを私たちはしているんじゃないか」
2.「医療被曝も本当は身体に悪いんだよ」
3.「当初鼻血を出した子が甲状腺癌や白血病になったの?」
4.「事故当時0歳~4歳位の子ども達が、ずーっといつの年代でも一番甲状腺癌を発症している」
5.「気にしちゃいけないんでしょ?」って。 「いや、これは気にした方がいいです」
6.IAEAと福島医大「福島の悲劇を奇跡に変えよう!」 「は?」
7.~相模原・町田など65名の甲状腺エコーと白血球検査結果~
8.質疑応答「ベラルーシでの癌のタイプ・他」
9.質疑応答「井戸川元双葉町長&報道ステーション現場」
2014年2月14日
三田茂医師講演会文字起こしブログ
1.<甲状腺基礎知識> 「甲状腺がん・甲状腺腫瘍は 内分泌内科ではなく、耳鼻科や頭頸部外科」
2.<甲状腺疾患>「今後は今までの常識とは違う」
3.<血液検査>「ホットスポットに住む4歳男子」
4.<白血球・好中球・リンパ球> 「小児で全体的に大きく減少」
5.<白血球異常> 「前は2回測ってもいなかった地域の子から異常が出始めるようになった」
6.<質疑応答1> 「僕が東京を出て岡山に行く理由」
7.<質疑応答2> 「だけど、医師会は動かなかった」
8.<質疑応答3> 「"観察した結果好中球が減った"というのが僕の結論です」
2014年3月11日 報道ステーション 内容書き出しブログ
1.子どもが甲状腺がんに・・・ 母が苦悩の告白
2.「甲状腺がん増加は4~5年後」チェルノブイリの“知見”検証
3.「不安あおる」と県に止められた甲状腺初期被ばく調査
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- 9.質疑応答「井戸川元双葉町長&報道ステーション現場」牛山元美医師3/18臨床医が見たチェルノブイリ、福島の現状 (文字起こし)
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「ハバロフスクというところで病院を見学させてもらったら」
医療関係者じゃないとわからんのだろうけど…
栃木や東北のなまりって、聞きなれてないと早口で聞き取りづらいのもあるけど、エーとかハーとか一瞬拍子を入れるし
☓ から―ドックラン
○ カラードップラー
エコー映像に、赤青の表示で血流の流れがわかるというもの、心臓エコー検査受けるときに画面見ればわかる
心拍音と一緒に見たりする
○ 報道ステーション
報道ステーションについての講演なんでしょ…
訂正させていただきました(。◡ .◕)♡