04.23
Wed
朝日新聞がプルトニウム廃液を粉末化へ 東海再処理施設(2014年4月21日)
という記事を書いてくれました。
「日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)にたまっているプルトニウム溶液について、
原子力規制委員会の更田豊志委員は21日、溶液を粉末にする処理を近く認めるとの見通しを示した。
機構は月内にも着手する」
という内容です。
東海村のプルトニウム溶液の危険性についてはブログに書いたこともあるので知っていました。
「施設には、硝酸に溶かされたプルトニウム溶液3・5立方メートルがたまっている。
粉末にすれば、停電時に冷却ができなくなっても空冷でき、安全性が高まるとされる。
ただ、施設の排気筒に穴が開いているのが2011年に見つかり、規制委が今年3月から検査している」
排気筒に穴が開いているのは知らなかった。
これは直したのでしょうか?
そして記事は最後にこう書いてあります。
「施設を稼働するには本来、国の規制基準に適合しなければならないが、
液体のまま保存を続けると危険性が高いため、規制委は特例的に認めることにしている」
国の規制基準に適合していないのに、急ぐからと言って特別に認めて稼働してもいいのだろうか?
私はなんとも納得できない違和感を感じたので、この朝日新聞の記事に関する元ネタがないか探してみました。
ありました。
規制委員会更田委員の視察後の会見動画です。
文字起こししました。
日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所現地視察
(更田豊志委員の記者取材対応/原子力規制委員会提供)平成26年4月21日
更田豊志委員
本日、日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所で行われる予定の
プルトニウムならびに高レベル廃棄物溶液の、ま、安定化処理に関係して、
その作業の内容と緊急時対応の内容等について確認するために視察を行いました。
合わせて燃料加工施設等も、まぁ若干の視察を行いましたけれども、
基本的には新規制基準適合性の検討の中でJAEA自ら
「プルトニウム、高レベル廃棄物が溶液の形で保管されている」と。
要するに「リスクが高い状態であるのでこれをなんとかしたい」という、
ま、問題提起が機構自らあったので、
それではこれは再処理事業の遂行を許可するというのとは別途、リスクを下げるという観点から、
「プルトニウム溶液と高レベル廃棄物の固化を速やかに進めるように」という事で、
その際の管理体制というのをこの目で見ておくために来た次第です。
ま、一日かけて、再処理工場、また関係部門を見てきたところです。
以上です。
朝日新聞(波多野陽記者):
今日実際に視察されて思った事と、
そしてそれを今後、どういう場でどういうふうに生かしていくと考えてらっしゃるのか教えて下さい。
更田豊志委員:
JAEAには、感想として主に3つの点を伝えました。
緊急時対応への不安
一つの点はですね、緊急時対応の組織が、言わば縦長の組織になっているんですね。
現場からトップまであるとか、現場から国への連絡体制等々が非常に段階が多いと。
まず、現場があって、制御室があって、それから指揮所があって、緊急時対策所があって、
で、緊急時対策所は国とのシステムに繋がっている。
経営判断をするのは別途本部がありますし、
JAEAの経営層の多くは東京事務所にいるという実状があるという事なので、
ある意味、「緊急時になにかをすぐにしなければならない」となった時に、
国と誰がやり取りをするのか?
その意思が速やかに現場まで伝わるのか?
あるいは現場から伝わる状況がすみやかに国まで伝わるのか?
この体制、これはま…、かなり訓練等でですね、確認をしていかなければいけないだろうと。
理屈のうえで出来るというのと、実際にできるというのとではずいぶん違いがありますから。
随分多段の組織になっているので、改善もあるだろうし、
訓練を通じて確認していかなければならないと感じたのが一点目。
予算や人員の投資の必要性
二点目はプルトニウム溶液の粉末化に関していうと、これはそう長い期間かかるものではないですけれど、
一方で高レベルの廃棄物の溶液のガラス固化、
これは見通しによりますけれども、上手く加速できなければ20年に及ぶ作業になります。
20年間これを安全に進めてもらうためには、
JAEAここに、予算や人と言ったものを十分に投下し続けてもらわなければいけないし、
それからこのガラス固化を行うためには、
たとえば溶融炉といった炉は、今の施設をそのまま使い続けられる訳ではないので、
交換等も見据えて行かなければならない。
ですから、少なく見ても15年以上20年に及ぼうとする長い作業ですので、
リスク低減のための作業と言っても、これはある意味遠大な作業です。事業ですので、
ここに向けた経営の十分な配慮と投資が継続されるという事を、
ま、不可欠であるという事を二つ目の意見として伝えました。
安全設計の考え方が古い
三つ目はこれはちょっとあの・・、えーー、・・・古い。
やはり、これは別に再処理施設に限らないんですけれども、
元々安全設計の考え方が、いわゆるランダム故障の仮定に基づいていると、
ランダム故障というのは、ある機械が壊れる確率が0.1%だとすると、
これが二つあれば掛け合わせで10のマイナス6乗になるだろうと。
そういう考え方を取るんです。
ですから基本的には「二つありさえすればいい」という考え方をとります。
ところが、福島原子力発電所のように津波で一気にやられるとか、地震で倒れるというような話だと、
同じものが二つ並んで置いてあったら共倒れをするんです。
共通原因故障とか共通要因故障といういい方をしますけれども、
同じものを二つ置いておくにしても、離して置いておくとか、
火災に強くするためには間に防火壁があるとか、そういった配慮が必要な訳ですけれども、
やはりこの東海再処理工場もそれほど新しい設計という訳ではありませんので、
同じ機器が二つ揃えてはあるけれども、並んで置いてある。
で、これが新基準に適合するうえで、適合の可否に関しては、これはこれから判断するべきことだし、
ま、申請も行われていないのに感想を言うべきではありませんけれども、
やはり安全に対する考え方は最新の設計になっているという訳ではないので、
これに対しては必要に応じて措置が必要だろうと思います。
必要に応じて措置をしてもらうということになるか、
これは個々に申請が行われたら確認をしていくことになると思います。
読売新聞:
審査してみていろいろな措置がいろいろ考えられるという話だったんですけど、
それはクレテンだけじゃなくてコウタイコウテンについてもという意味合い?
更田豊志委員:
これは、これはJAEAの判断ですね。
申請内容をどうするか。
たとえば使用済み燃料を受け入れてここで再処理事業を行うかどうか?
これはJAEAの判断ですし、
それから再処理全体に対する国の判断もあるでしょうから、
これは規制当局が申し上げる事ではないです。
読売新聞:
シマイ検査について、報告書を今待っているという状況らしいんですけれども、
それについてはいつごろ判断が
更田豊志委員:
これはそんなに長くかからないと思います。
えーっと、具体的な事業をちょっと分からないというか、本当に長くはかからないと思います。
読売新聞:
貯蔵方法について限界があるという事ですが、
その点についてはどうお考えですか?
更田豊志委員:
確かにこうざいの貯蔵容量には限界があって、現在の容量が420
これを、工学的な能力からすると630まで増やす事が出来るんだけれども、
これはやはり当然自治体の許可もいるし国の許可もいると。
でもそれでもまだ、今やろうとしている高レベル廃液の処理を全部済ませると、それでも250ぐらい足りない。
ですから、今持っている高レベル廃液を全てガラス固化、固化するようにという目標のためには、
当然そのガラス固化体の貯蔵能力を増してもらわなければならない。
で、これはただし、規制当局が「どういうやり方で」というふうに言うのもちょっと、
いわゆる規制の役割ではなくて、JAEAが責任を持って、
プロセスされたガラス固化の貯蔵に関しては責任を持って貯蔵能力の増強に向けて。
ただしこれは、まずは自治体と話をしなきゃいけないんだろうと思います。
共同通信タテオカ:
所内検査の合格書を速やかにという事だったんですけれども、
そうすると今週中位には出せそうな?
更田豊志委員:今週中・・・
規制庁?:
今処理をしているんですけど、大体通常2週間ぐらいかかっているんですけれども、
ま、今週もしくは来週の頭とか、そんな事だと思いますが、
更田豊志委員:今月中?
規制庁?:すくなくても、おそくても
更田豊志委員:遅くても今月中には出すということです。
共同通信:で、機構の方も今月中には着手、作業に着手できる?
更田豊志委員:
本来だったら3月の終わりぐらいにやっているはずなんですね。
ですから、ひと月遅れのイメージになると思います。
共同通信:早ければ今月中にも機構としてもなにかやれる可能性はあるという、
更田豊志委員:
そうですね。
普通の事業であったら規制当局は「急げ」という事は全くないと思うんですけれど、
これはなにしろ「高い所にあるリスクを下げろ」という話だから、
それはそれでその「早まれ」と言うつもりはないですけれども、
「さっさとやってほしい」とも思っていますので、
例えばガラス固化にしても、20年かかるという話ですが、できるだけ早く終わらせるようにと思いますし、
プルトニウム溶液に関しては、ま、2~3年という話ですけれども、
これはトラブルなくきちんとやってもらえればと思っています。
で、最初からひと月ちょっと遅れているのは、残念ではありますけれども、
今月中には所内検査の合格書は出せると思います。
共同通信:
先にプルトニウム溶液の固化の方が始まりますけれども、
今日現場で見られた形として、作業が安全に行えそうかどうか?と言った、その感触というのは?
更田豊志委員:
溶液、プルトニウム溶液固化の方がスムースに行くのではないかな、と思っています。
あの、たとえばですね、製品としてのより良いMOX粉末をとかいろんな事を考えるとですね、
それはいろいろある、あります。
私はちょっと燃料屋だからそういう事を申し上げますけれども、
原子炉の中で燃やした時に、上手く燃えるような、性能のいいペレットをつくろうとすると、
増量だとかいろんなところで工夫をしますので、
粉末化処理の時にもいろんな要素がある訳ですけれども、
今回の場合は「とりあえずとにかく粉末化」という話なので、
そんなに時間の、時間のというか失敗だとか遅れだとかというのはトラブルが無い限りは無いと思いますので、
プルトニウム溶液のほうに特段の大きな懸念を持ったわけではないです。
テレビ朝日:
今日の視察とは間接的な関係があると思うんですが、
JAEAさんが先週の金曜日にですね、機構改革の意識調査の結果を公表されています。
それについて職員の中でですね、機構改革、
特にもんじゅをこのまま進めて行く事に対して、ネガティブな意見が多かったという結果が出ています。
まずその事についての受け止めと、もんじゅとこの東海とではやはり意識に大きな違いがあるのか?
その二点をお訪ねしたいんですが。
更田豊志委員:
えっとですね、その、機構改革に対するJAEAの意識に対しては、
今日の視察に関連して申し上げることはないですけれども、
何より、ここに今日視察に来た最大の目的というのは、
先程らいお話ししているようにプルトニウムとそれから高レベルの廃棄物を、
溶液の形で持っている事は危険だから、より安定したものを、ということで、
それを進めよう、そして安全に進められるようにという事を見に来たわけですけれども、
先ほどお話ししたように、だからと言ってこれは短い間にできる事ではなくて、
ガラス固化体なんかは15年以上に及ぶ作業ですので、
ここにはきちんとJAEAの経営層は、そこに目を向けて投資をしてもらわなくてはいけない。
いまJAEAの最大の課題のように伝えられているもんじゅですけれど、
もんじゅ一辺倒になられては困るんですね。
それは、もちろん研究開発等々はJAEAの経営判断として力を入れて行くところなんですけれども、
安全確保を優先してもらわなければいけない。
で、この再処理工場には溶液の形で高レベルの廃液やプルトニウムがあると。
ですから、その安全確保のための作業に経営は注力をしてもらいたいと思います。
それから、JAEAという組織は御承知のように
平成17年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合していて、
まだ、その統合から10年も経っていない組織だし、
もともと東海と敦賀と●にしても、東海、敦賀、大洗と。
で、それぞれが民間会社と違って大きく移動するような組織ではありませんので、
各サイトでやはり文化というものがある、生まれてきます。
ですからこれは経営をする側の難しさですけれども、
同じ法人の中にいくつもの違う文化があっても不思議はないと思っていますし、
それが安全確保上の問題に及ばない事を願っています。
記者:
さきほど三点ご指摘をなさったけれども、
プルトニウム溶液の保管作業に関しては近く●するだろうと、そういう事なんですか?
更田豊志委員:
3つの指摘の中でやはり対処をしていただかなければならないのは一つ目です。
これは作業の内容に関わらず緊急時の対応体制が現場から、それから国と接点をするところまでに多段階になっている。
これは、多段階でもうまく機能するのか?それともてを付けてもっとフラットな組織にする必要があるのか、
これは、そう時間をおかずに対処してたいと考えています。
記者:
ガラス固化の部分で経営層が十分配慮するという事ですが、
これは具体的にこれを経営層の方はやっているのか、それとも今後
更田豊志委員:
今日もその担当の役員の方にお目にかかりましたので、
担当の役員の方にはお伝えをしました。
たとえば溶融炉等々はあるところで交換が必要になりますので、
それに対する準備等は今からしておかなければいけないですし、
それは工学的な設計だけではなくて、その時期には一定量の予算の配慮等も必要ですし、
それから引き続きこの部門に、該当する部門に十分な定員というか要員の配置をしていただく必要があるので、
こう言った事は役員の理事の人に伝えました。
ーーー
「プルトニウム溶液と高レベル廃棄物の固化を速やかに進めるように」
液体のまま持っている事が危険だとしても、
更田委員が挙げた緊急事態時の連絡方法と安全設計に関して、十分な対応をするまで
「合格書」は出さないで欲しいと思います。
茨城県には今も地震が多く多発していますし、津波の危険もある。
緊急時対応の不安や共通要因故障の心配があるまま、
何も焦って今月中に合格させる必要はないのではと思います。
万が一、大災害が起こったら、または、取り返しのつかない人為的なミスが起こったら、
どう責任を取るのでしょうか?
更田さんは、コメントの中でもちゃんと責任逃れできるような言葉使いをしているのが気になりました。
「規制当局はどうなっているのか見に来ただけ」で、
「さっさとやって欲しい」から、緊急時の対応にも、災害時の機械の故障にも不安はあるけれど、
今回一応視察したからそれで良しとして、急いで合格を出します。
ということですよね。
最低限の問題点は解決してから稼働してほしいと思うのは私だけでしょうか?
いくらこのままじゃ危険だとしても、やっぱりどうなんだろう?
「危険だ」というのを言い訳にしているようにも感じてしまう。
懸念される状態のまま、稼働するのはどう考えてもおかしいし、やってはいけない事じゃないのかな。
急ぐのは出来る限りの安全対策と危機管理対策を進めることであって、
それからなんじゃないのかな・・・
とてもとても恐ろしいです。
記者たちはなぜ一言質問をしないのだろうか?
「更田委員が指摘する緊急時対応や安全設計の問題解決を急がせてから再稼働するというお考えはないのですか?」
と。
「懸案事項があるまま稼働してもしもトラブルが起きた場合、どなたが責任を取るんですか?」
と。
という記事を書いてくれました。
「日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(茨城県東海村)にたまっているプルトニウム溶液について、
原子力規制委員会の更田豊志委員は21日、溶液を粉末にする処理を近く認めるとの見通しを示した。
機構は月内にも着手する」
という内容です。
東海村のプルトニウム溶液の危険性についてはブログに書いたこともあるので知っていました。
「施設には、硝酸に溶かされたプルトニウム溶液3・5立方メートルがたまっている。
粉末にすれば、停電時に冷却ができなくなっても空冷でき、安全性が高まるとされる。
ただ、施設の排気筒に穴が開いているのが2011年に見つかり、規制委が今年3月から検査している」
排気筒に穴が開いているのは知らなかった。
これは直したのでしょうか?
そして記事は最後にこう書いてあります。
「施設を稼働するには本来、国の規制基準に適合しなければならないが、
液体のまま保存を続けると危険性が高いため、規制委は特例的に認めることにしている」
国の規制基準に適合していないのに、急ぐからと言って特別に認めて稼働してもいいのだろうか?
私はなんとも納得できない違和感を感じたので、この朝日新聞の記事に関する元ネタがないか探してみました。
ありました。
規制委員会更田委員の視察後の会見動画です。
文字起こししました。
日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所現地視察
(更田豊志委員の記者取材対応/原子力規制委員会提供)平成26年4月21日
更田豊志委員
本日、日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所で行われる予定の
プルトニウムならびに高レベル廃棄物溶液の、ま、安定化処理に関係して、
その作業の内容と緊急時対応の内容等について確認するために視察を行いました。
合わせて燃料加工施設等も、まぁ若干の視察を行いましたけれども、
基本的には新規制基準適合性の検討の中でJAEA自ら
「プルトニウム、高レベル廃棄物が溶液の形で保管されている」と。
要するに「リスクが高い状態であるのでこれをなんとかしたい」という、
ま、問題提起が機構自らあったので、
それではこれは再処理事業の遂行を許可するというのとは別途、リスクを下げるという観点から、
「プルトニウム溶液と高レベル廃棄物の固化を速やかに進めるように」という事で、
その際の管理体制というのをこの目で見ておくために来た次第です。
ま、一日かけて、再処理工場、また関係部門を見てきたところです。
以上です。
朝日新聞(波多野陽記者):
今日実際に視察されて思った事と、
そしてそれを今後、どういう場でどういうふうに生かしていくと考えてらっしゃるのか教えて下さい。
更田豊志委員:
JAEAには、感想として主に3つの点を伝えました。
緊急時対応への不安
一つの点はですね、緊急時対応の組織が、言わば縦長の組織になっているんですね。
現場からトップまであるとか、現場から国への連絡体制等々が非常に段階が多いと。
まず、現場があって、制御室があって、それから指揮所があって、緊急時対策所があって、
で、緊急時対策所は国とのシステムに繋がっている。
経営判断をするのは別途本部がありますし、
JAEAの経営層の多くは東京事務所にいるという実状があるという事なので、
ある意味、「緊急時になにかをすぐにしなければならない」となった時に、
国と誰がやり取りをするのか?
その意思が速やかに現場まで伝わるのか?
あるいは現場から伝わる状況がすみやかに国まで伝わるのか?
この体制、これはま…、かなり訓練等でですね、確認をしていかなければいけないだろうと。
理屈のうえで出来るというのと、実際にできるというのとではずいぶん違いがありますから。
随分多段の組織になっているので、改善もあるだろうし、
訓練を通じて確認していかなければならないと感じたのが一点目。
予算や人員の投資の必要性
二点目はプルトニウム溶液の粉末化に関していうと、これはそう長い期間かかるものではないですけれど、
一方で高レベルの廃棄物の溶液のガラス固化、
これは見通しによりますけれども、上手く加速できなければ20年に及ぶ作業になります。
20年間これを安全に進めてもらうためには、
JAEAここに、予算や人と言ったものを十分に投下し続けてもらわなければいけないし、
それからこのガラス固化を行うためには、
たとえば溶融炉といった炉は、今の施設をそのまま使い続けられる訳ではないので、
交換等も見据えて行かなければならない。
ですから、少なく見ても15年以上20年に及ぼうとする長い作業ですので、
リスク低減のための作業と言っても、これはある意味遠大な作業です。事業ですので、
ここに向けた経営の十分な配慮と投資が継続されるという事を、
ま、不可欠であるという事を二つ目の意見として伝えました。
安全設計の考え方が古い
三つ目はこれはちょっとあの・・、えーー、・・・古い。
やはり、これは別に再処理施設に限らないんですけれども、
元々安全設計の考え方が、いわゆるランダム故障の仮定に基づいていると、
ランダム故障というのは、ある機械が壊れる確率が0.1%だとすると、
これが二つあれば掛け合わせで10のマイナス6乗になるだろうと。
そういう考え方を取るんです。
ですから基本的には「二つありさえすればいい」という考え方をとります。
ところが、福島原子力発電所のように津波で一気にやられるとか、地震で倒れるというような話だと、
同じものが二つ並んで置いてあったら共倒れをするんです。
共通原因故障とか共通要因故障といういい方をしますけれども、
同じものを二つ置いておくにしても、離して置いておくとか、
火災に強くするためには間に防火壁があるとか、そういった配慮が必要な訳ですけれども、
やはりこの東海再処理工場もそれほど新しい設計という訳ではありませんので、
同じ機器が二つ揃えてはあるけれども、並んで置いてある。
で、これが新基準に適合するうえで、適合の可否に関しては、これはこれから判断するべきことだし、
ま、申請も行われていないのに感想を言うべきではありませんけれども、
やはり安全に対する考え方は最新の設計になっているという訳ではないので、
これに対しては必要に応じて措置が必要だろうと思います。
必要に応じて措置をしてもらうということになるか、
これは個々に申請が行われたら確認をしていくことになると思います。
読売新聞:
審査してみていろいろな措置がいろいろ考えられるという話だったんですけど、
それはクレテンだけじゃなくてコウタイコウテンについてもという意味合い?
更田豊志委員:
これは、これはJAEAの判断ですね。
申請内容をどうするか。
たとえば使用済み燃料を受け入れてここで再処理事業を行うかどうか?
これはJAEAの判断ですし、
それから再処理全体に対する国の判断もあるでしょうから、
これは規制当局が申し上げる事ではないです。
読売新聞:
シマイ検査について、報告書を今待っているという状況らしいんですけれども、
それについてはいつごろ判断が
更田豊志委員:
これはそんなに長くかからないと思います。
えーっと、具体的な事業をちょっと分からないというか、本当に長くはかからないと思います。
読売新聞:
貯蔵方法について限界があるという事ですが、
その点についてはどうお考えですか?
更田豊志委員:
確かにこうざいの貯蔵容量には限界があって、現在の容量が420
これを、工学的な能力からすると630まで増やす事が出来るんだけれども、
これはやはり当然自治体の許可もいるし国の許可もいると。
でもそれでもまだ、今やろうとしている高レベル廃液の処理を全部済ませると、それでも250ぐらい足りない。
ですから、今持っている高レベル廃液を全てガラス固化、固化するようにという目標のためには、
当然そのガラス固化体の貯蔵能力を増してもらわなければならない。
で、これはただし、規制当局が「どういうやり方で」というふうに言うのもちょっと、
いわゆる規制の役割ではなくて、JAEAが責任を持って、
プロセスされたガラス固化の貯蔵に関しては責任を持って貯蔵能力の増強に向けて。
ただしこれは、まずは自治体と話をしなきゃいけないんだろうと思います。
共同通信タテオカ:
所内検査の合格書を速やかにという事だったんですけれども、
そうすると今週中位には出せそうな?
更田豊志委員:今週中・・・
規制庁?:
今処理をしているんですけど、大体通常2週間ぐらいかかっているんですけれども、
ま、今週もしくは来週の頭とか、そんな事だと思いますが、
更田豊志委員:今月中?
規制庁?:すくなくても、おそくても
更田豊志委員:遅くても今月中には出すということです。
共同通信:で、機構の方も今月中には着手、作業に着手できる?
更田豊志委員:
本来だったら3月の終わりぐらいにやっているはずなんですね。
ですから、ひと月遅れのイメージになると思います。
共同通信:早ければ今月中にも機構としてもなにかやれる可能性はあるという、
更田豊志委員:
そうですね。
普通の事業であったら規制当局は「急げ」という事は全くないと思うんですけれど、
これはなにしろ「高い所にあるリスクを下げろ」という話だから、
それはそれでその「早まれ」と言うつもりはないですけれども、
「さっさとやってほしい」とも思っていますので、
例えばガラス固化にしても、20年かかるという話ですが、できるだけ早く終わらせるようにと思いますし、
プルトニウム溶液に関しては、ま、2~3年という話ですけれども、
これはトラブルなくきちんとやってもらえればと思っています。
で、最初からひと月ちょっと遅れているのは、残念ではありますけれども、
今月中には所内検査の合格書は出せると思います。
共同通信:
先にプルトニウム溶液の固化の方が始まりますけれども、
今日現場で見られた形として、作業が安全に行えそうかどうか?と言った、その感触というのは?
更田豊志委員:
溶液、プルトニウム溶液固化の方がスムースに行くのではないかな、と思っています。
あの、たとえばですね、製品としてのより良いMOX粉末をとかいろんな事を考えるとですね、
それはいろいろある、あります。
私はちょっと燃料屋だからそういう事を申し上げますけれども、
原子炉の中で燃やした時に、上手く燃えるような、性能のいいペレットをつくろうとすると、
増量だとかいろんなところで工夫をしますので、
粉末化処理の時にもいろんな要素がある訳ですけれども、
今回の場合は「とりあえずとにかく粉末化」という話なので、
そんなに時間の、時間のというか失敗だとか遅れだとかというのはトラブルが無い限りは無いと思いますので、
プルトニウム溶液のほうに特段の大きな懸念を持ったわけではないです。
テレビ朝日:
今日の視察とは間接的な関係があると思うんですが、
JAEAさんが先週の金曜日にですね、機構改革の意識調査の結果を公表されています。
それについて職員の中でですね、機構改革、
特にもんじゅをこのまま進めて行く事に対して、ネガティブな意見が多かったという結果が出ています。
まずその事についての受け止めと、もんじゅとこの東海とではやはり意識に大きな違いがあるのか?
その二点をお訪ねしたいんですが。
更田豊志委員:
えっとですね、その、機構改革に対するJAEAの意識に対しては、
今日の視察に関連して申し上げることはないですけれども、
何より、ここに今日視察に来た最大の目的というのは、
先程らいお話ししているようにプルトニウムとそれから高レベルの廃棄物を、
溶液の形で持っている事は危険だから、より安定したものを、ということで、
それを進めよう、そして安全に進められるようにという事を見に来たわけですけれども、
先ほどお話ししたように、だからと言ってこれは短い間にできる事ではなくて、
ガラス固化体なんかは15年以上に及ぶ作業ですので、
ここにはきちんとJAEAの経営層は、そこに目を向けて投資をしてもらわなくてはいけない。
いまJAEAの最大の課題のように伝えられているもんじゅですけれど、
もんじゅ一辺倒になられては困るんですね。
それは、もちろん研究開発等々はJAEAの経営判断として力を入れて行くところなんですけれども、
安全確保を優先してもらわなければいけない。
で、この再処理工場には溶液の形で高レベルの廃液やプルトニウムがあると。
ですから、その安全確保のための作業に経営は注力をしてもらいたいと思います。
それから、JAEAという組織は御承知のように
平成17年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合していて、
まだ、その統合から10年も経っていない組織だし、
もともと東海と敦賀と●にしても、東海、敦賀、大洗と。
で、それぞれが民間会社と違って大きく移動するような組織ではありませんので、
各サイトでやはり文化というものがある、生まれてきます。
ですからこれは経営をする側の難しさですけれども、
同じ法人の中にいくつもの違う文化があっても不思議はないと思っていますし、
それが安全確保上の問題に及ばない事を願っています。
記者:
さきほど三点ご指摘をなさったけれども、
プルトニウム溶液の保管作業に関しては近く●するだろうと、そういう事なんですか?
更田豊志委員:
3つの指摘の中でやはり対処をしていただかなければならないのは一つ目です。
これは作業の内容に関わらず緊急時の対応体制が現場から、それから国と接点をするところまでに多段階になっている。
これは、多段階でもうまく機能するのか?それともてを付けてもっとフラットな組織にする必要があるのか、
これは、そう時間をおかずに対処してたいと考えています。
記者:
ガラス固化の部分で経営層が十分配慮するという事ですが、
これは具体的にこれを経営層の方はやっているのか、それとも今後
更田豊志委員:
今日もその担当の役員の方にお目にかかりましたので、
担当の役員の方にはお伝えをしました。
たとえば溶融炉等々はあるところで交換が必要になりますので、
それに対する準備等は今からしておかなければいけないですし、
それは工学的な設計だけではなくて、その時期には一定量の予算の配慮等も必要ですし、
それから引き続きこの部門に、該当する部門に十分な定員というか要員の配置をしていただく必要があるので、
こう言った事は役員の理事の人に伝えました。
ーーー
「プルトニウム溶液と高レベル廃棄物の固化を速やかに進めるように」
液体のまま持っている事が危険だとしても、
更田委員が挙げた緊急事態時の連絡方法と安全設計に関して、十分な対応をするまで
「合格書」は出さないで欲しいと思います。
茨城県には今も地震が多く多発していますし、津波の危険もある。
緊急時対応の不安や共通要因故障の心配があるまま、
何も焦って今月中に合格させる必要はないのではと思います。
万が一、大災害が起こったら、または、取り返しのつかない人為的なミスが起こったら、
どう責任を取るのでしょうか?
更田さんは、コメントの中でもちゃんと責任逃れできるような言葉使いをしているのが気になりました。
「規制当局はどうなっているのか見に来ただけ」で、
「さっさとやって欲しい」から、緊急時の対応にも、災害時の機械の故障にも不安はあるけれど、
今回一応視察したからそれで良しとして、急いで合格を出します。
ということですよね。
最低限の問題点は解決してから稼働してほしいと思うのは私だけでしょうか?
確かに液体で保存しているのはものすごく危険です
●東海村にあるプルトニウム溶液と高放射性廃液の「潜在的危険」は
水素爆発と10の何乗ギガベクレル単位になる放射性物質の飛散だ!!
●1.東海村JAEA潜在的危険に関するヒアリング~規制庁からの説明~12/2(内容書き出し)
●2.東海村JAEA潜在的危険に関するヒアリング~日本原子力研究開発機構からの説明~12/2
(内容書き出し)
●<東海村再処理工場の危険>
「使用済み燃料を液体にしてしまった。液体が沸騰してしまうという事は簡単に起きてしまいます」
小出裕章氏(文字起こし)
いくらこのままじゃ危険だとしても、やっぱりどうなんだろう?
「危険だ」というのを言い訳にしているようにも感じてしまう。
懸念される状態のまま、稼働するのはどう考えてもおかしいし、やってはいけない事じゃないのかな。
急ぐのは出来る限りの安全対策と危機管理対策を進めることであって、
それからなんじゃないのかな・・・
とてもとても恐ろしいです。
記者たちはなぜ一言質問をしないのだろうか?
「更田委員が指摘する緊急時対応や安全設計の問題解決を急がせてから再稼働するというお考えはないのですか?」
と。
「懸案事項があるまま稼働してもしもトラブルが起きた場合、どなたが責任を取るんですか?」
と。
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