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06.30
Mon
第7回
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う
住民の健康管理のあり方に関する専門家会議

2014/06/26 16:57

動画はこちら(環境省 ustream)↓
http://www.ustream.tv/recorded/49215223

1.「福島県内部外の方達に学齢期以降も含む健診と 補償を柱に提案」石川広己(日本医師会)
6/26第7回 健康管理のあり方に関する専門家会議(文字起こし)

↑の続き

鈴木 元(国際医療福祉大学クリニック 院長)
2014062826.jpg
住民の健康不安に対して健診をするという事が本当のベストアンサーなのか?
という事は十分議論をし無いといけないんだと思います。
いま栃木でお母さん方と話していますとね、いまだに水道水を飲めない
要するに放射性物質がまだあるかもしれないので、
ペットボトルをわざわざお金を出して買って幼稚園で配布している
という様な事が起きているんですね。

で、そういう不安を持っている人達に、
じゃあ「癌の検診をやりましょう」っていうのが本当のベストアンサーになるのかどうか。

かえって、本当の意味でリスクリテラシーというのをどう醸成していくかという中で総合的に考えていかけないところに、
医療という形ですぐ答を出すというのは、なにか落とし穴があるように私自身は思います。
ですから、もうちょっとその辺の。
なんで今まで線量の話をやってきたかっていうと、
「この線量レベルでどういうリスクがあるか」ということをもう少し押さえたうえで、
どういう対策を考えていくか、総合的に考えるんだと思います。
決してそれが健診という形に直結するとは、私は思ってません。



2014062827.jpg
石川:
あの、いきなり癌の検診とかと言っているのではなくてですね、
基本的にはここの会議でですね、私は今まで7回、6回ですか
線量の把握という事で先生方が議論されているのをずーっと聞いていてですね、
大変綿密な事をおやりになっていて、それを日本の一定の結論にしようとしているという事は良く分かりました。

しかしそれだけでは、今先生もおっしゃったように栃木県だけじゃないんですよ。
他のところでもですね、まだそういう他のところの水を使って調理をしているお母さん方はいる
訳です。
それを、じゃあ、どうしたらいいかと言うとですね、
「それじゃあ癌の検診をやる」という、そういう事にはもちろんなりません。
ただその時に、いろんな他の病気も含めてですね、要するに健診できる体制を構築していくという事が、
僕はひとつの安心を常設することになるんじゃないかと思うんです。
私たちは、お母さん、子どもたちに対してそういう健康を支援する。
いま出来ることはそういう健診。

癌の検診という事じゃなくてもですね、
僕はやはり、「健康を見守っていくよ」という体制そのものが大事だと思っているので、
それで、先ほどちょっと冒頭でも言いましたけれども、
たとえば低線量被曝の結末という事については、もちろん誰も語れない訳ですから、
それが情報としては日本のいろんな国民、お母さん方も、
被災されたお母さん方も含めていろんな国民の方達には
そういう低線量被曝がどう何だろうという、そこはかとない不安があることも事実なんだと思うんですね。
この事についてきちんと解説できればそれが一番いいんですけれども、
それが出来ないんですから、それはしょうがないと思うんですね。
私たちはそういう健診という形で見守っていきますよ、補償しますよ、
という対応を取るしかないと思います。



ーーー


いまだに水道水が飲めない」




鈴木 元(すずき げん)教授

医療福祉経営専攻 医療福祉国際協力学分野
所属キャンパス: 大田原キャンパス

略歴
S50年東大・医学部医学科卒、S57年医博(東大)、S57年ーS59年米国NIH(免疫学)、S60年ーH11年放医研・障害臨床部、H12年ーH17年放影研・臨床研究部長、主席研究員、H17年ーH21年国立保健医療科学院・生活環境部長、H21年より国福大クリニック教授、H22年より大学院併任、付加的任用:H14年より広島大学客員教授、H19年ーH25年東大・医・非常勤講師、H25年より東京医療保健大大学院非常勤講師、H12年ーH23年原子力安全委員会緊急事態応急対策調査員、H24年ー原子力規制委員会緊急事態応急対策委員






放射線と健康「医療ルネサンス小山フォーラム」
2011年10月14日 栃木県小山市の白鴎大学東キャンパス白鴎ホール
国際医療福祉大学教授 鈴木元さん「放射線の影響――暮らしを守る基礎知識」

基調講演(3)自然界の放射線…国際医療福祉大学教授・鈴木元さん

ここからは、福島に関連した話をします。放射性セシウムに関しては、セシウム134、セシウム137は、ほぼ50%ずつ環境中に放出されました。それぞれの半減期が2年、30年と長いために、環境中に長くとどまります。ただ、雨、風により、セシウムが表土から流れ出ていっていますので、実際の環境中から半減する期間というのは、30年よりはもっと短くなることがわかっています。

セシウムは体に入ると、カリウムと同じような動きをします。消化管から吸収され、細胞に取り込まれ、その後、代謝によって排せつされていく。主に、尿中に90%ぐらい、排せつされていき、大人の場合、約100日で半分が排せつされます。子供は、もっと早くて、2週から3週ぐらいで、半分が排せつされていくということがわかっています。

食品中の放射性セシウムについては、現在、飲料水、乳製品、野菜、穀類、肉類の5群に分けて、暫定規制値が設けられています。各群の食品を、平均的なメニューで1年間食べ続けた場合に、各群から最大でも1ミリ・シーベルト、5群を合わせて5ミリ・シーベルト以下の被曝(ひばく)におさまるレベルとして、これらの値が設定されています。5ミリ・シーベルトの被曝というのは、原爆被爆者のデータでいいますと、10歳の男児ががんで亡くなるリスクが、生涯で最大0.1%上がる、要するに30%が30.1%に上がるというレベルです。

食品中には、実は放射性物質が含まれています。もともと自然界に存在するK―40という放射性カリウムです。カリウムの0.011%ぐらいがこの放射性カリウムです。カリウムをいっぱい含むような食品には、放射性カリウムも必ず含まれています。キログラム当たりで、魚で100ベクレル、牛肉も同じです。牛乳は50ベクレル、野菜類は一般に高いですし、干しシイタケは700ベクレル、干しコンブは2000ベクレルです。バナナも比較的高くて300ベクレルあります。

食品の今の暫定規制レベルは、自然界のK―40よりは高い値に設定されていますが、実際に今、流通している食品の放射性セシウムの量は放射性カリウムよりも低い場合が多いのです。私たちは、大体4000ベクレルくらいの放射性カリウムを体内に常に蓄積して、日常的に内部被曝をしているということも知っておいてください。

ほかに私たちは、自然放射線をどのくらい被曝しているのかというと、宇宙線とか、土中などに含まれる放射性物質のラドンとか、あるいは、今お話しした放射性カリウムなどで、世界平均では年に2.4ミリ・シーベルトぐらいは常に被曝しています。日本は、ラドンの放射線量が低く、自然放射線全体で年に1.5ミリ・シーベルトぐらいと言われています。ラドンは、日本は非常に低いんですが、アメリカは年に2ミリ・シーベルトと報告されています。北欧では、年に3ミリ・シーベルト、場所によっては10ミリ・シーベルトになるところもあります。

こういう見方をしていくと、年間1ミリ・シーベルト増えた、増えないというのは、実は国による自然放射線量の違いにおさまるくらいの差になることを、理解してください。

きょうの私の講演のキーワードは、「リスクの認知と受容」です。年間5ミリ・シーベルトの被曝による健康への影響は、10歳の子供が生涯にがんで死亡するリスクが最大で0.1%上昇するといった大きさです。国際放射線防護委員会(ICRP)は、低線量の遷延被曝の場合、リスクは半分になると言っていますので、0.05%ということになります。そうしますと、生涯がん死亡リスクは、10歳の男の子で、30%が30.05%になる、それくらいのリスクの上昇なのです。

これに対して、喫煙、飲酒、肥満など、生活習慣によって、がんになる危険が高まることも知られています。年間5ミリ・シーベルトの危険を恐れて、子供たちが外で運動をしない、家の中に閉じこもる、野菜も食べないというふうにしていくと、肥満によるリスクが上がってくるわけです。

私たちは、一つのリスクを避けようとしたときに、知らないうちに、また別のリスクを持ち込んでしまうということを常に考えて、全体的なリスクのバランスを考えながら、行動することが大切だと言えます。(続く)

(2011年11月30日 読売新聞)





2014年6月26日  第7回
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
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1.「福島県内部外の方達に学齢期以降も含む健診と 補償を柱に提案」石川広己(日本医師会)
6/26第7回 健康管理のあり方に関する専門家会議(文字起こし)


2.「健診をする事が本当のベストアンサーなのか?」鈴木元(国際医療福祉大学クリニック)
6/26第7回 健康管理のあり方に関する専門家会議(文字起こし)


3.「やはり、線量が低いと癌出ません! それは厳然たる事実です」丹羽太貫(福島県立医科大学)
6/26第7回 健康管理のあり方に関する専門家会議(文字起こし)


4.「検診の利益と不利益」祖父江友孝(大阪大学教授)
6/26第7回 健康管理のあり方に関する専門家会議(文字起こし)





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comment 1
コメント
 自然放射能は体から全て排出されるが、人工放射能は完全には排出されず、体内に残る。
と、市川定夫さんが講義の動画で言ってましたよね。

そしてストロンチウムは骨に取り込まれるから体から出て行かない。
不安に思っている方々はそのくらい知っているから、
「どうにか騙して不安を取り除こう」としている輩の言葉がもう信じられていない。
汚染されているものを口にしたくないと努力している人達を、上から目線で指導してやるといった態度が見え見えでもううんざりです。
豆ご飯 | 2014.06.30 16:16 | 編集
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