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2014年7月7日
日本記者クラブ記者会見s
岸恵子さん
吉永小百合さん
58:44~文字起こし

司会:吉永さんは残された人生、これからはどう迎える?
吉永:
あまり何年後にどうしようという思いは無く、
あの、その時その時で自然に成り行きに任せて生きていきたいと思っています。
今を、やっぱり精一杯生きるというのは大切…と思いますね。
司会:
あの、実はこの御本の中でも原発の問題と、それから国際政治、国際情勢をどう見るか?というね、
極めて対照的なお二人のね、これが非常に、ある意味ではそれをそれぞれ心情を吐露されているという感じがするんですけれども、
吉永さんは日本ではもう原発は止めて欲しいと。
多少不便でもすべてを電気に頼っていなかった頃の生活に戻した方がいいと、
「経済のために」と言って人間の命が危険にさらされるのは、納得がいかないと、
この度の311を期にそう思っておられると、

吉永:はい
司会:そして岸さんは、
しかし日本は原発を作ってしまって現にそこにある。
で、そこには人間のさまざまな英知、努力が盛り込まれているんだから、
その事について、ま世界。
自分が歩いてみるとエネルギー問題というのは国の使命を制するようなそういう問題でもあるんだから、
そこは人間の英知で考えていかなければ行けない事ではないか、という位にね、
対照的に書かれているんですけれども、
まず、「原発についての吉永さんの思い」みたいなものをちょっとお話ししていただけますか?

吉永:
はい、
あの、私は原爆の詩をずっと朗読してきたんですけれども、
それはあの、1966年だったと思いますけれども、
大江健三郎さんの広島の人という作品の、エピソードを映画化したものを広島でずっと撮影して、
それから「夢千代」という作品に出合って、
その後に「原爆詩」という現実を知ってずっとやってきたんですけれども、
あの、原子力の、
原子力発電所というのは「原子力の平和利用」という事が言われていて、
なんとなくそんな形で私もずっと思ってきてしまっていた。
でも、3月11日にあんな事故が起きて、
「やっぱり人間は原子力とは一緒にやっていけないんじゃないか」
ま、レントゲンとかそういうものは別ですけれども、
あのー、
「これほど地震の多い国で原子力の発電というのは止めて欲しい。もうサヨナラ原発にして欲しい」
という思いが、ずっとそれからありますし、そういう意味では声を出していきたいと思っています。
司会:はい、それに対して岸さんは?

岸:
いや、私だって原発なんて無い方がいいと思います。
私はパリからついこの間帰りまして、
時差調整が出来なくて朝の5時頃まで起きてしまうんですけれども、
その間小百合ちゃんはサッカーを見てて、私はウインブルドンのテニスを見てたんですけれど、
その合間に偶然、おととい、あの~、その問題をどこかの局でやってまして、
あの、正力松太郎さんですか、
あの方が、核というもの、原子力というものに対する、
司会:原子力平和利用ですね
岸:
平和利用。
の、会をおつくりになって、そこに野口英世さん、先生をお呼びになったと。
で、野口さんはそこにずっといらしたんですけれども…、
つまり、物理化学者が人間のためにある技術を作ったと。
そしたら、それを人間がどう活用するかという事を最後まで責任を持たなければいけないと。
これを「平和利用」と言いながら、兵器に変えたりなんかするのはけしからん。
とおっしゃって、あの、結局科学者と学者と政治家の意見が違って、
正力さんは、まずまずこの日本を盛り上げるためにはやく、
あのーたとえばなんだか忘れましたけど、
原発ー、電気のためかもしれませんけど、英国から買おうと思った。
そしたら英国人が見にきて地震にあったらしいんです。
で、ビックリしちゃって、
「こんなに地面が揺れ動くところに我々が作った機械を持ってきてもとても駄目だから」といって、
私の、うろ覚えによりますと、「断った」と。
そして結局はアメリカのものを使ったわけですね。
そんなこんながありまして、
結局野口さんは1年3ヶ月でおやめになってしまう。
つまり政治家が考える事。
で、学者が考えることは日本人の頭の中で日本人が工夫したものが、もし出来たら使おうじゃないか。
外国から取り寄せてまで、そんな先進技術を使う事は無い、とおっしゃってお辞めになったんですけど、
結局・・・、
福島のことも出てきます。
その時代にですよ、何十年前か知りませんけど。
それで、あの、野口さんはお医者さまから止められているにもかかわらず、

司会:あ、湯川秀樹さんですね。
岸:
あ、ご、ご、ごめん、
どうしてこう・・もう、なんだかあれが回っちゃったんですけど、
司会:はい
岸:
湯川秀樹さんが、あのー、車いすで最後に、亡くなる寸前ですけど、
その会にお出になって、反対なさった。
司会:●の会、そうですね。
岸:あれ、何年だかちょっと覚えてない。そうです、湯川秀樹さんだった、ごめんなさい。
司会:はい。
岸:あのーー、そんな事を考えますと、わたくしも小百合ちゃんと同じように何も考えませんでしたね、あのー、
司会:うん、3.11まではね。

岸:
あれまではね、
うわ―、大変だ! と思いまして、
この日本では無理だと思います。
だからと言って、あの時は菅さんだたと思うんですけど、
飛んでみたり、なんか動くよりも、
あそこでじっくりと考えた方が・・・。
あの、これが起きたから全部だめだって言ったって、
あの、廃棄物は残っちゃっている訳ですからね。
ですからそういう事を含めても、ここで早まって、
私みたいにイタリア人みたいにパッって飛び出しちゃいけない
ゆっくりと官がけ手次の行動に。
良いものは良いもので取っておく。
で、人間が幸せにならないものは排除していくっていう、冷静なる判断を科学者たちを交えて考えるべきだと思います。
あの、速断してはいけないと思います。
司会:なるほど。
もう時間はとっくに過ぎているんですけど、もうひとつだけね。
国際情勢、いろんな悲惨な世界の現実を見て回られた、
そしてその中で、この中でも、
吉永さんは「地球はひとつの国」っていうね、意識が必要なんではないか。
そんな事ならないわよ、と、ね。
無理よと。
それはペシミズム(pessimism)で言っているんじゃなくて、リアリズム(realism)で言っているんだと。
おふたりはまさにリアリズム対アイデアリズムというか、
岸:リアリストですね、小百合ちゃんはね。
司会:
その二つの違いがあるんですけれども、
ま、ここはおそらく接近の仕方はね、あの、違うところからスタートしているかもしれないけど、
目指しているところはみんな幸せになって欲しいというところですよね。

岸:
そうなんです。
だけどそれはすごく難しいところで。
あの、シリアを見て下さい、たまらないじゃないですか。
だから、私は前の恋愛小説で、プラハの春からアラブの春までの40何年間かの間にできた事として書いた訳ですけど、
その間全部じゃないですけど、
いろんな世界で起こったことを絡めて、「恋」という形で書いたんですけれども、
あの・・、すごく危険だと思いますね。
たとえば、大国がちょっと口を出したり、
石油が、地下資源があるからと言って、●、何十年も前のことですけど、5月革命が起こった時にね、
その後、お医者さまだったんですけれども29歳で、その方は。
一生懸命機動隊に石をぶつけたんです。
5月革命で、石をはがしてね、道路の。
でもこんなことをしているのは、幸せな国の若者のロマンチズムじゃないかと、
こんなことをするよりも、それこそビアフラに行って、
なんだかわからないのに虐殺されている女子供を助けるべきではないか、と言って、
ビアフラに行った人がいます。
わたし、2~3回対談しましたけれど。
そして彼は、あのー、えっと、「殺され方にいいも悪いもない」
「石を投げずに薬を投げよ」と。
で、「医師は弾丸が飛び交う下でもくぐって人命を助けよ」と言った人なんですね。
で、さまざまに見ていくと、ま、アラブの春なんていうのはムバラクは倒れましたし
リビアのカダフィもみっともない死に方をしましたけど、
シリアはどうですか、大変なことになってますでしょ。
だからそういうのを見ていると、
それからウガンダのツチ族トウク族の殺し合いなんかを見ていると、同じ種族なのに…、
なかなか世界平和なんていうのは・・・。
日本という国は、大変に恵まれた地形にありますし、それがあだになっているところもありますけれども、
そういうところで
「私たちには平和憲法があります」
「私たちはせんそうしません」って言いたいです、私も。
けれど、彼等はどうなるの?と。
そんなものもない人達は子どもをさらわれて殺されて門のところに置いていかれるようなことが、
今現在起こっているんですから、
これは、世界平和っていうのは人間がよっぽど考え深く、利口にならないと、成り立たないのではと。
願う心は同じです、小百合さんと。
でも私はそれは、大変に困難だと思っています。
司会:この御本の中でも最近の中国と海洋進出にしてもね、
岸:
私はもっとひどいことを書いたんですよ。
そしたら「国交問題に」って。
私みたいな女優の言う事が問題にされるわけはない思いましたけれど、そこは直されてしまいました、はい。
司会:
そうですか。
その事については吉永さんもちょっと同意見もされていましたね。
いろんな尖閣の問題とかね、
この、厄介な今起きている、そのまとめていっちゃ

吉永:
短い時間ではちょっと話せないんですけれども、
あの、私は日中文化交流協会というのに入っていまして、
やっぱり文化の面からとっても中国に人達にはいろんなものを教わってきたし、
私自身も何度も行って、あの、友達もいるので、
「ともかく良い関係に戻って欲しい」という事を、あの、思っています。
司会:
はい、あの随分、4時までの予定が13分、15分伸びてしまいました。
ありがとうございました。
始まる前に色紙を書いてもらいまして、…略

吉永さんは
「星よりひそかに 雨よりやさしく」
いやぁ~、これは私たちがよく聞いた歌ですね。
吉永:(笑)はい、
司会:という事で今日は本当に長い間ありがとうございました。
ーーーーー
小百合さんと同じように「地球はひとつの国」だと、私も思っています。
そして、岸恵子さんのおっしゃる通り、それはすごく難しいことだということも分かっています。
だけど、難しいからって諦めたくない、
「地球はひとつの国でいいじゃないか」って、私は思いました。
いくら難しくたって、そこを目指していく、
それでいいんじゃないかな。
岸恵子さんが昔と変わらないこの美しさで81歳、今年の8月11日で82才になるという事ですが、
驚きです。
とても綺麗。
今の芸能人のお年寄りは、昔と顔が激変している人が多い中、
岸恵子さんは昔のまま、変わってない。
皮膚がひきつったり、顔がでかくなったり、目がつり上がったり全くしてない。
そして、吉永小百合さんは、別格で美しい。
原発の事や、集団的自衛権についてなど、
もっと小百合さんに質問してほしかったような…
小百合さんの言葉をもっと聞きたかったと思いました。
ーーー
そして、もっと聞きたかったという思いをかなえてくれるように、
2014年8月6日の朝日新聞の記事に、吉永小百合さんのインタビュー内容が紹介されました。
http://www.asahi.com/articles/ASG8474Z5G84PTIL030.html
(下記のようにブログの内容とリンクする一部分の抜粋ならば許していただけるのか?
ちょっと分かりませんが、もしも著作権でまた連絡がきた場合、削除する場合があります)
この中で小百合さんは「電力よりも命が大事」だと、答えられています。
吉永小百合:
日本の原発の事故を見て、ドイツでは原発をやめましょうと決めているわけです。でも、日本はそうじゃない。やめたいと思っている方はたくさんいると思うんですけど、声を出す人は少ないんですよね。だからやっぱり、自分が思ったことは声に出したい、意思を伝えたいと考えました。仕事をしていくうえでネックになることはこれからあると思いますけど、人間の命のほうが電力よりも大事じゃないか、という根本だけは忘れたくありません
原発をやめたいと思っていると、声に出し、意思を伝えたい。
いま、吉永小百合さんは「仕事をしていくうえでネックになることがあると思うけれど」といいながらも、
ハッキリと意思表示をしてくださいました。
2011年の事故当初は原発について語ることは憚れる風潮があったけれど、
最近はみんな、個人が「原発」という言葉を自由に声に出して語れるような雰囲気に
徐々に変わってきているように思います。
(被ばくに関してはまだまだ話しづらいけど・・・)
そして「坂本龍一さんから影響を受けた」という事もおっしゃっています。
吉永小百合:
坂本龍一さんです。事故の前から原発の危険性を話されていました。ご一緒した英オックスフォードの朗読会(2011年10月)でも、『核と人間は共存できない』と英語でスピーチなさって、感動しました」「病気になられて(坂本さんは先月、中咽頭(いんとう)がんの治療のため年内の活動休止を発表)、しばらくそういう活動ができないということです。お元気になるまで、坂本さんの分までしっかりやりたい
ここで吉永さんが話されている英オックスフォードの朗読会(2011年10月)での
動画と文字起こしがあります↓
イギリスオックスフォード 朗読会・坂本龍一&吉永小百合(内容書き出し)
(上記より一部抜粋)
坂本龍一:(英語で)
福島で起きた最悪の事故は
原子力を平和的に使うという幻想から私たちを目覚めさせました
武器であろうと電力であろうと
核と人間は共存できないと世界に証明することが
次に必要な事なのです
吉永小百合:
66年前の原爆の事はとても大事な事ですけれども
それはやっぱり、今につながっていて
そして、今回の福島のあの原発事故につながっていることだと思うんですね
で、今私たちは
特に日本人は原子力というものについて、もっともっとよく知って
考えていかなければいけない時期だと思います
だから、ま、そういう思いもオックスフォードの学生さん達に伝えたい
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日本に持込んだ正力松太郎の罪は、
どんな詭弁を用いても許されるものではありません。
正力松太郎と中曽根康弘は、日本人を原子力発電所で
堕落させ、放射能汚染の原因を作り出した
最も恥ずべき歴史上の人物であると
未来の子供達に恨まれる事でしょう。
法律上、もう過ぎた事だし直接的な加害者でもないので
その罪を問う事は出来ないが、安全神話、核の平和利用などを
主張して国民を騙した罪は決して消える事はない。
放射能汚染の痛手は、これから確実に日本人を
少数民族の立場に追い込むことでしょう。
放射能汚染は、どんどん人口減少に拍車をかけ、
子供達が元気に成長し、長生きできる環境を奪う事になります。
また、原子力発電所の再稼動を決定とた非常識な野田元総理と
安倍総理は、歴代の日本人総理大臣の中で最もできの悪い
お粗末な総理大臣として語り継がれること間違い無しです。
今ですら、原発事故を軽く見て致命的な判断ミスと嘘つき
総理大臣として世界中の人々から顰蹙をかっています。
放射能によって中枢神経をやられ、自分の思考能力の低下に
気づけずに判断ミスを連発する様子は目に余るものがあります。
ちなみに政界からいち早く引退して、
せめてもの罪滅ぼしで
脱原発を主張した小泉元総理は、
坂本竜馬の様なヒーロー伝説として語り継がれ、
小泉ジュニアが総理大臣でもなれば
ますますその名声は高まる事でしょう。
歴史はそうゆう風に作られるものです。
最後に福島原発事故を経験して、
「もう原子力発電所はいらない」と
はっきり言える吉永さゆりさんも
やはり、日本人の誇りとして
忘れられない人として歴史に名を留める事でしょう。
きーこ様が、太字にしてくださった「人間が深く考え、利口にならないと・・・。」という所、私も本当にそうだと思います。
日本では、「薄らバカ」位が、良い人として、楽に生きていける感じが有ります。
でも、それって、地政的に侵略される恐れがない日本と言う国の為政者が支配しやすいだけの、プロパガンダな気がしてきました。
岸さんのエッセイで、お嬢さんが日本のカツラものの番組を見て、「子供むけ」と、思ったくだりが有ったことを、思い出しました。
マッカーサーが日本人を12歳と評したことも。
でも、原発事故を起こし、世界はグローバル化で狭くなった今、私たちは、薄らバカでいたほうが、楽に生きられるという、環境で無くなったことを、しっかりと心に刻みつけなけれないけないと、感じます。
情報を広く集め、深く考える・・・・。自分で良く考えて判断する。そんなことが必要になっているのだと思いました。