「日本は戦後処理がまだきちんと終わっていない」10/08 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』 矢部宏治・孫崎享対談(文字起こし)


『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』
矢部宏治・孫崎享 対談

2014/10/08

(4分ごろから文字起こし)

孫崎:「日本はなぜ基地と原発を止められないか」をご説明頂いて。

矢部:
私も孫崎先生と1年間お仕事をしまして、いろいろ教えていただきまして。
シリーズでやっているといろんな研究者の方から、最先端のお話を聞くわけですね。
で、私はその結節点にいて、見えてきたものがあったので思い切って書こうと思ったのは、
この「戦後史の正体」をお読みになった方は、日本の国の歪みというものがよくわかったと思うんですけど、
じゃあ、なんでそんなことになっているんだ?と、その構造のところを知りたいと思ったんですね。
そもそもの発想は、この本がベストセラーになっていく過程ですごく面白いツイートがきたんです。
なんて書いてあったか?というと、
「3・11以降日本人は大きな謎を解く旅をしている」
それを聞いた時に本当に胸に刺さったというか、
確かにそうなんですね。

人類史上、皆さんもご存知の通りに。
人類史上最悪の原発事故を起こして、まだ何も解決しないで被害が広がっているのに、
再稼動をしようとしている。



孫崎:そうですね。

矢部:
で、戦後70年経つのに、首都圏の上空に巨大な米軍の管理区域があって、
いま、沖縄の辺野古では日本の税金で新しい外国軍の基地を作ろうとしている。


孫崎:そうですね。

矢部:
更にもう一つ言うと、
もう福島では児童を中心に明らかな健康被害が、もう出ていますよね。

孫崎:うん。

矢部:
それをわかっているのに、見て見ぬ振りをして、
なんの措置もとらないで、そのまま住民をまた帰還させようとしている

どうしてそういうことが起こるのか?
それをとにかく、ギリギリまで追い詰めていってみようと思ったんです。
一つ最初に風景を見てもらいたんですけど、

1

沖縄というのはこういう無茶苦茶な低空飛行を飛行機がしていたりするんですけど、

2

米軍の基地を写したものなんですけど、
丘の上から見ていると、普天間基地から飛び立った飛行機がブンブンブンブン島の上を飛び回っているんです。
陸上、海上関係なく飛び回っているんですけれども、そして低空飛行をしているんですけど、
唯一低空飛行をしないところがあるわけです。
知っていますか?


孫崎:知らない。

矢部:米軍の住宅の上は飛ばないんです。

孫崎:ひどいねーーー。あ、ほんとう・・

矢部:
絶対に飛ばないです。避けて飛ぶ。
これが航跡図なんですけれども、

3

この全然何も飛んでいないところが米軍の住宅があるところですね。

同じ島の中で、日本人の住宅の上はどれだけ危険な飛行をしてもいい。
でも米軍の住宅の上はしてはいけないと。

なんでこんなことが許されているのか?ということを、
ま、でも結局それは法的な問題なので、
主に法的な構造という面からとことん調べていったというのがこの本です。
最終的には国連憲章までいって。
一言で言うと
日本は戦後処理がまだきちんと終わっていない」ということになるんですけど。

今日ひとつどうしてもしたい話がありまして、
今出た「空域」という話がありますね。

4

首都圏の上空を米軍が支配しております。
これをいま、どれくらいの人が知っているんでしょう?


孫崎:
いやしかしなんとなく。
細かいことは別として、なんとなくは知っているんじゃないですか?

矢部:
なんとなくね。
1年半前に「日米地位協定入門」という本で徹底的にやりましたので、
その後テレビ朝日さんで、モーニングバードと報道ステーションで図解入りでやったんで、
かなりの人が知っていると思うんですけど、
ちょうど先週号の週刊ポストでもこれをやっています。
こういう巨大な山脈みたいな、米軍しか飛べないところがあるから、
「これがなかったら、羽田から大阪まで30分で行けるのに」
という記事なんですね。
この問題の本質はそんなところにはなくて、

5

要するにこの空域の下に、横須賀、厚木、座間、横田っていう、巨大な米軍基地があるわけです。
その基地の中は完全な治外法権になっているので、
要するに勝手に空域を通って飛んできて基地に着陸して、もう勝手に出られるわけです。
要するに「日本に国境はない」と。
これは「日米地位協定入門」の沖縄の前泊さんに教えてもらったんですね。


孫崎:
だから今、「国境がない」ということを言われたのは、
政府関係者は別として、軍人であるとか、あるいはCIAでもいいですよね。
CIAの人がアメリカから横田に飛んでくる。
そしてそこから出ればですね、もう彼らが全く感知されずに日本国内に自由に出て、調べていくと、
こういうことですね。

矢部:
そうです。
なんの変装もする必要もなく、ただ飛行機で飛んできて出ればいい、と。
・・それが、我々が言っているだけじゃなくて、本に書きましたけれども、
アイゼンハワー時代に、アイゼンハワーが世界の米軍基地に関する調査報告書を作らせている。
その時に、日本のアメリカ大使館から国務省に送られた報告書の中にちゃんと書いてあるんですね。
ここを通って、多数の工作機関情報関係者が入国して、活発に活動していたと。

孫崎:書いてあるの?

矢部:
書いてあるんですよ。
その時にあった米軍の法的権利は変わっていませんから、今でもそういう権利を持っている。
先生、なんかそういう、CIAの人間って、そういうふうにいきなり横田に来たりとか、

孫崎:
知っています。
もちろん私は情報関係をやっていましたから、そういうような感じがあるだろうな・・・
なんていうの・・公務員の守秘義務があるからね。

矢部:
そうそう。先生に言わせると酷なんだけど、それはもう公文書に出ていますから。
それで、ここまでが「日米地位協定入門」で書いたことだったんですけど、今回その続きがありまして、
ここにですね、この空域の下に横須賀、厚木、座間、横田基地ってあるんですけれども、
この空域のすぐ外に”六本木ヘリポート”っていうのがある。

7

結局、基地に降り立ったら、六本木ヘリポートにヘリコプターで移動しているということがわかったんです。
これは、ほとんどの日本の皆さんはご存じないと思いますけど、
要するに六本木に米軍基地があるわけです。
それの全体の場所でいうと、
これ(上)が新宿の高層ビルですけど、ここ(右下)にヘリポートがある。
基地の全体図はこうなっているんですけど、

8

右がヘリポートで、左の四角いビルが星条旗新聞社でこれ(指差し)が宿泊施設ですね。
で、ここ(ヘリポートの右側)に六本木トンネルというのが通っていて、
東京の人はよくわかっていると思うけれど、ここ(真ん中の森)が青山墓地で
新国立近代美術館っていうところのすぐ近くなんですけれども。

これを「なんでみんなが知らないか?」っていうと、
”赤坂プレスセンター”っていうものすごく可愛らしい名前が付いているのと、
星条旗新聞社があるからなんだけど、
この星条旗新聞社の中にいるのは、CIAの主に先端技術の情報を集める機関とかが入っていると。
で、ちょっとこんなことを言うとね、
「お前そういうことを言って大丈夫なのか?」って言う人もいるんですけれど、
これが全然大丈夫なのは、
沖縄と同じように六本木でも「基地反対運動」というのがちゃんとあって、
ものすごくしっかりした弁護士事務所が付いて、もう何十年も反対運動をやっているんです。
ただ報道されないので、全然知らないだけ
なんですけど。

ですから、六本木という都心に米軍基地があると。
で、我々は米軍基地撮影の専門家ですから、行ったらすぐ分かるわけですよ。
基地の要件、フェンスがあって、検閲所があって銃を持っているという、
しかも軍用機が離着陸できるわけですよね。
完全な基地なんです。

孫崎:なるほど。

矢部:
さらにその続きがありまして、空域を通って基地に降り立って、こういうヘリで六本木に移動しているわけです。

9

ちょっとこれ見えるかどうかわからないんですけど、
横田とか厚木から六本木まで車でこようと思うと1時間とか2時間かかるわけですけど、
ヘリだと15分ぐらいで来ちゃうんですね。
で、ここに来たらアメリカ大使館までも5分で行けるけれど、
もうひとつここに”ニュー山王ホテル”というのがあってここにも5分で行ける。

10

ここも実は米軍の軍事施設で、”ニュー山王軍事センター”っていうんですけど、
こういう米軍専門のホテル兼会議所、コンファレンスセンター
ですね。

11

結局ここで行われているのが、「日米合同委員会」なんですよ。

17

孫崎:ね、それはよく聞きますね。

矢部:
一言で言うと、日本の各分野のエリート官僚と米軍のエリートたちが、
30ぐらいのジャンルごとに委員会を作って月2回会議をしているんです。
結局そこで決まったことは、日本の憲法よりも上なんですね。
これはもう完全に証明された事実なんです。

最悪なのが、日本のこういう米軍関係にタッチする、
本当の機密を知っている日本の官僚達と米軍の間に強固な共同体が60年ぐらいに渡って出来ていると。
で、ここに属した人はみんな偉くなる。

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典型がこの合同委員会代表代理に法務省大臣官房長というのがあるんですけれども、
ここを経由したかなりの人は次官になっている。
そのあと検事総長や。

だからこういう区域を通って入ってきて、
全員が外国から来るわけじゃないですけど、このセンターに集まって会議を続ける。
そこで決まったことは憲法を超えると。

孫崎:はい。

矢部:
鳩山さんが潰された時に、官僚たちが土壇場でものすごい裏切りをして、
その時に鳩山さんは、「首相鳩山ではない何か他のものに対して忠誠を誓っていた」って
インタビューで言ってましたけど、

孫崎:あ、言ってましたか。あーー。

矢部:それがこういう、米軍と官僚との60年に及ぶ共同体にあるんじゃないかと。

孫崎:
あの、ここのところだけちょっとだけ言いますと、
鳩山さんは普天間問題で「最低でも県外」ということを言って、
それでかなり足を引っ張られるわけですよね。
9月ぐらいに発足して1月ぐらいでしょうか。
外務省と防衛省の本当の幹部、多分次官クラスだと思うんですけれども、
それを呼んで「これから非常に重要な時期だから、これから君たちと相談して決めていこう」と。
で、「この会議で話したことは外へは絶対に漏らさないで」という約束をさせて協議をしたら、
翌日新聞にバーッと出た


矢部:
そうですね。
これにも書きましたけど、それは4月6日ですね。

孫崎:あ、4月6日、どうも

矢部:
その時に重要なのは、外務省と防衛省の幹部を呼んで、
「徳之島移設案」という最終方針を伝えているわけです。
最後の切り札をここで彼らに伝えて、
「この情報だけは出すなよ」と言ったのに、
翌日朝日新聞の1面にそれを書かれたという。

要するに、首相よりも従わなければいけないものがあるということですね。
で、この辺のことは非常に研究が進んでいるんですけれども、
この3巻目「検証・法治国家崩壊 」の著者に新原昭治さんという人がいらっしゃるんですけど、
この人は日本の日米密約研究の人で、研究ジャンルそのものを作った人なんですけれども、
そういう研究が進んでいて、
結局、ニュー山王ホテルで協議された日米合同委員会で決めたことは日本の法システムの上にあるわけですね。
でも、そこで決めたことを「こういう風にやれ」とまさかいうわけにもいかないから、
日本の法律のシステムの中でそれを実現するような形をとるわけです。

孫崎:そうですね。

矢部:
そのために国家の非常に重要な場所に裏マニュアルができています。
最高裁、検察、外務省
これはもう本当に国家の中枢中の中枢なんですけれども、ここにすべて裏マニュアルがあって、

13

最高裁は「部外秘資料」と呼ばれています。
検察は「実務資料」
外務省は前泊さんがスクープした「日米地位協定の考え方」
これはいずれも日本の法的なシステムに沿って物事を進めているようにみえるけれども、
実は「こういう風にやれ」っていうマニュアルなんです。


孫崎:
最高裁の「部外秘資料」
検察の「実務資料」
これをもうちょっと説明していただけますか?

矢部:
最近はそういうことはないんですけれども、
昔はよく、基地で薬莢を拾っていたりすると冗談半分に撃って殺したりするわけです。
そうした時に「どういう対応を取るんだ?」という協議をその日米合同委員会でするわけです。
その決まったことを反映させるためにそれぞれ指示が出るわけですね。
まず検察は「ものすごい軽い起訴をしろ」と。
だから、殺人を犯しているのに5年とかという起訴をするわけです。
しかも検察は自分が軽い起訴をするとともに
「裁判所に対してもっと軽い判決を出せというふうに言え」と言われるわけです。
それで、起訴5年なのに、判決は4年で執行猶予付きみたいな、むちゃくちゃ軽い判決になって、
最終的にはそれで控訴しないで、外務省はそのままアメリカへ返すと。
実質的な無罪判決が行われると。
で、こういう場合にはこうするという色々協議したことの、
それをマニュアル化したのがこの裏マニュアルの3つ。

孫崎:それは今まで出ているんですか?

矢部:
出ているんですけれどもこの新原昭治さんとか研究している方が、
昔で言う共産党系の研究者なので、
そういうことは今までずっと無視されてきた。
ただ、活字としては証明されていますね。

孫崎:活字としては出ている、なるほど。

矢部:
だからこの「裏マニュアル」を一回徹底的にやったら面白いなと思うんですけど。
こういう、日本の法律の体系の上に、より上位の法体系があるわけですね。
この前吉田敏浩さんも言っていましたけれども、
それは「安保法体系」というふうに我々の中では呼んでいるんですけど、
日本国憲法の法体系よりも安保法体系の方が上で、
日米合同委員会で決めたことは日本の法的なシステムよりも上位である。


それを固定化したのが”砂川裁判”の最高裁。
砂川裁判というのは、
「在日米軍は日本国憲法9条に照らして違憲である」という判決を東京地裁が出す(1959年3月30日)
判決を
出した二日後に、これは本当に僕はアメリカ人のすごいところだと思うんですけれども、
マッカーサー駐日大使が
この在日米軍基地は在日米軍は憲法違反であるという判決を
「完全な形で覆すことによって我々の権利を磐石なものにするのだ」という計画を立てるわけです。
で、その通りにやっていくわけですね。
先生はご存知かもしれませんけど、アメリカ人ってそういう発想をするっていうか、
何もないところで功績を上げるよりも、
何かやられた時にそれを利用してもっとやり返すみたいなことを最高とするような考えがあるんですよね。
どうも、公文書とかを見ていくと。
常にそういうやり方です。
で、完璧にひっくり返された結果、
最高裁で1959年12月16日に
「日米安保条約ごとき(略)高度な政治性を有するものが、違憲であるか否かの法的判断は、
(略)裁判所の司法審査権の範囲外にある」
という最高裁判決を出すわけです。
ちょっと分かりづらいかもしれませんが、これがどういうことか?というと、
法的構造がこうなっているんですね。

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「普通の法律」よりも日米安保条約とか地位協定とか「条約」はもともと強いんですね、国が結んだものだから。
ただ、「条約」よりも本当は「憲法」の方が強くて、
基地を置いておくことによって人権を侵害されたり生命の危険があったら、
ちゃんと「憲法」が機能してそれをやめさせなければいけないわけですけれども、
この最高裁判決の結果、「憲法」の部分が消えるわけですね。
「憲法」の部分が消えることによって、
「アメリカとの条約は日本の国内法よりも全て上位」という法体系が完成するわけです。


結局人権に対して、
だからこれを「統治行為論」と言って、
これが国民の身体財産の危険というような人権に対して「統治行為論」を適用したらこれはもう、
三権分立じゃないですよね。
これは小学生でもわかる理論だと思うんですけれども、
だから非常におかしなことをやっているという。


孫崎:
ま、ちょっと全然違うんですけれども、
これも今まで何回か言ってきた話なんですけど、
「米軍基地の有り様」というような問題で、
日本の地位協定とドイツの地位協定とが非常に違うということを申し上げてきたわけですね。
ドイツとアメリカの、名称は地位協定じゃなくて、ボン協定の付属文書ということなんですけれども、
これはここでも何遍も申し上げているんですけど、
アメリカの基地を返したら、それによって受け入れ国の経済的利益、あるいは環境、あるいは国土開発、
そちらの利益の方が大きければ、当然基地の返還要求ができる。
そしてそれにアメリカは応じなければいけない。
ということですから、
ここでもドイツの方は「国内の利益の方が基地よりも上」なんですよね。
というようなものをちゃんと作っているんですけれども、
日本は全くそういうような感じではなくて、
ご存知のように、米軍基地の撤退、「最低でも県外」ということを言うと日米関係が崩れるという、
そういうような構図があるというような感じでみんな動いているわけですね。


矢部:はい。
今先生がおっしゃったところが非常に面白いところで、
ドイツは昔は日本よりももっと厳しい状態だったわけですよね。
ただいまは、日本はそういう主権がないような国ですけど、
「ドイツはアメリカの属国だ」とか、「ドイツに主権がない」とかいう人は誰もいないわけです。
これは次の本でやってもらおうと思っているんですけれども、
結局ドイツはいつ独立したか?本当の意味で独立したかというのを調べていくと、
1994年だということがちょっとわかりかけてきて、
東西ドイツに分かれていますよね。
それが再統一するわけですけれども、その時に何が起こったか?というと、
戦勝4カ国との間で講和条約を結ぶというプロセスが必要だったわけです。
西ドイツ東ドイツと英米ソ仏の4カ国で2プラス4条約というものを結ぶわけです。
(1990年 ドイツ最終規定条約(2プラス4条約))
それが事実上の講和条約となって、
それに基づいて94年までに、
やっぱりそれまで駐留軍というのがいるわけですよね、英米ソ仏。
駐留軍は94年までに撤退して、そこでドイツの戦後は終わるわけですね。
今先生がおっしゃったボンの地位協定は93年なんですね。


孫崎:あ、93年なの

矢部:
だから、地位協定で頑張ってそうなったんじゃなくて、
講和の問題をちゃんと片付けたから、93年にそういう地位協定も改訂して、
結局今は原則NATO軍として駐留してて、しかも国内法を適用するわけですよね。

孫崎:当然ですね。

矢部:
そうすると全然日本とは違うわけですから、
ドイツは94年に独立を、戦後49年にして、見事に達成したと。
だから日本もですね、その歴史に学んでやれば。
その二つの国の歴史をずっと見ていくと、ドイツの方がものすごく過酷ですよね。
二つに分断されて、西の方は3カ国いて、国の真ん中に米ソ対立の線があって、
しかもナチスが第二次対戦にやったことの批判がものすごい。
だから、東方外交というのをちゃんとやって、
1970年代からずっと歴代首相が、政権が変わっても、
関係諸国との融和」ということだけはずーっとやり続けて、
それで独立を達成するわけですね。
国連憲章に、これは知っている方は知っていると思うんですけど、
「敵国情報」というのがありまして、
それはもう実質的に日本とドイツ二カ国だけをターゲットにしたものなんですけど、非常に分厚い、
アメリカ系じゃないフランス系の学者たち80名が書いた国連憲章のコマンテールというのを読みますと、
(コマンテール=逐条解説)
帰国条項に関してはね、我々は私分化していると思っていますけど、
そういう説もあるけれど、「効力は永久だ」という、非常に強い。
だだしドイツに関しては東方外交の結果
ソ連やその周辺諸国は事実上敵国情報を放棄したって書いてあるんですね。

ということは・・・日本だけが国際法の中で一番下位にいると。
それはなぜか?っていうと、周辺諸国と融和できないからですよね。

僕もこれをずっと書いていて、日本の辛い現状とか、こう、ちょっと気分がブルーになっていったんですけど、
結局やるべきことは、もう一回敗戦直後に戻ったつもりで、
アメリカだけとの関係をやるんじゃなくて、
周辺諸国からの本当の信頼を得て、軍事とかそういうことじゃなくて、
ドイツを見習って周辺諸国との関係を改善すると。
それが日本の主権回復への唯一の道なんだけど、今起こっていることは真逆なんですよね。

孫崎:
本当ですよね。
安全保障はいっぱい話すことがあるのでいつでも帰ってこれるんですけど、
基地と原発を止めるという・・原発の話を少しおねがいできますか?

32:54
http://youtu.be/cBFE2dWTVQg?t=32m54s

15

矢部:
結局さっき言ったこういう構造がありまして、
本当は原発の問題なんかに関しましては憲法は機能していないとおかしいわけです。
国民が被曝して、子供なんかは本当に健康障害が今出ているし、
来年あたりからそれがすごくなるということはわかっているんだけれども、それが機能しない。
機能しなくて済むのは、これと全く同じ構造なんです。


孫崎:来年あたりから厳しくなるっていうのをちょっとご説明ください。

矢部:
それはチェルノブイリで甲状腺癌は4年目から級数的に増えてるわけですよね。
日本は3年目ぐらいまでのカーブはチェルノブイリより高いぐらいですから、
その後どうなるかはちょっとわからないんですけど。

孫崎:なるほど。あーーー。

矢部:
さっき言った統治行為ですね。
米軍を駐留するために日本国憲法の法体系の上の法体系ができたと。
それにタッチする官僚はもう、法律を超えるわけですよね。
それが「統治行為論」なんだけれども、
「それを原発に関しても適用すべきだと言われた」と、裁判官がちゃんと書いているんですね。


孫崎:あっ、そう〜。へぇーーー。

矢部:
今まで原発で住民が勝訴というのは3件しかないんですね。
この最初の勝訴で、しかも高裁で唯一の勝訴を書いた川崎裁判長という方がはっきり書いています。
そういう「原発にも統治行為論を適用すべきだ」という意見を聞いた。
どういうことか?っていうと、
もう何をやってもいい、罰することができない。
で、2012年6月27日に改正された原子力基本法第2条2項で、
「前項(=原子力利用)の安全の確保については、
(略)我が国の安全保障に資する(=役立つ)ことを目的として、行うものとする」
こんな無茶苦茶な法律を書いているわけですね。

これはどういうことか?っていうと、
「我が国の安全保障に関することを目的として」と言ったら、
砂川裁判によって「憲法判断はできない」ということが確定しているわけですね。
要するにこれが言っているのは、
「原発の安全性についてはもう憲法判断をしない」ということを言っている
何をやっても法律で罰することはできないわけです。
だから、基地の問題もそうですけど、原発の問題もこういう本当の根っこの構造ですね。
これを変えないと。


孫崎:
普通は安全の確保は一般の国民、
そういうような人たちに「被害を与えるか否か」っていうことが一番大きい問題であるはずなのに、
ここに突然、「我が国の安全保障に資することを目的として行う」ということだから、
そうすると、

矢部:
そうするとこれになるんですね。

16

この砂川裁判になるんですね。
「日米安保条約のごとき(略)高度な政治性を有するものが、違憲であるかどうかの法的判断は、
(略)裁判所の司法審査権の範囲外にある」

(1959年12月16日最高裁判決・要旨)

「日米安全保障条約のような安全保障に関する問題については絶対憲法判断はしません
とこういう風になるわけです。



孫崎:
もう一回ここを読みましょうか。
「日米安保条約のごとき(略)高度な政治性を有するものが、違憲であるかどうかの法的判断は、
(略)裁判所の司法審査権の範囲外にある」

っていうことをみると、偶然だったのかどうかは別として、
普通は工場が爆発した。
そして周りの住民に被害を与えた。
あるいは財産に被害を与えた。
っていうと、警察がやっぱり取り調べるわけですよね。


矢部:そうですね、はい。

孫崎:
で、今回、警察とか検察が東電の社長さんとかそういうのを取り調べているというのを
あんまり聞きませんよね。

矢部:
やってないですから、はい、そうですね。
だから官僚が我が国にとって死活的に重要という問題にはしなくていいと。
ここで先生、我々はどうして生きていったらいいのか?ということを。
こういう構造で、

孫崎:
いやいや、どうして・・・。
私は一番大切なのは、やっぱり事実関係を知らせていく。
で、日本の国民の水準というのは、私は基本的に楽観的に見ているわけです。
今日のノーベル賞じゃないけれど、大変に高い水準の人たちがいるし。
ところがこの政治だけが歪んでいる。
たまたまですね、話は全然違うんですけど、
今日ツイッターのリツイートをやったのは、宋文洲さん、中国のね。
この人が書いているのは今は消費税の問題で10%は
国民が今多数が反対しているわけですよね。
で、政治家が動かそうとしている。
やっぱり「日本国民というのは国民の方が優秀だな」って。

考えるとね、本当にひどいことが起こっているのは
消費税の問題であったって、原発の問題であったって、集団的自衛権の問題であったって、
正しい判断を、実は国民の方がしている。
世論調査の方がしっかりしている。
普通多くの国は政治家が正しい判断をして、
国益に何が合致しているかということを一般国民が知らないだろうから、
それを遊説であるとか、いろんなところで説明して、そして国民の納得を変えていく。
というのが普通の国の有り様なんですよね。

ところが日本という国は全然逆で、
国民の方はちゃんとわかっているけれども、ひどいことをしているのは上の人たち。
っていう、こういう構図っていうのは世界でも珍しいかもしれない。


矢部:
珍しいですよね。
私もそれがよくわかったんですけれども、
結局敗戦になりますよね。
そのあと、先生が書かれたように吉田茂もそうなんですけど、
学者もね、僕は本当にはっきり言って
東京大学の憲法学と国際政治学の人たちは、本当にひどいと思っていますけれども。

最初に結論を与えられるわけですよね。
それにあった理論をパッと言える人間が上に行くわけです。
ちゃんとした議論をする人はパーにされていくわけですね。


孫崎:それは非常に重要なことですね。


矢部:だからそういう知的な素養を持っている人が、

孫崎:
アッ!それをちょっと。
内閣法制局のところをちょっと。
内閣法制局というものがどういう位置付けにあるか?

矢部:
私は今度この本で、Part1で沖縄の問題。
Part2で福島の問題をやりまして、
結局今ちょっとさわりだけ言いましたけれど、
この問題を解決するためには原因を知らないといけない。
それは三つあって、日本人があんまり知らない原因が。
一つは薄っすらわかっていると思うんですけど「昭和天皇の問題」
それから「日本国憲法の問題」
それから「国連憲章の問題」
この三つを知らないと今の日本が置かれている法的な支配構造というのがわからないんですよね。





















立ち読みから

3・11以降、日本人は「大きな謎」を解くための旅をしている。
本当にそうだと思います。
2011年3月、福島原発事故が起きてから、私たち日本人は日々、信じられない光景を目にしているからです。



なぜ、これほど巨大な事故が日本で起こってしまったのか。
なぜ、事故の責任者は誰も罪に問われず、被害者は正当な補償を受けられないのか。
なぜ、東大教授や大手マスコミ亜、これまで「原発は絶対安全だ」と言い続けてきたのか。
なぜ、事故の結果、ドイツやイタリアでは原発廃止が決まったのに、当事国である日本では再稼動が始まろうとしているのか。
そしてなぜ、福島の子供たちを中心に明らかな健康被害が起きているのに、政府や医療関係者たちはそれを無視し続けているのか。
だれもがおかしいと思いながら、大きな流れをどうしても止められない。
解決へ向かう道にどう踏み出していいかわからない。
そんな状況が今も続いています。
うまく目的地にたどりつけるかどうかは、正直わからない。
ただ自分たちは、それぞれの持ち場で最善をつくす義務がある。
そして崩壊し始めた「戦後日本」という巨大な社会を、少しでも争いや流血なく、次の時代に移行させていく義務がある。おそらくそれが、 「大きな謎」を解くための旅をしている人たちの、共通した認識だと思います。
私もまた、そういう思いでこの本を書きました。



つまり米軍機は、沖縄という同じ島のなかで、アメリカ人の家の上は危ないから飛ばないけれども、日本人の家の上は平気で低空飛行する。
以前、事故を起こした大学の上でも、相変わらずめちゃくちゃな低空飛行訓練をおこなっている。
簡単に言うと彼らは、アメリカ人の生命や安全についてはちゃんと考えているが、日本人の生命や安全についてはいっさい気にかけていないということです。
これはもうだれが考えたって、右とか左とか、親米とか反米とか言ってる場合ではない。
もっとずっと、はるか以前の問題です。いったいなぜ、こんなバカげたことが許されているのでしょうか。




しかし、そうではなかった。そもそも最初から選ぶ権利などなかったのだということがわかってしまった。
日本の政治家がどんな公約をかかげ、選挙に勝利しようと、 「どこか別の場所」ですでに決まっている方針から外れるような政策は、いっさいおこなえない。
事実、その後成立した菅政権、野田政権、安倍政権を見てみると、選挙前の公約とは正反対の政策ばかりを推し進めています。
「ああ、やっぱりそうだったのか・・・」
この現実を知ったとき、じんわりとした、しかし非常に強い怒りがわいてきました。
自分がいままで信じてきた社会のあり方と、現実の社会とが、まったくちがったものだったことがわかったからです。




なかでも、もっともおかしかったのは、これほどの歴史的大事故を起こし、無数の人びとの家や田畑を奪っておきながら、その責任を問われた人物がひとりもいなかったということでした。
「そんなバカな!」
(略)
それなのになぜ、この大惨事の加害者は罰せられないのか。警察はなぜ、東京電力へ捜査に入らないのか。
安全対策に不備があったかどうか、なぜ検証しないのか。家や田畑を失った被害者に、なぜ正当な補償がおこなわれないのか。



翌2012年1月8日、井戸川町長は福島県庁で面会した野田佳彦首相(当時)に、こう問いかけています。
「われわれを国民と思っていますか、法のもとの平等が保障されていますか、憲法で守られていますか」
さに福島で原発災害にあった人たちの思いが、戦後70年にわたり沖縄で基地被害に苦しみつづけてきた人たちの思いと、ぴたりと重なりあった瞬間でした。







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ありがとう!

こんにちは。
いつもありがとうございます。
今回も、私のブログでも転載、紹介させて頂きます!

No title

書き起こし読みやすかったですよ。この著作は良いです・・
入手していますが未だ読んで居ませんでした。自分の
識らないことを勘違いしているとか観たくないなんていう
へたれのネトウロも労をついやして読んで損はないです。

下記にもう目を付けておられるのでしょうが、続きみたいに
なっています。

此処での紹介によると沖縄への福島からの避難者で沖縄と
福島を一緒にするなというのが居るらしい・・どんな意味なのか
不明ですが。

中国や朝鮮半島やロシアとも仲良くすることが日本国民の幸せに
なる路なんだろうと思っていますが、米国の戦争大好きなのとか、
ネオナチとか人種や国籍などによる差別をあおるヘイトスピーチ
(憎悪表現)とかが繋がっていて日本の対米従属固定化を狙って
いるんですね。

「『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』
矢部宏治氏インタビュー第2弾:岩上安身氏」  天皇と近代日本
http://sun.ap.teacup.com/souun/15732.html

重要な内容です

今回も大変重要な書き起こしをありがとうございます。
この内容は日本人皆が知る必要があることですね。
空域のこととか、六本木のことは、私もうすうす昔から
あれ?????なんでだろうと訝しく疑問に感じていたことでした。
でもなんとなく疑問のままじゃダメなんですよね。
こういうことは、きちんと言葉にした明確な理解がやはり必要
なんだなと実感しました。
(そうじゃないと何も変えていけない、変わらない)
本当にありがとうございます。

内田博文さんの講演で

こんにちは、大変、勉強になりました。
ありがとうございます。
先月、神戸学院大学の内田博文さんの講演を拝聴したんですが、その中で
「日本の司法は人権裁判において憲法適応したことがない」
と話しておられましたが、(「日本の裁判所は日本が批准している国際人権法も適応を頑として認めないから、裁判で戦うには工夫が必要」という話でした)そ
の裏付けのような内容で、私としては強い確信をもてました。

 官僚にまつわるものも厄介さを持っているのであろう。  彼の著書に戦後処理のうち、現状の官僚に関するものがあるが、幾分の掲示板や感想のブログではこれらの点に反響が少ないか、かき消そう、打ち消そうとする勢力がいる。 当然現れる反応というか一種の反動があるのではないか。 そのような偏執や編集が増えるだろう。