「95度以下、つまり普通私たちが生活している温度の状態では もう高浜原子力発電所の原子炉はガラスなのです」小出裕章ジャーナル



関西電力高浜原子力発電所1号機2号機の再稼動について

2014年11月29日 小出裕章ジャーナル

関西電力が福井県にある高浜原子力発電所1号機2号機、
これは74年に稼動が始まったので、40年経とうとしている原発ですけれど、
これの特別審査を申請して、また再稼働させようとする動きが見えています。
現行の法律では、基本的に原発の寿命は40年。
特別検査をして合格すれば20年プラスをして60年まで稼動が一応可能となっていますが、
心配になるのが相当老朽化しているのではないか?
40年も動かし続けて、ということが真っ先に頭に浮かびますけれども、
40年稼動の原発はどう考えたらいいでしょうか?


小出:
みなさんご自分の周りのことを考えていただきたいのですが、
例えば自分が乗っている車、
40年前の車であったとすれば使い続ける気がするでしょうか?
あるいは家庭の電化製品でもそうですけれども、
40年前のものをこれからもずっと使っていこうと…、思うのがむしろ不思議だろうと私は思います。


原子力発電所というのは、特に安全性に十分な注意を払わなければいけない機械なわけですし、
それがもう40年の寿命、というか、
40年経ったのに尚且つそれを動かそうということ自体が、私は随分異常なことだと思います。

一番問題なのは、原子炉圧力容器と言っている炉心を格納している圧力釜なのですが、
それが中性子を被曝しながらどんどんどんどん劣化してしまってきているわけです。

もちろん人間は被曝をすれば簡単に死んでしまうわけですけれども、
鋼鉄も被曝をすればするだけ劣化していくわけです。

みなさん、家庭で使っている鍋と、それからガラスでできているコップとを考えていただきたいのですが、
普通私たちが生活している場所、というか温度ですね。
気温10度20度、あるいはマイナス、零下何度になるということもあるかもしれませんが、
普通、鉄は割れないのです。
ガラスは簡単に割れますけれども、鋼鉄は割れません。
トンカチで叩いても、例えば落としたって、
ひしゃげたり曲がったりはするかもしれませんけれども割れないという性質を持っています。

ただ、その鋼鉄もどんどんどんどん冷やしていくと、
ある温度以下になると簡単に割れてしまう、
つまりガラスのように割れてしまうという温度が、実はあるのです。

普通鋼鉄が割れないというのを私たちは「延性(えんせい)」と呼んでいるのですが、
延びるのですね、金属というのは。
それからガラスのように簡単に割れてしまうものを「脆性(ぜいせい)」と私たちは呼んでいるのですが、
温度が低いと大抵のものは「脆性」なのです。

それから、「脆性」から「延性」に変わる温度というのがあって、
それを私たちは「延性脆性遷移温度」と呼んでいます。
鋼鉄の場合にはそれが、通常だと零下何十度というところで、
それ以上の温度であれば延びる、つまり簡単には割れないという性質を持っているのですが、
原子炉が稼働して鋼鉄が被曝をするにしたがって、
その温度がどんどんどんどん上がってくるのです。

例えば高浜原子力発電所の1号機の場合には、
すでに脆性から延性に変わる温度が95度という値が、すでに数年前に得られています。

どんどん遷移する温度が高くなってしまっていて、
95度以上であればまだ金属の性質を持っているけれども、
95度以下、つまり普通私たちが生活している温度の状態では、
もう高浜原子力発電所の原子炉はガラスなのです

ですから、何か事があればバリッ!と割れてしまうという、
そういう危険な状態にすでになってしまっています。

本当であればこういう原子炉は動かさないという判断をするのが妥当だろうと私は思います。



Q:もろくなる温度が上がってきたのは中性子を浴び続けたせいなんですか?

小出:そうです、まさにそうです。

Q:40年間経ってどんどんもろくなってきたもの、これを使わざるを得ないわけですよね、交換はできないんですよね。

小出:
交換はできない。
ですから、原子力発電所の寿命というのは、もともと40年ぐらいだろうと言われていたのですけれども、
それはこの原子炉圧力容器というものが交換できないし、
それがどんどん中性子を被曝して劣化してくるので、
40年ぐらいでやめておくのが妥当だろうなと、はじめに考えたのです。

その時期がもう高浜原子力発電所には来ているわけですし、
私はもうやめるのが当然のことだろうと思います。

Q:動機が経済的な動機、つまり欲ですよね、儲けたいということで、
この安全の問題がまた二の次になることは本当に困りますよね。
高浜の問題も、脆性、もろくなる、ガラスのようになるということで、
どれだけ検査で規制委員の方が検討するのか、ちょっとわか利ませんけれども、注目していきたいと思います。





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