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12.22
Mon
2014年12月13日 
「小出先生に教えてもらっちゃおう!」

小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)
K子さん(世界を股にかける写真家)
I 子さん(某大学美人教授)
きーこ(ただの人)



K子:
トリチウムの放出された全体量が微々たるものだし、
原子力発電所なんかから出るトリチウムの量は本当に2gだとかそんなもんだから、
心配する必要は全然ないっていう


小出:
通常の原子力発電所から放出されているトリチウムはもちろん少ないです。
なぜかといえば、通常の原子力発電所ではトリチウムは燃料棒の中に閉じ込められているからです。
ウランが核分裂するときに、普通はウランの粒は二つに分かれるのですけれども、
時々三つに分かれるという、そういう核分裂の仕方があって、
その時にトリチウムができるのですが、
それは燃料棒の中にペレットという形でウランが瀬戸物に焼き固められている。
それが核分裂をして、トリチウムができるわけですけれども、
基本的にはそれは燃料棒の中に閉じ込められているので、
原子力発電所というその機械から環境に出てくるのは少ないのです。
でも、今日本では六ヶ所村の再処理工場というのをつくってますけれども、
再処理工場というのは、ウランが核分裂してできた核分裂生成物、
それからウランが中性子を吸ってできたプルトニウム
そして核分裂をしない燃え残りのウランというものが、
ペレットの中に三者渾然一体となって含まれているわけですけれども、
再処理というのは、
その三者渾然一体となっているもののなかからプルトニウムだけを取り出そうという作業ですから、
燃料棒の中にペレットが入っていたらまず作業ができないし、
ペレットという瀬戸物の塊があったらプルトニウムを掴み出すなんてことはできないから、
まずは燃料棒をブチブチにちょん切るわけですよね。
ちょん切った途端に気体状の放射性物質は噴き出してくるわけだし、
ペレットという瀬戸物を今度は、
みなさん考えて欲しいけれども、瀬戸物を、お茶碗でもいいお皿でもいいけど、溶かすことができるか?と。


きーこ:溶けないですよね

小出:普通は溶けない

K子:何千年も残ってますよね。

小出:土に埋めたって土に溶けないし、

K子:出てきますもんね。

小出:
どうするか?というと、猛烈な濃度の硝酸を加熱して、その中に瀬戸物をほっぽり込んで、
ドロドロに溶かすというのをやるわけです。
あとは油を加えたり落下したりしながら

きーこ:そこで実験している人は大丈夫なんですか?

小出:え?実験というか作業

きーこ:作業している人は

K子:被曝していますよね。

小出:
もちろん被曝もしますし、
建物全体はいわゆる無人というか、人はとにかく近づくことができない。

きーこ:近づかないでやっているんですね。

小出:
何mものコンクリートの壁の向こう側で、要するに無人で作業が流れていって、
ところどころに窓っていうか、鉛ガラスの窓があって、
中を見ながらやるわけですけれども、
猛烈に危険なことをやる。
で、その作業では今聞いていただいたように、
ウランと、燃え残りのウランと、新しくできたプルトニウムと、核分裂生成物を分けるわけで、
ウランはこっち、プルトニウムはこっち、核分裂生成物はこっち、というふうに分けていくんですけど、

きーこ:見えないのにどうして

小出:え?

きーこ:見えないんですよね。

K子:どうやって分けるか?って

きーこ:どうやって分けるんですか?

小出:
えーっと、硝酸で溶かしたところに油を入れるんですけれども、
ものには水に溶けやすいものと油に溶けやすいものがあるんですね。
その溶けやすい溶けにくいというのを使って、ウランとプルトニウムを油の方にまずは行かせ、
それをまた、別のところで、酸化状態というのを変えると、
一度油の方へ行ったのが水の方に戻ってくるというような、
化学的な操作は様々な操作をやらなければいけないんですけど、そうやって分けていくんです。
ただし、核分裂生成物の一種にトリチウムがあるけれども、
それは硝酸を加えて溶かした時に水にもうなっているわけですね。
で、作業をしていくけれども、最後にその水はどうしようもないから、全部海へ流す。
ということになっている。
だから再処理工場から出てくるトリチウムは膨大です。


I 子:1日で原発1年分の

小出:通常私なんかは希ガスで比べていて、

I 子:ガスの量で比べている。流すのはまたプラスで流す

小出:はい、トリチウムなんていうのはそんな比じゃないくらい膨大に流しています。

きーこ:なんか東電の記者会見で定期点検の時が一番トリチウムが流れているって、

小出:もちろん原子力発電所でもそう。

きーこ:それのもう何倍

小出:
もう何万倍、どれくらいだろう?ちょっと今数字でお答えしにくいけれども、
すべて、全部が出ちゃうんです。

きーこ:全部が出ちゃうんじゃ、今福島原発から出ているトリチウムと同じなんですか?

小出:膨大です。

きーこ:同じことですよね、

小出:そうです。

きーこ:溶けていようが、

小出:全部が出ちゃうんです。


つづく




ーーー

「硝酸」についてとても気になりましたので、
再度小出先生に教えていただきました。

2014年12月21日 


きーこ:硝酸をグツグツに煮てバラバラにするって、

小出:そうです。

きーこ:
硝酸を沸騰させて溶かして、それってすごく危険じゃないかな?って思ったんですけど、
それもそのまま海へ流しちゃうんですか?

小出:硝酸はもちろん流さないです。

きーこ:あ、流さないんですか。

小出:
はい。
ですから、硝酸で溶かして、それから溶媒というのに混ぜて、
油の方と、硝酸の方に有機溶液に残る奴を分離していくんですけれども、
最後は硝酸も回収します。
それでウランはウラン、プルトニウムはプルトニウム、

きーこ:すごい!そういうことができるんですね。

小出:できます。

きーこ:あーよかった、それも流すのかと思った。

小出:
全部はもちろん、
化学操作というのは100あったものを100回収するということは基本的にはできない。
だから、100の硝酸の99を回収する、あるいは99.9を回収するということはできるけれども、
残りのものはやはり海へ流すものもあります。
でもかなり少ないと思います、それは。

きーこ:
よかった。
それから、東海村にも再処理工場がありますよね、

小出:あります。

きーこ:そこはやっぱり、どこかトンネル(配管のことです><;)で遠まで流しているんですか?

小出:
えーっと、排水溝は沖合に出したと思います。
ただしすごく小さいのです、東海村の再処理工場は。
六ヶ所の再処理工場は
「1年間に800トンの使用済み燃料を処理します」というのが六ヶ所ですけれども、
東海村は一番初めに計画した時に210トンという計画でしたし、
実際にはその2割しか仕事ができなかった、
1年間にせいぜい40トンぐらい。
200と計画していたけれども2割にもならなかったということで、
40トンぐらいの処理しかできなかった。
だから六ヶ所の再処理工場が計画しているのに比べれば、
20分の1とかそのぐらいしかできなかったので、
沖合に出す長さも、六ヶ所は確か3kmで44mの海底だったと思うのですが、
東海村はそんなに遠くまで出していなかったと思います。

きーこ:はい、ありがとうございました。



ーーー




参考
再処理工場

再処理
現在各国で採用されている核燃料の再処理方法はピューレックス(PUREX)法と呼ばれるもので、大まかに言えば、酸に溶かした燃料棒からウランとプルトニウムをリン酸トリブチル(TBP)にて抽出・分離する方法である。

最初に使用済み燃料を燃料棒の状態のまま細かく切断し6規定の濃硝酸に溶かす(水相)。
酸に溶けない燃料被覆管(ハルと呼ばれる)と不溶残渣(モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、ジルコニウム等)を取りだした水相の硝酸濃度を3規定に調整し、ドデカンにリン酸トリブチル(TBP)30%を溶かした有機溶媒(油相)とミキサー・セトラー (mixer-settler)型抽出槽やパルスカラム(pulse column)型抽出塔で混合・接触させると、硝酸とイオン対を生成したウラン及びプルトニウムがTBPに抽出され、油相に移動する。
次に油相を還元剤(硫酸 ヒドロキシルアミン等)を含む別の水相と接触させると、プルトニウムだけが水相に移動する。

燃料被覆管は低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)として、不溶残渣と各種放射性物質の混合体である硝酸系廃液は、蒸発缶等で濃縮した後、高レベル放射性廃棄物として処分される。
なお、プルトニウムは容易に核兵器に転用可能なため、それのみを所有することは核拡散防止条約で禁止されている。
そのためプルトニウムとウランと混ぜた溶液を作り、これをマイクロ波で脱硝酸して酸化物MOXとして保管している。
ウランについても流動床で脱硝して酸化物(回収ウラン)として保管している。

国際化学物質安全性カード 硝酸
化学的危険性:
加温すると分解し、窒素酸化物を生じる。強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質(テルペンチン、炭、アルコールなど)と激しく反応する。塩基性物質と激しく反応し、可燃性で爆発性のガス(水素[ICSC番号 0001])を生成しながら金属を腐食する。有機物と激しく反応する。

火災
不燃性だが、他の物質の燃焼を助長する。火災時に刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。加熱すると、破裂の危険を伴う圧力上昇が起こる。
引火性物質との接触禁止。可燃物や有機化学物質との接触禁止。
周辺の火災時:泡消火薬剤は不可。
爆発
多くの一般有機化合物と接触すると、火災や爆発の危険性がある。
身体への暴露
あらゆる接触を避ける!
吸入
灼熱感、咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛。
症状は遅れて現われることがある。
皮膚
重度の皮膚熱傷、痛み、皮膚黄変。

発赤、痛み。熱傷。 
経口摂取
咽頭痛、腹痛、咽喉や胸部の灼熱感、ショック/虚脱、嘔吐。
作業中は飲食、喫煙をしない。
吐かせない。 コップ1、2杯の水を飲ませる。 安静。医療機関に連絡する。
漏洩物処理
・個人用保護具:自給式呼吸器付完全保護衣。
・危険区域から立ち退く! 
・専門家に相談する! 
・換気。
・漏れた液を密閉式の容器に集める。
・残留分を炭酸ナトリウムで注意深く中和し、次に多量の水で洗い流す。
・おがくず他可燃性吸収剤に吸収させてはならない。




ヒドロキシルアミン(hydroxylamine)
ヒドロキシルアミンは爆発性の化合物であるが、その危険性の度合いについては完全にはわかっていない。1999年以来、ヒドロキシルアミンを扱う工場での死者を伴う事故が何度か起こっている。鉄(II), (III) イオンによって 50 % ヒドロキシルアミン溶液の分解が加速されることが知られている。ヒドロキシルアミンとその誘導体は塩の形で安全に取り扱うことができる。

加熱すると爆発の危険がある。呼吸器、皮膚、目、そして他の粘膜を刺激する。皮膚から吸収される可能性があり、飲み込んだ場合も有害であり、変異誘発物質である可能性がある。



東海再処理施設

2014年9月
東海再処理施設 廃止の方針

2014年4月
<東海再処理施設稼働>
国の規制基準に適合していないけど、急ぐので特別認める「プルトニウム溶液と高レベル廃棄物の固化」
4/21原子力規制委員会更田委員取材動画&文字起こし


東海村にあるプルトニウム溶液と高放射性廃液の「潜在的危険」は
水素爆発と10の何乗ギガベクレル単位になる放射性物質の飛散だ!!


1.東海村JAEA潜在的危険に関するヒアリング~規制庁からの説明~12/2(内容書き出し)

2.東海村JAEA潜在的危険に関するヒアリング~日本原子力研究開発機構からの説明~12/2
(内容書き出し)


<東海村再処理工場の危険>
「使用済み燃料を液体にしてしまった。液体が沸騰してしまうという事は簡単に起きてしまいます」
小出裕章氏(文字起こし)






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comment 3
コメント
良かったですね。みんな楽しそうにしていますね。
放射能・原発・トリチウムなど怖い話し満杯。怖いです。

六ヶ所村の再処理工場の北側の津軽海峡は日本海から太平洋に
流れ込む海水の流れは3ノットから5ノットぐらいの急流、
根本の悪の本家の太平洋の対岸国の海岸に汚染を届けてあげる
意味では意義がありそうなんですが、生きている間サンマも食
べられそうも無くなるし、本間の本マグロの刺身は美味しいの
ですがぞーっとしません。残念です。

国の原発推進に反対でも再処理工場から大量の放射能を流して
いる実行犯の片割れの従業員の危険を心配したり?親が無くても
子供達だけはとか?直ぐ周囲から汚染されるのに社会保障や他の
大事な税金を廻して保育や小中学校の除染だけはしないととか
ヒューマンというか空想的というか、放射能への危険知識では
沢山教えてくれるけど、社会学的な方面になるととんと矛盾して
いるところもまたこれまた楽しからずや、なんですね。
simpleズ | 2014.12.22 18:52 | 編集
こんばんは。
大分進んでいますね。
雑音も多くて大変な作業になっているのでは?
年の瀬で色々と忙しくなってきました。
無事安全に新年を迎えられる事を祈ってます!
yokoblueplanet | 2014.12.22 21:33 | 編集
★【福島で甲状腺がん増加 子ども4人、放射線影響か確認】2014/12/24【共同通信】
 福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べる甲状腺検査で、事故直後の1巡目の検査では「異常なし」とされた子ども4人が、4月から始まった2巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断されたことが23日、関係者への取材で分かった。25日に福島市で開かれる県の検討委員会で報告される。
 ★甲状腺がんと診断が確定すれば、原発事故後にがんの増加が確認された初のケースとなる。調査主体の福島県立医大は確定診断を急ぐとともに、放射線の影響かどうか慎重に見極める。
 1986年のチェルノブイリ原発事故では4~5年後に子どもの甲状腺がんが急増した。
真実のみが価値がある | 2014.12.24 06:14 | 編集
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