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01.05
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2015年1月1日 福島民友
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書き出しました↓

石棺で覆い封印を
福島民友 2015年1月1日

京都大原子炉実験所助教 小出裕章氏

福島の原発事故は人類がこれまで一度も経験したことがないほど過酷な事故だ。
政府や東京電力が計画するような溶融燃料(燃料デブリ)取り出しは全くできないと思う。
大変残念で悲しいことだが、諦めたほうがいい。
チェルノブイリ原発のように、原子炉建屋全体を「石棺」と呼ばれるような構造物で覆い、
放射性物質が外部に出るのを防ぐ対策を急ぐべきだ。

炉心が2800度超の高温で溶けるなど事故は非常に動的な状態で進展した。
溶け落ちた炉心が圧力容器の真下に静かにたまっていることはあり得ない。
そこら中に飛び散り、圧力容器の真下から周囲に流れ出て広がっているはずで、
仮に格納容器を冠水できても、上から覗いて見えるのは半分もないと思う。
全部は取り出せない。

冠水せずに解体する代替の方法も猛烈な被曝を伴うためやるべきではなく、
あらかじめ全体を封印する方策のほうがいいだろうと思う。

事故収束の指揮を執る人たちは、事故が今も継続中で、
環境への影響を減らす対策を早急に実行するべきだという危機感が欠如している。
事故そのものも、住民避難も、汚染水問題も、楽観的で都合の良い見通しの下で対策をとって失敗し、
対応が後手後手になる繰り返し。
その姿勢を改めるところから始めるべきだ。

事故が起きた責任をまだ誰も取っていない。
廃炉についても政府、東京電力など関係機関が失敗しても誰も責任を取らなくていいという体制でやっていることが問題だ。

◇こいで・ひろあき
1949年東京生まれ。
74年、京都大学原子炉実験所入所。
原発の危険性を訴える活動に長年携わる。


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