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03.17
Tue
2015年3月13日【金】 報道するラジオ
東日本大震災4年~福島と原発のいま



10:56〜https://youtu.be/5GXzqghUwIY?t=10m56s
廃炉への道
水野:
そして最終的にはもちろん廃炉を完成させなければいけないんですけど、
その廃炉への道ですね。
福島第一原発でメルトダウンした燃料、溶融燃料がまだどこにあるか?わかっていないんですよね。

小出:わかりません。

水野:
それさえわかっていないんですよね。
で、その場所を知る方法に、今言われているのが
「ミュー粒子」っていうものを使うという案が上がっているそうです。
この「ミュー粒子」って、なんなんですか?

小出:
放射線の一つで、大変透過性の高い放射線の一種なのです。
それが、ま、宇宙から降り注いでいますし、ごく特殊な加速器を使うとそういうものも作り出すことができるのですが、
それを福島第一原子力発電所の原子炉建屋に照射する。
あるいは宇宙から降ってくるミュー粒子を利用して、
それがどのように原子炉建屋の中を突き抜けてくるか?ということを調べることによって、
「どこに溶け落ちた炉心があるかを知ることができるかもしれない」という話があるのです。


水野:小出先生はこれでわかると、場所を突き止められるとお思いになります?

小出:ダメだと思います。

水野:ダメですか。

小出:
はい。
そんなことをやっているよりは、もっともっと私たちは迅速に対処しなければいけませんし、
「何年後かに分かればいい」という話ではなくて、
まずはもう、汚染が外に出ないように、もう、何よりも早くどんどん工事、
というか、わたし自身は「閉じ込めるしかない」と思っているのですが、
1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故の時にやったような、
「石棺」というものをまずは作る。
チェルノブイリ原子力発電所の場合は地上だけで済んだのですけれども、
福島の場合には原子炉建屋が、地下でもうボロボロにひび割れてしまっていて、
地下水が汚染水と一体化してしまっているという状況ですので、
地下にも石棺を作らなければ、


水野:地下にも石棺って、出来るんですか?

小出:
はい、もう私は、水野さんに聞いていただいて、
前の「たねまきジャーナル」の時代にですね、
2011年5月の段階からそれを私はみなさんにお伝えしてきました。
「地下に遮水壁をめぐらして地下水と接触しないようにしなければいけない」
「すぐにでもやるべきだ」と私はあの時に発言をしたのですが、
もうすでに4年も経ってしまっていて、
「あまりにも遅い」と。
国や東京電力のやっていることが、思います。

今更「ミュー粒子でどこにあるか?」なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです。
どんどん地下の石棺、私が遮水壁と呼んだようなものを早急に作らなければいけないと私は思います。


水野:結局今地下水がどんどん汚染されて海へ流れているわけですもんね。

小出:そうです。

平野:
凍土壁というのを遮水壁として国とか東電はやろうとしている。
これはま、初めから「あんまり効果はない」と言われていたんですけれども、
特に、全然成果が上がっていないみたいですね。

小出:「出来ない」のです。

平野:はぁ〜

小出:
私よりは平野さん含めて報道の現場にいる方の方がご存じかもしれませんが、
凍土壁というのは、言ってみれば、「やったことがある技術」なのです。
トンネルなんかを掘削したりしているときに、どこかで地下水が噴き出してきたら、その場所だけ凍らせてトンネルを先に掘り進めようというための技術です。
ですから、やったことがないわけではないのですが、
福島第一原子力発電所で作る凍土壁というのは、深さ30m、長さ1.4kmというような氷の壁を作ると言っているわけで、
そんなことは人類全く経験がありませんし、それをずーっと、何年何十年と維持できるのか?といえば、
冷やしている冷媒が途切れてしまえば、氷が溶けてしまって壁がなくなってしまうわけであって、
そんなものが維持できるはずがないのです。

結局はその周りに恒久的な壁を作るしかなくなります。

ただ、ゼネコンから見ると、「大変うまいやり方だな」と私は思います。
凍土壁を作るために何百億円という金をゼネコンが儲けるわけで、
結局「凍土壁ではダメでした」
「また、次の恒久的な壁を作ります」と言えば、
また何百億円何千億円の金をゼネコンがせしめるということになるわけです。
ゼネコンというところは、原子力発電所を作るときに儲けて、
また事故が起きれば儲けてと、
どんなことがあっても儲けることができるという、そんなところなんだなと思います。


水野:
小出さんは「石棺をできるだけ早く作るべきだ」とおっしゃいますけど、
今言われているのは、実際にはメルトダウンした、溶け出した燃料を取り出すのは、
格納容器の横の部分ですね、側面に穴を開けて、そして溶融した燃料を取り出す。
これを検討していると聞きます。
このやり方はいかがですか?

小出:
もともと、国と東京電力は「上から取り出す」と言っていたんです。
圧力容器という鋼鉄製の圧力釜自身はもう底が抜けてしまって、
溶け落ちた炉心はさらに下に落ちているわけです。
どこか?というと、格納容器というもう一つ大きい容器の底に落ちた、のです。
格納容器というのは、放射能を閉じ込めるための最後の防壁として設計された容器ですので、
もちろん水も漏らさなければ空気も漏らさない放射能だって当然漏らさないという筈の容器だったのですが、
その容器がもうボロボロになってしまっていて、
地下水でもなんでもそこに入ってきたり、
あるいは、今圧力容器の中に水を意図的に入れているわけですが、
それが格納容器に流れ落ちて、それがまた原子炉建屋の中に流れ出ていってしまっているというように、
もう格納容器もボロボロに壊れているのです。

で、国や東京電力の工程表によると、
「格納容器の中に水を満水にする」と言ってるわけですけれども、
そんなこと自身がまずはできません。


水野:出来ないんですね。

小出:
はい。
ですから、

水野:
でも、この水っていうのは、放射能を
遮断する。

小出:そうです。

水野:
効果があるので、
本当は水を入れてから、
水の中に沈没させるような形にしてから、溶融燃料を取り出したいわけですよね。

小出:
はい。
上の方向に取り出したいと言っていたんですけども、

水野:それがもう出来ない。

小出:
それができないので、横方向からやろうか、
あるいは私の友人たちは「地下からやればできるんではないか」というような話もしています。

水野:どうなんですか?

小出:私は、多分出来ないと思います。

水野:出来ないと。

小出:
はい。
国や東京電力の工程表によると、
溶け落ちた炉心は圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底を抜いて下に落ちた。
で、格納容器の床に落ちたわけですけれども、
圧力容器の真下に、饅頭のように堆積しているという、そういう想像をしているのです。
そんなことは決してありません。

もう、猛烈なドラスティックな事故が進行したわけで、
溶け落ちた炉心はもう、格納容器の床に饅頭のように堆積しているのではなくて、
もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていると私は思います。

ですから、上から取り出そうにしても、もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていて、
上から見えるところというのはほんのわずかなところしか見えませんから、
まず上には取り出せません。

横からやったとして、
何がしかの物を取ったとしても、
取りきれないものは山ほど残ってしまいます。

「取る」という作業のために膨大な被曝をしなければいけなくなるわけですし、
そんなことをやって、仮に50%取ったとしても、50%は取れないで残ってしまうわけですから、
初めから、私はそんな作業は諦めるべきだし、
すぐにでも石棺化ということに行くべきだと私は思います。


水野:どうして石棺説の方に動かないんでしょう?

平野:ねぇ。
取り出すと言っても何か僕らのイメージでは、機械で取り出すみたいなイメージですけど、
そんな物は無いわけですね、

小出:
もちろんこんな経験をしたことはないのです。
1979年に米国のスリーマイル島というところで事故が起きて、炉心が溶けたことがあったのですが、
その時は「原子炉圧力容器の底は抜けなかった」のです。
ですから、溶けた炉心は原子炉圧力容器という鋼鉄製の圧力釜の底に、
饅頭のようにそれこそ溜まっていたわけで、
だから上から、圧力容器の中に水を満たしてですね、
上の方から、饅頭のように固まっている奴を取り出したんですけれども、
すでにもう、その圧力容器すらが、底が抜けてしまって、さらに下に落ちているわけで、
仮に格納容器を全部水没出来たとしても、
上の方から見ると30m、40mも下に溜まっているものを上から掴み出さなければいけない。
という、かつてやったこともないことをやらなければならない。

そして、わたし先ほど聞いていただいたように、
上から覗いて見えるようなところに饅頭のように溜まってるなんていうことが元々無いのです。
そんな馬鹿げたことを考えるよりは、
一刻も早く封印するという作業に入ったほうがいいと私は思います。


ーーつづく


ー参考ー


福島第1原発で「ミュー粒子」使用し、溶けた核燃料調査始まる
FNNLocal 福島 2015/02/12

ミュー粒子1

こちら、茨城県の東海第二原発。
「ミュー粒子」というものを使って撮影されました。
レントゲンの写真のように建物の内部が一部透けていて、
こちら(右の黒い部分)は柱、そして梁(柱から横に伸びる黒い部分)。
青く見えているのは「燃料」です。

茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構が撮影に成功しました。
福島第一原発でも、この技術を使い、溶け落ちた燃料の分布を探る調査が始まりました。


福島第1原発1号機の北側と西側に設置された、2台のコンテナ。

ミュー粒子2

ミュー粒子3

この中にそれぞれ、ミュー粒子を計測する装置が入っています。

ミュー粒子4

ミュー粒子は、宇宙線が大気と衝突して発生するもので、物質を通過する性質を持ってい­ます。

ミュー粒子5

しかし、ウランなどに衝突すると方向が変わるため、
ミュー粒子の動きを調べることで、­燃料が原子炉内でどう溶け落ちているか把握できるのです。

ミュー粒子6

30~50cmほどの大きさでも計測できるといい、
溶けた燃料の状態がわかれば、取り­出し作業に向けた大きな材料になるということです。

12日、東京電力は、会見で
ミュー粒子7

10cm厚の遮蔽(しゃへい)体の中に測定器が入ってい­るのですが、
ま、その中の温度の状況が、その管理範囲内にあることを確認をして、
それから、測定を始­めるというふうに聞いています。


溶けた燃料の取り出しは、廃炉にあたって極めて重要ですが、
一方で、これまでに例のない­、未知の作業となります。
東京電力では、3月末までに調査結果をまとめ、取り出し方法の検討を始めたいとしてい­ます。



追記
<福島第一原発>1号機の原子炉に核燃料なし
透視調査で「原子炉に核燃料なし」 福島第一原発 NHK福島 3月19日 20時58分

先月から行われていた、溶け落ちた核燃料を探す調査で、
1号機の原子炉の中に核燃料が見あたらないことがわかりました。




福島第1原発 汚染水対策の鍵「凍土遮水壁」の最新建設現場公開


FNNLocal 2015/02/18

福島第一原発です。
凍土壁1

東京電力が汚染水対策の柱に据えるのが、福島第1原発の1号機から4号機の周りを氷の­壁で囲い、地下水の流入を抑える「凍土遮水壁」です。

凍土壁2

18日は、その最新の建設現場が公開­されました。

凍土壁3
記者:
こちらが4号機脇の、一番工事が進んでいる凍結管になります。
この下にあるのが凍結管になるんですが、この下に凍土壁ができることになります。

凍土壁4

公開された、凍土遮水壁の建設現場。
着工からおよそ8カ月で、建屋の山側部分は、凍結管の設置も6割以上進んでいます。

凍土壁5

1号機から4号機の周りを囲うように地盤を凍らせる、凍土遮水壁。

凍土壁6

完成すれば、建屋に1日300トン流れ込む地下水を遮断し、新たな汚染水の発生を大幅­に抑制できるとされています。

建屋を見下ろす、高さ30メートルの高台。
凍土壁7

ここに設置されたのは、冷凍機などが並ぶ凍結プラントで、

凍土壁8

-30度に冷やした冷却液を­建屋周辺の配管へと送ります。
凍土壁9


凍土壁10
記者:
こちらが凍土壁に欠かせない冷却液を作る冷凍機です。
この場所から冷却液がパイプを通って、建屋の周りにある凍結館へと流れていきます。

凍土壁11

凍結プラントも完成し、東京電力では、3月中に、一部で凍結を始める計画でした。

凍土壁12

しかし、相次ぐ作業員の死亡事故を受けた安全点検で、
作業が2週間中断したことから、­工程の見直しを迫られています。

東京電力は、会見で
凍土壁13
「今、詳細な日程を、今詰めている状況です。
現時点では、まだ、3月中には開始し­たいということで」

汚染水対策の鍵を握る、凍土遮水壁。
東京電力では、準備が整い次第、山側の凍結しにくい部分から先行して、凍結を始める計­画です。




2014年12月
<福島第一原子力発電所>
燃料の取り出し・汚染水・魚・凍土壁・「処理水」・他 
おしどり・木野龍逸12/31 報道するラジオ(文字起こし)


2014年9月
<作業員の証言5>
タンク・凍土壁・アルプス…「結局ゼネコンのただの食い物ですよ」9/12報道するラジオ(文字起こし)


2014年10月
<福島第一原発視察最新状況>
4号機使用済み核燃料・汚染水対策・凍土壁・今後について/服部良一×増山麗奈(文字起こし)

より一部抜粋

服部:
凍土壁を作っている現場であるとか、
そういう汚染水対策の現状というところを見てきたんですね。
これは凍土壁を作っている現場やね。こんな感じなんです。
10

増山:えっ、凍土壁って「地下掘って」と思ってたんですけど。

服部:地下にずーっと送っているわけよ、凍らすためのをね。

増山:え・・どこが地下掘っているところなんですか?

服部:だからここに管があって、ここからずっと送っているみたいよ。

11

増山:
へぇ〜〜〜、・・・しょぼいですね。
私はもっと世界最先端のすごい技術かと思ったら、

服部:うん、













報道するラジオ 2015年3月13日
「東日本大震災4年~福島と原発のいま」文字起こしブログ


<1.中間貯蔵施設>
「弱いところ弱いところにしわ寄せをしていっているのです」 
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり


<2.廃炉への道>
「今更『ミュー粒子でどこにあるか?』なんて、そんな議論をしている暇すら本当は無いのです」 
小出裕章氏3/13報道するラジオ(文字起こし)参考あり







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