森:
アメリカ政府のDepartment of Energyが出している放射性検査についての関連でご質問させていただきたいと思います。
放射線汚染の地図というのは、実データで出しているものはほとんどなく、
アメリカ政府のデータは結構貴重かなと思っているんですけど、
先生がご覧になって、放射性ヨウ素の汚染地図のデータをご覧になっての感想をお聞かせいただけますでしょうか?
小出:
まずはデータが少ないっていうことですね。
もちろんDOEのデータというのは、森さんがおっしゃったように大変貴重なものです。
日本の政府、あるいは研究機関が福島第一原子力発電所の事故にはほとんどが対応できない。
後手後手になってしまって、事故直後の放射能測定に関しては、
ほとんど何もできないままデータがなかったわけですが、
それに比べれば、さすがに米国のDOEというのは、事故直後から活動を始めてデータを取ったということで、貴重なデータだと思います。
それでもやはり、データが足りなすぎるというのが、…事実です。
Department of Energy
アメリカ合衆国エネルギー省(United States Department of Energy、略称:DOE)は、
アメリカ合衆国のエネルギー保障と核安全保障を担当する官庁である。
その役割は核兵器の製造と管理、原子力技術の開発、エネルギー源の安定確保、
及びこれらに関連した先端技術の開発と多岐にわたる。
森:
甲状腺癌を引き起こす素だと言われているんですけれども、
放射性ヨウ素自体で気をつけなければいけない県というのはどの辺りまでなのか?
小出:
ヨウ素というのは皆さんご承知だと思いますが、
揮発性の高い元素でして、原子力発電所の事故が起きれば、
希ガスと言っている完全にガス状の放射性物質は、もう、ほとんど全部出てきてしまうんですが、
それに次いで大量に出てきた放射性核種です。
で、その次に大量に出てくるのがセシウムと、皆さんもよく聞かれる放射性核種なんですが、
このセシウムよりも、むしろヨウ素の方が大量に環境に出てきたものです。
そしてセシウムに関しては、これは今日までに大量のデータが出てきていますし、
どの程度の範囲まで汚染が広がっているということも、「ほば確定的にわかる」という状態になっています。
ヨウ素の方は、そのセシウムに比べれば、おそらく一桁大量に出たはずなのですが、
一番長い放射性核種のヨウ素、ヨウ素131というのですが、
それでも半減期が8日。
8日経つと半分になってしまう。
また、8日経つとそのまた半分になってしまう、という寿命が短い放射性核種なので、
測定に手間取っているうちにどんどん消えてしまってしまって、
実態がつかめないという状態になっているのです。
ただし、今聞いていただいたように「セシウムに比べて約10倍出た」と思われますので、
セシウムに比べても広範な範囲が、放射性ヨウ素によって汚されたと言っていいだろうと思います。
セシウムに関しては、うーん…そうですね、一言でいうのがとても難しいけれども、
例えば福島第一原子力発電所から、40km、50km離れている所、
方向で言うと北西の方向ですけれども、
福島県の飯舘村と呼ばれている村があった、所までは猛烈な汚染になっていて、
今現在も強制避難区域で飯館村も全村離村になってしまっているわけです。
40km、50km離れている所です。
ではそれでセシウムの汚染が収まったかと言えばもちろんそうではなくて、
福島県の中通り、そして栃木県の北半分、群馬県の北半分、
あるいは茨城県の南部北部、宮城県の南部北部、千葉県の北部、東京と埼玉県の一部というところまでが、
日本の法令を守るのであれば「放射線管理区域にしなければいけない」というほどの汚染を受けたのです。
ですから当然、ヨウ素に関しても事故直後には、
今聞いていただいたように「広範囲の区域で放射線管理区域にしなければならない程の汚染を受けたはずだ」
と思います
日本全体の放射性ヨウ素の汚染マップ ホワイトフード
情報ソース
*USDepartmentofEnergy
http://energy.gov/downloads/us-doennsa-response-2011-fukushima-incident-data-and-documentation
県別の放射性ヨウ素の検出値
東京都
・港区 7,637Bq/kg(2011年3月30日)
・千代田区 5,154Bq/kg(2011年3月30日)
・西多摩郡 1,109Bq/kg(2011年3月30日)
神奈川県 (2011年3月30日ベースで考える)
・横浜市 2,789Bq/kg(2011年3月28日)
・横須賀市B 879Bq/kg(2011年4月10日)
・逗子市 811Bq/kg(2011年3月28日)
・横須賀市A 762Bq/kg(2011年4月6日) 2倍で8日前その2倍で16日前 3.048
・相模原市 220Bq/kg(2011年4月7日) 上と同じでほぼ2倍2倍で計算 880
・三浦市 127Bq/kg(2011年4月7日)
・小田原市A 104Bq/kg(2011年4月7日)
・小田原市B 86Bq/kg(2011年4月7日)
・平塚市 72Bq/kg(2011年4月7日)
千葉県 3月30日
2011年4月7日 香取市 370Bq/kg 1,480
2011年4月7日 野田市 346Bq/kg
2011年4月7日 成田市 263Bq/kg
2011年4月11日 旭市 137Bq/kg
2011年4月7日 山武市 132Bq/kg
2011年4月7日 千葉市 131Bq/kg
2011年4月7日 木更津市 87Bq/kg
2011年4月7日 館山市A 87Bq/kg
2011年4月7日 睦沢市 43Bq/kg
2011年4月7日 館山市B 15Bq/kg
宮城県 3月30日
2011年7月4日 宮城県白石市福岡深谷 1,121Bq/kg 9,183,232
2011年7月4日 宮城県柴田郡柴田町大字入間田 898Bq/kg 7,356,416
2011年5月4日 宮城県名取市下増田 861Bq/kg
2011年7月4日 宮城県伊具郡丸森町金山 806Bq/kg
2011年7月4日 宮城県栗原市一迫真坂 427Bq/kg 3,497,984
2011年7月4日 宮城県黒川郡大和町落合桧和田 358Bq/kg
2011年7月4日 宮城県柴田郡川崎町大字支倉 345Bq/kg
2011年7月4日 宮城県仙台市泉区福岡 252Bq/kg 2,064,384
2011年7月4日 宮城県登米市迫町北方 248Bq/kg
2011年7月4日 宮城県遠田郡美里町牛飼 234Bq/kg
2011年7月4日 宮城県大崎市古川宮沢2 34Bq/kg 278,528
2011年7月4日 宮城県登米市南方町新亀代 220Bq/kg
2011年7月4日 宮城県大崎市鳴子温泉 159Bq/kg
2011年7月4日 宮城県栗原市志波姫新上戸 157Bq/kg 1,286,144
2011年7月4日 宮城県加美郡色麻町王城寺 157Bq/kg
※ピンクの文字と数字は私が書きました
港区の数字がとても大きいと思った。
よく見たら、採取した日付が違う。
ヨウ素131は半減期が8日しかないので、どんどん数字は小さくなる。
7月4日だと、3月30日から99日目になる。
8日で割ると13回半減期を迎えていることになる。
2×2×‥‥13回=8,192倍になる。
でも、3月30日では、爆発してからすでに2回の半減期が過ぎているし、
その後もずーっとで続けていたから、ちっとも正確じゃないけど、
半減期を考慮した数字も計算してみた。
森:
続きましてアメリカ政府のデータで、
ストロンチウムとプルトニウムのデータがあるわけなんですけれども、
福島第一原発事故の影響なのか?
あるいは大気圏内核実験の影響なのか?
どのような見解おを持ちでしょうか?
小出:
ストロンチウム90という放射性物質は、人体に対して大変毒性の高い放射性物質です。
プルトニウムはさらに毒性の高い放射性物質です。
でも、
でも、というかまずですね、
「人類がこれまでに一番被ばくを受けた」という原因は、
福島第一原子力発電所の事故でもない。
チェルノブイリ原子力発電所の事故でもない。
1950年代から60年代にかけて、長い時間にわたって行われた
「大気圏内核実験」というものがばら撒いた放射性物質から被曝を、最大に受けているのです。
考えていただければわかると思いますが、
大気圏内核実験というのは、空中で原爆、水爆を爆発させるわけですから、
「一切遮るものがないまま核分裂生成物が空気中にばらまかれてしまう」ということになるわけです。
ですから、その放射性物質が揮発性であろうが、揮発性がないものであろうが、水に溶けやすかろうが溶けにくかろうが、とにかく全部が出てきてしまうという、そういう汚染の仕方をするのです。
そして人類が大気圏内核実験で受けた汚染のうち、最大の被曝原因というのがストロンチウム90なのです。
ですから大変重要な放射線核種なのですが、
福島第一原子力発電所の事故の後は、
希ガスは
…、全量出た。
ヨウ素も、大量に出た。
そしてセシウムもかなり大量に出たわけですけれども、
ストロンチウム90という放射性物質は揮発性が少ないが故に大気中には出てこなかったのです。
「セシウムに比べると、多分1000分の1ぐらい」だっただろうと思います。
そしてプルトニウムという放射性物質は、さらに揮発性が少ないので、
「ストロンチウムに比べてもさらに1000分の1ぐらいしか出なかった」と、私は思っています。
ですから先ほど聞いていただいたように、
セシウムに関する限りは東北地方関東地方の膨大な地域が、放射線管理区域にしなければいけないほどの汚染を受けてしまったわけですが、
ストロンチウムに関しては、
ほとんど、敷地の中、あるいは、近傍は多分問題だと思いますけれども、
広範囲の汚染というのは多分無かっただろうと思いますし、
ましてやプルトニウムに関しては、広範囲の汚染は福島第一原子力発電所の事故では生じなかったと思っているのです。
そして、森さんが丹念にDOEのデータをまとめて、地図に示してくださったわけですけれども、
少なくてもプルトニウムに関しては、おそらく、日本の数カ所で測定をしているわけですけれども、
それは「大気圏内核実験による影響だろう」と思います。
ストロンチウムも、ほとんどは多分、
ほとんどというか大気圏内による汚染が、日本中というか、世界中に全部に存在しているわけですし、
今回のDOEのデータを見ると、ほとんどは大気圏内核実験の残りというか、その影響だと思います。
ただし、森さんが作ってくれた地図を見ると、
「福島を中心にして何か汚染が高い」のが棒グラフになっているのですが、
高いように、私には見えますし、
ま、それも言ってみれば当然のこと。
ストロンチウム90も事故によって噴き出してきているわけですから、
福島近辺が、大気圏内核実験の汚染の上に上乗せされて見えるようになっているということだと思います。
森:
先生はいつも陸上はストロンチムよりはセシウムというふう以後説明されてて、
ただ、海に流ているものに関しては、セシウムとストロンチムも調べた方が良いかもしれないというご見解をお持ちだと思うんですけれども、
小出:
そうです。
今聞いて頂いたように、ストロンチムという放射性物質は、セシウムに比べると揮発性が少ないので、
大気中に飛び出してきたという量と比べる限りは少なかった。
たぶん1,000分の1ぐらいで済んだわけですけども、
ストロンチムという放射性物質は水に溶けやすいのです。
セシウムも溶けやすいのですけれども、ストロンチムも水に溶けやすい。
そして、原子炉の炉心の中には、ほとんど同量存在しているという、そういうものなのです。
ですから原子炉がすでに溶け落ちてしまって、
その落ちた炉心に、4年間為す術がないまま水をかけて冷やそうとしてきたわけですが、
それが全て放射能の汚染水になっています。
その放射能汚染水の中には「セシウムとストロンチムはほとんど同量の汚染で存在していたはず」だと思います。
ただし、セシウムという放射性物質は、
水に溶けやすいけれども、一部の粘土鉱物に大変選択的に吸着しやすいという性質を持っていまして、
東京電力などは、たとえばゼオライトという粘土鉱物に通すことによって、
セシウムを汚染水の中から捕捉している、捕まえているわけです。
ですから汚染水の中のセシウムは、かなりの部分が除去されています。
しかしストロンチムに関しては、ほとんど今のところ何もやっていないという状態のわけで、
放射能汚染水の中には「セシウムはかなり減っているけどもストロンチムは大量に存在している」
という状態になっているわけです。
その汚染水が毎日のように海に向かって流れ出て行っているわけですから、
海の汚染ということに関する限りは、
今度は陸の汚染とは逆にセシウムではなくストロンチムを注目しなければならいと思います。
森:食べ物に関しては魚の骨とかそういうものに気をつけなければいけないんですか?
小出:
えーっとですね、セシウムという放射性物質が今問題になっているのですけれども、
セシウムというのはアルカリ金属元素類という、そういう一群の元素類に属しているのです。
アルカリ金属という元素の属はですね、属にはカリ、カリウムという元素もあるのですが、
カリというのは人間にとっては絶対に必要な元素でして、
人間の体全部、筋肉組織には全てカリが存在しているという状態なのです。
ですからセシウムをもし人間が摂取するようなことになると、カリと同じような挙動を取りますので、
全身の筋肉組織に分布して全身をくまなく被曝させるという形で被曝をさせるということになるのです。
ストロンチウムは、今度はアルカリ土類金属という、また別の元素類に属していまして、
その中にはカルシウムという元素が属しています。
皆さんカルシウムってご存知だと思いますけど、要するに骨に蓄積するという、そういう元素なのです。
ですから、ストロンチウムを摂取してしまうと、カルシウムと同じような挙動を取りますので、
骨に溜まっていってしまうということになるのです。
ですから魚にしても、ストロンチウムに汚れた海で生きているとすれば、
そのストロンチウムを体の中に取り込んで、骨に中心的に溜まっていくということになります。
ですから、例えば大きな魚を獲ったとして、
「骨は食べない、身だけ食べる」ということにすれば、ストロンチウムの被曝はかなり防ぐことができるわけです。
でも小魚のようなもので、もう丸ごと食べてしまうということになれば、
ストロンチウムをそのまま人間が食べてしまうということになります。

13:24〜https://youtu.be/nS-9xX-u3uE?t=13m24s
森:
モニタリングポストのデータを使ったホワイトフードの空間線量の地図で、
月平均と比較して高くなると色がつくようになっているんですけれども、
どういったケースで月平均より高くなるケースが想定されますでしょうか?
小出:
多分、自然とか環境というのは様々な要因が絡んでいるわけで、
空気中の放射線量というのも、常に変動しています。
例えば、大地というのは、天然の放射性物質がいろいろ入っています。
ウランであるとかトリウムというものも入っているわけですけれども、
そういう大地からは、日常的に放射性物質が、ま、空気中にも染み出している、のです。
特に問題なのは、ラドンというような、完全に気体の放射性物質なんですが、
それが染み出しているんですね。
例えば夜なんかだと、大気が安定しているので、染み出してきたラドンが地表付近に存在しているのです。
昼間になると日射が走ったりして大気がかき回されますと、
染み出してきたラドンが全部に、上空も含めて全部に拡散していく。
つまり「薄まっていく」ということになりますので、
地表付近のラドンをずーっと測定していると、
朝方は高いけれども、日中になると低くなっていって、
また朝方、夜になると高くなるという、こうやって変動しているというのです。
そんなこともありますし、森さんが福島周辺に特に気をつけて測定しているときに変動があるか?というのは、
かなりのものが、私は多分「雪」だと思います。
雪によって、一部は大気中に漂っている放射性物質が落ちてくる、地面を汚すということはあるし、
逆に今度雪というのは、地面からの放射線を遮る遮蔽材になるということになっていますので、
雪が降るかどうかでかなり上がったり下がったりしてしまって、
月平均から外れるというデータは出てくるということはあり得ると思います。
そしてもう一つというのは、森さんがもちろん心配しているように、
福島第一原子力発電所からは今でも放射性物質が噴き出してきているわけですし、
それが風に乗ってあちこちに流れて行っているわけで、
風がどっちの方向に流れているか?ということで、
その場所に置いてある放射線測定器の値が上がったり下がったりすることになっているというわけです。
ですから、かなり多様な要因が絡まっていますので、
その要因をできる限り分離して測定するのを考えるというか、
この日は雪が降っていたのか?とか、
高い値は朝出ていたのか?日中に出ているのか?とか、
そういうことを注意しながら、ま、考えるしかないと思います。
ただいまの空間線量
ホワイトフード
サービス内容
国が全国に設置されたモニタリング・ポストで観測された放射能の空間線量の過去30日間の平均を著しく超える場合に、放射能速報メールを送る仕組みをつくりました。
原子力規制庁が福島県および全国に設置している3,931箇所のモニタリングポストの空間線量数値が、過去30日平均の空間線量と比較して、数値があがった場合、下記のように色分けして表示しております。
10分更新になっております。
赤: 30日平均の2倍の空間線量
黄: 30日平均の1.5倍〜2倍未満の空間線量
橙: 30日平均の1.25倍〜1.5倍未満の空間線量
青: 30日平均で1.5倍未満の空間線量
森:
先生は3月末でご退官予定だと思うんですけれども、
ご退官された後はどのようにお過ごしされる予定でしょうか?

小出:
はい、え…、「仙人になります」と、言っています。
この間も2月27日に、この原子炉実験所の中の私の研究グループがずっとセミナーを続けてきて、
私が定年で退職する前にもう一度喋れと言われまして、しゃべりました。
その会場でも私が話し終えてから質問の時に、「退職したらどうするのか?」という質問が出てきて、
私はその時も「仙人になります」と言って答えました。
定年というのは単なる社会的な制度に過ぎないわけですけれども、
でも一方で、生き物は年老いていくし、いずれ死ぬということも避けられないわけです。
もちろん私も、いずれはどんどん年老いて、いつか死ぬわけであって、
定年というものも「それをきちんと考えておけよ」という一里塚なんだろうなと思いますので、
定年を機に私は少しずつ退いていこうと思っていますし、
これまでもそうでしたが、私しかやらない、私しかできないような活動は担おうとは思いますけれども、
できる限りこれからは退いていく。
ま、仙人になっていくというつもりでいます。
森:
ホワイトフードとのおつきあいがこれで5年目に入ってきたんですけれども、
今までずっと無償で嘱託をなさってきたわけですけれども、
ホワイトフードへの応援メッセージとしてはどのようなものがいただけるでしょうか?

小出:
ありがたく思っています。
残念ながら福島第一原子力発電所の事故は、事実として起きてしまって、
私には時間を元に戻す力がありませんので、
この汚れた世界に生きるしか、もうないのです。
そうなれば何ができるか?といえば、
私はこんな事故を防げなかった大人の責任として、
「せめて子どもの被曝だけは少なくしたい」と思い続けてきましたし、
そのためには、食べ物がどれだけ汚れているということを、知らない限りは手の打ちようがないという状態になっているわけです。
そういう状態で、森さんがホワイトフードという会社を立ち上げて、
多分森さんにとっても難しかっただろうと思いますけれども、
放射能の測定というようなことを始められて、今日まで続けてきてくださって、
どの食べ物がどれだけ汚れているということをかなり厳密に測定して多くの人に知らせるということをやってくださっているわけですから、
私から見ると大変ありがたいと思っています。
森:
ありがとうございます。
最後に、ホワイトフードの動画をご覧になっているのは小さいお子さんをお持ちのお母さんが多いんですけれども、
最後にお母さんがたに対してアドバイスをいただけますか。

小出:
今聞いていただいた通りです。
残念ながらもう事故は起きてしまったし、あらゆるものが放射能で汚れています。
その事実から逃れることができないのですから、
あとはその事実の中で、子供たちをどうやって放射能の汚染から守れるのか?っということしか、私たちの選択は残されていないのです。
子供というのは、毎日見ていても面白いほどに成長していく生き物なのであって、
それだけ細胞分裂を活発にやっているわけです。
そうなると、放射線で傷を受けた細胞がどんどん細胞分裂で拡大していくということになりますので、
「被曝に大変敏感」です。
平均的な人間、ま、30歳ぐらいの人に比べても、
赤ん坊は4倍も5倍も被曝に敏感ですし、
私のような年寄りから比べれば、何十倍、あるいは何百倍というほど被曝に敏感なのです。
ですから、一律に被曝の限度を決めるなんていうこと自身が、まずは本当は間違えているのであって、
子供に関しては、何としても被曝を少しでも少なくするということをやるべきだと思います。
それができるのは、もちろん親というか、大人になるわけですから、
それぞれの方が注意を払って、子供を被ばくから守る。
自分の子供だけ、というのではなくて、
むしろ地域全体、あるいは国全体、あるいは世界全体の子供を被ばくから守る、というように、
私は考えて欲しいと思います。
そこまで行くのは、大変なことですけれども、
でも、一歩一歩行くしかないわけですから、
ホワイトフードが出しているデータを見ながら、
せめて、まずは自分の周りにいる子供たちを、
そしてそれの次には地域の子供達、学校であるとか保育所の単位で子供たちを守っていくというような運動を広げて欲しいと思います。
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