台湾で大きな地震があった後、日本海側の放射線量も上がり、何か起きているのかな?
(台湾の地震と関係ある?日本海側の地域の放射線量がまとめて上昇中!北海道も!!)
と思って調べていたら、小出先生が今年の3月、石垣島で台湾の原発について講演をしている動画を見つけました。
台湾についての部分を文字起こししました。
「原発事故から学ぶ〜万一の台湾原発事故にどう備えるか〜」
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏講演会
2015年3月21日(土) 石垣市民会館中ホール
https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h5m10s

では、石垣市の皆さんにどんなものがあるのかということですけれども、
この町は、いわゆる日本という中ではかなり離れたところにあって、
福島の原子力発電所からも一番遠い町です。
幸いに福島の事故の汚染は受けなかったのですけれども、近くに台湾があります。
台湾には今、4つの場所に発電所が建てられようとしていて、
第1第2第3は経ってすでに運転していて、
第4という発電所が、今巨大な原子力発電所なんですが、それが建てられようとしていて、
運転がされるのか、されないのか、ということで、今台湾の中で大変な問題になってしまっている原子力発電所があります。
それを契約したのは米国のGEという原発メーカーですけれども、
実際にやっているのは日立と東芝という、日本の原子力メーカーが作っています。
これも台湾の地図です。

第1がここですね(上の一番左)第2がその隣、
第3が一番南の端。
で、第4が今ここに作っているところです。

第4原発。
米国のGEが落札してものですが、日本にしかない特殊な原子炉で、
日立と東芝が原子炉容器を作り、三菱がタービンを作るという、
いわゆる「日の丸原発」です。
世界に類を見ない原子力発電所を今日本が台湾に押し付けようとしている、そういう状態になっています。
どこに?っていうと、さっき地図で見ていただいた場所ですけれども、
あの場所はどういう場所だったか?というと、
1892年に日本が台湾に押しかけて行って日本軍が台湾に上陸したんですが、
上陸した地点が第4原発を建てようとしているところで、

これ(右の四角い建物)が第4原発で、ここ(正面)に記念碑がありますが、
これは抗日記念碑です。
日本が台湾に上陸してきて侵略を始めたその場所に、台湾の人たちが日本に抵抗するという記念碑を建てている。
その場所に第4原発が建てられようとしています。
ちょっと話が脱線しますが、
福島第一原子力発電所の事故は地震によって引き起こされました。
地震というのはマグニチュードという単位で測られるということは皆さんご存知だろうと思います。

今ここに3から10まで数字を書いていますが、これがマグニチュードです。
いったいマグニチュードってなんなのか?というと、
地震が起きた時に地下でエネルギーが放出されるわけですけれども、
その放出されたエネルギーを、ある数式に代用して弾きだしたのがマグニチュードという値になります。
左の軸に0.0001、0,001・・・100000と書いてありますが、
これは、地震が起きた時に放出されるエネルギーの量を左の軸に書いてあります。
1段上がるごとに10倍ずつ増えていくという、ちょっと特別な表示ですけれども、
対数方眼紙と私たちが呼んでいるものです。
ではこの数字の単位はなんなのか?というと、
私は、広島の原爆が炸裂して、広島の街を一瞬にして壊滅させた時のエネルギーを単位にしてこの軸をとりました。
1のところが広島原爆が放出した、ということで表しています。
では、マグニチュードとエネルギーの関係はどうなっているか?というと、
こういう直線(水色)で表すことができます。

これはどう読むか?というと、マグニチュード6の地震というのは、ずーっと上がっていってここにぶつかる。
この横軸の数字を見ると1という数字のところに行っているのがわかっていただけると思います。
本当は1じゃなくて、もうちょっとだけ小さいんですけれども、まぁ1だと思ってください。
つまり、「マグニチュード6という地震が起きた時は地下で広島原爆が一発爆発した」と思っていただければいいと思います。
そのくらいの地震がマグニチュード6です。
そして、マグニチュードとエネルギーの換算式というのが、ちょっとへんてこりんな換算式でできていまして、

マグニチュードが6から8まで2上がると、放出するエネルギーが1000倍大きいと。
そういう換算の仕方をしています。
つまりマグニチュード8という地震が起きた時には、
広島原爆1000発分のエネルギーが地下から放出されるという、そういう地震になるということです。
私が住んでいる関西では1995年に阪神淡路大震災と呼ばれるような大きな地震が起きて、
神戸を中心として6500人ほどの人たちが死にました。
それはマグニチュード7.3という地震だったんですが、
広島原爆が放出するエネルギーと比べると82発分でした。
1995年1月17日の朝早く、淡路島から神戸・西宮にかけて、
広島原爆が82発連続して爆発していった。
そのために神戸という人工的な街が崩壊してしまったというのがこの地震でした。

でももっと大きな地震もあります。
例えば関東大震災というのはマグニチュード7.9でしたし、
十勝沖地震というのはマグニチュード8でした。
今言った広島原爆約1000発分の地震というのが関東大震災であったり、十勝沖地震であったりしたわけです。
そして2004年にはスマトラ沖地震というのが起こりました。
スマトラで地震が起きて、インド洋を津波が渡って行って、アフリカまで到達したという巨大地震でした。
20万人近い人々が命を落とした地震でした。
そして2011年、東北地方太平洋地震が起きたのですが、これはどちらもマグニチュード9でした。
こういう地震は広島原爆に換算すれば、約3万発分です。
そんなエネルギーが放出されるという、
そういうことが自然の現象として起きるのです。
人間が願うわけではありません。
こんな地震を願った人間なんか、誰一人いないはずですけれども、
でも地震というのはそうやって襲ってくるというものなのです。
もっと巨大な地震も実はありました。

1960年にチリ地震というのが起きました。
マグニチュード9.5でした。
この場合には、広島原爆20万発分というような巨大なエネルギーが放出されて、
この時にはチリから太平洋を渡って、日本にまで津波が押し寄せて、
東北地方の三陸沿岸が壊滅したということが起こりました。
地震というのはそういうものなのです。
これからも度々地震は起きるだろうと言われていて、
東海地震、東南海地震、南海地震という地震は、
多分近い将来に、マグニチュード8〜9で。

つまり広島原爆何千発・何万発というような地震がこれからの西日本でどんどん起きていくだろうと言われている。
そういうところにこの日本という国はあるわけです。

これが東北地方太平洋沖地震での津波です。
もうどうにもならずに集落が壊滅していくということになりました。
石垣島でも明和という時代でしたか、津波が襲ったということで、
津波の高さで30何メートル、盛り上がった高さで10何メートルという津波が襲ってきたということが記録されているそうですけど、
もう人間技ではないんです。
人間がどんなに頑張っても防ぐことができないようなことが時には起きてしまうというのが、地震であったり津波であったりするわけです。

これが世界地図ですけれども、
地震がどこで起きたかということを赤いマークで書いてあります。
この地球という星では地震は起きるわけですね。
皆さんも地震は、それなりには慣れ親しんでいると思いますけれども、
でも、地球という星の中では地震がどこででも起きるわけではありません。
地震が起きるところはチリのあたりから太平洋側をずーっと北上してきて、
アリューシャン列島を渡って日本のあたりからずーっとニュージーランドに至る、太平洋を取り巻くこの一帯。
そして中国から地中海に抜けていくこの一帯。
それぐらいしか、ほとんどこの地球では地震が起きないわけで、
皆さんにヨーロッパのお知り合いとかがいるとすれば、聞いてください。
地震って知ってるか。
ヨーロッパってほとんど地震がないんですね。
だから大地が揺れるなんていうことは、ほとんどのヨーロッパ人は知りません。
そして黒い丸印があちこちに打ってありますが、
これは原子力発電所が建っている場所です。
一番原子力発電所があるのは米国ですが、約100基を超える原子力発電所を作りました。
でも、みんな、ほとんどは東部にあります。
つまり、地震が起きないところに原子力発電所を建てる。
そしてヨーロッパというところもカントリア(?)大地という非常に安定した大地にあるので、
ヨーロッパも150基近い原子力発電所を建てることができました。
世界で原子力を牽引してきた米国もヨーロッパも、地震がなかったから原子力発電所を建てることができた。
しかし日本は、ここです。
台湾もこの辺ですね。
石垣島もこの辺にあるはずですけど、
世界一の地震地帯になってしまっています。
そこに58基の原子力発電所を建てたわけで、
日本地図がもう見えないくらいに作ってしまったということになりました。
もし、台湾の第4原発、日の丸原発で事故が起きた時にどんな被害が出るか?ということを計算してみました。
計算は、もともとは米国の原子力規制委員会というところが示してくれた、
「原子炉安全性研究」という膨大な研究があって、
その中で「原子力発電所ではこんな事故が起きるだろう」ということをいくつか想定して計算しているんですが、
その米国の規制委員会が考えたかなり大きな事故タイプの一部はBWR2型という形なんですが、
もしそんな事故が起きた時にどんなになるか?

この事故は福島第一原子力発電所の事故よりもさらに大きな事故なんですが、
そんな事故が起きたらどんなになるか?ということを計算してみました。
ごく普通の気象条件を考えて計算してみたところ、
台湾で一番最悪な場合、台北がごく近くにあるんですが、
台北方向に風が流れて行った時には、3万人もの人が急性で死んでしまうし、
のちに癌で死ぬ人が700万人。
台湾の人口の3分の1もの人が癌で死ぬという、
そんな事故すらが起きるという計算結果が出てきました。

ここに第4原発があって、台北がここにあるんですけれども、
偏西風ではない、むしろ逆に東側への風が吹いていて、台北の方にもし風が行けば、
今聞いていただいたように3万人近い人たちが急性で死んでしまうというような結果になりました。
https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h18m24s
これが台湾の地図です。
これが石垣島です。

第4原発がここにあります。
台北(たいぺい)がここにある。

ここに石垣島があります。
先ほど私は一番初めに、
「原子力発電所から250kmの円を描くと、日本国中、道東と沖縄を除けば全部隠れてしまう」
と、皆さんに聞いていただいたわけですけれども、

皆さんはそれを聞いて安心したかもしれませんが、
第4原発から250kmに石垣島がすっぽりと入ります。
それくらいの距離です。

ここに一枚地図を載せました。

これは東北地方関東地方の地図で、色が塗ってあるところが、
先ほどの日本国政府が作ったのとはちょっと違う地図なんですけれども、基本的に同じだと思ってください。
色の塗ってあるところが基本的に放射線管理区域にしなければいけない汚染地帯ということで。
縮尺は石垣島や台湾の縮尺と合わせてあります。

ちょっと透かしてみて、見にくいかもしれませんが、
福島第一原子力発電所の事故による放射線管理区域の汚染地帯の広さというのは、
ほとんど台湾全土に及ぶという広さになっています。
そしてもし、これをちょっと回転させて、石垣島の方に放射能が流れてくるようにすれば、

やはり石垣島だって、福島程度の事故が起きても放射線管理区域にしなければいけないように飲み込まれてしまう。
でも福島程度の事故だって、先ほど聞いていただいたように、さらに巨大な、もし事故が起きた時に、
沖縄県に住む方々がどれほどの被害を受けるか?というのを一覧表にしたのがこれです。

石垣市が一番上にあります。
この辺の市街地の名前が載っているはずです。
で、事故が起きて放射能が噴き出してきて、石垣市まで、例えばどのくらいの時間で到達するのか?というと、
多分240kmぐらい離れているんですけど、1日と4時間経つと放射能が石垣市に流れてきてしまうという。
そして、1週間後にもう全員いなくなる。あるいはひと月後に全員避難、あるいは5年後までは避難できないという3種類の例で考えて、どのくらいの被曝になるのか?ということが書いてありますし、
これぐらいの被曝になると、何人の人たちが癌で死んでいくかというのが次のになります。
石垣市で急性で人が死ぬということはありません。
ですから台湾の原子力発電所で事故が起きても、急性で皆さんが死んでいくということはない、はずだと思います。
でもそこにとどまってしまって被曝をするとすると、
やがて死んでしまうガンの死者が何人か?というような推計をしているわけです。
1週間後にみんなが逃げられるとすれば2000人ぐらいの被害で済むし、
ひと月間、ひと月まで逃げられなければ3000人ぐらい。
5年間逃げられないとすれば1万数千人の人の人たちが、やがて被ばくによってガンで命を落としていくだろうと、そういう計算になりました。
こういうことが起きるのをもちろん私は願いませんし、
でも事故というのは時に起きてしまうかもしれませんし、
世界一の地震帯のある、日本あるいは台湾というところで、場合によってはこういう事故が起きるかもしれないということを、やはりみなさんも覚悟していただかなければいけないだろうと思います。
当初、私に頂いたタイトルは、「万が一の台湾事故にどう備えるか?」というタイトルだったんですけど、
私はどう備えるのかと考えても備え方がわかりませんでした。
もし事故が起きてしまえば「もうどうしようもない」と。
「やはり、原発を動かさないということが唯一のやり方なんだろうな」と私は思いまして、
今日のタイトルをちょっとだけ変えさせていただきました。
1:23:50〜https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h23m50s

質問:台湾の第4原発阻止の活動をしている組織と手を繋ぐにはどうすればいいですか?
小出:
台湾の中でもたくさんのグループが原子力発電所に反対して活動しています。
反対している政党もありますし、弁護士のグループもありますし、のグループもあります。
私自身も台湾に呼んでいただいて、台湾で講演をしたこともありますし、
ご紹介いたしますので、後ほどお渡しできると思います。
質問:台湾で事故が起こった場合の想定で使われた数字は先生のお考えになったものですか?
小出:
この事故のは私が想定したのではなくて、
米国の原子力規制委員会という政府の組織があって、
その規制委員会が、「原子力発電所ではこんなタイプの事故が起こるだろう」ということをたくさんリストにして、
「こういう事故が起きた時にはこういう結果になります」という、
そういうシミュレーションのより方を公表してくれている。
そのうちの一つの事故が「もし第4原発で起きたとしたら」ということで、
米国の原子力規制委員会がやったシミュレーションの仕方を私がやった結果です。
1:30:14
質問:
福島原発では大部分が海洋の方に流れましたが、台湾原発事故が起きた場合、東側の石垣は相当汚染されますか?

小出:
福島第一原子力発電所の場合は偏西風に乗って、吹き出してきた放射性物質がほとんどは太平洋に流れていってくれた。
だから大地が汚れた分は少なかったんだということを聞いていただいたんですが、
もし、この第4原発で事故が起きて、偏西風に乗って流れてくるとすれば、
石垣に向かって流れてくるということになるわけですから、
福島第一原子力発電所で、日本の大地。
福島第一原子力発電所から見れば、いわゆる内側にある大地が汚れた以上に、多分石垣は汚れるということになると思います。
1:41:42
質問:
放射性物質による抵抗力の低下は考えすぎなのでしょうか?
医療関係者は研究が進んでいないのでしょうか?
小出:
放射線というのを人類が発見したのは1895年なんです。
ドイツのレントゲンという物理学者がいて、その人が実験中に
テレビのブラウン管のような装置を使って実験していたんですけど、
その実験中になんか不思議な光が存在するというのを見つけて、
不思議だということでX線という名前をつけたわけです。
ですから、皆さんがレントゲン撮影と呼ぶものもあるだろうし、X線撮影と呼んでもいるでしょうが、
それができたんです。
その頃は要するに放射線というものがなんだかわからなかった時代なんですけれども、
その放射線の正体を突き止めようとして、たくさんの人たちが研究をしたのです。
皆さんはキューリー夫妻ってご存知だと思いますけど、
キューリー夫妻たちもそうです。
猛烈に優秀な学者たちが、ともかく放射線というものの正体を知りたいというので研究を始めた時代があったのですけれども、
いかに猛烈に優秀な学者であっても、正体を知らないまま研究をしていたわけです。
そのためにキューリー夫妻の旦那はピエールというんですけれども、
ピエールは被曝をして体がボロボロになってある日ふらふらと道路に倒れるように出て行って、馬車にはねられて死んでしまうんです。
で、マリーの方、キューリー夫人と呼ばれているマリーの方は白血病になって死んでしまうんです。
そのほかにもたくさんの被爆者たちが被曝をしたことによって死んでしまうという、そういう時代もその当時あったのです。
そして、「大量に被曝をしてしまうと人間は死んでしまう」ということはその頃からだんだんわかってきた。
キューリー夫人でもなんでも、放射性物質を実験着のポケットの中に入れていたので、
ポケットの周りの皮膚が火傷をしたりしているわけです。
ですから、「たくさん被曝をすると火傷をしてしまう」ということも当時からわかっていたわけです。
一番たくさんの、被害のデータが得られたのは何か?といえば、広島長崎の原爆被爆者です。
もちろん死んでしまう。
たくさん被曝をすれば死んでしまうということもわかったし、
火傷をしてしまうということも分かったし、
髪の毛が抜けてしまうということも分かった。
吐き気がする、下痢になるということもその時からわかっていたわけです。
それを私たちは急性障害と呼んでいるんですけれども、
被曝をしてすぐに目に見えるように出てくる病気がいろいろなものがあるというのは原爆被爆者の例でわかったわけです。
ただし原爆の被爆者というのは、いわゆる戦争中なわけですし、
きちっとした調査ができない。
ほんとうにすぐ目で見えるようなものが、こういうものがあるということがわかったわけです。
それ以降、じゃあどうなったか?というと、
仮にその時に生き延びた人間には無害なのか。
「被ばくは無害なのか」ということを知りたい、ということで
日本にABCCというリストを作って被爆者を集めて調べる調査を始めたのです。
約10万人の被爆者を抱え込んで、
「毎年自分の研究所に検診に来い」と呼んだわけです。
そのABCCは検診はするんです。
こいつの病気はこうなっている。
どういう病気になった。
都いうようなことを検診はするんですけど、絶対に治療はしない。
それで被爆者と同じような人たちと同じぐらいの数を集めて、
こっちのひとも検診に呼んで調べていったわけです。
で、絶対に治療はしない。
で、被爆者の方にどういう病気が出てきたか、
被曝をしていない人たちの方にどういう病気が出てきたか、
ということを、何万人も比べながら調べる、調査をするということをやったわけです。
それで調査を始めてから何年か経つと、
被爆者のグループの方に白血病が多いということが決まっていく、わかりました。
次は、がんが多いということがだんだんわかってくるわけです。
でもそれは、治療をしてしまうとダメなんですよね。
治療をしたら要するに治ってしまったりするわけですから、一切の治療はしない。
ただただ調査だけするという。
そういうことをやり続けて、白血病が多い、癌が多い、ということがだんだんわかってくる。
それの調査をどんどんどんどん長いことやればやるだけ、
被ばくの量が少なかった人でも白血病や癌が多いということがわかってきた。
またどんどん長い時間が経つと、もっと被ばくが少ない人でも白血病や癌が多いということがわかってくるという、
そういう調査をすでに70年やっているわけです。
何万人もの人たちを何十年も調査をすることによって、
初めてどういう病気が出てくるのかということがわかってくるという、
そういう調査をやってきながらここまできているわけです。
最近になってでも、被ばく者の中には白血病や癌だけではない、他の病気。
心臓系の疾患なども段々多くなってきているという、ことがわかってきているのです。
でもそれが分かるまでに、今聞いていただいたように、
ものすごい長い時間をかけて、ようやくにしてわかってきたということなのです。
それが科学というものなわけですし、
一切治療をしてはいけないという、大変非情な、そういう調査をしなければわからないということでここまで来ているのです。
私自身は、被ばくというものは、どんな病気でも、多分起こりうるだろうと、思っています。
ただそれが本当に被ばくとの関係があるかということを、いわゆる科学的に立証しようと思うと、
ものすごい膨大な数の人たちをものすごい長い期間調べないことには物が言えないという、
それが科学という、非常に非情な世界なのです。
ですから科学で被ばくによってこれが出るということが言えないのです。
でも私は、今聞いていただいたように、被曝というのはあらゆる病気を引き起こすだろうと思っていますし、
特に答える部分がはものすごく生き物には多いので、仮に今までの科学で、「こんなことは起きないよ」と。
「起きることが証明できなかったよ」というようなものでも、
ある病気に関してはある人に現れるというようなことは、多分あるんだろうと私は思います。
でも申し訳ありませんが、それを科学的に証明しろと言われてしまうと、
私にもできないし、多分今の科学の段階ではできないことなんだと思います。
すみません、お答えには全くならないんですけれども、科学というのはそういうものだと思っていただくしかないです。
10757
<台湾の原子力発電所と核廃棄物処理場>日本から見れば沖縄の地震だけど、世界的には台湾の地震
台湾南東部のとても美しい蘭嶼島が台湾電力の放射性廃棄物で汚された/毎時67マイクロシーベルト
台湾・先住民の島に放射性廃棄物 見過ごされた危機 台湾の孤島で11/24報道特集(動画・内容書き出し)
(台湾の地震と関係ある?日本海側の地域の放射線量がまとめて上昇中!北海道も!!)
と思って調べていたら、小出先生が今年の3月、石垣島で台湾の原発について講演をしている動画を見つけました。
台湾についての部分を文字起こししました。
「原発事故から学ぶ〜万一の台湾原発事故にどう備えるか〜」
京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏講演会
2015年3月21日(土) 石垣市民会館中ホール
https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h5m10s

では、石垣市の皆さんにどんなものがあるのかということですけれども、
この町は、いわゆる日本という中ではかなり離れたところにあって、
福島の原子力発電所からも一番遠い町です。
幸いに福島の事故の汚染は受けなかったのですけれども、近くに台湾があります。
台湾には今、4つの場所に発電所が建てられようとしていて、
第1第2第3は経ってすでに運転していて、
第4という発電所が、今巨大な原子力発電所なんですが、それが建てられようとしていて、
運転がされるのか、されないのか、ということで、今台湾の中で大変な問題になってしまっている原子力発電所があります。
それを契約したのは米国のGEという原発メーカーですけれども、
実際にやっているのは日立と東芝という、日本の原子力メーカーが作っています。
これも台湾の地図です。

第1がここですね(上の一番左)第2がその隣、
第3が一番南の端。
で、第4が今ここに作っているところです。

第4原発。
米国のGEが落札してものですが、日本にしかない特殊な原子炉で、
日立と東芝が原子炉容器を作り、三菱がタービンを作るという、
いわゆる「日の丸原発」です。
世界に類を見ない原子力発電所を今日本が台湾に押し付けようとしている、そういう状態になっています。
どこに?っていうと、さっき地図で見ていただいた場所ですけれども、
あの場所はどういう場所だったか?というと、
1892年に日本が台湾に押しかけて行って日本軍が台湾に上陸したんですが、
上陸した地点が第4原発を建てようとしているところで、

これ(右の四角い建物)が第4原発で、ここ(正面)に記念碑がありますが、
これは抗日記念碑です。
日本が台湾に上陸してきて侵略を始めたその場所に、台湾の人たちが日本に抵抗するという記念碑を建てている。
その場所に第4原発が建てられようとしています。
ちょっと話が脱線しますが、
福島第一原子力発電所の事故は地震によって引き起こされました。
地震というのはマグニチュードという単位で測られるということは皆さんご存知だろうと思います。

今ここに3から10まで数字を書いていますが、これがマグニチュードです。
いったいマグニチュードってなんなのか?というと、
地震が起きた時に地下でエネルギーが放出されるわけですけれども、
その放出されたエネルギーを、ある数式に代用して弾きだしたのがマグニチュードという値になります。
左の軸に0.0001、0,001・・・100000と書いてありますが、
これは、地震が起きた時に放出されるエネルギーの量を左の軸に書いてあります。
1段上がるごとに10倍ずつ増えていくという、ちょっと特別な表示ですけれども、
対数方眼紙と私たちが呼んでいるものです。
ではこの数字の単位はなんなのか?というと、
私は、広島の原爆が炸裂して、広島の街を一瞬にして壊滅させた時のエネルギーを単位にしてこの軸をとりました。
1のところが広島原爆が放出した、ということで表しています。
では、マグニチュードとエネルギーの関係はどうなっているか?というと、
こういう直線(水色)で表すことができます。

これはどう読むか?というと、マグニチュード6の地震というのは、ずーっと上がっていってここにぶつかる。
この横軸の数字を見ると1という数字のところに行っているのがわかっていただけると思います。
本当は1じゃなくて、もうちょっとだけ小さいんですけれども、まぁ1だと思ってください。
つまり、「マグニチュード6という地震が起きた時は地下で広島原爆が一発爆発した」と思っていただければいいと思います。
そのくらいの地震がマグニチュード6です。
そして、マグニチュードとエネルギーの換算式というのが、ちょっとへんてこりんな換算式でできていまして、

マグニチュードが6から8まで2上がると、放出するエネルギーが1000倍大きいと。
そういう換算の仕方をしています。
つまりマグニチュード8という地震が起きた時には、
広島原爆1000発分のエネルギーが地下から放出されるという、そういう地震になるということです。
私が住んでいる関西では1995年に阪神淡路大震災と呼ばれるような大きな地震が起きて、
神戸を中心として6500人ほどの人たちが死にました。
それはマグニチュード7.3という地震だったんですが、
広島原爆が放出するエネルギーと比べると82発分でした。
1995年1月17日の朝早く、淡路島から神戸・西宮にかけて、
広島原爆が82発連続して爆発していった。
そのために神戸という人工的な街が崩壊してしまったというのがこの地震でした。

でももっと大きな地震もあります。
例えば関東大震災というのはマグニチュード7.9でしたし、
十勝沖地震というのはマグニチュード8でした。
今言った広島原爆約1000発分の地震というのが関東大震災であったり、十勝沖地震であったりしたわけです。
そして2004年にはスマトラ沖地震というのが起こりました。
スマトラで地震が起きて、インド洋を津波が渡って行って、アフリカまで到達したという巨大地震でした。
20万人近い人々が命を落とした地震でした。
そして2011年、東北地方太平洋地震が起きたのですが、これはどちらもマグニチュード9でした。
こういう地震は広島原爆に換算すれば、約3万発分です。
そんなエネルギーが放出されるという、
そういうことが自然の現象として起きるのです。
人間が願うわけではありません。
こんな地震を願った人間なんか、誰一人いないはずですけれども、
でも地震というのはそうやって襲ってくるというものなのです。
もっと巨大な地震も実はありました。

1960年にチリ地震というのが起きました。
マグニチュード9.5でした。
この場合には、広島原爆20万発分というような巨大なエネルギーが放出されて、
この時にはチリから太平洋を渡って、日本にまで津波が押し寄せて、
東北地方の三陸沿岸が壊滅したということが起こりました。
地震というのはそういうものなのです。
これからも度々地震は起きるだろうと言われていて、
東海地震、東南海地震、南海地震という地震は、
多分近い将来に、マグニチュード8〜9で。

つまり広島原爆何千発・何万発というような地震がこれからの西日本でどんどん起きていくだろうと言われている。
そういうところにこの日本という国はあるわけです。

これが東北地方太平洋沖地震での津波です。
もうどうにもならずに集落が壊滅していくということになりました。
石垣島でも明和という時代でしたか、津波が襲ったということで、
津波の高さで30何メートル、盛り上がった高さで10何メートルという津波が襲ってきたということが記録されているそうですけど、
もう人間技ではないんです。
人間がどんなに頑張っても防ぐことができないようなことが時には起きてしまうというのが、地震であったり津波であったりするわけです。

これが世界地図ですけれども、
地震がどこで起きたかということを赤いマークで書いてあります。
この地球という星では地震は起きるわけですね。
皆さんも地震は、それなりには慣れ親しんでいると思いますけれども、
でも、地球という星の中では地震がどこででも起きるわけではありません。
地震が起きるところはチリのあたりから太平洋側をずーっと北上してきて、
アリューシャン列島を渡って日本のあたりからずーっとニュージーランドに至る、太平洋を取り巻くこの一帯。
そして中国から地中海に抜けていくこの一帯。
それぐらいしか、ほとんどこの地球では地震が起きないわけで、
皆さんにヨーロッパのお知り合いとかがいるとすれば、聞いてください。
地震って知ってるか。
ヨーロッパってほとんど地震がないんですね。
だから大地が揺れるなんていうことは、ほとんどのヨーロッパ人は知りません。
そして黒い丸印があちこちに打ってありますが、
これは原子力発電所が建っている場所です。
一番原子力発電所があるのは米国ですが、約100基を超える原子力発電所を作りました。
でも、みんな、ほとんどは東部にあります。
つまり、地震が起きないところに原子力発電所を建てる。
そしてヨーロッパというところもカントリア(?)大地という非常に安定した大地にあるので、
ヨーロッパも150基近い原子力発電所を建てることができました。
世界で原子力を牽引してきた米国もヨーロッパも、地震がなかったから原子力発電所を建てることができた。
しかし日本は、ここです。
台湾もこの辺ですね。
石垣島もこの辺にあるはずですけど、
世界一の地震地帯になってしまっています。
そこに58基の原子力発電所を建てたわけで、
日本地図がもう見えないくらいに作ってしまったということになりました。
もし、台湾の第4原発、日の丸原発で事故が起きた時にどんな被害が出るか?ということを計算してみました。
計算は、もともとは米国の原子力規制委員会というところが示してくれた、
「原子炉安全性研究」という膨大な研究があって、
その中で「原子力発電所ではこんな事故が起きるだろう」ということをいくつか想定して計算しているんですが、
その米国の規制委員会が考えたかなり大きな事故タイプの一部はBWR2型という形なんですが、
もしそんな事故が起きた時にどんなになるか?

この事故は福島第一原子力発電所の事故よりもさらに大きな事故なんですが、
そんな事故が起きたらどんなになるか?ということを計算してみました。
ごく普通の気象条件を考えて計算してみたところ、
台湾で一番最悪な場合、台北がごく近くにあるんですが、
台北方向に風が流れて行った時には、3万人もの人が急性で死んでしまうし、
のちに癌で死ぬ人が700万人。
台湾の人口の3分の1もの人が癌で死ぬという、
そんな事故すらが起きるという計算結果が出てきました。

ここに第4原発があって、台北がここにあるんですけれども、
偏西風ではない、むしろ逆に東側への風が吹いていて、台北の方にもし風が行けば、
今聞いていただいたように3万人近い人たちが急性で死んでしまうというような結果になりました。
https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h18m24s
これが台湾の地図です。
これが石垣島です。

第4原発がここにあります。
台北(たいぺい)がここにある。

ここに石垣島があります。
先ほど私は一番初めに、
「原子力発電所から250kmの円を描くと、日本国中、道東と沖縄を除けば全部隠れてしまう」
と、皆さんに聞いていただいたわけですけれども、

皆さんはそれを聞いて安心したかもしれませんが、
第4原発から250kmに石垣島がすっぽりと入ります。
それくらいの距離です。

ここに一枚地図を載せました。

これは東北地方関東地方の地図で、色が塗ってあるところが、
先ほどの日本国政府が作ったのとはちょっと違う地図なんですけれども、基本的に同じだと思ってください。
色の塗ってあるところが基本的に放射線管理区域にしなければいけない汚染地帯ということで。
縮尺は石垣島や台湾の縮尺と合わせてあります。

ちょっと透かしてみて、見にくいかもしれませんが、
福島第一原子力発電所の事故による放射線管理区域の汚染地帯の広さというのは、
ほとんど台湾全土に及ぶという広さになっています。
そしてもし、これをちょっと回転させて、石垣島の方に放射能が流れてくるようにすれば、

やはり石垣島だって、福島程度の事故が起きても放射線管理区域にしなければいけないように飲み込まれてしまう。
でも福島程度の事故だって、先ほど聞いていただいたように、さらに巨大な、もし事故が起きた時に、
沖縄県に住む方々がどれほどの被害を受けるか?というのを一覧表にしたのがこれです。

石垣市が一番上にあります。
この辺の市街地の名前が載っているはずです。
で、事故が起きて放射能が噴き出してきて、石垣市まで、例えばどのくらいの時間で到達するのか?というと、
多分240kmぐらい離れているんですけど、1日と4時間経つと放射能が石垣市に流れてきてしまうという。
そして、1週間後にもう全員いなくなる。あるいはひと月後に全員避難、あるいは5年後までは避難できないという3種類の例で考えて、どのくらいの被曝になるのか?ということが書いてありますし、
これぐらいの被曝になると、何人の人たちが癌で死んでいくかというのが次のになります。
石垣市で急性で人が死ぬということはありません。
ですから台湾の原子力発電所で事故が起きても、急性で皆さんが死んでいくということはない、はずだと思います。
でもそこにとどまってしまって被曝をするとすると、
やがて死んでしまうガンの死者が何人か?というような推計をしているわけです。
1週間後にみんなが逃げられるとすれば2000人ぐらいの被害で済むし、
ひと月間、ひと月まで逃げられなければ3000人ぐらい。
5年間逃げられないとすれば1万数千人の人の人たちが、やがて被ばくによってガンで命を落としていくだろうと、そういう計算になりました。
こういうことが起きるのをもちろん私は願いませんし、
でも事故というのは時に起きてしまうかもしれませんし、
世界一の地震帯のある、日本あるいは台湾というところで、場合によってはこういう事故が起きるかもしれないということを、やはりみなさんも覚悟していただかなければいけないだろうと思います。
当初、私に頂いたタイトルは、「万が一の台湾事故にどう備えるか?」というタイトルだったんですけど、
私はどう備えるのかと考えても備え方がわかりませんでした。
もし事故が起きてしまえば「もうどうしようもない」と。
「やはり、原発を動かさないということが唯一のやり方なんだろうな」と私は思いまして、
今日のタイトルをちょっとだけ変えさせていただきました。
1:23:50〜https://youtu.be/WZR2JTODb5Q?t=1h23m50s

質問:台湾の第4原発阻止の活動をしている組織と手を繋ぐにはどうすればいいですか?
小出:
台湾の中でもたくさんのグループが原子力発電所に反対して活動しています。
反対している政党もありますし、弁護士のグループもありますし、のグループもあります。
私自身も台湾に呼んでいただいて、台湾で講演をしたこともありますし、
ご紹介いたしますので、後ほどお渡しできると思います。
質問:台湾で事故が起こった場合の想定で使われた数字は先生のお考えになったものですか?
小出:
この事故のは私が想定したのではなくて、
米国の原子力規制委員会という政府の組織があって、
その規制委員会が、「原子力発電所ではこんなタイプの事故が起こるだろう」ということをたくさんリストにして、
「こういう事故が起きた時にはこういう結果になります」という、
そういうシミュレーションのより方を公表してくれている。
そのうちの一つの事故が「もし第4原発で起きたとしたら」ということで、
米国の原子力規制委員会がやったシミュレーションの仕方を私がやった結果です。
1:30:14
質問:
福島原発では大部分が海洋の方に流れましたが、台湾原発事故が起きた場合、東側の石垣は相当汚染されますか?

小出:
福島第一原子力発電所の場合は偏西風に乗って、吹き出してきた放射性物質がほとんどは太平洋に流れていってくれた。
だから大地が汚れた分は少なかったんだということを聞いていただいたんですが、
もし、この第4原発で事故が起きて、偏西風に乗って流れてくるとすれば、
石垣に向かって流れてくるということになるわけですから、
福島第一原子力発電所で、日本の大地。
福島第一原子力発電所から見れば、いわゆる内側にある大地が汚れた以上に、多分石垣は汚れるということになると思います。
1:41:42
質問:
放射性物質による抵抗力の低下は考えすぎなのでしょうか?
医療関係者は研究が進んでいないのでしょうか?
小出:
放射線というのを人類が発見したのは1895年なんです。
ドイツのレントゲンという物理学者がいて、その人が実験中に
テレビのブラウン管のような装置を使って実験していたんですけど、
その実験中になんか不思議な光が存在するというのを見つけて、
不思議だということでX線という名前をつけたわけです。
ですから、皆さんがレントゲン撮影と呼ぶものもあるだろうし、X線撮影と呼んでもいるでしょうが、
それができたんです。
その頃は要するに放射線というものがなんだかわからなかった時代なんですけれども、
その放射線の正体を突き止めようとして、たくさんの人たちが研究をしたのです。
皆さんはキューリー夫妻ってご存知だと思いますけど、
キューリー夫妻たちもそうです。
猛烈に優秀な学者たちが、ともかく放射線というものの正体を知りたいというので研究を始めた時代があったのですけれども、
いかに猛烈に優秀な学者であっても、正体を知らないまま研究をしていたわけです。
そのためにキューリー夫妻の旦那はピエールというんですけれども、
ピエールは被曝をして体がボロボロになってある日ふらふらと道路に倒れるように出て行って、馬車にはねられて死んでしまうんです。
で、マリーの方、キューリー夫人と呼ばれているマリーの方は白血病になって死んでしまうんです。
そのほかにもたくさんの被爆者たちが被曝をしたことによって死んでしまうという、そういう時代もその当時あったのです。
そして、「大量に被曝をしてしまうと人間は死んでしまう」ということはその頃からだんだんわかってきた。
キューリー夫人でもなんでも、放射性物質を実験着のポケットの中に入れていたので、
ポケットの周りの皮膚が火傷をしたりしているわけです。
ですから、「たくさん被曝をすると火傷をしてしまう」ということも当時からわかっていたわけです。
一番たくさんの、被害のデータが得られたのは何か?といえば、広島長崎の原爆被爆者です。
もちろん死んでしまう。
たくさん被曝をすれば死んでしまうということもわかったし、
火傷をしてしまうということも分かったし、
髪の毛が抜けてしまうということも分かった。
吐き気がする、下痢になるということもその時からわかっていたわけです。
それを私たちは急性障害と呼んでいるんですけれども、
被曝をしてすぐに目に見えるように出てくる病気がいろいろなものがあるというのは原爆被爆者の例でわかったわけです。
ただし原爆の被爆者というのは、いわゆる戦争中なわけですし、
きちっとした調査ができない。
ほんとうにすぐ目で見えるようなものが、こういうものがあるということがわかったわけです。
それ以降、じゃあどうなったか?というと、
仮にその時に生き延びた人間には無害なのか。
「被ばくは無害なのか」ということを知りたい、ということで
日本にABCCというリストを作って被爆者を集めて調べる調査を始めたのです。
約10万人の被爆者を抱え込んで、
「毎年自分の研究所に検診に来い」と呼んだわけです。
そのABCCは検診はするんです。
こいつの病気はこうなっている。
どういう病気になった。
都いうようなことを検診はするんですけど、絶対に治療はしない。
それで被爆者と同じような人たちと同じぐらいの数を集めて、
こっちのひとも検診に呼んで調べていったわけです。
で、絶対に治療はしない。
で、被爆者の方にどういう病気が出てきたか、
被曝をしていない人たちの方にどういう病気が出てきたか、
ということを、何万人も比べながら調べる、調査をするということをやったわけです。
それで調査を始めてから何年か経つと、
被爆者のグループの方に白血病が多いということが決まっていく、わかりました。
次は、がんが多いということがだんだんわかってくるわけです。
でもそれは、治療をしてしまうとダメなんですよね。
治療をしたら要するに治ってしまったりするわけですから、一切の治療はしない。
ただただ調査だけするという。
そういうことをやり続けて、白血病が多い、癌が多い、ということがだんだんわかってくる。
それの調査をどんどんどんどん長いことやればやるだけ、
被ばくの量が少なかった人でも白血病や癌が多いということがわかってきた。
またどんどん長い時間が経つと、もっと被ばくが少ない人でも白血病や癌が多いということがわかってくるという、
そういう調査をすでに70年やっているわけです。
何万人もの人たちを何十年も調査をすることによって、
初めてどういう病気が出てくるのかということがわかってくるという、
そういう調査をやってきながらここまできているわけです。
最近になってでも、被ばく者の中には白血病や癌だけではない、他の病気。
心臓系の疾患なども段々多くなってきているという、ことがわかってきているのです。
でもそれが分かるまでに、今聞いていただいたように、
ものすごい長い時間をかけて、ようやくにしてわかってきたということなのです。
それが科学というものなわけですし、
一切治療をしてはいけないという、大変非情な、そういう調査をしなければわからないということでここまで来ているのです。
私自身は、被ばくというものは、どんな病気でも、多分起こりうるだろうと、思っています。
ただそれが本当に被ばくとの関係があるかということを、いわゆる科学的に立証しようと思うと、
ものすごい膨大な数の人たちをものすごい長い期間調べないことには物が言えないという、
それが科学という、非常に非情な世界なのです。
ですから科学で被ばくによってこれが出るということが言えないのです。
でも私は、今聞いていただいたように、被曝というのはあらゆる病気を引き起こすだろうと思っていますし、
特に答える部分がはものすごく生き物には多いので、仮に今までの科学で、「こんなことは起きないよ」と。
「起きることが証明できなかったよ」というようなものでも、
ある病気に関してはある人に現れるというようなことは、多分あるんだろうと私は思います。
でも申し訳ありませんが、それを科学的に証明しろと言われてしまうと、
私にもできないし、多分今の科学の段階ではできないことなんだと思います。
すみません、お答えには全くならないんですけれども、科学というのはそういうものだと思っていただくしかないです。
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<台湾の原子力発電所と核廃棄物処理場>日本から見れば沖縄の地震だけど、世界的には台湾の地震
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台湾・先住民の島に放射性廃棄物 見過ごされた危機 台湾の孤島で11/24報道特集(動画・内容書き出し)
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