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約1年後に800兆ベクレルのセシウム137が北米沿岸に到達…そして20~30年かけて日本沿岸に戻る(青山道夫教授)

北米沿岸に8百テラベクレル着へ 原発事故で海洋放出セシウム
47News 2015年4月24日

【ウィーン共同】
東京電力福島第1原発事故で海洋に放出された放射性セシウム137の約5%に当たる800テラベクレル(テラは1兆)が北米大陸の西海岸に到達するとの研究結果を福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授がまとめ、24日までにウィーンの学会で発表した。約1年後にはほぼ全量がたどり着くという。

日本の原子力規制委員会は、100テラベクレルを放出する大事故の発生確率を原子炉1基につき100万年に1回以下に抑える安全目標を決めているが、今回の数値はその8倍に相当する。

2015/04/24 17:22 【共同通信】



福島大学環境放射能研究所の青山道夫教授


メバルの濃度は加齢と関係 福島大環境放射能研が報告
(2015年3月20日 福島民友ニュース)

青山道夫福島大環境放射能研究所教授(地球化学)は19日、富岡沖で採取したメバルの放射性セシウム濃度を調べたところ、筋肉に取り込まれた放射性セシウムが年齢とともに増加していたとの調査結果を発表した。青山教授は「なぜ年齢とともに増加するのか説明できれば、漁業再開につながる」と、研究を進める考えを示した。
 
同大で同日開かれた同研究所の成果報告会で示した。青山教授によると、本県沖のほとんどの魚種で放射性セシウム濃度は低下しているが、メバルなど特定の魚が現在も高い傾向を示している。漁業再開に向け原因解明を求める声が上がっていた。
 
青山教授によると、若いメバルの放射性セシウム濃度は低かったが、4歳を超えたメバルは高かった。青山教授は「年を取って(放射性物質を体外に排出する)代謝が下がったのか、濃度が高いものを食べているためなのかは今後の研究だが、加齢が関係していると話した。




2014.03.20 青山道夫教授のインタビュー記事
2014年3月6日、青山道夫福島大学環境放射能研究所教授が韓国聯合ニュースのインタビューに答え、聯合ニュースのウェブサイトに掲載されました。
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=shm&sid1=104&oid=001&aid=0006816463
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=101&oid=001&aid=0006816464
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東京都千代田区衆議院第一会館で福島原発事故の影響などについて説明する青山道夫教授。

環境放射能研究所が日本語に翻訳しましたので、以下に掲載します。
東京電力の放射線量測定水準は0点
(東京=聯合ニュース=李世元特派員)青山道夫福島大学環境放射能研究所教授は東京電力の放射性物質測定水準について「基本がなっていない」と批判した。

青山教授は20日、聯合ニュースとの電話及び書面インタビューで「放射能を測定した場合、毎回同じ数値が出ることはない。例えば100ベクレル±5ベクレルのように不確実性を表記しないといけないのに、東京電力はそうしていない」と指摘した。

「測定方式によって後ろに付く±数値が変わり、これを見ればどういう作業をしたかが分かる」という。「大学1、2年生で放射線量測定を学ぶ時に、必ず不確実性を付与しなければならないと教わる。もし学生のレポートだと東京電力は0点」と酷評した。

教授は、ゲルマニウム半導体検出器を利用して放射能を測定する時、もともと自然界に存在する放射能の影響を考慮をしなければいけないのに、東京電力は1年半の間過ちを続けて来た、と主張した。

また、ベータ線を測定する時、ある程度の放射能があると一種の飽和状態になり放射線量が過少評価されるのに、これに注意しないで間違った数値を公表してきたと語った。

実際に東京電力は今年初め、高濃度放射性物質がきちんと測定されていないという事実を認め、再検査方針を明らかにした。

教授は東京電力が放射性物質を汚染水形態で数十万tも保管することも深刻な問題だと話した。
「固体のほうが液体より封印することが簡単。水溶液の状態で保管すると漏水の危険がつきまとう」として「水溶液が一番保管が難しくて危険だということは常識」だと指摘した。


青山教授は2013年9月、気象庁気象研究所主任研究員としてIAEAフォーラムに出席し、福島原発で放射能物質であるセシウム137とストロンチウム90に汚染された水が一日に約600億ベクレル太平洋に放出されていると事態の深刻性を指摘して注目された。

東京電力原発事故対応問題
(東京=聯合ニュース=李世元特派員)福島大学で環境放射能を研究している科学者が東京電力の福島原発事故の対応について、深刻な憂慮を表明した。

気象庁気象研究所から、2014年に福島大学環境放射能研究所に移籍した青山道夫教授は、東京電力が公表した各種放射性物質測定値の正確性に疑問を感じると20日聯合ニュースとのインタビューで明らかにした。

教授は放射性物質に対する不安感に関連して、消費者が自身の食べ物を自由に検査出来るシステムが必要だという意見を提示した。
現在、日本の一部の自治体は自家消費を目的として栽培した作物が一定の要件を充足すれば放射性物質検査を受けられるようにしている。しかし、消費者が流通業者から購買した食品を検査することは現実的に難しいからだ。

(IER補足:各自治体に多少の違いはあるが、予約が必要で、(1)1kg以上、(2)細かくみじん切り、あるいはフードプロセッサーしたものが対象となる。山菜・野生の肉魚・地下水の検査が可能な自治体もある。なお、購入した食品は検査対象外である。 )
次は青山教授との一問一答

-東京電力の放射性物質測定能力が非常に低いとお話されましたが、その理由をお聞かせください。

▲東京電力が不確実性を付与して公表していないからです。ゲルマニウム半導体検出器でマリネリ容器(放射線量計側に使用する容器)を使用して測定する時のバックグラウンド評価の方法も間違っています。また、標準物質によるチェックを行っていません。ベータ線を計側する時、ある一定以上の放射能があると飽和状態になって過少評価されるのですが、その時注意をしないで測定して過少評価された数値を公表したからです。

-バックグラウンド評価とは何でしょうか。

放射性物質を測定する際に、数値の差を計算して放射能の量を把握することです。例えばマリネリ容器に放射能汚染水を入れて測定した数値から、汚染されていないない水を入れて測定した数値を引く方式です。放射能は自然状態ではゼロにならず、あらゆる物質、更に容器にも放射能があるからこのようにします。東京電力は1年半もバックグラウンド評価をきちんとしませんでした。

-不確実性を表記しなかったというのはどういう意味でしょうか。

▲大学1、2年生の時、放射線計測を学ぶ時に必ず不確実性を考慮するべきだと教わります。同じ放射線を10回測定するとそれぞれ違う数値になります。例えば100ベクレルを測定すると、95ベクレル、105ベクレル・・・・と、このような値がでます。なので100ベクレル±5ベクレルという方式で不確実性を表記しなければなりません。しかし東京電力はこのようにしていません。測定方式によって後ろに付く±数値が変化するので、これを見ることでどういう作業をしたか分かります。もし学生のレポートだと東京電力は0点ですね。

-福島第一原発から放出される放射性物質の量に変化はありますか。

▲福島第一原発5・6号機排出口の(放射性物質)濃度には変化がなく、相変わらず1m³当り1000ベクレルで漏水が続いています。放出されている放射性物質の量や種類に変化があるかどうかは東京電力の測定に疑問があるので厳密な論議ができない状態です。

-昨年、国際原子力機関(IAEA)が多核種除去設備(ALPS)で除去出来ないトリチウムが含まれた汚染水の処理に関連して、海洋放出を検討すべきだと報告しましたが、どうお考えですか。

▲海に放出しないで解決が出来るなら、間違った情報伝達や心理的不安を起こさせないので、放出しない方が良いですが、現実的に放出しないことは難しいだろうと考えます。その際、少なくとも海水や海産物の正確なトリチウム測定ができる体制を整える必要があります。

-日本の食品についての放射性物質管理をどのように評価しますか。

▲福島県は食品の放射能検査体制が世界的に高い水準だと言えます。一人一人の不満を無くすという点からは測定値の公表だけでなく、(消費者が)食品の放射性物質測定を自由に出来るようにしなければなりません。私はなんの心配もしないで流通しているものを食べていますが、信じない人もたくさんいます。やはり目の前で自分が食べるものを測定できるようにすることが重要でしょう。私は科学的に不必要だと思いますが。

-汚染水による影響は福島第一原発の港湾内の0.3km²範囲内で完全にブロックされている、という安倍首相の発言をどう評価しますか。

▲政治家の発言は科学者の言葉ほど正確に使用されないため評価の対象ではありません。現在の最大のリスクは原子炉の中に残っている溶けた燃料ですが、これに関してはあまり正確に伝わっているとは思いません。

-福島原発事故収束のための国際協力は十分でしょうか。

▲言葉の問題や、官僚の問題に対する認識の違いが国際協力の障害となっていると思います。日本国外から見ると、国際協力が不十分なことは明らかです。特に日本の情報提供に問題があります。資料の大部分が日本語で、英語の資料はごく一部しかありません。

-日本政府が避難者の帰還を急いでいるようですが。

▲汚染除去が簡単なことではないというのはセシウムの化学的性質から明確です。帰還をどうするかは、実際の放射線量だけの問題ではなく社会の生活基盤をどのように再構築するかの問題であると思います。




外洋に1日600億ベクレル放出 福島第1の放射性物質
日本経済新聞 2013/9/19 1:50

【ウィーン=共同】東京電力福島第1原発の汚染水問題を巡り、気象庁気象研究所の青山道夫主任研究官は18日、国際原子力機関(IAEA)の科学フォーラムで、原発北側の放水口から放射性物質のセシウム137とストロンチウム90が1日計約600億ベクレル、外洋(原発港湾外)に放出されていると報告した。

東電は「法定基準以下の濃度と確認して放水しており問題ない」としており、事故後に海洋モニタリング調査を続けてきた青山氏も濃度については1リットル当たり1ベクレルで基準値以下との見解。しかし放出総量については法的な規制がない。東電には放水口から出る放射性物質の総量について詳細な説明が求められる。

青山氏は総量に注目し「この水の中に魚が生息すると放射性物質が濃縮され、日本の規制値を超える」と指摘したが、周辺海域への影響は「沖合では薄められ、漁業に影響しない」と分析した。

セシウム137の半減期は約30年、ストロンチウム90は約29年。1~4号機の原子炉建屋側からいったん港湾内に染み出た後、炉心溶融を免れた5、6号機の取水口から取り込まれ、北側放水口から外洋に放出されている。

青山氏の調査によると、第1原発の放水口から出るセシウム137は、事故後の2011年3月26日~11年4月7日は1日当たり約100兆ベクレルだった。その後、徐々に低下し12年初めごろから現在まで約300億ベクレルで推移。ストロンチウム90も現在、約300億ベクレル出ているとしている。



井上伸氏のインタビュー記事

福島原発の海洋放出セシウムは20~30年で日本に戻る、長期に渡る放射能汚染、原発つくれる場所ない日本
井上伸 (国家公務員一般労働組合執行委員、国公労連書記、雑誌編集者)
2015年1月5日 21時21分

201504
気象研究所による福島原発事故で大気中に放出された放射性セシウムの試算

毎日新聞が「ビキニ水爆実験:船員被ばく追跡調査 福竜丸以外で初」として次の報道をしています。

1954年に静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」が被ばくした太平洋ビキニ環礁での米国の水爆実験を巡り、厚生労働省が近く、当時周辺で操業していた他の船員について健康影響調査に乗り出すことが分かった。被災船は全国で少なくとも500隻、被災者は1万人に上るとされるが、国はこれまで福竜丸以外の船員の追跡調査をしてこなかった。当時の放射線検査の記録が昨年見つかったことを受けたもので、ビキニ水爆実験での被害の位置づけが大きく変わる可能性が出てきた。
出典:毎日新聞1月5日付「ビキニ水爆実験:船員被ばく追跡調査 福竜丸以外で初」



このビキニ水爆実験での第五福竜丸の被曝を契機に放射能観測をスタートさせた国立研究機関の気象研究所(私たち国公労連に加盟する労働組合がある研究所です。私は国立研究機関の担当です)の当時主任研究官の青山道夫さんに、私、インタビューしたことがありますので、その記事を紹介しておきます。(※2012年3月に行ったインタビューです。福島原発事故での放射能観測をめぐる青山さんの奮闘は、朝日新聞の「プロメテウスの罠」の第3章「観測中止令」においても取り上げられています)

福島原発から海洋に放出されたセシウムは
20~30年で日本沿岸に戻る


――放射能汚染は長期観測が不可欠
青山道夫氏(気象研究所地球化学研究部主任研究官)インタビュー

気象研究所は、半世紀以上に渡る世界最長の放射能観測を継続しています。東京電力福島第一原子力発電所で過酷事故が発生するなか、放射能観測の中核を担っている気象研究所の地球化学研究部・主任研究官の青山道夫さんにお話をうかがいました。

ビキニ事件を契機に放射能観測スタート
――気象研究所が放射能観測研究を始めるきっかけは何だったのでしょうか。また、どのような観測を行っているのでしょうか。

1954年3月1日、アメリカが南太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験によって、静岡の漁船・第五福竜丸が被曝しました。このとき、第五福竜丸の乗組員が被曝しただけでなく、海洋も大気も放射能で広く汚染され、日本列島にも「放射能雨」が降り注ぎました。このビキニ事件を契機にして気象研究所は1957年から海洋と大気の放射能観測研究をスタートさせたのです。ビキニ事件の当時、気象研究所にいた故三宅泰雄氏や故猿橋勝子氏をはじめとする研究者たちが、ねばり強く放射能汚染の実態を調査した結果によって、核実験による環境汚染の問題が広く認知されるようになったのです。

私は1984年に気象研究所に呼ばれ、放射能観測研究を託されることになり、現在は主に海洋汚染の問題を担当しています。海洋における放射能の観測は、太平洋を航行するさまざまな船に海水をくんで来てもらって分析します。大気については、気象研究所の敷地内(茨城県つくば市)に、大気中の微粒子をフィルターでつかまえる方法と、2メートル四方と1メートル四方の器に雨をためることで大気中に漂う微粒子を集める方法で、放射能を測定しています。

長期継続の放射能観測と実際の避難に役立つ拡散予測が必要
――1957年以来54年間にも渡って途切れることなく海洋と大気の放射能観測を行い、今後も継続していくことがなぜ重要なのでしょうか。

私の研究の役割を説明することで、継続した放射能観測の重要性が分かってもらえるかと思います。環境放射能についての私の仕事は大きく言うと二つあります。

一つは、核実験やチェルノブイリ事故、福島原発事故などで放出された人工放射能が海洋においてどうなっているかを研究する仕事です。人工放射能が、どれだけ海に降り注いで、どのように海洋汚染が広がっていくのかを観測によって明らかにするのです。放射能は長期に渡って地球規模の汚染をもたらしますから、観測自体も長期間継続的に実施する必要があるのです。

二つめは、長期に渡る観測を分析して、海洋の放射能汚染がどう広がるのかを研究し、さらに物質輸送モデルなどを使って再現計算を行うことです。1950年代や60年代の核実験での海洋の放射能汚染が30~40年でどう動いてきたかを分析すると、海洋の放射能がどう挙動するのかが分かります。地球環境が激変しない限りは同じ挙動をするので放射能汚染の予測モデルをつくることができます。日本だけでなく、世界にこれだけ多くの原発が存在する限り、私は世界のどこかで必ず原発事故が起きると思ってきました。

私は、岩波書店の雑誌『科学』1999年1月号に「動燃東海事故による放射性セシウムの関東平野への広がり」と題した論文を発表しています。この論文の中で「今回も示されたように観測データはしばしば人間が予測できないことを教えてくれるので、切れ目のない試料採取と観測・計測は事故時の評価とともに、事後の評価をおこなう上でも重要である」と述べるとともに、「事故が発生してから予測モデルを動かすのではなく、あらかじめ典型的な気象条件と放出条件を想定して、拡散予測をおこなっておくことも必要」と指摘していました。

また、アメリカや旧ソ連などが1945年から1980年にかけて実施した大気圏内核実験で降り注いだ放射性セシウム137の海中濃度が、日本近海で最近約10年間、ほとんど減らず横ばいのままであることが2010年10月に私の研究チームの分析で分かっています。約30年の半減期のセシウム137の放射線が減少し続ける一方で、南から来る黒潮に乗ったセシウム137が再び流れ込み濃度が維持されているのです。

核爆発で成層圏に上った後、ジェット気流などに乗り日本列島の太平洋側とアメリカ東海岸に最も多く降下し、中国が最後に大気圏内核実験を実施した1980年以降は、1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故を除き、新たに発生する原因はありません。

ところが、海水を採取したところ2000年から2010年にかけて、日本列島の近くでは、黒潮に沿った深さ約400メートルの海中で海水1立方メートル当たり2.0~2.5ベクレルのセシウム137が検出され続けました。

過去の核実験で日本列島の太平洋側に降下したセシウム137は海中に沈み、太平洋を東に移動します。途中で西に方向を変えた後、フィリピン沖で折り返し赤道に沿って東方向に進んでいるのですが、この折り返し地点で一部が黒潮に乗っていることが判明したのです。

こうした放射性物質の移動状況を参考にして、原発事故が起きたときの被害の広がりを予測することができるのです。

科学者の社会的責任を果たそうとした仲間の奮闘が世界最長の観測を継続させた
――福島原発の事故直後の観測はどうだったのでしょうか。

福島原発からつくば市にある気象研究所は約170キロ離れていますが、3月15日以降は大気ダスト中の放射能は高過ぎてゲルマニウム半導体検出器による通常の測り方では無理になり、計測の方法を工夫しながら計測する状態が続きました。

そうしたなか、原発事故からまだ1カ月も経過していない3月31日に突然、放射能観測の予算が凍結され、半世紀以上も継続してきた観測が途切れる危機に直面しました。財務省が予算を緊急の放射線モニタリングに回したいとしたのが観測予算凍結の根本的な原因でした。

放射能による地球環境の変化は長年にわたって観測し続けることでとらえることが可能となります。まして福島原発事故という重大局面のなか、今もっとも必要とされている放射能観測をやめるわけにはいかないと私は思いました。予算がストップされてもお金を使わなくてもいいよう、分析は後回しにしてもサンプルだけは取り続けることにしました。

不幸中の幸いでしたが、海水採取を委託していた日本郵船の船は、予算凍結を連絡する前にすでに出航していました。

予算凍結の原因だった緊急モニタリングに対して補正予算が付くことになり、8月から予算が戻り、気象研究所の放射能研究は続けられことになりました。

福島原発のセシウム137は20~30年で日本沿岸に戻ってくる
――福島原発事故による海洋汚染は今後どうなるのでしょうか。

これまでに福島原発事故で海に流出されたセシウム137は、黒潮に乗って東へ拡散した後、北太平洋を時計回りに循環し、20~30年かけて日本沿岸に戻ると私たちは予測しています。

海に直接出たセシウム137は、5月末までに3,500テラベクレル(テラは1兆)と試算し、ほかに大気中へ放出された後に海に落ちた量が12,000~15,000テラベクレル程度あるとみており、総量は15,500~18,500テラベクレルで、過去の核実験で北太平洋に残留している量の二十数%に当たります。

私たちは、核実験後に検出された放射性物質のデータなどを基に、今回の事故で出たセシウム137の海洋での拡散状況を分析しました。福島県沖から北太平洋へ水深200メートル以下の比較的浅い部分で東へ流れ、日付変更線の東側から南西方向に水深400メートルを中心とした深さで運ばれることになります。フィリピン付近から一部は黒潮に乗って北上し日本沿岸に戻ります。

フィリピン付近からはインドネシアを通過してインド洋、さらに40年後には大西洋に到達する流れのほか、赤道に沿って東に進み太平洋の東端で赤道を越えた後、赤道南側で西向きに流れるルートもあります。

海への流出量は、東京電力が作業用の穴の割れ目などから約1,000テラベクレルが出たと当初発表していましたが、海水で検出された濃度などから流出量を試算したところ、東電発表の3倍以上となっています。

福島原発事故で放出されたセシウム137の全体像を把握するには、太平洋全域での高精度の測定が必要になっているのです。

地震と火山の巣の上に原発をつくるのは愚か
日本には原発をつくっていい場所はない
――最後に、科学者の社会的責任についてお聞かせください。

科学者・研究者の社会的責任は、科学的データをきちんと分析して、客観的な事実を事実として正確に伝えていくことにあります。とりわけ、原発事故の放射能の問題は「風評被害」などの実害が伴いますので、マスコミに対しては、研究結果が正確に伝わるよう科学者として解説などで補足する必要もあると思います。

そして、科学的な事実は隠してはいけません。日本政府は国民に事実を知らせると「パニックになるから」などという理由で隠そうとする傾向がありますが、これは愚民政策であり間違っていると思います。

あわせて、科学者・研究者の自由な発言や発表を制限することも大きな間違いです。

私と研究者仲間の3人で『ネイチャー』(世界的に最も権威ある科学誌の1つ)に論文「福島原発から出た放射性物質の海洋環境への影響」が掲載させることが決まっていたのですが、掲載直前になって発表することが制限されました。結果的には別の科学誌『エンバイロメンタル・サイエンス&テクノロジー』に昨年10月、掲載されましたが、こうしたことも大きな問題です。この論文で指摘したのは、福島原発から海洋に放出された放射能は過去の核実験より数桁高く、チェルノブイリ原発事故で黒海やバルト海が汚染されたレベルより少なくとも1桁高いということでした。

そもそも、日本列島という地震と火山の巣の上=ファイヤーゾーンに原発をつくるのは愚かだと思います。アメリカにしてもヨーロッパにしても、ほとんど周辺に何もない地震の少ない場所に原発をつくっています。安全をきちんと考えれば日本には原発をつくっていい場所はありません。もともと日本において原発を推進するのは無理なのです。私は、こうした科学的真理を社会に向けて伝えていくことが、本当の科学者の社会的責任だと思っています。

私は昨年度まで数年間、気象研究所の労働組合の委員長や学研労協の常任幹事などをつとめましたが、労働組合としても研究機関に働く研究者の社会的責任が発揮できるよう取り組みを強める必要があると思います。


――以上が当時気象研究所主任研究官の青山道夫さんへのインタビューです。



有識者から測定データに疑問の声 ~海洋モニタリングに関する検討会 第1回会合
IWJ 2013年9月13日

東京電力や環境省、原子力規制庁などが行っている福島県沖の海水・海底土モニタリングについて、その調査・分析方法などを検討する会合が13日、原子力規制庁で開かれた。この日の会合では、規制庁がまとめた測定データに対して、外部有識者からその信頼性を疑問視する声が相次いだ。

外部有識者の一人、気象研究所の青山道夫氏は、資料データの中に「不確かさ」の値がないことを問題視し、「学生のレポートなら0点だ」と厳しく批判。規制庁側に説明を求めた。それに対して、検討会の座長を務める、原子力規制委員会の中村佳代子委員は「いわゆる論文のレビューとは違うと解釈していただきたい」などと的外れの回答を繰り返した。(IWJ・大西雅明)








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