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05.19
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専門家の異論を門前払い…原子力規制委員長の「妄言」が話題
2015年5月19日 日刊ゲンダイ

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原子力規制委員会の田中俊一委員長(C)日刊ゲンダイ

「異論」を唱える学者は宗教家なのか!?――。原子力規制委員会の田中俊一委員長の「妄言」が問題になっている。

仰天発言が飛び出したのは4月28日の会見。記者が、原子力規制委や九電が鹿児島の川内原発の「基準値地震動」(想定される最大の揺れの強さ)を過小評価している――と地震学者の石橋克彦・神戸大名誉教授が指摘していることについて質問したところ、田中委員長がムッとした表情でこう切り捨てた。

石橋さんが言っているだけであって、あなた(記者)が『石橋信者』だから、そんなことを言っている

専門家の異議をハナから「宗教扱い」とはアキれたご仁だ。「基準値地震動」は、鹿児島地裁が川内原発の再稼働を「容認」する判断基準にもなった。そんな重要な「指標」に専門家が疑義を唱えているのである。

田中委員長も学者のハシクレなら、きちんとデータを示し、科学的な根拠を示して反論すればいい。まるで異論を“邪教”扱いにして門前払いし、寄せ付けないとは学者の風上にも置けない人物である。

鹿児島地裁に再稼働差し止めを申し立てた原告弁護団の内山成樹弁護士はこう言った。

「(規制委や九電は)最大地震動が原発のところに来たら、もう諦めるという考え方なのでしょう。許せませんよ」

いやはや、こんな組織が日本の原子力行政を左右しているのかと思うと恐ろしい。トップである田中委員長の現状認識こそ「神懸かって」きているんじゃないか。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)




原子力規制委員会 定例記者会見 (平成27年4月28日)
フリージャーナリスト横田一氏の質問



ー田中俊一委員長の言葉は正確に文字起こしー

記者:
石橋克彦教授(日本の地球科学者。神戸大学名誉教授。専門は歴史地震、地震テクトニクス)が
「1月に原子力規制委員会に異議申し立ての主張をしたんだけれども、3ヶ月経ってもまだ、なんの回答もない。
田中委員長は非常にお忙しくて、まだお読みになっていないのか?理解していないのか?わからないが」
とおっしゃっていたんですが、石橋教授の異議申し立て、主張に対してどうお考えになっているのか?

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田中委員長ではなく、原子力規制庁総務課庁米谷仁が答える

記者:委員長はお読みになっていないんでしょうか?

田中委員長:はい、拝見していません

記者:
昨日石橋教授は
島崎委員という地震学者の方がいたけれども、思い込みで南海トラフ巨大地震のリスクを過小評価したんではないか?という疑問も提示されているんですが、それについてはいかがですか?

田中委員長:
まあ、島崎サーーーーーーンがいろいろご判断されてきたことに対して、私から何か申し上げるだけの私は知識も何もありませんし、あの、石橋先生は石橋先生のご持論があるんでしょうけれども、
まあ、島崎委員に、当時の委員は、それ、それなりに、あの、判断されたと思いますし、
そのいろんな議論はみんな公開されているから、分かるはずなんじゃないの?

規制庁の総務課庁の米谷仁:今整理していて、いずれ委員会で議論になるからそこまでお待ちいただきたい。

記者:
昨日石橋教授は鹿児島地裁の仮処分却下に関して、
直下地震留萌支庁南部地震に関して、これも過小評価しているんじゃないか?
仮処分の決定は観測地点のデータをもとに検討しているんですが、シミュレーションすれば、その値の1.5倍から2倍になると指摘していて、
シミュレーションするんは当然のことだと指摘しているが、その点についてはいかがか?

田中委員長:
あの、石橋さんのことも、その裁判所の決定のことについても、私はコメントする立場にないし、あの・・・何も言うことはありません。
あの…個人がどういう主張をされようが。


記者:
仮処分の根幹的な部分で、直下地震のリスクの評価が小さすぎると。
原告側の弁護士が、原発地震想定の

原子力規制庁:すみません、個別のことなので改めて広報室を通して、

記者:
いや、じゃ、一点だけ。
シミュレーションの手法を考慮しない今回の鹿児島地裁の決定というのは、
最新の知見を駆使したものと言えないとお感じにならない、
シミュレーションした結果も考慮するべきだとお考えにならないのですか?

総務課庁の米谷仁が答える。「委員長が先ほど申した通り、コメントする立場にない」

記者:
留萌市庁南部地震の件で確認したいのですが、
鹿児島地裁の却下についてはコメントできないということだが、
九電が地震についてリスク評価して、それを追認したというのが原子力規制庁なので、
その姿勢を今お聞きしている
ので、
この留萌市庁南部地震の観測点が最大だとご覧になっているのか、
シミュレーションすると1.5倍から2倍に、ちょっとずれたところに最大があるだろうというふうに考えてる二つの考え方があるんですが、委員長はどちらを取られるんですか?


規制庁:個別の話なので担当課の方に問いあわせいただけますか?

記者:川内原発の再稼動の根幹的な問題で

田中委員長:
我々の審査の結果を、一応裁判の方はそのそのそういうふうに判断しただけであって、
あのー、また別の方はまた違ったことを言っているし
いちいちそんなことに付き合っている暇はないですね


記者:留萌市庁南部地震の…

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田中委員長:
そんな、だって、シミュレーションやるのが正しいなんていうのは、あの、公知の事実でもなんでもなくて、石橋さんが言っているだけで、
あなたが石橋信者だからそんなことを言っているだけだよ!

(米谷仁の方を見て)もうアウトだよ!


記者:地域地盤環境研究所のシミュレーションの(マイクの音声切られる)

規制庁:見解の相違になっていますのでこれ以上の質問はお控えください。





ーーー


こうやって、自分に都合の悪い意見には「いちいちそんなことを聞いている暇はない」と耳を貸さず、
記者を「信者」呼ばわりして、まるで真実の報告ではない宗教の次元だとする。

原発の再稼動は、こんなふうに進められている。



ーーー

神戸大学名誉教授・石橋克彦氏、元GE原発技術者・佐藤暁氏 外国特派員協会記者会見
2015年4月27日








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comment 1
コメント
興味深い内容の共有ありがとうございます。
このような実態がメディアではほとんど報道されないのが残念ですね。
| 2015.05.27 09:14 | 編集
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