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避難区域解除・年間20ミリシーベルト基準〜南相馬市 毎日新聞&東京新聞の記事より



(年間20mSv以下の地域)
自主避難の人もそうでない人も原則として帰っていただきたい。



特集ワイド:
「忘災」の原発列島 国が避難指定解除→支援打ち切り 「20ミリシーベルトは安全」の非情
毎日新聞 2015年07月08日 東京夕刊

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民家の側溝の放射線を測定する市民団体のメンバー=福島県南相馬市原町区で
 
東京電力福島第1原発事故で古里を汚された住民が、国の避難政策の見直しで再び翻弄(ほんろう)されている。国は2011年11月までに局所的に放射線量が年間20ミリシーベルトを超す場所を特定避難勧奨地点に指定。昨年12月に基準を下回ったとして福島県南相馬市の指定を解除し、支援を打ち切ったが、住民808人は「安全だ」と繰り返す国を相手取り、解除取り消しなどを求める集団訴訟を東京地裁に起こした。住民の思いに触れようと、現地を歩いた。【石塚孝志】

 ◇福島県南相馬市、住民808人が取り消し求め集団訴訟

南相馬市原町区の馬場行政区。福島第1原発から約25キロ離れた農村は休耕田が広がり、西方に阿武隈山地を望む。原告の小沢洋一さん(59)が、指定地点だった民家の壁近くで手にした放射線測定器の表示は「毎時2・0マイクロシーベルト」。「高いなあ」と声を上げた。住民組織「南相馬・避難勧奨地域の会」事務局長。県内で除染業務ができる資格を持っている。

「毎時2・0マイクロシーベルト」とはどのようなレベルなのか。国が特定避難勧奨地点に指定した年間20ミリシーベルトを時間に換算した毎時3・8マイクロシーベルトより低いが、単純計算では年間11ミリシーベルトにも相当する。法令で定められた一般人の被ばく限度年間1ミリシーベルトの10倍以上だ。

年間20ミリシーベルトという値は、原発など放射線管理区域で働く作業員と同じ制限基準になる。そこでは防護服に身を固め、飲食や喫煙、滞在時間までも制限される。同地点に指定されると、避難の強制はないが、東電から1人当たり月額10万円の慰謝料のほか、避難者には行政からも固定資産税の減免などさまざまな支援を受けられた。ただ、指定は地域ではなく地点。そのため指定された民家の隣が非指定というケースも珍しくない。

国は南相馬市の山沿いの8行政区約800世帯のうち152世帯を指定した。他にも同県伊達市と川内村の一部を指定したが、共に12年12月に「基準を下回った」と解除。残った南相馬市も住民の声を無視して解除したため、8行政区の区長を先頭に未指定の世帯を含む206世帯808人が裁判に訴えた。

小沢さんが説明する。「放射性物質を含んだ雲は海からの風で北西に流れて山間部を汚染しました」。原発事故から4年。除染作業は進められてきたが、「山を汚染した放射性物質が西風に乗って飛んできます。国は安全と言いますが、放射性物質が集積されやすい雨どいの下などは依然として線量が高い」。

放射線量は、地面からの高さや向きでも変わる。場所を移動し、農道で小沢さんが測定器を差し出した。高さ1メートルで毎時3・84マイクロシーベルトだったが、高さ10センチに下げると、4倍強の同16マイクロシーベルトに上がった。「農作業や草むしりでは、土ぼこりを吸うこともある。特に土で遊ぶ小さな子どもには危険です。それなのに田畑などを含めた生活環境全体を測定していないのはおかしい」。測定器を山の方角に向けただけで数値が1・5倍に上昇した場所もあった。「指定前、私も国の測定に付いて回りました。その様子を見ると、玄関と庭先しか測定せず、測定する時も数値の低い値の方角を探しているようでした」。言葉に怒りがこもる。

指定解除で住民の帰還は進むのか。大谷(おおがい)行政区の自宅が指定され、市中心部の仮設住宅で避難生活を送る原告、林マキ子さん(66)は現在、長男(43)と孫(19)の3人暮らし。「指定が解除されたからといって自宅に帰れない。地区から離れた若い人には帰ってきてほしいと思うけど、(線量が)高い所があるのに、酷だよね」とつぶやく。

約80世帯約300人が住んでいた高倉(たかのくら)行政区には、70歳以上の120人程度しか残っていないという。自宅に残る元市議会議長で同行政区長の菅野(かんの)秀一原告団長(74)は「指定が解除されても若い人は帰ってこないよ。婦人会、PTA、消防団など地域のコミュニティーが崩壊した」。3人いる孫も遊びには来ない。「将来、もし孫に健康被害が出たら、大きな責任があるからね」。寂しそうな表情を浮かべる。指定解除については「20年の東京五輪開催までに福島は落ち着いたと世界にアピールしたいからではないか」と国への不信感を漏らした。

家の周囲や庭土などで詳細な放射線量と汚染の度合いを調べ、東京・霞が関と比較したい。こう訴えるのが、押釜行政区に住む「南相馬・避難勧奨地域の会」会長の末永伊津夫さん(67)。「国は南相馬を甘く見ている。ここで泣き寝入りしたら、将来、孫やひ孫らにお墓をけっとばされる」と一歩も引かないと語った後に「いずれ20ミリシーベルトの基準で避難指示を受けた地域が次々と解除されると、必ず問題になる」と訴えた。

末永さんの懸念は、国が6月に17年3月までの避難指示解除準備区域(放射線量が年20ミリシーベルト以下)と居住制限区域(同50〜20ミリシーベルト超)の避難指示を解除することなどを閣議決定したことだ。「南相馬市だけの問題ではないのです」

さらに、前出の小沢さんは「居住制限区域まで解除されたら、年間20ミリシーベルト以上の地点があったとしても南相馬市と同じように帰還を促されてしまうのではないか」と懸念する。確かに国や自治体は、住民の帰還を急がせているようにも見える。

そもそも年間20ミリシーベルトという基準は、どのようにして決まったのか。国が参考にするのは国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告で、緊急時を過ぎた復興期での「現存被ばく状況」で示す「年間1〜20ミリシーベルト」の上限に当たる。一方、南相馬の住民側が20ミリシーベルトを違法と主張する根拠は、事故前から国が各種法令の基にしているICRP勧告の公衆の被ばく限度「年間1ミリシーベルト」による。

国は「20ミリシーベルト以下だから安全」と繰り返すが、本来の意味は違うと説明するのは原子力規制委員会の「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」で委員を務める森口祐一・東京大学教授(環境システム学)。「20ミリシーベルトという基準は、政府が『住んではいけない』と強権的に決めた場所ですが、もし数値が下がったら『帰りたい』という住民に対応するという考えを基に設けました。20ミリシーベルト以下なら即帰還ではなく、国は、帰りたい人、帰りたくない人の意思を尊重しないといけない。だから解除イコール支援打ち切りではないはず」と話す。

除染した土を集めた保管場所、復興工事のため粉じんをあげて走る大型ダンプの列、カーテンが閉められ人けのない民家……。南相馬で目にした現状だ。原発事故はいまだに収束していない。






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2015年7月7日 東京新聞

20ミリシーベルト基準を許さない 避難指定解除 南相馬住民の決意
東京新聞 2015年7月7日


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線量を計測する小沢さん。高い放射線量を知らせる警告板も作った=南相馬市で

東京電力福島第一原発の事故で放射線量が局所的に高いホットスポットとなった特定避難勧奨地点の指定を解除したのは違法として、福島県南相馬市の住民約530人が、国に解除の取り消しと一人10万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したのは、今年4月17日のことだった。
 
原告団の一人で「南相馬・避難勧奨地域の会」事務局長の小沢洋一さん(59)は、訴訟を「20ミリシーベルト基準撤回訴訟」とも呼ぶ。「人の命が何より大切とはっきりさせる訴訟だ」とも。
小沢さんと現地を歩いた。

避難指示区域

特定避難勧奨地点に指定された152世帯は南相馬市の西側半分、阿武隈山地に連なる農村部に点在している。福島第一原発から25キロ前後。線量の高さを考えれば、避難指示が出ても不思議はなかった。行政区分を基にした単純な線引きで区域外とされたにすぎない。だが、あまりにも線量が高いことがわかり、国は追加措置をとる。地域の中で、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるとみられる地点で、小さな子供や妊産婦などがいる世帯を選んで避難を促す対応をとった。
 
「露骨な分断工作だった」と小沢さんは話す。「同じ小学校に通う子供で指定を受けた家の子とそうでない家の子がいる。指定を受ければ、慰謝料が払われた上、医療費、税金、電気代、ガス代、NHKの受信料までただになる。指定外の家の子も避難はしたが、経済的にも大変。誰だって理不尽だと思うでしょう」
 
福島県には伊達市や川内村の一部にも特定避難勧奨地点があったが、2012年12月に解除された。そして南相馬市についても、政府は昨年12月に解除した。除染により線量が年間20ミリシーベルトを下回ったのが解除の理由であると説明された。

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畑の端で、毎時17.7マイクロシーベルトと高い値が計測された

「分断」を乗り越えて住民は反対で団結した。地域の行政区長のひとりで原告団長でもある菅野(かんの)秀一さん(74)は「年間20ミリシーベルトを基準にするのもおかしいと思うが、地域の線量が、20ミリシーベルトを下回っているとは到底思えない。それでも特定避難勧奨地点がなくなれば、ただの地域になる。何ごともなかったかのように東電は賠償を打ち切るでしょう」と話す。
 
たしかに地域の線量は驚くほど高い。小沢さんと一緒に実際に線量計をもって計測して歩いたところ、田畑の際などで空間線量が毎時10マイクロシーベルトを超えるような場所が随所にあった。政府は年間20ミリシーベルトの積算線量に達する目安を毎時3.8マイクロシーベルトとしているが、楽に超えてしまう。
 
南相馬・避難勧奨地域の会の末永伊津夫会長は「東京五輪に間に合わせたいのか、政府は避難区域の解除に躍起になっている。その基準とされるのが年間20ミリシーベルトですが、無理があるのは明らかです。もしもこれが既成事実となったら、将来、世界のどこで原発事故が起きても20ミリシーベルトまでは大丈夫となる。こんなむちゃを黙認するわけにはいかないのですよ」と話す。
 
前出の菅野さんは、こうも話した。「解除しても現実に帰ってきた子持ち世帯はない。病院もスーパーも閉鎖。長寿会も少年野球もPTAも崩壊。地域社会がなくなった場所へ帰って来られるわけがない。年寄りばかりになって将来なんかない。先日、近所のおばあさんが池に身を投げた。皆で引き上げたけど助からなかった。ここで、どれほど悲惨なことがおきているか、政府は知っているのか。私らは伝えなくちゃならない」
 農民一揆、という言葉が頭に浮かんだ。 (福島特別支局長 坂本充孝)





<子ども被災者支援法基本方針改定>竹下亘 復興大臣「あ??…?ちと私は細かいことはわかりません」7/10(文字起こし)




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