「東芝グループとしては、原子力事業での燃料サービスビジネスに軸足を置いていく」8/31東京新聞こちら特報部

2015年8月31日 東京新聞 こちら特報部
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不正会計問題で揺れる東芝。
経営陣刷新などで信頼回復を図ろうとしているが、注目されたのが、原子力事業部門の会計処理だ。
日本では、東芝を含む大手3社が原子力事業を続けている。
世界では採算の悪い原発を諦める企業が少なくない中、日本のメーカーがこだわるのは、なぜなのか。
政府が進める「国策」も見え隠れする(木村留美)

原発に固執 日本企業
不正会計の東芝 消えぬ損失懸念


東芝グループとしては、原子力事業での燃料サービスビジネスに軸足を置いていく」。
新経営陣などを発表した今月18日の記者会見で、室町正志社長は、こう強調。
国際エネルギー機関(IEA)による世界のエネルギー需要予測や原子力発電容量の予測が増加することを引き合いに、原子力事業の将来性に強い期待を示した。

東芝は、収益目標の達成に向け、損失の先送りなど不正な会計処理を繰り返していた。
経営幹部は不正会計処理について、社員に圧力をかけていたとされ、歴代3社長が辞任に追い込まれた。

批判にさらされた東芝は、半導体事業やパソコン事業などの資産価値をあらためて見直し、経営陣を刷新することで、信頼回復を図ろうとしている。

実は、一連の不正会計問題の中で、市場関係者の注目を最も集めていたのは、原子力事業をめぐる会計処理だった。
東芝は2006年、米原子力関連企業ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を買収。
世界の原発市場に本格的に乗り出した。

買収額は約6400億円。
当時から「評価額が課題では」との指摘があったが、東芝は、WHの資産と買収価格の差額役3500億円を会計用語で言う「のれん代」として資産に計上した。
これは、将来の収益が見込めず、回収が難しいと判断されれば損失処理する必要がある。

業績開示せず
東芝は、WHに関して「(損失の処理が必要となるような)状況の変化は生じていない」(室町氏)とし、
今も評価を変更していない。
アナリスト説明会の出席者からは、WHや原子力事業に関する質問が相次ぎ、原子力事業の業績開示を求める声も上がったが、東芝側は「(業績開示は)検討しているところ」と回答するにとどめ、懸念はくすぶったままだ。

不採算、欧米では撤退加速
世界の原子力プラントメーカーなどが置かれている環境は厳しい。

スリーマイル島、チェルノブイリ、東京電福島第一と大きな原発事故を経て世界の原子力産業の勢力図は大きく変化している。

資源エネルギー庁によると、1980年代には原発プラントを製造する主なメーカーは欧米で原発の新増設が困難になったことや福島第一原発事故の影響などから、撤退や再編が進み2014年には8社にまで減少した。
米国単独のメーカーは消滅。
欧州でも次々姿を消し、変わって韓国や中国のメーカーが台頭している。

ドイツのシーメンス社は2009年に本格的に原発事業に乗り出そうと、ロシアのロスアトムと合併会社設立の覚書まで交わしたが、2011年に計画を撤廃してしまった。
シーメンス社の広報担当者は「原発事業は収益が望めないと判断した。将来的にも原発の主要な技術には関わらない」と説明する。
福島第一原発事故とドイツ政府が脱原発を宣言したことが決定的だったという。

米国のゼネラル・エレクトリック(GE)は今のところ「原子力事業は重要な位置付け」(担当者)としているが、2012年にはジェフリー・R・イメルト最高経営責任者(CEO)が「原発の正当化は難しい」と発言したことがあった。

日本ではこの間、三菱重工、東芝、日立の三社が合弁会社を作るなどして生き残った。
三菱重工はフランスのアレバ社と共同開発にも乗り出しており、世界の原発勢力図で占める割合は日本勢が最大となっている。

業績に関しては、東芝と三菱重工はともに「個別の事業の業績は開示しない」とし赤字か黒字かすら公表していない。
日立は原子力事業の収益について本業の利益を示す営業利益ベースで「12〜14年度まで黒字だった」としているが、広報担当者は「売り上げ自体は落ち込んでいて厳しいのは間違いない。コスト削減などの努力でなんとか黒字にしている」と説明する。

東芝にしてもWH株については「株式を過半数持つことは必要だが、多ければ多いほどいいとは思っていない」(東芝担当者)として、2006年以来、一貫して売却先を探し続けている。
パートナーとなる引き捕手を見つけられずにいるのが実情だ。
それどころか、当初は77%だった持ち株が、現在では87%にまで膨らんでしまっている。
一般的に市場から有望な事業とみられていれば、買い手を見つけるのはこれほどまでに難しくないはずだ。

丸抱え 国策見え隠れ

業績が見通しづらく先進国のメーカーが撤退する中、それでも日本勢が原子力事業に固執するのは、なぜなのか。

「日本の株主の性質」を理由に挙げるのは経済ジャーナリストの町田徹氏。
「世界的には原子力事業は曲がり角に来ている。米国であれば不採算事業を株主が許すことはない。日本では『(原子力事業は)国策だから大丈夫』などと説明されれは、納得してしまうことも多い。本来は切るべき不良債権も見逃されがちだ」と指摘する。

元経済産業相でエネルギー政策に詳しい古賀茂明氏は「各社は原発技術者をたくさん抱えていて、その中から出世した幹部もいる。過去にはプラントなどを電力会社に高値で売って、もうかってきた歴史もある。未だに梅を見ているのだろう」と話す。

実際に「国策」そのもののような国の政策も進んできた。

東芝がWHを買収し、日立とGE、三菱重工とアレバが連携して、三つどもえの現在の構図が出来上がったのは2006年だった。
これは「原発は2030年以後も発電電力量の30〜40%以上」とすることを盛り込んだ資源エネルギー庁の原子力立国計画が策定された時期と重なる。

国内ダメなら海外売り込み

ところが福島第一原発事故で、国内での原発の新増設が見込めなくなる。
すると、今度は安倍晋三首相自らトップセールスを働きかけるなど海外への積極的な原発輸出を展開。
トルコ、ベトナムとの優先交渉権を獲得し、複数の国への輸出も模索している。

世界の流れに逆行

さらには、経済界や電力会社からの要望の強い将来的な原発の新増設の動きもちらつく。

「原発事業は儲からなくなっているのに、国があらゆる面で支えている構図だ」と古賀氏。
「日本は先進国が進めている再生可能エネルギーでも遅れを取ってしまっている。世界の流れに逆行している」


デスクメモ
♪ひかる、ひかる東芝〜♪かつて、テレビから頻繁に流れていた企業CM曲。
時代は高度経済成長期。
原発の生み出すエネルギーを想起させるような未来を示唆した画像だった記憶がある。
もはや、原発に明るい未来などないことがはっきりした。
原発と早く縁を切ることが東芝再生への早道ではないか。(国)







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コメント

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驚いたァ!!

よくこんな東芝のCMなんて残してありますねェ~!
 小泉が脱核発電と言っているのは「儲からないのが分かったから」これが新自由主義の論法。
この東京新聞も彼を推しているんだよね。
先日もコイツの講演を記事にしていたし、都知事選の時も、投票日朝刊は細川が雪の中挨拶を終えた部分を頭上背後から撮った写真だった。
 私は「何で宇都宮氏じゃないんだ!」と紙面を見ながらツッコミ入れてたよ。
 だってそうでしょ!?先に起っていたのに、それを潰しに掛かったのが、小泉細川ですよ。そんな奴らに、それまで脱核発電で結束していた人間が分裂してしまったんです。
まぁ、宇都宮氏が共産党支持で出馬したというのも影響は有ったんでしょうがね。
 何せ広瀬氏などは、その昔共産党に虐められた連中ですからね。
 結論的に言うと東京新聞も保守的部分からは完全には抜けだせない新聞社ではあるんで、気を付けましょうね。
 私はその辺を理解しながら30数年購読してきました。まぁ、他紙よりはマシですからね(笑)
 あ!忘れてました!東芝は遅かれ早かれ上場廃止になります。成らないとしたら、安倍政権が核発電擁護の為、国費を投入する時でしょう。何せ米国からの命令には逆らえない政権ですからね。
尚、その後には三菱重工の訴訟問題も待っています。
東芝粉飾1875億+WHのれん代6000億。
三菱賠償金9800億。
これらが税金で補てんされます(怒)