「原発の収束作業で発がん」 札幌の男性、東電など提訴へ
北海道新聞 2015年09/01 06:30、09/01 16:17 更新
東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事した後に三つのがんを併発した札幌在住の元作業員男性(57)が、がんになったのは作業中の放射線被ばくが原因などとして、東電などに約6500万円の損害賠償を求める訴訟を1日、札幌地裁に起こす。弁護団によると、事故収束作業の被ばくと発がんの因果関係を争う裁判は全国で初めて。
この因果関係をめぐっては現時点では労災が認められていないが、救済への道を開くのか、司法の判断が注目される。
男性は2012年6月にぼうこうがん、13年3月に胃がん、同5月に結腸がんを、転移ではなく別々に発症した。
男性は東電に対し、原子力損害賠償法に基づく賠償を請求。手作業でのがれき撤去などで無用な被ばくをさせたとして、元請けの大手ゼネコン(東京)と1次下請けの建設会社(同)には安全配慮義務違反の慰謝料を求める。
男性は11年7月から10月まで、福島第1原発で、がれきの撤去作業などに従事した。男性の記録上の被ばく線量は4カ月間で56・41ミリシーベルトと、通常時の原発作業員の年間法定限度の50ミリシーベルトを超えている。
東日本大震災:福島第1原発事故 「作業で発がん」 がれき撤去従事 東電など提訴
2015年9月2日 毎日新聞
東京電力福島第1原発事故の収束作業中に被ばくしたためがんを発症したとして、札幌市の元作業員の男性(57)が1日、東電などに計約6472万円の損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。男性の弁護団によると同原発事故の収束作業とがん発症の因果関係を争う訴訟は全国初という。
訴状などによると、男性は事故の約4カ月後の2011年7月上旬から10月末までの間、原発構内で、がれきを重機で撤去する作業などに当たった。
事前の説明では、鉛で覆った操作室内から重機を無線で遠隔操作するはずだったが、重機が使えない場合などには、屋外に出て手作業で撤去したという。
公式の累積被ばく線量は4カ月間で56・41ミリシーベルトに上り、通常時の原発作業員の年間法定限度の50ミリシーベルトを超えた。線量計を身に着けなかったこともあり、実際の被ばく量はさらに高くなるとみられるという。男性は12年6月にぼうこうがん、13年3月に胃がん、同5月に結腸がんをそれぞれ発症。転移ではなく別々に発症した。
東電に対し、原子力損害賠償法に基づき約5472万円を請求。安全配慮義務違反に当たるとして、元請けの大成建設(東京都)と下請けの山崎建設(同)に計1000万円を支払うよう求めている。
東電は「訴状が送達されていないため詳細は承知していないが、真摯(しんし)に対応したい」とコメントした。
男性は13年8月、福島県の富岡労働基準監督署に労災認定を申請したが、15年1月に不支給の決定が出たため、福島労働局に審査を請求中という。
提訴後、記者会見した男性の弁護団代表の高崎暢(とおる)弁護士は「廃炉に向けて何十年も危険な作業に携わらなければならない作業員がいる。責任の所在を明らかにし、被害者救済の道を開きたい」と話した。【日下部元美】
2013年10月6日
<福一作業員労災申請>膀胱と胃と大腸、転移でなく、それぞれの臓器で独立して癌発病。より
福島第1原発で4カ月 がん「被ばくが原因」 札幌の55歳男性が労災申請
北海道新聞 2013年10月6日(10/06 07:25、10/06 14:43 更新)
東京電力福島第1原発事故後の2011年7月から10月まで同原発で作業し、
その後膀胱(ぼうこう)がんなど三つのがんを併発した札幌市在住の男性(55)が、
発がんは作業中の放射線被ばくが原因だとして労災の申請をしていたことが5日分かった。
原発事故後、被ばくを理由に労災を申請した人はこの男性を含めて全国で4人。
いずれも審査中で、労災が認定された例はまだない。
男性は重機オペレーターとして同原発の原子炉建屋周辺でがれきの撤去作業などに従事した。
被ばく線量が4カ月間だけで原発作業員の通常の年間法定限度である50ミリシーベルトを超えたため、
同年10月末で現場を離れた。
12年5月に膀胱がんが見つかり、札幌で手術。
今年3月には大腸がんと胃がんも見つかった。
現在も通院しながら抗がん剤治療を続けている。
転移でなく、それぞれの臓器で独立して発病していた。
<北海道新聞10月6日朝刊掲載>
「まずいな」線量計外す合図
原発労災申請の男性「命懸け、結局使い捨て」
北海道新聞 2013年(10/06 10:11、10/06 11:49 更新)
「線量計はピーピー鳴き続けた」「赤いバツのついたがれきを手作業で運んだ」。
東京電力福島第1原発の事故処理の最前線で4カ月働き、
放射線被ばくが原因でがんになったとして労災申請した札幌市内の男性(55)は、
北海道新聞の取材に、2年前の現場の現実を生々しく語った。
56・41ミリシーベルト。
厚生労働省の「特定緊急作業従事者等被ばく線量等記録手帳」に記された
2011年7月から10月までの4カ月間の男性の被ばく線量だ。
「本当はこんなもんじゃない」と男性は言う。
放射線量の高い現場に到着すると5分もたたずに胸の個人線量計の警告音が鳴る。
「まずいな」。
現場責任者のつぶやきを合図に作業員が線量計を外す。
マニュアルでは線量が高ければ現場から退避することになっているが、
実際は放射線を遮る鉛を張った車中に線量計を隠すなどして作業を続けたという。
男性は重機オペレーターとして道内外の工事現場を渡り歩いたが、原発は初めてだった。
大手ゼネコンの下請けで、月30万円近い基本給に1日1万円の危険手当が付いた。
主に担当したのは重機の遠隔操作だが、
重機に乗り込むことやコンクリートの破片を手作業で取り除く作業も多かった。
線量の高い現場では遠隔操作のロボットも使う。
だがロボットが通る道を確保するには、どうしても人の手が必要だった。
水素爆発で建屋が吹き飛んだ3号機の周辺には、
1時間いただけで20~30ミリシーベルト被ばくしてしまう場所があちこちにある。
特に線量の高いがれきには赤いスプレーで「×」と印が付けてある。
前線基地の免震重要棟での朝礼で「赤い×には近づくな」と注意した現場責任者その人自身が、
最前線に行くとがれきを手作業で運ぶ。
作業員も黙って手伝う。
「言っていることとやってることが、まるで違った」
防護マスクのあごの部分にびっちりと汗がたまり、
放射線対策の鉛が入った重さ15キロの防護服を着て原子炉近くで作業したこともある。
「命懸けで作業した。そして、使い捨てにされた」。
男性は今、そう思っている。
膀胱(ぼうこう)と胃、大腸。
転移したわけでもなく3カ所でがんが見つかったのは被ばくと関係あるはずだと考え、
今年8月に労災を申請した。(報道センター・関口裕士)
<北海道新聞10月5日朝刊掲載>
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訴えられる前に、やれよって事だろうがァ(怒)!!
被ばくさせてしまったのは、事故を起こさなければ無かった事。