~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
日時:2015年9月21日(月・祝)9:30 ~
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(国際交流棟 国際会議室)
2日目
CTスキャンによる低線量被ばく後の発がんリスク―逆の因果関係について何が言えるのか?

ジョン・マシューズ
所属:メルボルン大学 人口学・国際保健学大学院
専門:疫学
プロフィール
ジョン・マシューズ氏は、パプア・ニューギニア、オックスフォード、メルボルン、ダーウィンおよびキャンベラでの経験を持つ疫学者である。枯れ葉剤(Agent Orange)、電離放射線、インフルエンザのパンデミック、SARS、先住民の健康、BSE、v-CJD、研究方針、保健サービスおよびデータ結合などのさまざまな分野にわたり、オーストラリア政府の顧問を務めている。メンジーズ・スクール・オブ・ヘルス・リサーチの理事長(1984-99)、およびオーストラリア政府の上級顧問(1999-2004)を務めた。近年はメディケアの匿名化データを用いて、小児期のCTスキャンの発癌リスクを研究している。
スライド
診断用放射線被䜀く後䛾がん 低線量放射線被䜀く後䛾線量反応曲線についてわかっていること
ジョン・マシューズ:
私の今日の話のテーマですが、CTスキャンによる被ばくの影響ということで、オーストラリアの、特に若年層を対象とした調査の結果について共有したいと思います。
この研究の重要性としましては、CTスキャンというのは通常10mSv以下の被ばくにとどまります。
これは今語られている100mSvというしきい値、「これ以下は全く影響がない」というふうに一部の人が言っている、このしきい値よりももっと低いレベルでのお話であるということで重要な研究結果となっているというふうに考えています。
テーマでありますけれども、診断用のCTスキャンの被ばくによるがんのリスクはどうなっているのか?
20歳以下におけるリスクはどうなっているのか?ということについてお話します。
また、幾つかのバイアスの可能性についても、逆の因果関係などについてもお話します。
また速報としまして、核医学検査後の電離放射線被ばくによる発がんのリスクについても、新たな情報を共有したいと思います。
そしてまた、我々のデータとLSSの研究結果の比較を試みたい。またそれ以外の研究結果との比較も試みたいと思います。
過去のデータ、そして新たなデータというのが混在するわけでありますけれども、
これらが示唆しているのは、線量反応曲線につきまして、この形状が過去のものと少し異なっているということを示しています。
そしてもちろん、将来の診断用放射線のリスクということについても懸念しなければいけないということで、これについてもお話いたします。
日本人が低線量被ばくに関して関心を持つべき3つの要因
さて、ここで重要な点としましては、「日本というのは3つの要因から低線量被ばくに関して関心を持つべき」ということであります。
まず、原爆の投下による長期的な影響というのが一つ目の要因です。
この情報によりまして大変良いデータというものが、この被ばくの影響というものが提供されております。
低線量被ばくに関して日本が関心を持つべき二つ目の理由としましては、CTスキャンを世界で最も診断用に活用している国民であるということです。

これは一人当たりという値でみますと、アメリカよりも、オーストラリアよりも、そしてイギリスよりもはるかに高いレベルで活用されているわけです。
ということでそのリスクについても検討するべきでしょう。
そしてもちろん今回のこの会議の主なテーマとしまして、福島の原発事故による低線量被ばくの影響、そして短期長期的な被ばくの影響というテーマが三つ目の要因であります。
小児期CTスキャン後のリスクの増加について
CTスキャンの背景としまして何が言えるかと言いますと、
2000年頃にブレナーが小児期のCT後のリスクの増加について研究結果を出しています。
これはLSSの結果に基づいた研究結果です。
そして英国におきましては、2012年パラレル、私たちと同時にピアース等がイギリスのデータを用いて小児期のCTスキャン後の脳腫瘍と白血病の実質的な増加がみられた、それが示されたと言っています。
そして我々の調査ですけれども、これはオーストラリアの調査なんですけれども、実質的な脳腫瘍、白血病、さらにその他の固形がん、ほとんどすべての固形がんの実質的な増加がみられたということを示しています。
この電離放射線の被ばくというのは、イギリスの調査と比べてオーストラリアは約4倍の被ばく量でした。
またLSSの低線量被ばくの量におきましては、約4〜5倍でありました、LSSと比較してということですね。
これがオーストラリアの研究の詳細となります。
もちろんLSSのスパンの方が長期的ではありますが、医療被ばくのコホートの長期的な追跡調査を行うことによりまして、低線量の放射線問題の答えというのがLSSよりもより出やすくなるだろうというふうに考えるわけです。
さて、我々の研究ですけれども、CTスキャンの記録というのがオーストラリアのメディケアという、国民簡易保険の0〜19歳の人口。
1985年から2005年の間のCTスキャンの記録を元のデータとして使いました。
そしてCT被ばく12ヶ月以降のデータのみを使いました。
もちろんデータ結合におきましてはオーストラリアの保険福祉研究所の高セキュリティユニットにおいてデータ結合、データの収集を行って、さらにメルボルン大学において匿名化されたデータの分析を行いました。

CTの被ばく群は68万人でした。
そして対照群、非被ばく群は1000万人以上でありました。
もちろん複雑な手法を活用したんですけれども、これによりまして年齢というものを1年ごとに計算していく、というような手法を活用しました。
そしてその結果出てきたことというのが、大変よく、統計的にも基盤が築かれているというふうに申し上げられます。
データというのは我々が予期した通りのものとなりました。
これが白血病の年齢別の発症率を示したグラフであります。

そしてこちらの方が典型的な曲線がみられていますが、
これが年齢別の脳腫瘍の発症率を示した曲線となっています。

ということで、どれくらいの追跡人年があったのか、ということですけれども、

被ばく群におきましては648万人年、そして非被ばく群におきましては1億7千719万人年という人年になりました。
そして追跡年間の中央値が9.5年と17.3年。
そしてがんの発症数というのが、被ばく群においては3150件、そして非被ばく群においては5万7524件となりました。

3150という被ばく群のがん観察があったわけですが、ここは12ヶ月以内に発症したがんに関しましては、CTスキャン後1年以内ということですけれども、これは検討しませんでした。含みませんでした。
そして5年10年という中では、このがんの件数というのが減っていきました。
けれどもいずれにせよ被ばく群のがんの期待数というのをこの3つの期間においてそれぞれ計算することができたわけです。
そしてIRR(罹患比率)と95%信頼区間というのを下の方にそれぞれ示しています。
1年ラグで24%。そして5年で1.21、そして10年で1.18というIRRとなっているわけです。
そして関係性としましては、がんの発症率とCTスキャンの回数ということをこのように図で表しますと、

CTゼロのところは増加なし、というところからスキャンの回数ごとに増加がみられるということが言えると思います。
このトレンドというのは被ばく群だけを見たとしても、CTスキャン1回でも大変有意な統計結果が出ているということが言えます。

そしてすべてのがんの種類、ほとんどすべてのがんの種類について同様のことが言えるわけです。
例外は後ほどお話しします。
脳腫瘍、軟部組織、甲状腺、白血病、というものがあるわけですが、脳腫瘍というのが最も顕著であった。
というのはCTスキャンというのは、だいたいその6割が脳に照射されるということで脳腫瘍が増えています。
そしてさらに、このように脳腫瘍のリスクというのが平均的に高まっているわけですが、これはIRR2.03ということで、その信頼区間が2.43となっています。
これ、どのように測定するのか?
CTのがんのリスクはどのように測定することができるのでしょうか?

過剰相対リスクというのを見ることができますが、この平均リスクというのがCTスキャン1回ごとに16%増えている。
そしてこれは14%という全体の数字が出ていますが、これはより何回もCTスキャンを受けている対象者が多かったからです。
そして被ばく後に早い段階でがんが発症したという絶対リスクに関しましてはCTスキャン2000回ごとにがんが1過剰発症しているということが言えます。
CTスキャン2000回ごとにがんが過剰発症しているわけでありますけれども、時間が経過するにつれてこれが増え続けるというふうに言えます。
そして被ばく後のがん発症者の寄与リスクですが、だいたいCTスキャン1回ごとに14%上がると、こういった可能性である、
ただサブグループで若い時に被ばくをした場合、患者はその3倍の67%になります。
次のスライドをご覧ください。

これは一つの例です。
子供が5歳未満でCTスキャンによって頭部に被ばくをすると、実際の非被ばく群と比べると脳腫瘍の平均発生率が3倍になると。
単純に3倍という簡単な数字を使っていますが、この寄与リスクですが、
被ばくによるがんの寄与リスクというものを被ばくをしないもので引いて3で割るということは3分の2ということで、全被ばくの中の過剰発生率が67%ということになります。
若い頃に被ばくをした場合の寄与リスクが67%になります。
また考えるポイントとして、がんのリスクと放射の位置です。
発がんのリスクというのは実際に照射された箇所で最も増加する傾向があります。
実際に頭部の使用の後脳腫瘍が多く見られています。
これは原因仮説とも一致していますが、おそらくCTスキャンの照射によって脳腫瘍が増えているということも言えるんですが、ただ実際に前癌状態がある、もしくはがんの初期状態があるからこそCTを使用したと主張する人もいるかもしれません。
こういった可能性に逆の因果関係があるということを考えますと、違った期間を見て検討を行いました、

最も短い遅滞期間ですが、この場合は当然「逆の因果関係」というものが見られます。
実際にがんの症状、もしくは前癌状態があったからこそCTスキャンが行われたということになります。
こういった問題でBMJの論文の中では被爆後の12ヶ月以内の遅滞期間に発症したがんは除外することを選択しました。
後でこの詳細はカバーしていきます。
それでは、がんの診断率を見ていきたいんですが、

CTスキャンを受けた後の診断率がここに示されています。
これは重要なポイントを示しているスライドであるんですけれど、
左上の箱、これはCTスキャンをとったあと3ヶ月以内に初めて取られた診断率になります。
CTスキャンががんの診断のために行われたということが明確にわかっています。
ただ、がんの診断率ですが、CTスキャンが行われてから1年〜2年後のがんの診断率はかなり低いと。
しかしその後急に診断率が上がっていく。
この遅滞期間が長くなれば年齢が高くなる。
つまりがんの罹患率が高くなるわけです。

↑こちらが示すのは同じデータなんですがちょっと違ったフォーマットでデータを見せています。
で、こちらのデータですが、↓

こちらは細かく区切って最初のクオーターをみて、今度はロングスケールでみて、
で、被ばく率がここに書いてあるわけですが、
なぜこのレグ期間の中で6歳、それから
この期間の中で、どのようにこの被ばくグループと非被ばくグループの違いがあるのかということを見ているわけです。
こちらの平行のラインは、我々の前提であるリスクモデルに一致しています。
このなかに過剰リスクというものが見られるわけです。

これはちょっと複雑なスライドですが、ここで言いたかったのは複数のモデルを見てそれを二つの分布を最後のスライドから見て、これを逆の因果関係というものを見ているわけです。
それと遅滞関係との関係を見ています。
遅滞期間と若年化関係ですが、2歳の段階で出てきます。
ですからがんで1年以下の遅滞期間の部分は除くと。
おそらく2年のほうがいいかもしれませんが1年ではなくてですね。
少なくともこういった重要なベンチマークができましたので、1年もしくは2年経てば、それ以降のCTスキャンの被ばくというのが逆の因果関係で問題にならないということがわかっています。

逆の因果関係モデルですが、95%の信頼区間を示しています。
ERRは95%の信頼区間を測定していますが、若い時に被ばくをした人のほうがリスクが高くなるという前提でこの仮説を見ています。
年齢に依存した結果と非常によくあっているわけです。
ここでわかることは、10歳の頃のERRですが、mSv当たり0.11~0.16になると出てくると。
30歳になるとERRの数字が大きく下がることがわかります。
逆の因果関係を調整した推計値ですが、われわれのBMJの論文の結果とも一致していますが、以前の論文の推計値よりも高くなっています。

我々のこの結果は信頼できるのか?ということなんですが、可能性のある問題としてはがんになった方をみた場合
(動画切れる)
それほど違っていないと思います。
すべてのこういった調査というのは、測定のエラーというのは発生する可能性はあるわけです。
もちろんバイアスもあるかもしれません。
線量のバイアスもあるかもしれません。
私たちのモデルは年齢に関する感受性というものを明確に考慮しているために、より効率的にデータを利用できるということもあります。
ですからこの分析のほうがBMJよりも、より効率的な結果が出ていると、これは一貫した結果が出ていると言えますが、それ以外の可能性としては初期のがんというのは実際に遺伝的、もしくは確率的選択により最も感受性の強い人に発症しやすいということもあるかもしれません。
もう一つの可能性として考えるべきポイントとしては、この線量反応曲線の傾きですが、ERRは線量ということなんですが、これを見た場合低線量域のほうが、例えばCTスキャン、こういった低線量のほうですが、10mSv以下の部分、こちらの方が高線量のエリアよりもLSSにおけるERRmSvの数字よりも大きくなると。
で、こういった効果ですが、250mSvを超えるような線量にこのような差ができます。
ですからここでは驚くことではないんですけれども、この線量の反応ですが、実際の線量によって大きく変わってくると、この考え方をもう少し詳しく説明していきたいと思います。


その前に少し簡単ではありますが、新たな核医学という医療の領域における結果というものも出ているということでお話ししたいと思います。
端的にお話ししますと、全体の被ばくグループにおける、これも若年層の被ばくなんですけれど、被ばくの調査というのがこのように出ています。
核医学検査でがんの検知目的以外のものを除いた場合には少しその数値は下がりますが、けれども統計的に有意な数字というものがそれでも出ているという速報が出ています。
この研究に関しましては、逆の因果関係についてはまだ完全に調査が進んでいるわけではございません。
大変膨大な作業となるわけでありますけれども、このような速報が出ています。

CT、そして核医学検査ERR線量の主な相違でありますけれども、LSSよりも大幅に、ERR/線量の数値というものが大きくなっています。
ここには何か拡大をしているようなバイアスが存在するのでしょうか?
一つのあり得る可能性としましては、逆の因果関係があるというふうに言えます。
また被ばく群のCT線量の過小評価をしているという可能性というのも完全には否定できません。
けれども、どのように生物学的な差異というものを説明できるんでしょうか?
学術学的の観点からは低年齢の被ばくの方がセンシティブであると言えますし、初期のがん症例の方が最も影響を受けやすいということも言えるわけであります。
現行のモデルではそのような限定的な側面があるわけですけれども、それについても回避策というのをみつけています。
ここで焦点をおくべきは、低線量域におけるERR線量係数の方が大きいということなわけなんですけれども、
ここでのCTスキャンの線量の中央値というのはちなみにLSSより大幅に低いということを覚えておかなければいけません。
高線量においては細胞死という可能性もありますし、低線量においてはバイスタンダー効果の影響、そのたホメオパシー効果というのもありまして、これによって曲線が変わってくるという可能性も否めないわけです。

少し距離を置いた形で、被ばくということについて全体的に見ていきたいと思うんですけれども、
放射線治療というのはがんの治療に有効であるという考え方が一般化していきています。
そして大変高線量という、特定の臓器に照射して、ターゲットした形で照射しているわけでありますけれども、
これががんに当たるという治療でありますけれども、このグレイ(Gy)ごとの線量の範囲とそのリスクというものが原爆の生存者をCTスキャンした等々と比較してこのようにわかってくるわけです。

このような低い線量で最も急勾配になるという曲線でありますが、これを一つグラフにまとめるためにはこのようなグラフを作成する必要があるのですけれども、ここで明らかに負の相関関係というのが有意に現れています。
この結果というのをこのように、線量反応曲線モデルに置き換えることもできるわけです。

この曲線でありますが、これは直線ではない。
一つの可能性としましては、被ばくといっても低線量の被ばくの方に我々は可能性が高いと。
そして高線量においては細胞死、そして放射線保護という影響もあって、センシティビティ、その可能性が低まるという可能性があるということをこの曲線は示しています。

ということで、ブレナーやその他の研究者がBMJその他の論文で発表していますように、そして多くの研究者が言及していますように、この曲線、線量反応曲線というのは超線形のカーブであるということが示唆されるわけです。
それが我々の研究においても繰り返されました。
DNAの修復、バイスタンダー効果など、低線量においてはそのような影響が考えられるということもその影響の一つではないでしょうか。
結論の重要な一部としましては、単位線量、本当に低線量域における単位線量あたりの発がんリスクの方が大きいのならば、バックグラウンド放射線のがんのバックグラウンド発症率に影響を与えている可能性があるということ、これが大変重要な点であるわけです。
これが福島の汚染においても大きな意味を持つと言えるのではないでしょうか。
CT被ばくの被ばく量というのが大変低線量であるため、この長期的な影響というのをより長期間追跡調査することによりまして、低線量放射線の問題の答えを出すということに貢献すると大きく期待しております。

まとめでありますけれども、オーストラリアのCTスキャンの研究というもの、100ミリグレイ未満という低線量の放射線でみていきました。
ということで原爆生存者のLSSコホートよりも低い平均線量、そして低い平均年齢で被ばくした人々を対象とした調査でありました。
CTスキャン放射線照射の白血病のリスクに関しましては、原爆生存者のLSSのリスクとよく一致しているということが確認されました。
CTスキャンの約6割というのが頭部に照射されるため、平均臓器線量は40mGyでした。
これは4.5mSvということになりますけれども、これによってCTコホートによる脳腫瘍の増加というのは驚くことではないということがわかります。

またモデル化によりましてわかったこととしましては、CT後12ヶ月以降のほぼすべての過剰がんが実際にCTスキャン被ばくに起因することを示唆しています。
そして被ばく後初期の数年間の過剰がんというものは、おそらく確率的および遺伝的な理由で最も可能性が高い患者に発生するということがわかりました。
さらに放射線の曲線、線量反応曲線は低線量、そして短い遅滞期間で非常に急勾配になるということがわかります。
その理由としては様々ですかれども、
遺伝的感受性、確率的選択、バイスタンダー反応、ホメオパシスメカニズム、そして高線量における細胞死などがありうる。
そしてこれは今後の放射線防御において大変重要なことを示唆しているということが言えると思います。
私の発表に関しましては以上でおしまいとなります。
この結果について懐疑的な人々から幾つか鋭い質問というのが投げかけられていますので、それに関しましても私の方からパネルのディスカッションで例えば午後にでもお応えできると存じます、ありがとうございました。

3053
崎山比早子:
二つ質問があるんですけど、CT検査は機械によって随分動作が違うと思うんですが、オーストラリアでは1回の被ばくが平均で4.5mSvでしょうか?
それで、どのくらいのバリエーションがあるか?ということが一つと、
それからCTを受けて1年以内の患者さんの、腫瘍ができた人を除くとおっしゃっていますけれども、腫瘍によってはすごく早く出るものと遅く出るのとがあると思うんですね。
で、1年以内に出たというのを除くのは、たとえば白血病とそれからたとえば脳腫瘍なんかで1年以内に出たのを除くというので、腫瘍によって影響が変わるかどうか?っていうことをお伺いしたいんです。
ジョン・マシューズ:
ありがとうございます、こういった質問は非常に重要な質問だと思います。
平均のCTスキャンの線量ですけれども、BMJのドキュメントの中では4.5mSvとなっています。
これは早い段階で受けた場合には高くなるんですが、数字は下がっています。
現在は個別の臓器ごとの実際の線量の影響をみているんですが非常に複雑なんですね、この環境をみるのは。
アルゴリズムを正しく出さなければいけない。
また様々なマシーンを使って、プロコトールもいろいろ使っていかなければいけないということで、我々としてはまだそこまでは文書化はまだできていません。
66万8000のマシーンの設定をすべて確認したということもまだやっていないんですけれども、ただこの推定ですが、こちらはベストケースということでその当時の機械、その当時使われた設定上の状況をベースに考えています。
ですからこれよりもより良い推定を出していくためには、コホートを集めて数年間かかってやっと意味のあるコホートを集めていって、それで線量の情報を集めていくことが必要になります。
その間は、ベストの見積もりという形で、我々はコホートの今ある推定値を使って出していくのがベストの数字だと思っています。
二つ目のご質問ですが、がんの種類によって遅滞期間が変わること、その逆因果関係の可能性があるのかどうかということだと思うんですが、その可能性もあります。
この文献を見ると多くの研究が行われて、そのなかで研究者の方が遅滞期間を見て最初の症状が出てから、最初の診断が出てから、たとえば脳腫瘍の場合は、1年以上の場合ですけれども、
まず脳腫瘍が一番大きな影響でデータが間違っていて影響が出てこの逆因果関係に合わせるような状況になっているのではないかと思っています。
35;38
瀬川:
瀬川と申しますけれども、広島長崎のLSSよりも大きくなるという理由は、黒い雨とか、丘のバックグラウンドとか、50年代になってから始めたとか、その寄与があり得るだろうというのは思うんですけど、もう一つ低線量率との関係。
CTは一回で10ミリあるいは4、5mSvということですから、決して低線量率ではないわけですね。
むしろ高線量率であると。
で、低線量率というのは自然放射線ですとか、まさに今の福島の状況で、1時間あたりにマイクロシーベルト単位であると。
そこにずっと暮らしていたり、そういうものを体内に取り込んで行ったりという低線量率だと思うんですね。
最近自然放射線のいろいろな結果が出ていて、それらとの比較はされているか?
その辺を今後どう考えるか?
なんか一見したところ変わらない感じが私の印象としてはあるんですが、何かお考えはあるでしょうか?
ジョン・マシューズ:
現在環境線量のデータはありませんので、今ご質問されているのは我々が使う言葉。
この10mSvというのは低線量なわけです。
それは環境線量と、福島の環境被ばくの部分を見た場合、その場合は確かにおっしゃるように10mSvは高いと思います。
我々として必要なのは、言葉、文言をちょっと変えていかないといけないと思います。
高い低いという部分ですね、この線量が。
ですがもう少し具体的にですね、(音声切れる)と思っています。
キース・ベーヴァーストック:
皆さんは1mSv/年間というのが低線量だと思うんですが、たとえば皆さんの子供が10歳になった時、10mSvになる。
これが環境、バックグラウンドの線量になるわけです。
線量は蓄積されていきますので、こういったものも低線量の範囲に入ります。
※通訳の方が3人(?)いらっしゃって、途中で何度か交代されています。その日本語訳をそのまま書き出しました。
ーーー
年間20mSvで避難指示解除「どうぞお帰りください」
帰ってしまっていいのでしょうか?
第5回 市民科学者国際会議文字起こしブログ
「CTスキャンによる低線量被ばく後の発がんリスク」ジョン・マシューズ9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
津田敏秀教授9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
キース・ベーヴァーストック(東フィンランド大学環境科学学科)原発事故による甲状腺がんの発症と被曝時の年齢9/21第5回 市民科学者国際会議 2015
<福島とチェルノブイリの野生生物・1>ティモシー・ムソー教授「低用量曝露によって遺伝的損傷が起こるということが示されているのです」9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
白斑「遺伝的影響・放射線の影響”があるという目印」ティモシー・ムソー教授<福島とチェルノブイリの野生生物・2>9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
無精子「だいたい40%の鳥が全く無精子状態であった」ティモシー・ムソー教授<福島とチェルノブイリの野生生物・3>9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
腫瘍・白内障「汚染度が高い地域にはこれは非常に高い」ティモシー・ムソー教授<福島とチェルノブイリの野生生物・4>9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
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「広島、長崎、ハンフォード、そして福島のデータを再分析」濱岡豊慶応大学教授 9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
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悪いけど、どうせ老い先短い。逆にストレスの方が悪そう。
しかしこの先生が研究発言しているように、子供はダメさ。
この差を考えなくちゃいけないんでしょうね。
まぁ、老人でも鼻血出た人も居るんですが、それでも癌などの進行は遅いでしょう。
子供や30歳以下の人々は早いからねェ、、。だからこそ小児がん治療専門病院が有るんだからさぁ。
知人でも40歳成ったばかりの男性だったが、3ヵ月で死亡した。
あれが70過ぎなら、最低でも5,6年は生きただろうと思っている。