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マンモグラフィにおける被爆について、患者さんにどのように答えたらよいですか?
東京都立府中病院診療放射線科 角田博子

確定的影響と確率的影響
 放射線被曝を受けた場合、常に「確定的影響」と「確率的影響」の2 つを考えなければなりません。
 確定的影響とは、ある値(しきい線量)を超えて被曝した場合、必ず発生する影響のことです。たとえば、精巣が1回に3.5~6Gyの被曝をすると永久不妊となり、水晶体では5Gyで白内障が生じます(表1)。しきい線量以下の被曝であれば、これらの危険を完全に防止することができます。これに対して、確率的影響にはしきい線量がありません。ごく少量の被曝でも、可能性は非常に低いものの癌発生のリスクを負うことになるのです。宝くじを買うとき、まさか皆さんは1等があたるとは思わないでしょう? しかし、低いながらもあたる可能性を手に入れたことになるのと同じなのです。
マンモ1

マンモグラフィでどのぐらい被曝するのか?
 米国放射線専門医会は、1方向あたり吸収線量で3mGy以下という勧告を出していますが、これが現時点での日本での基準となっています。最近の撮影技術をもってすれば、1~2mGy以下で撮影できることがほとんどです。これを実効線量で示すと、0.05~0.15mSvの被曝があるといわれています。数字だけいわれてもピンときませんが、表2を見てください。私たちは、まったく知らない間に年間約2.40mSvの自然放射線を浴びています。また、東京からサンフランシスコまで飛行機で移動する間に受ける自然放射線は0.038mSvというデータもあります。さらに、地域による自然放射線の差も、岐阜では年間0.78mSv、神奈川では0.42mSvと意外と大きいのです。
 これらのデータをマンモグラフィでの被曝の値と比べてみてください。確率的影響は決して生じない量であることがおわかりいただけると思います。確率的影響は0ではありませんが、自然放射線や飛行機旅行と比べてもその線量は多くありません。もちろん、だからといってむやみに撮影していいということにはなりませんが、不必要に恐れる必要もないということです。
 あなたは、被曝を恐れて出張をとりやめますか?
マンモ2



0.05~0.15mSvの被曝
5年連続でマンモグラフィ検査をすれば累積線量は0.25~0.75mSvになる
この被曝はレントゲン写真1枚につきだから、実際は何枚撮影するのだろう?
3枚〜4枚だとすると1回の検査での被曝線量は0.05~0.15mSv×3〜4倍になる。
つまり、間をとって1回0.1mSvだとすると0.3~0.4mSvの被曝になる。
これを私たちが日常的に目にしているμSvに換算すると、300~400μSv !!

5年連続でマンモグラフィ検査を受けたとしたら7.5~10mSv(7500~10000μSv)になもる。


「CTスキャンによる低線量被ばく後の発がんリスク」ジョン・マシューズ
9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)

「CTスキャンの約6割というのが頭部に照射されるため、平均臓器線量は40mGyでした。
これは4.5mSvということになります」
ということなので、



精巣 一時的不妊 0.15 Gy →0.05mSv
    永久不妊 3.5~6 Gy →0.35~0.6mSv 
卵巣 永久不妊 2.5~6 Gy →0.25~0.5mSv 
水晶体 水晶体混濁 0.5~2 Gy →0.05~0.2mSv 
     白内障   2~10 Gy →0.2~1mSv 
造血組織 機能低下 0.5 Gy →0.05mSv 
(※mSvは”およそ”の数字)



北斗晶さんのブログ【またね】と言わせて下さい。より一部抜粋
私の右胸の乳癌は、分かった時には既に約直径2㎝大の大きな腫瘍になっていました。
残念ながら、進行が異常に早く1年間でここまで大きくなってしまった様です。

1番初めに何かがおかしいと感じたのは、うつ伏せになって床に転がった時でした。
うつ伏せで、胸を圧迫した事で右胸にチクッとする痛みを感じました。
年頭のまだ寒い時期です。
でも、身内にも乳癌の人はいないし、毎年マンモグラフィーもエコー検査も受けてるの、その安心感から圧迫されただけの痛みだとしか思いませんでした


春が過ぎ夏に差し掛かって暑くなって来た頃、右胸にチリチリする痛みを感じる気がして、毎年秋頃に乳癌検査をしていましたが、秋まで待たずに知り合いの先生に胸の痛みを相談してみました。

後日…
胸を少し切り中の組織を取って細胞を調べて貰いました!



北斗晶「乳癌検診に行ってください!」……呼びかけが多くの女性に響く
2015年9月24日(木) 17時20分

 元女子プロレスラーでタレントの北斗晶が乳がんを患っていることを告白。「女性の皆さん、若かろうが年を取っていようが乳癌検診に行ってください!」との訴えが、多くの人々に響いている。

 北斗は23日に更新したブログで、乳がんを患っていること、そして右乳房全摘出手術を受けることを告白。“鬼嫁”の元気で豪快なイメージの北斗の突然のがん告白は、世間の人々に大きな衝撃を与えた。

 ブログでは乳がんが発覚した当時の思いや症状、そして手術へ向けた覚悟、家族への思いをつづるとともに、「女性の皆さん、若かろうが年を取っていようが乳癌検診に行ってください!」と呼びかけた。

 自身の場合は腫瘍が乳頭に近い場所にでき、毎年乳がん検査を受けていたにも関わらず、触診でも確認しにくいケースだったことから発見が遅れてしまった。進行も早く、すでに脇のリンパに転移している可能性もあるという。しかしそのことを「私だからこそ、みんなが乳癌の話しに耳を傾けてくれるかもしれないから。もしかしたら、それを大勢の人に伝えられる私だから乳癌に選ばれたのかも…そう思うしかありません」と前向きにとらえ、「乳癌の専門医にしか分からない自分では直視出来ない、触っても分からない乳癌の位置もある事を、このブログを読んでくださった皆さんにも知ってもらいたいです」「乳癌は遺伝だから、身内に乳癌の人はいないから大丈夫と安心しないでください。そして、自分の体の小さな異変を見逃さないで。体は正直です!」と訴えた。

 北斗の呼びかけは世の女性の心に強く響いた。モデルの中村アンは「私は今まで 乳がん検診を受けたことがなく 確信もないのに どこか大丈夫だろうと思っていたけれど ちゃんと受けようと思いました」とツイート。タレントの小倉優子はブログで「明日、私は検査の予約をします」と早速行動にうつし、「病気は、決して他人事ではありません。皆さんは、検査は大丈夫ですか?」と自らも呼びかけた。

 フリーアナウンサーの小林麻耶は現在日本では女性の12人に1人が乳がんになっていることを周知した上で、「女性の皆さん、自分を守るため、検診に行きましょう。男性の皆さん、大切な女性を守るため『検診に行ってね』とぜひ伝えてください」と、女性だけでなくパートナーである男性に向けてもつづった。

 タレントのフィフィはTwitterで、北斗の呼びかけを受け「自分の身体と向き合う事の大切さを再認識させられました。北斗さん有難うございます」と感謝。お笑いトリオ・森三中の大島美幸の夫で放送作家の鈴木おさむ氏は「勇気を持ってああいう発表をしてくれたことで、、あらためて自分にもいつ何が起きるかわからないと自覚して、検査を受けたりすることが大切」とつづった。

 そのほか、タレントの薬丸裕英はブログで「北斗さんの恩に報いる為にも多くの皆さんに検診に行って頂きたいと切に願います」と呼びかけ、北斗と同年齢のタレント・江口ともみも「女性の皆さん、乳癌検診受けていますか?面倒くさい、時間がない、自分は大丈夫 そんな事では大切な身体を守れませんよ」「改めて、女性の皆さん乳癌検診受けましょうね」と呼びかけた。《花》



でも、乳癌検診では発見されなかった。
北斗さんの場合は自覚症状があっても「乳癌検診は毎年受けているから気のせいだ」と考え、かえって乳癌検診を受けていたがために病院へ行く時期が遅れたとも言えると思います。

乳癌検診をしていなくて乳癌になった人と違って、
毎年検診をしていた北斗晶さんでさえ初期に見つける事ができなかったのに、
「乳癌検診に行きましょう」と呼びかけるのはちょっと違うのではないかと思います。


マンモグラフィ 日本放射線技術学会
Q1:マンモグラフィはどんな検査ですか?
マンモグラフィとは乳房のX線撮影のことです。乳房は皮膚や脂肪、乳腺などX線の透過の差が少ない組織から構成されています。そこで、コントラストのよい画像を作るため、エネルギーの低いX線を使って撮影します。
装置はいろいろな角度をつけることができます。標準の撮影では、上下方向(頭尾方向)と、台を斜めにして体に沿った角度をつけた斜め方向(内外斜位方向)との2方向が撮影されますが、50歳以上の乳がん検診などでは、斜め方向だけ撮影する場合もあります。

Q6:マンモグラフィの被ばく線量はどのくらいですか?
マンモグラフィのX線の量は平均乳腺線量といって、乳腺の線量で表します。
日本やアメリカのガイドラインでは、厚さが42mm、脂肪と乳腺の割合が半分ずつの乳房模型(ファントム)を撮影したとき、1枚あたりの平均乳腺線量が3mGy以下になるように決められていますが、現状では、日本のマンモグラフィの装置では、ほとんど2mGy以下で撮影されています。
また、少なくとも1年に1回は線量測定を行い、装置と線量の管理をしています。実際には、受診者の方の乳房の厚みや、乳腺の量の割合によって線量は変わってきますが、将来、白血病や発がんなど、身体に影響が出るような線量ではありません。
当学会も構成団体のひとつであるNPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会では、医師・技師の個人認定を行うとともに、基準以上の画像が提供され、また機器や線量の精度管理も実施されている施設の認定も行っています。ホームページで公表されていますので、参考にしてください。




そうだろうか …?
毎年マンモグラフィの検査をして被曝をして、それでも癌は発見されず、癌は2cm大にもなり、リンパにも転移しているかもしれないというしれないという状態になってしまっている。
それじゃあ、無駄に被曝を重ねていただけになるではないか!
私なら「マンモグラフィなどという検診は受けない方がいい」と声を大にして言いたい。



「CTスキャンによる低線量被ばく後の発がんリスク」ジョン・マシューズ
9/21第5回 市民科学者国際会議(文字起こし)
より一部抜粋

そして英国におきましては、2012年パラレル、私たちと同時にピアース等がイギリスのデータを用いて小児期のCTスキャン後の脳腫瘍と白血病の実質的な増加がみられた、それが示されたと言っています。

そして我々の調査ですけれども、これはオーストラリアの調査なんですけれども、実質的な脳腫瘍、白血病、さらにその他の固形がん、ほとんどすべての固形がんの実質的な増加がみられたということを示しています。


脳腫瘍、軟部組織、甲状腺、白血病、というものがあるわけですが、脳腫瘍というのが最も顕著であった。
というのはCTスキャンというのは、だいたいその6割が脳に照射されるということで脳腫瘍が増えています。

子供が5歳未満でCTスキャンによって頭部に被ばくをすると、実際の非被ばく群と比べると脳腫瘍の平均発生率が3倍になると。

CTスキャンの約6割というのが頭部に照射されるため、平均臓器線量は40mGyでした。
これは4.5mSvということになりますけれども、これによってCTコホートによる脳腫瘍の増加というのは驚くことではないということがわかります。



CTスキャンだって「脳ドック」などと言って受けた方がいいという風潮が日本にはあります。
CTスキャンに関しても医療関係では「しきい線量(mGy)よりはるかに少ない量なので、症状が現れてくることはありません」と書かれています。
でも実際に数多くの人々を調べてみると、ジョン・マシューズ先生がおっしゃるように有意に癌が発生していることがわかってきました。

マンモグラフィの被曝について調べてみても推進側からの答えしかありません。
「マンモグラフィを生涯検査したとしても100mSv未満なので癌にはならない」と書いてあります。

放射線被曝の影響ではっきりと増えてくる病気は甲状腺がん、白血病、、脳腫瘍、乳がんだとわかっています。
それがわかっていながら乳房に直接放射線を照射するという検診って、本当はどうなのだろう?


NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会

マンモグラフィ線量測定サービスについて 2015年06月08日
 マンモグラフィによる乳がん検診の精度管理において、描出する乳がんの画像も大切ですが、画像を作り出すために使用する放射線量を、一定量以下となるように管理することが、画質と同じように重要な事項です。
 一定量の放射線量(平均乳腺線量:AGD)は、「デジタルマンモグラフィ品質管理マニュアル」(精中委編集)に、一回の放射線の照射量は「3mGy以下」と定められています。
 NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)は、受診者の安心と安全を担保するためにAGDを年1回測定することを義務化といたしました。
 このAGDは、低エネルギー用電離箱線量計等を用いて計測することもできますが、精中機構の施設画像評価で使用していますマンモグラフィ用品質管理バッジ(株式会社千代田テクノル製 ガラス線量計:略称MQB、図1,図2)により簡便に2回の照射にて、正確なAGDが測定できます。また、無鉛X線遮蔽板によりX線検出器の残像現象を防ぐことができます。
 MQBの特性評価は、株式会社千代田テクノルと放射線量の国家標準を維持している国立研究開発法人産業技術総合研究所が共同で行っており、AGDが正確に測定できるようになっています。 また、当機構と株式会社千代田テクノルはMQBの精度維持に努めています。
 線量計をお持ちでない施設は、ぜひ、線量管理としてご検討いただきお申し込みいただければ幸いです。
 なお、平成28年3月31日までにお申し込みいただきますと、料金はそのままでシステムの鮮鋭度(SCTF:System Contrast Transfer Function)も測定いたします。
マンモグラフィ線量測定サービス内容

半価層(mmAl) 第一半価層、第二半価層、均等度
入射空中線量(mGy)
1mAs当たりの入射空中線量(mGy)
実効エネルギー(keV)
平均乳腺線量(mGy)
判定の合否



どこの医療機関も「マンモグラフィ線量測定」を必ずしているのだろうか?

「線量測定を義務付ける」ということは被曝によるリスクがあるということだ。
昔は毎年毎年小学生や中学生が強制的に受けさせられていた胸部レントゲンもいまはやらなくなった。
それだって、レントゲンによるリスクがあることを国が認めたからだ。
胸部レントゲンもCTスキャンもマンモグラフィも結局は同じ放射線である。

巨大な医療放射線のビジネスに関して、日本人はもう少し疑問を持った方がいいと思う。


しかも、いまの日本は原発事故の影響によって日々の生活においての被曝量が大幅に増えている。
食べ物や呼吸による内部被曝も事故前には考えられないくらいに多くなっていることだろう。
東京に住んでいればなおさら、ただ生きているだけで多くの被曝を強いられているのだから、

安易に「もっと乳がんの検診を受けよう」などと発言しない方がいいと思う。



ー追記ー

アメリカでは推奨しない
「米国では2009 年 11 月『40 歳代の女性に対しては、マンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない』という推奨を発表した」という事を教えていただきました

米国予防医学専門委員会による乳がん検診推奨に対する日本乳癌検診学会の見解
2010 年 5 月 日本乳癌検診学会

日本乳癌検診学会(以下、本学会)は、検診によって早期の乳がんを発見し、乳がんによる死亡の減少に寄与することを目的としています。

2009 年 11 月、米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force, USPSTF)は、それまで「40 歳以上の女性に対して、マンモグラフィを用いた乳がん検診の 1~2 年に 1 回の受診を推奨する」としていた推奨(グレードB)を、「40 歳代の女性に対しては、マンモグラフィを用いた定期的な乳がん検診を行うことを推奨しない」という推奨(グレードC)を発表しました。(その後、推奨の表現は「50 歳未満の定期的なマンモグラフィ検診を行うにあたっては、対象者個人ごとの利益と不利益に関する価値判断を考慮すべき」と修正されていますが、推奨グレードCの判断自体は変わっていません。)

推奨グレードがBからCに変更された理由として、マンモグラフィ検診による利益(乳がん死亡率減少効果)は 40 歳代の女性に対しても認められるものの、不利益(要精検の結果、がんではなかった人に対する不必要な検査や放置しても臨床的に問題にならないがんに対する治療等)が存在し、利益と不利益を比べた場合に 50 歳代以上の女性と比較して、40 歳代では利益が不利益を上回る度合いが小さいことが挙げられています。

この専門委員会の勧告に対し、米国対がん協会(American Cancer Society, ACS)は、40 歳代に対しても引続きマンモグラフィによる乳がん検診を行うとして、専門委員会の勧告に反対する意見を表明しています。一方、 米国立がん研究所(National Cancer Institute, NCI)は中立的立場をとっています。その後、この勧告に関して米国議会で公聴会が開催され、セベリウス保健福祉長官は「USPSTF は政府の外部独立委員会であり、今回新たな推奨を示したものの、政府の政策を決定する機関ではなく、米国政府のマンモグラフィ検診を保険でカバーするかどうかの判断を変更しない」と発表しました。

年齢別に乳がん罹患率を比較すると、米国では 40 歳~50 歳代に比べて 60 歳以上の女性で高くなるのに対して、日本では 40 歳~50 歳代の女性の方が 60 歳以上よりも高いことから、今回の米国専門委員会の勧告(40 歳代のマンモグラフィ検診)は日本に対して、より大きな影響を及ぼすものと考えられます。

本件に関する今年3月の米国政府機関等(NCI, CDC)の専門家との意見交換の結果を踏まえて、本学会の見解を以下に示します。

1. USPSTF の今回の改訂は、科学的根拠に基づいた概ね適切なものであるが、アメリカのデータに基づいた判断であり、日本にそのまま適用することはできない。

2. わが国の推奨はわが国のデータに基づいて改訂すべきであるが、不利益に関するわが国独自のデータが不足しており、早急にこれを収集する必要がある。

3. 死亡減少効果についても、①検診を実際に受けた人と受けなかった人の比較ではなく、評価研究において検診群に割りつけられた人と対照群に割りつけられた人の比較なので死亡減少効果を過小評価している点、②観察年数調整をしていないので観察年数の短い 40 歳代の死亡減少効果を過小評価している可能性がある点について、検討を加える必要がある

4. わが国における科学的根拠に基づいた推奨度の改訂を行うまでは、当面現行の推奨を継続することが妥当である。

本学会は、乳がん検診に関して、利益のみでなく不利益に関する科学的知見の集積に務め、国民の皆様にとって、よりよい乳がん検診が実施できるよう、これからも努力していきたいと考えています。

まんも




スイスでは廃止勧告

2014年10月2日 6:00 AM
転機迎える「ピンクリボン」、マンモグラフィーで被る負担深刻、10月乳がん月間も

スイスでは廃止勧告、負担を問題視、超音波検査に注目の動きも
 
10月1日は、ピンクリボンの日とされ、10月は乳がんの啓発強化月間となっている。一方で、ピンクリボン運動は転機を迎えていると言っていいだろう。

従来、ピンクリボン運動で推進されてきたマンモグラフィー検査が国際的に否定され始めているからだ。日本も何らかの対応を迫られるのは間違いない。

「受ける人が選べるように」
9月19日の記事(マンモグラフィー検診には廃止勧告も、スイス医療委員会「有益な効果認めず」)で伝えている通り、スイス医療委員会は、マンモグラフィーを検診として健康な人も含めて実施することに対して、廃止勧告を出した。有益な効果はないと見なしたためだ。

海外の報告は、マンモグラフィーの課題を徐々に浮き彫りにしている。

このたび新たにマンモグラフィーで「がんではない」にもかかわらず、検査の結果は「がんですね」と分かった場合に、費用的にも時間的にも負担が生じてしまうデメリットが証明されている。

米ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるジェファーソン公衆衛生大学院のマシュー・アルクスキー氏らの研究グループが、2014年9月23日付けのジャーナル・オブ・ウィメンズ・ヘルス誌で報告したものもそうだ。

研究グループは、米国の雇用保険のデータベースに基づいて、マンモグラフィー検診を受けている40歳から75歳の女性を対象として、がんでないにもかかわらずがんとされた場合の負担を検証した。

この結果、マンモグラフィー検診を受けて乳がんではなかった約170万人のうち、15%に当たる約26万人もの女性が再度の検査を受けていた。乳房に針を刺して生検を受けたり、診断的に改めてマンモグラフィーや超音波検査を受けたりして、経済的、時間的な負担は過度であると見られた。

一方で、有力医学誌のBMJ誌9月25日号でもマンモグラフィーで過剰に「がんかもしれない」と健康な人を拾い上げる弊害について考察している。「がんである可能性が高い」と検診で言われるのは「深刻で、新しい問題」と指摘している。

というのも、がんかもしれないと言われた場合、再検査にとどまらず、実際に誤った治療にまで踏み込んでしまう場合も多いからだ。オーストラリア、シドニー大学を中心とした研究グループでは、マンモグラフィーを実施する上では、事前に受ける人が有害情報も受け取ってから「選べる仕組み」を導入するのが重要だと強調している。
超音波検査が優れるとの研究結果も
 
マレーシアからの報告では、マンモグラフィーと超音波検査を比べたところ、マンモグラフィーではがんがあっても「ない」と判断される場合が多いと指摘している。20%の乳がんはマンモグラフィーではみつけられず、超音波検査だけで見つけられたと判明した。

検査の方法も含めて、乳がんの拾い上げの仕組みをめぐっては大きな転機を迎えているのは間違いない。

啓発運動に関わっている国内の関係者は、「医療関係者を含め、乳がんに関わっている人は、みなマンモグラフィーの問題を認識しているが、動けなくなっている。これまでやっていたことをやめることにインセンティブが働かないからだ」と指摘する。

世界の潮流の中で、日本のピンクリボン運動は少なくとも何らかの行動を起こす必要はあるだろう。




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コメント
 ヒマラヤ山のふもとの、ある竹やぶに、多くの鳥や獣と一緒に、一羽のおうむが住んでいた。あるとき、にわかに大風が起こり、竹と竹が擦(す)れあって火が起こった。火は風にあおられて、ついに大火となり、鳥も獣も逃げ場を失って鳴き叫んだ。おうむは、一つには、長い間住居を与えてくれた竹やぶの恩に報いるために、一つには、大勢の鳥や獣の災難を哀れんで、彼らを救うために、近くの池に入っては翼を水に浸し、空にかけのぼっては滴(しずく)を燃えさかる火の上にそそぎかけ、竹やぶの恩を思う心と、限りない慈愛の心で、たゆまずにこれを続けた。

 慈悲と献身の心は天界の神を感動させた。神は空から下って来ておうむに語った。
「おまえの心はけなげであるが、この大いなる火を、どうして羽の滴で消すことができよう。」

おうむは答えて言う。

 「恩を思う心と慈悲の心からしていることが、できないはずはない。わたしはどうしてもやる。次の生に及んでもやりとおす。」と。

 神はおうむの偉大な志にうたれ、力を合わせてこのやぶの火を消し止めた。
通りがけ | 2015.09.25 14:53 | 編集
いつも文字起こしありがとうございますm(_ _)m
マンモはがん細胞があった場合、潰してしまう可能性があると聞いたことがあり、
しかも発見率は高くないようですのであまりやりたくないと思っていました。
が、さらにかなりの医療被曝をするんですね。知らなかったです。
私の住む市の、40代からの検診はマンモです。安いからといってマンモではなく、自費にはなりますがエコーにするべきですね。
エコーの機械自体が2年前で全国に30台ですと、エコーを受けた産婦人科で伺いました。現在、導入した病院は増えたのでしょうかね。

エコーは、痛くもないし、被曝しないのでマンモからエコーに変えるべきでしょうね。
医療被曝にっぽん、そうは問屋が卸さまいか?
やたらレントゲンとりたがる歯医者さんもいますから要注意です。
儲かるのでしょうか。

マンモの被曝、教えて下さりありがとうございました(^-^)
生麩 | 2015.09.25 21:48 | 編集
私も白内障になって来たようだ、、。
でも医者に行くのを躊躇っている、、。
何だか余計悪くされそうでね、、。
武尊43 | 2015.09.26 20:14 | 編集
北斗さんの会見で、何故、自分は検診していたのにそんな乳がんになってしまったのか、と悔しい思いが伝わってきて胸が痛くなりました。

それなのに、「そんな私だからこそ、乳がん検診を受けてください、と言いたい」には違和感を覚えました。

どこからか、圧力がかかっていて、「くれぐれも、検診拒否姿勢を女性達に見せては困るんです、どうか、貴女のケースは稀なのですからね」と言われたのでは?とかんぐってしまったのは、私だけでしょうか?

私はもう年配で、あまり乳がんの検査を受けたことはないのですが、これからも、セルフチェックのみで、疑わしい時はエコーで、と決めております。

若い人たちは、今回ひそかに悩みを抱えてしまっているのでは、と思います。どうか、適切な安全な検診制度に進化すべき時だ、と思うのです。

sawada momo | 2015.10.06 18:53 | 編集
途中のマンモグラフィーによる被曝量の計算がどうしても合わないのですが、計算合ってますか?
1回を0.1mSvとして1度に4枚撮影を5年連続ですれば、2.0mSvつまり2000μSvではないかと思うのですが…
あま | 2016.12.19 21:05 | 編集
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