~東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線被ばくによる
健康影響を科学的に究明し、防護と対策を実現するために~
2日目 日時:2015年9月21日(月・祝)
ティモシー・ムソー教授
質疑応答

42:20
川根眞也先生(内部被ばくを考える市民研究会):
貴重な公演をありがとうございました。
空間線量との関係はわかったんですが、チェルノブイリと福島の核種の違いと生物への影響というのは研究されたのでしょうか?
ムソー:
内部被曝経路も研究しております。
ガンマスペクトロメーターを現場に持ち込んでシールディングを行ってそしてマウスや鳥を見て小さな赤いケージの中に入れて内部被曝を測定しました。
どれぐらいの放射能なのか?というのを測りましたので、どれぐらいの線量が摂取されているのかわかっております。
それと線量計を体内に埋め込んで、マウスですけれども。
埋め込んだまま野生に離して、もう一度捕獲して線量計を外して読み取りました。
外部線量がわかります。
そうすると、個体レベルで正確な測定がわかります。
鳥については全て見せる時間がなかったんですけれども、
鳥については新しい手法で足に線量計をつけました。
鳥というのは通常、繁殖期は同じエリアにとどまります。
3ヶ月、もう少し長くとどまることもありますので、同じ鳥を同じ区域で捕獲することが可能なわけです。
ツバメを例に取りますと、戻ってきます。
同じ巣に翌年も戻ってきます。
生きていればという話ですが。
なので、数百のツバメに線量計をつけて再度取ることができました。
今ちょうど、かなりのレベルで内部・外部。双方のレベルでわかりつつあります。
もちろん標準的なラジオエコロジーの手法も用いております。
理科ツールを用いて推定をするということもやっております。
44:50

崎山比早子先生:
放射線によってミューテーションが増えるというのは放射線のアレでわかるんですけれども、
個体数が減るというのは、例えば鳥の個体数が減るというときに、
福島では大規模な除染が行われていて、表土などがフレコンバックの中に入っちゃって、
そういう形で除染の影響によって鳥とか生物、昆虫類の個体数が減るっていうのが考えられると思うんですが、
そういった点は、放射線の線量だけで増えれば減るっていう、そういった関係とどういう風にイントラクションしているのか、除染の影響はそこに入っていないかどうか?ということをお伺いしたいです。
ムソー:
非常に鋭い質問ありがとうございます。よくぞ聞いてくださいました。
私どもも実は過去9ヶ月ですけれども、個人的に大型哺乳動物をカメラトラポを使って撮影しています。
動きでセンサーがつく特別なカメラを使って写真が撮れるような仕組みがあります。
おっしゃるとおりです、先生。おっしゃるとおり。
全ての除染活動に関わる全ての活動、トラックや車も人ももちろんそうです。
表土層をとって、だいたい10mですか、道路の両側10mぐらいですからそれほどたくさんというわけではないですが、騒音があって塵(ちり)が飛び散る、そして人も怖いものが来たと動物の目には映るわけです。
本当におっしゃるとおりでこの区域4657(音消え)
4708
のような余分な活動はないと、定常状態に戻ったところでは動物に対する影響はないと思います。
そして今回出しました鳥類に対する研究というのは、こういった除染活動が行われる前です。

除染が行われた後ということで昨年集中的に起こっています。
昨年は本当に何千ものトラックそして人がたくさん入って除染活動が行われています。
これはこれで目を見張るものがあるんですけれども、
これは一時的なノイズよりはずっと大きいと思います。
確かに表土層を除去している。
これはおそらく土壌がこのインパクトから回復するには数年かかると思います。
私もこの除染による影響も研究したいと思っています。
基本的な科学をやっていかなくてはなりません。
この問題についてはやっていかなくてはならないと思っていますし、願わくばやりたいと、できればと思っております。
48:11
質問女性:
チェルノブイリとの比較で最初の質問とも関係すると思うのですが、チェルノブイリから10年ぐらい経ったときにウクライナの動物学研究所の調査で、水鳥の雛が孵って、なかなか大きくなるまで生きられないというような理由の一つに、卵の殻にストロンチウムが蓄積しているというような報道を見たことがあります。
そのような調査というのをムソーさんは行っておられますか?
先ほど被曝のことがありましたが、内部の放射線核種の蓄積というようなことと病氣との関係、そういったことも見ておられるかどうか、お聞きしたいと思います。
ムソー:
殻のぶぶんですね。
実際にはチェルノブイリではそういうところを少しみました。
同じストロンチウムがここの災害のときにも出てきました、セシウムですね。
で、地上の(通訳変わる)
多分セシウム、イオン化されたもの、そして希ガス、こちらは初期だけですぐに減衰されます。
そして、二つのセシウム134と137が残り、ストロンチウムの方はごくごく微量です。
そしてチェルノブイリではかなりのストロンチウムが飛びました。
ストロンチウムはカルシウムですから、これが卵の殻に蓄積されます。
従ってかなり可能性が高いと思います。
これが原因となって、過剰な内部線量になったのではないかと思います。
特に卵というのは胚が発達するときに方向性も放射能の方を向くようになっていますから、多分ストロンチウムが胚と胚の発達と卵に対しても影響を与えたと思われます。
やりたいんですけれども、ストロンチウムの研究そのものが高くて難しくて、かつ卵を集めるのも難しいです。
時間が掛かりますのでリソースがありません、でもやりたいです。
福島の方ではペーパーが出されています。
今年初めに出されたもので、先ほどプレゼンの中でも出しました。
これはツバメを対象にしたもので、実際に線量計を巣につけて、実際の放射線環境が巣でどうなっているのか?
卵が温められたりする環境について測定しました。
そうするとより良い関係が見られます。
生存と卵、そして子孫、子との関係が見られます。
そして巣との関係もわかるようになります。
この研究は非常に小規模で、本当に小さなものです。
リソースがないということが理由です。
それとアクセスがないと。
生物学者が居なくて、「こんな汚染されたところに誰が行くんだ」という問題があるために、さらなる問題となっています。
「生物学者が実際に福島に行く」ということだけ、これもシンプルなプロセスではなく、むしろ難しくなっているぐらいです。
町によっては禁止区域の全員に対してできるだけ大勢にということもやっています。
このために科学者が入れないという状況が続いています。
従って推奨は、一緒になって協力をして、独立した科学者が一緒になってこの環境の中で研究できるような環境を作り出すということだと思います。
以上です。
第5回 市民科学者国際会議文字起こしブログ
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