国道6号・常磐道を走るクルマが、 東京に“死の灰”を運んでいる!? ――木内みどり×広瀬隆対談【中篇】(ダイヤモンド社より)

国道6号・常磐道を走るクルマが、東京に“死の灰”を運んでいる!?
――木内みどり×広瀬隆対談【中篇】

【第30回】 2015年10月28日 ダイヤモンド社書籍オンライン

『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が増刷を重ね、第6刷となった。
本連載シリーズ記事も累計253万ページビュー(サイトの閲覧数)を突破し、大きな話題となっている。
このたび、新著で「タイムリミットはあと1年しかない」とおそるべき予言をした著者と、女優の木内みどり氏が初対談!
木内みどり氏は、原発問題に関して、各種市民集会の司会を務めている。
8月11日の川内原発再稼働後、豪雨による鬼怒川決壊、東京で震度5弱、阿蘇山噴火、南米チリ沖マグニチュード8.3地震による津波余波など、日本列島を襲う自然災害が続出している。
本誌でもこれまで、計29回に分けて安倍晋三政権および各電力会社社長の固有名詞をあげて徹底追及してきた。
川内原発、伊方原発再稼働の動きの中で、東京を含む東日本地域への「実害」が迫っているという、注目の対談2回目をお届けする。
(構成:橋本淳司)

「もう一回原点に戻りたい」と思って書いた本

木内:
『東京が壊滅する日』を手にとったとき、最初は戸惑ったんです。
ここに書かれている現実を、受け入れなくてならないだろう、と思ったからです。
読みはじめてみると、やっぱりスゴイ事実がいっぱいあって。事実に目を背けてはいけないなと思いました。
それで広瀬さんにお礼を言わなきゃと思いました。

広瀬:なぜですか?

木内: 
この本に出てくることは、広瀬さんの長く激しい人生の努力の結晶。
それを抽象論ではなく具体的な固有名詞で断罪! 惜しげもなく闇の世界のことを全部出してくださって。
覚悟の度合いが違うと思いました。

広瀬: 
僕は、どうすれば本当に原発を止められるか、いつも考えてきたつもりです。
ところが、世論調査では100%勝っているのに原発が再稼働してしまう。

そこで僕は、政治運動でなく、デモのような大衆行動で、一人ずつが社会を変えなければダメだと思っています。
青森ではそういう体験があります。

僕は再処理工場の核燃サイクル反対のために1985年から青森に入り、あらゆる農協を回りました。
真冬が農閑期なので、寒い日々の中でしたが、10人くらいの集まりでも、100人の集会でも、絶えず放射能の危険性について、くわしく話しました。
すると、やがて保守ゴリゴリの青森県が変わり始め、1988年の選挙のときは再処理工場反対の人が大勝したのです。
つまり、選挙というのは、日々の活動があって、その結果が出るのです。

木内:それはすごいですね。

広瀬: 
でも次の選挙では、みんなが放射能のことは言わず、「誰々に投票してください」という、例の選挙運動になりました。
僕は「これは危ない」と感じました。
具体的な内容を言わずに「この人に投票してください」と言っても、人の心は動かせません。
現在でも、中身のあることをどんどん言っていけば、人は変わるはずです。
絶えず、言い続ける必要があります。

先月、木内さんが本ステージで司会をした代々木公園の大集会でも、第二ステージでたくさんの人が、被曝問題を語ってくれていたので、うれしかったです。
あの中身が大事なのです。

同じように、もう一回原点に戻りたいと思って書いたのがこの本です。
担当編集者から、嫌になるくらいしつこく質問されました。
これは忍耐だと思って、忍耐に忍耐を重ねて丁寧に加筆していきました。
この編集者を変えないと、世の中を変えるなんて夢のまた夢ですからね。

結果として、それがよかった。
僕にとっては当たり前のことになっていたことも、改めてわかりやすく書くことができました。苦労はしましたけど……。

東京でガン、心筋梗塞、白内障、白血病が激増する!

木内: 
そうだったのですね。おかげで、とっても読みやすかったです。
スゴイ事実が書かれていますけど。東京でも放射能の影響が出ているのですね。

広瀬: 
結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これからガンや心筋梗塞などが必ず激増します。
いやもう、その段階に入っています。

木内:放射能の影響というと、甲状腺ガンに代表されるガンの話になりがちですが、心筋梗塞も増えているんですか?

広瀬: 
セシウムは、ナトリウム系列の元素で、体に吸収されやすいという特徴があります。
筋肉にたまりやすいので、絶えず筋肉が動いている心臓にたまります。

心筋梗塞はすでに福島ではかなり増えています。
ときどき福島から「また若い人が心筋梗塞で死んだ」という電話がかかってきます。
そのたびに暗澹たる思いになります。
また、放射性セシウムが角膜に付着すると微量でも、3~5年ぐらいから白内障が出始めます。
子どもたちの目が混濁してきて見えなくなり、最悪の場合、失明をします。

木内:フクシマ原発事故のとき、東京にも放射性物質が飛んできたんですよね。

広瀬: 
福島から首都圏の千葉・東京に至るまでの太平洋側は、途中にまったく山がないので、事故後、4月になっても5月になっても、東京の新宿高層ビル街には、南下した高濃度の放射能雲が直撃し続けました。

そのとき都内の人の多くは、ごく普通の生活をしていました。通勤・通学していたり、外で遊んでいたり。
そのときに放射性物質を吸い込んでしまったのです。
これは時限爆弾ですから、時間とともに身体を蝕んでいくでしょう。

木内:国道6号線と常磐自動車道を通る自動車が、東京に放射性物質を運んだという話も聞きました。

広瀬: 
自動車の群と、東北新幹線が、タイヤと車体によって広範囲に「死の灰」を拡散しています。
今でもです

一番怖いのはプルトニウムや、ストロンチウムのような「ホットパーティクル」です。
ホットというのは「エネルギーが大きい」という意味です。

プルトニウムを吸いこんでしまうと、気管支や肺にへばりついて、同じ場所に放射線を浴びせ続けるという結果になります。
一度、肺に入って付着したホット・パーティクルが、体の外に出ることは、まずありません。

ストロンチウムやプルトニウムのような物質は、「遠くに飛ばない。おそらく敷地内にたまっている」なんて話をする学者もいますが、まったくのデタラメです。

微粒子となったガスなので、空気に乗って遠くまで運ばれますし、細胞を直撃するアルファ線やベータ線を発する放射性物質です。アメリカで検出されているのだから、プルトニウムは重いから遠くに飛ばないなんていう話には、根拠がありません。
セシウムは「測定できる」から騒いだけれど、ストロンチウムやプルトニウムは「簡単に測定できない」から、話題にならなかっただけです。

2011年3月の連続爆発でまき散らされたのは、ガス状のあらゆる放射性物質です。
さまざまな「時限爆弾」が体をむしばんでいることは間違いありません。

東京都文京区にある順天堂病院では、2011年に比べて、2013年のあらゆる疾患が2倍から10倍近くに増えています。
この事実は、重いです。来年から、「時限爆弾」はいよいよです。

(つづく)


なぜ、『東京が壊滅する日』を緊急出版したのか――広瀬隆からのメッセージ

このたび、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』を緊急出版した。

現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。
2011年3~6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。

東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951~57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。

1951~57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発~東京駅、福島第一原発~釜石と同じ距離だ。

核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。
これがセシウムよりはるかに危険度が高い。

3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。

不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。

最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。
世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?

同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。

51の【系図・図表と写真のリスト】をはじめとする壮大な史実とデータをぜひご覧いただきたい。
世界中の地下人脈」「驚くべき史実と科学的データ」がおしみないタッチで迫ってくる戦後70年の不都合な真実!
よろしければご一読いただけると幸いです。




【目次】
◆はじめに
冷静に予測しておかなければならないことがある
◆第1章
日本人の体内でおそるべきことが進行している!
◆第2章
なぜ、本当の事実が、次々闇に葬り去られるのか?
◆第3章
自然界の地形がどのように被害をもたらすか
◆第4章
世界的なウラン産業の誕生
◆第5章
原爆で巨大な富を独占した地下人脈
◆第6章
産業界のおぞましい人体実験
◆第7章
国連がソ連を取りこみはじめた
◆第8章
巨悪の本丸「IAEA」の正体
◆第9章
日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか?





広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。


木内みどり
(Midori Kiuchi)
女優。1965年劇団四季に入団。初主演ドラマ「日本の幸福」(1967/日本テレビ)、「安ベエの海」(1969/TBS)、「いちばん星」(1977/NHK)、「看護婦日記」(1983/TBS)など多数出演。映画は、三島由紀夫原作『潮騒』(1971/森谷司郎監督)、『死の棘』(1990/小栗 康平監督)、『大病人』(1993/伊丹十三監督)、『陽だまりの彼女』(2014/三木孝浩監督)、『0.5ミリ』(2014/安藤桃子監督)など話題作に出演。コミカルなキャラクターから重厚感あふれる役柄まで幅広く演じている。3・11以降、脱原発集会の司会などを引き受け積極的に活動中。Web Magazine:「木内みどりの発熱中!」

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