市役所の封筒「憲法守ろう」に黒線 「なんで?」「墨塗り」日野市に抗議殺到、市長が謝罪
withnews 10月30日(金)15時1分配信
「墨塗りされている!」ツイッターで指摘する声が相次いだ日野市の封筒の画像
【写真】「職員はどういう気持ちで…」批判が殺到した日野市の「黒塗り」封筒
東京都の日野市役所が使っている封筒の「日本国憲法の理念を守ろう」という文言が線引きされて、読めないようにされているとの指摘がツイッターやフェイスブックで相次ぎました。市役所には事実関係を確認したり、抗議したりする電話が殺到する事態となりました。
「墨塗り事件だ!」批判の声広がる
ツイッターやフェイスブックでは日野市役所の封筒の画像が広く拡散されています。黒く線引きされていたのは「日野市」の文字の下にある「日本国憲法の理念を守ろう」という文言。ツイッターには、市の対応を疑問視する声が相次ぎました。
「墨塗り事件だ」
「理念を守らない、って言っちゃっていいの?」
「職員はどういう気持ちで消してるんだろう」
市長が謝罪「誤解与えてしまった」
どうしてこのような封筒が使われていたのか、日野市役所の担当者に聞きました。まず担当者は「消してしまっていた事実があった」と認めました。市によると、問題の封筒は15年前に作られたもの。最近では、市民への返信用などとして使っていたそうです。
現在使っている封筒には「日本国憲法の~」の文言は入っておらず、このスタイルに合わせるために文言を消したそうです。今年に入って700~800枚にこうした線引きをしてしまったそうです。市役所に残っている500枚ほどの封筒については、「今後使用しない」と決めました。
担当者は「朝からひっきりなしにお叱りや事実確認の問い合わせが殺到しました。誤解を招いて申し訳ありませんでした」と説明しています。また、現在の封筒に「日本国憲法の~」の文言が入っていないことについては、「特別な理由はないです。その時々で、封筒に書くメッセージは変わっています」と説明していました。
日野市の大坪冬彦市長は30日、市の公式HP上で「このたび誤った事務処理により、市民の皆様に誤解を与えてしまったことについて遺憾に思います。憲法をはじめとする法令を遵守することは、市政の基本であり、これまでも、そして今後も、憲法をはじめとする法令を遵守して市政を運営することに、いささかも揺るぎがないことを改めて表明します」と謝罪しました。
「憲法守ろう」黒塗り日野市封筒 憲法順守 消された理念
東京新聞 2015年10月31日 朝刊
東京都日野市が、公用封筒に印刷された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言を黒く塗りつぶし、市民らに発送していた。古い封筒を使う際、現行型のデザインに合わせるためだったと釈明したが、市民らから抗議など50件が相次ぎ、大坪冬彦市長が公式ホームページで「遺憾」と陳謝
東京都日野市が、公用封筒に印字された「日本国憲法の理念を守ろう」という文言を黒く塗りつぶし、市民らに七百~八百枚を発送していたことが分かった。市側は「封筒は古いデザインで、現行型に合わせるため」と釈明しているが、市民から抗議の声が寄せられ、大坪冬彦市長が市のホームページ(HP)で「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えた」と対応のまずさを認めた。 (加藤健太)
問題となったのは、長形3号の縦長の郵便用茶封筒で、大きな「日野市」の文字の左下に「憲法の理念を守ろう」の文言が印字されている。二〇一〇年度のモデルで、四月一日からの一年間、全庁的に使われた。
市によると、今年二月ごろ、用水路や公園の維持管理を担う「緑と清流課」で、使っていない一〇年度モデルが課内の段ボール箱に一千枚以上残っているのが見つかり、捨てずに利用することにした。
同月、現行モデルにはない憲法の文言を、黒いフェルトペンで塗りつぶし、同課の業務で、主に返信用封筒として市民らに郵送。このほか、封筒を貸した都市計画課からも、黒塗りされた二十枚が発送された。
緑と清流課の原正明課長は本紙の取材に、自身が指示したことを認めた上で、「現行モデルと見た目のデザインを合わせる必要があると判断した。封筒のデザインは、その時々で、発信したいメッセージやキャッチフレーズが変わるため定期的に変更している」と説明。憲法の文言が何年度から採用されたかは分からないが、長い間、印字されてきたという。
この文言は一〇年度モデルを最後に消えたが、その理由について市は「把握できない」としている。
この黒塗りされた封筒は今月に入っても使用され、受け取った人が問題視し、二十五日にインターネットに画像を投稿して拡散。市には抗議の電話やメールが五十件近く届き「中立であるべき役所にあるまじき行為」などの批判が寄せられたという。
原課長は「当時は見た目のことばかり考えてしまい、短絡的だった。憲法の文言をあえて消す必要はなく、メッセージ性を持った行動と受け取られても仕方ない」と話し、手元に残った黒塗り封筒五百枚は、全て処分する方針を示した。
市は三十日午後四時すぎ、HPで経緯を掲載。この中で大坪市長は「誤った事務処理で市民の皆さまに誤解を与えて遺憾に思う。憲法をはじめとする法令順守は市政の基本であり、今後も揺るぎない」とコメントしている。
◆理由思いつかない
<田島泰彦・上智大教授(メディア法)の話> 全く普通のスローガンで消さなくてはいけない理由が思い付かない。客観的に見れば、憲法を否定する意思表示。市民の批判は当然だ。安倍政権が進める改憲の動きと符合しており、逆に政治的だ。
日野市 市長の部屋

大坪冬彦市長
(おおつぼ ふゆひこ、1957年12月8日 - )
桐朋高等学校、一橋大学経済学部卒業。大学卒業後、日野市役所に就職。高齢福祉課長、健康福祉部長、まちづくり部長を歴任した。
2013年4月、日野市長選挙に自由民主党、民主党、公明党、社会民主党、生活者ネットワークの推薦を受けて無所属で出馬。引退する馬場弘融市長による市政の継承を訴え、元日野市議会議員の中谷好幸(無所属・日本共産党推薦)を破り、初当選した。同年4月27日、正式に日野市長に就任。
2015年10月30日 緑と清流課
古い種類の封筒の誤った使用について
このたび、当市が使用する封筒のうち、古い種類の封筒を使用するに当たり、消す必要のない箇所を誤って消したものを、文書の郵送等に使ってしまった事案が発生しました。
事案の経過
緑と清流課において、古い種類の封筒を使用する際に、所属長が表示の一部を消すことについて曖昧な指示をしたことにより、当課の職員が消す必要のない箇所(「日本国憲法の理念を守ろう」)まで誤って消してしまったものです。
これらの封筒は、平成27年2月頃から、およそ700から800枚使用しております。残っていた同様の封筒500枚につきましては、すべて処分いたしました。
市長のコメント
このたび誤った事務処理により、市民の皆様に誤解を与えてしまったことについて遺憾に思います。
憲法をはじめとする法令を遵守することは、市政の基本であり、これまでも、そして今後も、憲法をはじめとする法令を遵守して市政を運営することに、いささかも揺るぎがないことを改めて表明します。
日野市長 大坪 冬彦
緑と清流課の長が誰なのかはわからなかった。
このような黒塗りに関して、大きなニュースになるのはそれだけ市民の意識が高いということだ。
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