井筒高雄「元自衛隊の立場から戦争法について」
2015年11月5日
井筒高雄さん

みなさんこんばんは。
ただいま紹介をいただきました、元埼玉県の朝霞市というところにありました、第31普通科連隊というところでレンジャー隊をしていた井筒高雄といいます。
また、最近ネトウヨも含めて「お前は本当に自衛隊んなのか」とかですね、「元レンジャーなのか」ということを突っ込まれたりしていますので、今日もまた持参してきましたので、ちょっと一度このレンジャー国旗をご覧いただきたいと思います。

これはですね、レンジャーの素養試験というところに合格をすると、レンジャー教育を3ヶ月間受けるんですが、その3ヶ月間おレンジャー教育に行くときに中隊の全隊員が寄せ書きをするんですね。
この国旗の意味というのは、生きて3ヶ月間レンジャー教育を終えたらこうやって記念品として使える国旗なんですが、死んでしまった場合は棺にこれをかけて中隊に戻ってくるという、そういう意味のためのレンジャーフラッグですね。

ちなみにこれに宮寺と書いてあるのは、レンジャーの部隊ではなくて私の旧姓です。
私は三男で妻が長女だったものですから、マスオさんではないですけれども、私は
異姓ですので、よくメディアの方に「はじめから通称の宮寺で活動してくれているとすごくありがたかった」と言われることもあるんんですが、レンジャーの宮寺というのが私の旧姓でレンジャー隊をしておりました。
ちなみに私の認証番号というのはグランド・セルフ・ディフェンス・フォース陸上自衛隊ですので、Gの1321148というのが私の認番で、これは私が死ぬまで防衛省のLPコードの中に残っていますね。
何かあったときに呼ばれるっていう対象になっています。
それではさっそく、20分という時間なので、レンジャー教育以来緊張した中で、なんとか20分間一気にこのレジメを滞りなく終わらしたいと思っております。
元レンジャー隊員を体験して
まず私がなんで自衛隊に入ったのか?というところからお話をいたしますと、私は別に国防意識もたず、レンジャー隊になろうと思ったわけでもなくて、ここにもありますけれども陸上体育学校というところで競技だけをやって、体育学校っていうのは競技だけをして訓練は一切しないんですね。
任務は「オリンピックに出ること」です。
で、「日の丸を上げること」そういう学校なんですけれども。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、先の東京オリンピックでマラソンの銅メダリストになった円谷幸吉さんという方が1期生で最初で最後のオリンピックメダリストなんですけれども、この体育学校を目指して私は入隊しました。
しかしながら実力がなかったので、体育学校を正規入学をして大会に出るような選手にはならずに、一般部隊に、ま、戻されたと。
で、一般部隊に戻されて、「体育学校上がりは自衛隊のことは全然できないけれど体力だけはあるから」ということで、ゆくゆくレンジャー教育に、中隊長推薦で行くことになるんですけど、今日は時間の関係でその辺は割愛させていただきますが。
この下の写真というのが歴代の自衛隊の体育学校のオリンピック世界選手権のメダルです。

もちろん賞状とかメダルとか展示室を作ってみれるようになっているんですけれども。
自衛隊の入隊時に交わす「契約」について
自衛隊というのは体育学校に行こうが、普通の一般隊員で入ろうが「服務の宣誓」というのをするんですね。
この「服務の宣誓」をして自衛隊に入隊することを許可されるということになっています。
服務の宣誓には何が書いてあるか?って言ったら「日本国憲法及び法令を遵守する」っていうことと、一般の公務員とちょっとだけ違うことはここです。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」というのが自衛隊の服務の宣誓なんですね。
ご承知のように自衛隊は特別職国家公務員といって、憲法99条の擁護義務を課せられていると同時に、服務の宣誓でも再び「憲法と法令を重視する」という事が課せられているわけなんですけど、この間の9月19日の強行採決によって。
この服務の宣誓をする大前提は、今年61年目を迎えました自衛隊というのは、「専守防衛のための服務の宣誓」だったんですね。
つまり日本の領土と領海と領空、それから航海と航空に対して、「命を差し出すけれども任務を遂行しますよ」国を守ります」「国民を守ります」っていう事だったんですが、
その服務の宣誓の大前提の状況が一変したのが、9月19日の強行採決による安保法制の法案の成立という事になってしまうんですが。
ですから、私は個人的には「服務の宣誓の契約違反じゃないの?」というふうに思っております。
また、ここに「国民の負託にこたえる」という事が書かれているんですが、
例えば、東日本大震災のように「災害派遣の自衛隊はよく頑張った」といって、皆さんから評価を頂くような環境に自衛隊員も今置かれていて、「それで国民の負託にこたえられるか?」というと、多くの国民の皆さんは「あの臨時国会で法案を成立させるのは反対だ」という人たちが8割以上。
「もともと安保法制そのものが反対だ」という人もいれば、6割以上の人がそういう声をあげていた。
つまり今の自衛隊員というのは、「まだ国民の負託にこたえるような環境にはおかれていない」。
むしろ「安倍晋三さんとか、アメリカ軍の負託にこたえるために今の自衛隊というのがおかれてしまっている」のが実情ではないかなというふうに思うわけであります。
自衛隊の主たる任務の変遷
自衛隊には「主たる任務」というのがあるんですけれども、「主たる任務」というのがどんどん変遷しちゃっているんですね。
もともとは、私は1988年18歳で自衛隊に入りました。
体育学校で陸上で名を馳せようと思って入ったわけですけれども、
その当時というのは、まだ自衛隊の任務というのは第3条で
自衛隊法第3条(1991年までの主たる任務)
1防衛出動
2治安出動
3災害派遣
この3本柱だけだったんですね。
ところが1992年にPKO法(Peace-Keeping-Operations)というのが成立しますと、この3大任務の他に「付随任務」としてこのPKOで初めて自衛隊がカンボジアに派遣されるという。
で、私は当時92年の時には、すでに3等陸曹といって定年退官する時までの階級に上がっておりました。
もうレンジャー隊にもなっておりました。
そういう、一応自衛隊の中ではプロフェッショナルと言われているレンジャー隊員としてこのPKOの成立。
今の安保法制でも全く自衛艦の人権とか命というのは変わっていないですね、ぞんざいに扱われているんですけど、そうした取り扱いが私は到底受け入れることができない。
なぜなら、PKOであれなんであれ、看板はどうであれ、
軍人が軍人みたいな格好をして、武器を持って紛争地域に乗り込んでいったらそこは戦場になるんですね。
「敵が撃ってくるまで撃たない」というのは、それは「死ね」というのに等しいわけです。
で、反撃をして、「もし反撃した中に傭兵だか市民だかわからなかったのが市民だった」ということになったら、撃った隊員は殺人罪で日本に帰ってきて刑事罰を受ける。
職を追われなければいけないという、こんな馬鹿げた話はないわけですよ。
自衛隊が暴走して海外に行ったわけじゃないんです。
国会で政治が判断して自衛隊を派遣するんです。
その命によって紛争地域で武力交渉をするというだけで、「それはやってられないね」というわけで私は退職するんでねすけれども。
92年の法律ができて、93年にPKOでカンボジアに行ったのが皮きりですよ。
ね、平和維持活動とか聞こえはいいんですけど、2004年にはどうなるか?というと、イラク・サマワというところに行きます。陸上自衛隊が。
2004年のサマワから11年経った2015年。
遂に93年に初めてカンボジアに平和維持活動だって言ったPKO法律がどんどんどんどん拡大解釈をされて、活動できる法律ができちゃったっていう、93年から2015年の自衛隊の主たる任務が大きく変わっていく結果なんですね、今。
集団的自衛権の行使(自衛隊法)
第3条 自衛隊の任務

改正前には自衛隊の任務っていうのは、「国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし」ということだったんですね。
直接侵略っていうのはよその国の軍隊が直接日本に攻めてくる。
間接侵略というのはよその国の軍隊は直接攻め込んではこないんだけれども、よその国の軍隊がコーディネートしたテロ組織なり武装集団なりが日本に工作に入るということを間接侵略というんですが、
「そういうことに対して我が国は防衛しますよ」ということが自衛隊のこれまでの、9月18日までの任務でした。
9月19日からは「直接侵略と間接侵略を取ったから、自衛隊は世界中どこへでも行っていい」そういう法律に安倍さんは作り変えたんですね。
PKOの中で既成事実を積み上げる
PKOの中で既成事実。
これから戦争はPKOの中で起こるんですね。
どういうことかっていうのをお話ししますけれども、一番安倍さんが今回の、みなさん複雑怪奇だったと思います。
安保法案の中身わからないんですよね。10本にまとめられて新たにできましたけれど。
一番安倍さんが絶対に法案として押し通しかったのが、このPKO改正なんですよ。

なんでPKOの改正なのか?というと、
安倍さんはこの中で平和の5原則、国連でPKOができた時、一番最初の取り決めの約束は
1紛争当事者の停戦合意をしていますよ。
2受け入れ国を含む当事者の受け入れ同意がありますよ。
3中立的立場の厳守ですよ。
4状況が、今言った3つが変わっちゃった時には撤退できますよ。
5そして、武器の使用というのは、要因の生命等の防護のために必要最小限に限定で行う
というのがそもそものPKOで。
「今回もこの5原則があるから」という言葉で押し通すんですね。
PKO法の改正→軍事衝突のリスクが上がる

ところが現在のPKOはどういうことか?っていうと、
現在のPKOは住民保護の状態ですね。
住民保護をなんでするの?っていうと、
先ほどは、停戦があって、中立があってということでしたけれど、例えばいま南スーダンというところでね、自衛隊は派遣されています。
中国軍と一緒に活動しているんですよ。
平和維持活動ね、PKOの。
だけど、南スーダンはどういう状況にあるか?というとですね、大統領派と副大統領派に分かれて内戦をしているんです。
中立状態じゃないんですよ。
さっき言った参加5原則の一番最初の第一項目(1紛争当事者の停戦合意)がすでに破られているのが、いまのPKOの自衛隊が置かれている現状です。
大統領側が政府軍、副大統領側が非政府軍、という状況の中で自衛隊は中国軍の軍隊と一緒にPKO活動をしているんです。
これから9月19日に強行採決された中での1本であるPKOの改正によって、
「住民保護」という名の治安維持活動をするんですよ。
これはどういうことか?というと、政府軍大統領派だけではもう住民を保護できないからって、国連軍PKOが住民保護をしなさい、っていうのが、今のPKOのルールです。
その中で住民保護をするためには、「住民が殺されそうになった時には武力行使をして相手を殺す」
住民が虐殺されてしまった現場では、「相手を武器を使って制圧しちゃっていい」というのが住民保護の内容です。
もう一つ「駆けつけ警護」というのが言われていますよね。
駆けつけ警護ってなにするの?っていうと、
中国軍のPKO部隊が、例えば副大統領はにやられてしまった。
そういう時にはどうするの?
日本の自衛隊が武力行使をして中国軍を助けるんです。
というのが今の南スーダンでこれから自衛隊が新たな任務で軍事活動に転換せざるを得ないという法律が、安保法制の自衛隊法の改正なんです。
つまり、新3要件とか、国の存立危機だとか、っていうことじゃないんですよ。
みなさんPKOだと「ま、いいんじゃない。国連のことだし、いいんじゃない」と思われるかもしれないんですが、そのPKOの中で、戦争が一つずつ既成事実化されていくんですね。
PKO活動の中で自衛隊は「人を殺し殺される」っていう環境におかれて、戦死をするし、殺傷をするし、っていうのがこれから現実に行われるんです。
問題はタイミングです。
安倍政権は当初2月と言っていました。
でもね、2月、それが5月に延びるわけです。
でもね、その5月が今度は11月に延びるんです。
何でだかわかります?
2月、5月にこんな任務を付与して本当に既成事実ができちゃうと、7月、今10日と言われているんですけど、参議院選挙。
7月10日の参議院選挙で「自公政権が選挙に負けちゃう、そういうリスクがあるから、自衛隊の住民保護駆けつけ警護というのは来年の11月にましょう」というのが安倍政権のPKO改正の施行のタイミングなんです。
本来「積極的平和主義」と言うならば、本当にこういう任務を作ったのならば、直ちに適応させろよという話です。
本当にね、「紛争を解決するんだ」と言うんであれば。
参議院選挙の結果なんかどうにでもしろよと言いたくなってしまうんですが、実情はそういうことですね。
もう一点の新法というのが「国際連携平和維持活動」
これはもう、国連は全く関係ありません。
アメリカ軍やアメリカ軍と同等の多国籍軍が主導する侵攻とか占領の占領の戦争の中で、「アメリカ軍が紛争当事者を決めることができて」、「アメリカ軍が紛争当事者の同意を取り付けることができて」という中で、日本の自衛隊はロジスティック、後方支援をするそうです。補給活動ですけどね。
どういうことをするか?という前に、自衛隊はいま「中央即応集団」というのを今度変えちゃうんですよ。
つづく
2015年11月5日
井筒高雄「元自衛隊の立場から戦争法について」文字起こしブログ
1「自衛隊は今、南スーダンに派遣されて中国軍と一緒に活動しているんです」元自衛官井筒高雄さん(文字起こし)
2「海外の軍隊だったら助かるような負傷でも、日本の自衛隊は死にます」元自衛官井筒高雄さん(文字起こし)
3「死んでいい隊員をきちんと用意しておくというのがセオリーです」元自衛官井筒高雄さん(文字起こし)
2015年11月5日
井筒高雄さん

みなさんこんばんは。
ただいま紹介をいただきました、元埼玉県の朝霞市というところにありました、第31普通科連隊というところでレンジャー隊をしていた井筒高雄といいます。
また、最近ネトウヨも含めて「お前は本当に自衛隊んなのか」とかですね、「元レンジャーなのか」ということを突っ込まれたりしていますので、今日もまた持参してきましたので、ちょっと一度このレンジャー国旗をご覧いただきたいと思います。

これはですね、レンジャーの素養試験というところに合格をすると、レンジャー教育を3ヶ月間受けるんですが、その3ヶ月間おレンジャー教育に行くときに中隊の全隊員が寄せ書きをするんですね。
この国旗の意味というのは、生きて3ヶ月間レンジャー教育を終えたらこうやって記念品として使える国旗なんですが、死んでしまった場合は棺にこれをかけて中隊に戻ってくるという、そういう意味のためのレンジャーフラッグですね。

ちなみにこれに宮寺と書いてあるのは、レンジャーの部隊ではなくて私の旧姓です。
私は三男で妻が長女だったものですから、マスオさんではないですけれども、私は
異姓ですので、よくメディアの方に「はじめから通称の宮寺で活動してくれているとすごくありがたかった」と言われることもあるんんですが、レンジャーの宮寺というのが私の旧姓でレンジャー隊をしておりました。
ちなみに私の認証番号というのはグランド・セルフ・ディフェンス・フォース陸上自衛隊ですので、Gの1321148というのが私の認番で、これは私が死ぬまで防衛省のLPコードの中に残っていますね。
何かあったときに呼ばれるっていう対象になっています。
それではさっそく、20分という時間なので、レンジャー教育以来緊張した中で、なんとか20分間一気にこのレジメを滞りなく終わらしたいと思っております。
元レンジャー隊員を体験して
まず私がなんで自衛隊に入ったのか?というところからお話をいたしますと、私は別に国防意識もたず、レンジャー隊になろうと思ったわけでもなくて、ここにもありますけれども陸上体育学校というところで競技だけをやって、体育学校っていうのは競技だけをして訓練は一切しないんですね。
任務は「オリンピックに出ること」です。
で、「日の丸を上げること」そういう学校なんですけれども。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、先の東京オリンピックでマラソンの銅メダリストになった円谷幸吉さんという方が1期生で最初で最後のオリンピックメダリストなんですけれども、この体育学校を目指して私は入隊しました。
しかしながら実力がなかったので、体育学校を正規入学をして大会に出るような選手にはならずに、一般部隊に、ま、戻されたと。
で、一般部隊に戻されて、「体育学校上がりは自衛隊のことは全然できないけれど体力だけはあるから」ということで、ゆくゆくレンジャー教育に、中隊長推薦で行くことになるんですけど、今日は時間の関係でその辺は割愛させていただきますが。
この下の写真というのが歴代の自衛隊の体育学校のオリンピック世界選手権のメダルです。

もちろん賞状とかメダルとか展示室を作ってみれるようになっているんですけれども。
自衛隊の入隊時に交わす「契約」について
自衛隊というのは体育学校に行こうが、普通の一般隊員で入ろうが「服務の宣誓」というのをするんですね。
この「服務の宣誓」をして自衛隊に入隊することを許可されるということになっています。
[自衛隊の服務の宣誓]
私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感を持って先進職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
服務の宣誓には何が書いてあるか?って言ったら「日本国憲法及び法令を遵守する」っていうことと、一般の公務員とちょっとだけ違うことはここです。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえる」というのが自衛隊の服務の宣誓なんですね。
ご承知のように自衛隊は特別職国家公務員といって、憲法99条の擁護義務を課せられていると同時に、服務の宣誓でも再び「憲法と法令を重視する」という事が課せられているわけなんですけど、この間の9月19日の強行採決によって。
この服務の宣誓をする大前提は、今年61年目を迎えました自衛隊というのは、「専守防衛のための服務の宣誓」だったんですね。
つまり日本の領土と領海と領空、それから航海と航空に対して、「命を差し出すけれども任務を遂行しますよ」国を守ります」「国民を守ります」っていう事だったんですが、
その服務の宣誓の大前提の状況が一変したのが、9月19日の強行採決による安保法制の法案の成立という事になってしまうんですが。
ですから、私は個人的には「服務の宣誓の契約違反じゃないの?」というふうに思っております。
また、ここに「国民の負託にこたえる」という事が書かれているんですが、
例えば、東日本大震災のように「災害派遣の自衛隊はよく頑張った」といって、皆さんから評価を頂くような環境に自衛隊員も今置かれていて、「それで国民の負託にこたえられるか?」というと、多くの国民の皆さんは「あの臨時国会で法案を成立させるのは反対だ」という人たちが8割以上。
「もともと安保法制そのものが反対だ」という人もいれば、6割以上の人がそういう声をあげていた。
つまり今の自衛隊員というのは、「まだ国民の負託にこたえるような環境にはおかれていない」。
むしろ「安倍晋三さんとか、アメリカ軍の負託にこたえるために今の自衛隊というのがおかれてしまっている」のが実情ではないかなというふうに思うわけであります。
自衛隊の主たる任務の変遷
自衛隊には「主たる任務」というのがあるんですけれども、「主たる任務」というのがどんどん変遷しちゃっているんですね。
もともとは、私は1988年18歳で自衛隊に入りました。
体育学校で陸上で名を馳せようと思って入ったわけですけれども、
その当時というのは、まだ自衛隊の任務というのは第3条で
自衛隊法第3条(1991年までの主たる任務)
1防衛出動
2治安出動
3災害派遣
この3本柱だけだったんですね。
ところが1992年にPKO法(Peace-Keeping-Operations)というのが成立しますと、この3大任務の他に「付随任務」としてこのPKOで初めて自衛隊がカンボジアに派遣されるという。
で、私は当時92年の時には、すでに3等陸曹といって定年退官する時までの階級に上がっておりました。
もうレンジャー隊にもなっておりました。
そういう、一応自衛隊の中ではプロフェッショナルと言われているレンジャー隊員としてこのPKOの成立。
今の安保法制でも全く自衛艦の人権とか命というのは変わっていないですね、ぞんざいに扱われているんですけど、そうした取り扱いが私は到底受け入れることができない。
なぜなら、PKOであれなんであれ、看板はどうであれ、
軍人が軍人みたいな格好をして、武器を持って紛争地域に乗り込んでいったらそこは戦場になるんですね。
「敵が撃ってくるまで撃たない」というのは、それは「死ね」というのに等しいわけです。
で、反撃をして、「もし反撃した中に傭兵だか市民だかわからなかったのが市民だった」ということになったら、撃った隊員は殺人罪で日本に帰ってきて刑事罰を受ける。
職を追われなければいけないという、こんな馬鹿げた話はないわけですよ。
自衛隊が暴走して海外に行ったわけじゃないんです。
国会で政治が判断して自衛隊を派遣するんです。
その命によって紛争地域で武力交渉をするというだけで、「それはやってられないね」というわけで私は退職するんでねすけれども。
92年の法律ができて、93年にPKOでカンボジアに行ったのが皮きりですよ。
ね、平和維持活動とか聞こえはいいんですけど、2004年にはどうなるか?というと、イラク・サマワというところに行きます。陸上自衛隊が。
2004年のサマワから11年経った2015年。
遂に93年に初めてカンボジアに平和維持活動だって言ったPKO法律がどんどんどんどん拡大解釈をされて、活動できる法律ができちゃったっていう、93年から2015年の自衛隊の主たる任務が大きく変わっていく結果なんですね、今。
集団的自衛権の行使(自衛隊法)
第3条 自衛隊の任務

改正前には自衛隊の任務っていうのは、「国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし」ということだったんですね。
直接侵略っていうのはよその国の軍隊が直接日本に攻めてくる。
間接侵略というのはよその国の軍隊は直接攻め込んではこないんだけれども、よその国の軍隊がコーディネートしたテロ組織なり武装集団なりが日本に工作に入るということを間接侵略というんですが、
「そういうことに対して我が国は防衛しますよ」ということが自衛隊のこれまでの、9月18日までの任務でした。
9月19日からは「直接侵略と間接侵略を取ったから、自衛隊は世界中どこへでも行っていい」そういう法律に安倍さんは作り変えたんですね。
PKOの中で既成事実を積み上げる
PKOの中で既成事実。
これから戦争はPKOの中で起こるんですね。
どういうことかっていうのをお話ししますけれども、一番安倍さんが今回の、みなさん複雑怪奇だったと思います。
安保法案の中身わからないんですよね。10本にまとめられて新たにできましたけれど。
一番安倍さんが絶対に法案として押し通しかったのが、このPKO改正なんですよ。

なんでPKOの改正なのか?というと、
安倍さんはこの中で平和の5原則、国連でPKOができた時、一番最初の取り決めの約束は
1紛争当事者の停戦合意をしていますよ。
2受け入れ国を含む当事者の受け入れ同意がありますよ。
3中立的立場の厳守ですよ。
4状況が、今言った3つが変わっちゃった時には撤退できますよ。
5そして、武器の使用というのは、要因の生命等の防護のために必要最小限に限定で行う
というのがそもそものPKOで。
「今回もこの5原則があるから」という言葉で押し通すんですね。
PKO法の改正→軍事衝突のリスクが上がる

ところが現在のPKOはどういうことか?っていうと、
現在のPKOは住民保護の状態ですね。
住民保護をなんでするの?っていうと、
先ほどは、停戦があって、中立があってということでしたけれど、例えばいま南スーダンというところでね、自衛隊は派遣されています。
中国軍と一緒に活動しているんですよ。
平和維持活動ね、PKOの。
だけど、南スーダンはどういう状況にあるか?というとですね、大統領派と副大統領派に分かれて内戦をしているんです。
中立状態じゃないんですよ。
さっき言った参加5原則の一番最初の第一項目(1紛争当事者の停戦合意)がすでに破られているのが、いまのPKOの自衛隊が置かれている現状です。
大統領側が政府軍、副大統領側が非政府軍、という状況の中で自衛隊は中国軍の軍隊と一緒にPKO活動をしているんです。
これから9月19日に強行採決された中での1本であるPKOの改正によって、
「住民保護」という名の治安維持活動をするんですよ。
これはどういうことか?というと、政府軍大統領派だけではもう住民を保護できないからって、国連軍PKOが住民保護をしなさい、っていうのが、今のPKOのルールです。
その中で住民保護をするためには、「住民が殺されそうになった時には武力行使をして相手を殺す」
住民が虐殺されてしまった現場では、「相手を武器を使って制圧しちゃっていい」というのが住民保護の内容です。
もう一つ「駆けつけ警護」というのが言われていますよね。
駆けつけ警護ってなにするの?っていうと、
中国軍のPKO部隊が、例えば副大統領はにやられてしまった。
そういう時にはどうするの?
日本の自衛隊が武力行使をして中国軍を助けるんです。
というのが今の南スーダンでこれから自衛隊が新たな任務で軍事活動に転換せざるを得ないという法律が、安保法制の自衛隊法の改正なんです。
つまり、新3要件とか、国の存立危機だとか、っていうことじゃないんですよ。
みなさんPKOだと「ま、いいんじゃない。国連のことだし、いいんじゃない」と思われるかもしれないんですが、そのPKOの中で、戦争が一つずつ既成事実化されていくんですね。
PKO活動の中で自衛隊は「人を殺し殺される」っていう環境におかれて、戦死をするし、殺傷をするし、っていうのがこれから現実に行われるんです。
問題はタイミングです。
安倍政権は当初2月と言っていました。
でもね、2月、それが5月に延びるわけです。
でもね、その5月が今度は11月に延びるんです。
何でだかわかります?
2月、5月にこんな任務を付与して本当に既成事実ができちゃうと、7月、今10日と言われているんですけど、参議院選挙。
7月10日の参議院選挙で「自公政権が選挙に負けちゃう、そういうリスクがあるから、自衛隊の住民保護駆けつけ警護というのは来年の11月にましょう」というのが安倍政権のPKO改正の施行のタイミングなんです。
本来「積極的平和主義」と言うならば、本当にこういう任務を作ったのならば、直ちに適応させろよという話です。
本当にね、「紛争を解決するんだ」と言うんであれば。
参議院選挙の結果なんかどうにでもしろよと言いたくなってしまうんですが、実情はそういうことですね。
もう一点の新法というのが「国際連携平和維持活動」
これはもう、国連は全く関係ありません。
アメリカ軍やアメリカ軍と同等の多国籍軍が主導する侵攻とか占領の占領の戦争の中で、「アメリカ軍が紛争当事者を決めることができて」、「アメリカ軍が紛争当事者の同意を取り付けることができて」という中で、日本の自衛隊はロジスティック、後方支援をするそうです。補給活動ですけどね。
どういうことをするか?という前に、自衛隊はいま「中央即応集団」というのを今度変えちゃうんですよ。
つづく
2015年11月5日
井筒高雄「元自衛隊の立場から戦争法について」文字起こしブログ
1「自衛隊は今、南スーダンに派遣されて中国軍と一緒に活動しているんです」元自衛官井筒高雄さん(文字起こし)
2「海外の軍隊だったら助かるような負傷でも、日本の自衛隊は死にます」元自衛官井筒高雄さん(文字起こし)
3「死んでいい隊員をきちんと用意しておくというのがセオリーです」元自衛官井筒高雄さん(文字起こし)
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コメント
そでもPKOは世界的要請は有るからねェ、今後もしなくちゃならないと思いますがねェ、、。
その為の法律はしっかり自衛隊員の為にも作り替えなくちゃいけないでしょうね。その辺は態と国民に知られたくないから、作り変えないんでしょうね。
「国際連携平和維持活動」はこれは国際要請ですから必要ないよな。
因みに世界的要請ってのは、世界中の国々が何らかの必要性を持って関わる事柄の中で、日本もそれなりに関わらなくてはいけにような問題というものは有る訳で、それも拒否していたら、そりゃあ矢張り地球に生きている訳だから、拙いと思うんだな。
しかし「国際連携平和維持活動」ってのは筒井氏も云っているように、アメリカとそれに協力する国々の為に戦争行為に参加する、というトンデモナイ事ですから、遣る必要なんか有りません!
どんなに日本が危険になるか。また賛成派が云うように、中国や北朝鮮の危険性を言うが、日本だけが危険になるなら、それにアメリカはコミットしま
せんよ。アメリカも巻き込まれる紛争になるまで、手を出す事はないでしょうね。
その為の法律はしっかり自衛隊員の為にも作り替えなくちゃいけないでしょうね。その辺は態と国民に知られたくないから、作り変えないんでしょうね。
「国際連携平和維持活動」はこれは国際要請ですから必要ないよな。
因みに世界的要請ってのは、世界中の国々が何らかの必要性を持って関わる事柄の中で、日本もそれなりに関わらなくてはいけにような問題というものは有る訳で、それも拒否していたら、そりゃあ矢張り地球に生きている訳だから、拙いと思うんだな。
しかし「国際連携平和維持活動」ってのは筒井氏も云っているように、アメリカとそれに協力する国々の為に戦争行為に参加する、というトンデモナイ事ですから、遣る必要なんか有りません!
どんなに日本が危険になるか。また賛成派が云うように、中国や北朝鮮の危険性を言うが、日本だけが危険になるなら、それにアメリカはコミットしま
せんよ。アメリカも巻き込まれる紛争になるまで、手を出す事はないでしょうね。
武尊43 | 2015.11.12 03:22 | 編集
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| 2016.03.26 12:19 | 編集
あなたはタイトルの「戦争法について」を容認しているのですね。自衛隊は極めて民主的です。したがって、政治には口を出さないことや思想の自由を守ることまで、見本的な集団でもあります。ですから、もともと共産党に洗脳される者もいます。勿論宗教で拝んでいる者もいますね。しかい、同僚はそれらを認め「国民の付託に応える」事を共通の目的として飯を食ってきたはずです。「戦争ほ」などと共産党と同じ事を掲げることは、今までのご自身の生き方を否定するものです。あなたには「隊員として、人間としての誇り」すらなくしてしまったのですか?それだけで同僚を裏切ったことになります。共産党などに利用されて「浮かれていないで」もっと自分を見つめ直してください。それとも婿の入先が共産党関係だったのでしょうか?いずれにしても、人生「裏切り行為」が一番醜いおテント残ります。最後にあなたは「たんなる落ちこぼれの愚痴」を聞いてくれる共産党に利用され洗脳されているだけです。先に打たなければ・・>は自衛隊そのものが何かの基本を理解していないからです。あなたのような人間は退職したほうが日本の自衛隊のためでうs。(いや首になったのでしょう)
新渡戸育造 | 2016.04.06 16:15 | 編集